《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

少女漫画 感想リスト(ライト版) 著者名順

著者名順
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※書名の前に がある漫画は 特にお薦めです。
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あ行    か行    さ行   た行
な行    は行    ま行   や・ら・わ行

あ行
あいかわ ヒロ
・三神先生の愛し方 基本データ
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相原あいはら 実貴みき
・SO BAD! 基本データ
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青木あおき 琴美ことみ
・僕は妹に恋をする 基本データ
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・僕の初恋をキミに捧ぐ 基本データ
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赤瓦あかがわら もどむ
・兄友 基本データ
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ラブ・ミー・ぽんぽこ! 基本データ
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アサダ ニッキ
青春しょんぼりクラブ 基本データ
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星上くんはどうかしている 基本データwww.wwwbestlilium.com
・きみと青い春のはじまり 基本データ
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綾瀬あやせ 羽美うみ
・理想的ボーイフレンド 基本データ
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アルコ・河原かわはら 和音かずね(共著)
俺物語!! 基本データ
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アルコ・ひねくれ わたる(共著)
消えた初恋 基本データ
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餡蜜あんみつ
・カンナとでっち 基本データ
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いくえみ りょう
プリンシパル 基本データ
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いけ ジュン
・水玉ハニーボーイ 基本データ
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池山田いけやまだ ごう
・GET LOVE!! 基本データ
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・萌えカレ!! 基本データ
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・うわさの翠くん!! 基本データ
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伊沢いざわ れい津山つやま ふゆ
執事様のお気に入り 基本データ
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和泉いずみ かねよし
・ダウト!! 基本データ
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・そんなんじゃねえよ 基本データ
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岩下 慶子いわした けいこ
リビングの松永さん 基本データ
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岩本 ナオいわもと     
町でうわさの天狗の子 基本データ
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上田 美和うえだ みわ
・Oh!myダーリン 基本データ
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宇佐美 真紀うさみ まき
・恋*音 基本データ
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・ココロ・ボタン 基本データ
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・夕暮れライト 基本データ
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大詩 りえおおうた    
・猫田のことが気になって仕方ない。 基本データ
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オザキ アキラ
・ハル×キヨ 基本データ
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音 久無おと ひさむ
・花と悪魔 基本データ
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小畑 友紀おばた ゆうき
僕等がいた 基本データ
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恩田 ゆじおんだ    
・神木兄弟おことわり + リトル・ブラザー 基本データ
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か行
加賀 やっこかが    
一礼して、キス 基本データ
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川上 ちひろかわかみ     
・後にも先にもキミだけ 基本データ
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北川 夕夏きたがわ ゆか
・影野だって青春したい 基本データ
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桐島 りらきりしま     
・世界の端っことあんずジャム 基本データ
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金田一 蓮十郎きんだいち れんじゅうろう
ライアー×ライアー 基本データ
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くまがい 杏子        きょうこ
・放課後オレンジ 基本データ
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・あやかし緋扇 基本データ
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呉 由姫 くれ ゆき(原案:ルビー・バーティー
金色のコルダ 基本データ
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幸田 もも子 こうだ ももこ
ヒロイン失格 基本データ
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小玉 ユキこだま ゆき
坂道のアポロン 基本データ
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月影ベイベ 基本データwww.wwwbestlilium.com

小村 あゆみこむら    
・ミックスベジタブル 基本データ
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・神様のえこひいき 基本データ
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紺野 りさこんの      
・胸が鳴るのは君のせい 基本データ
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さ行
酒井 まゆさかい       
・永田町ストロベリィ 基本データ
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・ロッキン★ヘブン 基本データ
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咲坂 伊緒さきさか いお
ストロボ・エッジ 基本データwww.wwwbestlilium.com
アオハライド 基本データ
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思い、思われ、ふり、ふられ 基本データ
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栄羽 弥さこう わたり
・コスプレ★アニマル 基本データ
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佐藤 ざくりさとう         
・おバカちゃん、恋語りき 基本データ
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・マイルノビッチ 基本データ
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里中 実華さとなか みか
・雛鳥のワルツ 基本データ
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佐野 愛莉さの あいり
・オレ嫁。~オレの嫁になれよ~ 基本データ
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椎名 軽穂しいな かるほ
君に届け 基本データ
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縞 あさとしま      
・君は春に目を醒ます 基本データ
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白石 ユキしらいし      
あのコの、トリコ。 基本データ
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師走 ゆきしわす   
高嶺と花 基本データ
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末次 由紀すえつぐ ゆき
・Only You ー翔べない翼ー 基本データ
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・エデンの花 基本データ
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杉山 美和子すぎやま みわこ
・花にけだもの 基本データ
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・True Love 基本データ
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鈴木 ジュリエッタすずき           
カラクリオデット 基本データ
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清野 静流せいの しずる
・純愛特攻隊長!+ 本気 基本データ
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た行
タアモ
たいようのいえ 基本データwww.wwwbestlilium.com
・地球のおわりは恋のはじまり 基本データ
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・あつもりくんのお嫁さん(←未定) 基本データ
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高須賀 由枝たかすか ゆえ
グッドモーニング・コール 基本データ
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田中 メカたなか    
キスよりも早く 基本データ
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ぢゅん子ぢゅんこ
私がモテてどうすんだ 基本データ
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築島 治つきしま はる
・私たちには壁がある。 基本データ
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筑波 さくらつくば       
・目隠しの国 基本データ
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椿 いづみつばき      
親指からロマンス 基本データ
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藤間 麗とうま れい
・黎明のアルカナ 基本データ
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桃森 ミヨシとうもり      
ハツカレ 基本データ
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悪魔とラブソング 基本データ
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桃森 ミヨシ × 鉄骨 サロとうもり       てっこつ    
・菜の花の彼 基本データ
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時計野 はりとけいの   
・お兄ちゃんと一緒 基本データ
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鳥海 ペドロとりうみ       
・甘い悪魔が笑う 基本データ
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な行
なかじ 有紀    ゆき
・ハッスルで行こう 基本データ
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・ビーナスは片想い 基本データ
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仲野 えみこなかの      
・帝の至宝 基本データ
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中原 アヤなかはら     
・おとななじみ 基本データ
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仲村 佳樹なかむら よしき
・MVPは譲れない! 基本データ
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ななじ 眺      ながむ
・パフェちっく! 基本データ
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・コイバナ!ー恋せよ花火ー 基本データ
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那波 マオななみ   
3D彼女 基本データ
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南波 あつこなんば      
スプラウト 基本データ
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・隣のあたし 基本データ
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青Ao-Natsu夏 基本データ
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西形 まいにしかた      
・ヴィーナス綺想曲 基本データ
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野切 耀子のぎり ようこ
・甘くない彼らの日常は。 基本データ
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は行
葉月 かなえはづき     
好きっていいなよ。 基本データ
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八田 鮎子はった あゆこ
オオカミ少女と黒王子 基本データ
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葉鳥 ビスコはとり      
桜蘭高校ホスト部 基本データ
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林 みかせはやし      
・うそカノ 基本データ
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春木 さきはるき    
・ちっちゃいときから好きだけど 基本データ
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春田 ななはるた    
・スターダスト★ウインク 基本データ
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晴海 ひつじはるみ      
・斎王寺兄弟に困らされるのも悪くない 基本データ
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日高 万里ひだか ばんり
世界でいちばん大嫌い 基本データ
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ヒナチ なお
・恋するハリネズミ 基本データ
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樋野 まつりひの     
とらわれの身の上 基本データ
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めるぷり 基本データ
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平間 要ひらま かなめ
ぽちゃまに 基本データ
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福山 リョウコふくやま       
悩殺ジャンキー 基本データ
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モノクロ少年少女 基本データ
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覆面系ノイズ 基本データ
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藤沢 志月ふじさわ しづき
・キミのとなりで青春中。 基本データ
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・僕と君とで 虹になる 基本データ
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ふじもと ゆうき
キラメキ☆銀河町商店街 基本データ
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藤ももふじ    
恋わずらいのエリー 基本データ
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藤原 ヒロふじわら     
会長はメイド様! 基本データ
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星森 ゆきもほしもり      
ういらぶ。 基本データ
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ま行
マキノ
黒崎くんの言いなりになんてならない 基本データ
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松月 滉まつづき こう
・幸福喫茶3丁目 基本データ
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みきもと 凜     りん
近キョリ恋愛 基本データ
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きょうのキラ君 基本データ
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・午前0時、キスしに来てよ 基本データ
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水野 十子みずの とおこ(原案:ルビー・バーティー
遙かなる時空の中で 基本データ
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水野 美波みずの みなみ
虹色デイズ 基本データ
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蜜野 まことみつの     
・お迎え渋谷くん 基本データ
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水瀬 藍みなせ あい
・なみだうさぎ 基本データ
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・ハチミツにはつこい 基本データ
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・恋降るカラフル 基本データ
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・きっと愛だから、いらない 基本データ
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水波 風南みなみ かなん
・レンアイ至上主義 基本データ
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蜜×蜜ドロップス 基本データ
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南 塔子みなみ とうこ
・360°マテリアル 基本データ
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・ReReハロ 基本データ
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・テリトリーMの住人 基本データ
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南 マキみなみ     
・S・A(スペシャル・エー) 基本データ
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声優かっ! 基本データ
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宮城 理子みやぎ りこ
・花になれっ! 基本データ
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宮坂 香帆みやさか かほ
・微熱少女 基本データ
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三次 マキみよし   
PとJK 基本データ
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村田 真優むらた まゆ
・流れ星レンズ 基本データ
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目黒 あむめぐろ   
・ハニー 基本データ
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森下 suuもりした すう
・日々蝶々 基本データ
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・ショートケーキケーキ 基本データ
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森野 萌もりの めぐみ
おはよう、いばら姫 基本データ
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や・ら・わ行
夜神 里奈やがみ りな
・制服でヴァニラ・キス 基本データ
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山田 デイジーやまだ     
・初恋はじめました。 基本データ
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山田 南平やまだ なんぺい
紅茶王子 基本データ
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・空色海岸 基本データ
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やまもり 三香     みか
ひるなかの流星 基本データ
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椿町ロンリープラネット 基本データ
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湯木 のじんゆき    
・これは愛じゃないので、よろしく 基本データ
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雪丸 もえゆきまる     
ひよ恋 基本データ
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柚月 純ゆづき じゅん
・学園王子 基本データ
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吉岡 李々子よしおか りりこ
・彼はトモダチ 基本データ
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吉住 渉よしずみ わたる
ミントな僕ら 基本データ
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ちとせetc. 基本データ
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ろびこ
となりの怪物くん 基本データ
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僕と君の大切な話 基本データ
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渡瀬 悠宇わたせ ゆう
・思春期未満お断り 基本データ
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渡辺 あゆわたなべ あゆ
・L♥DK L・DK(エルディーケー) 基本データ
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三角関係の後も友情が残る優しい世界は、ピュアで一途な人がバカを見る厳しい世界。

てをつなごうよ 7 (マーガレットコミックスDIGITAL)
目黒 あむ(めぐろ あむ)
てをつなごうよ
第07巻評価:★★☆(5点)
 総合評価:★★★☆(7点)
 

千花と美月の間で揺れる小豆の心。しかし、幼い頃から千花に抱いてきた感情が「愛」なのだと気づきます。小豆は、自分の気持ちを千花にどう伝えればよいか考え始め…。そんな時、美月が小豆に「…やっぱり好きです」と告白し!?

簡潔完結感想文

  • イケメンが2人いる三角関係は結果的に荒れがち。炎上して小豆が煎り豆に。
  • 2巻かけて失恋後のアフターフォローの準備は整っているから友情は不滅です。
  • 私が納得できないのは どちらを選んだか よりも、優しい人が損をする世界。

直者が馬鹿を見る、の 7巻。

『1巻』の感想文でも書いたが、面白い三角関係モノの少女漫画は炎上と紙一重である。2人の男性どちらも魅力的で甲乙つけがたく描いたからこそ結末に納得できない人が一定数 生まれ、その不満が やがて大きな炎となる。作者も あとがき で大きな不満に晒されたであろうことを書いているが、一方のファンからすれば許しがたい結末であることは私にも理解できる。

ネタバレをすると恋愛の勝者は千花(ちか)である。まぁ そうだろうな、という結末で、少女漫画においては幼なじみ属性は他のどんな属性よりも強いことが証明されたのではないだろうか。不憫なのは もう一方の男性・美月(みづき)である。彼は途中まで優勢かと思いきや幼なじみの壁を壊すまでには至らず敗退した。

やっぱり千花は男ヒロイン。子供の頃と違い嬉し涙を流し、小豆に慰めてもらうのは良かった。

私は結末に納得しているし、千花の行動にも一定の理解があるつもりだ。でも その上で気になるのは美月が この2人と作品側に良いように使われている部分である。美月には欠点がない。なのにフラれる、という不条理が しこりとなって残るのだ。彼は どこかのヒロインのように恋心の後に大きな愛を知った、という言い訳をしたりせず、ただ1人 小豆(あずき)のことだけを想い続けた(小豆が美月に思わせぶりな態度を取るような二股ヒロインにならないように作品は留意していたと思うが)。そして どこかのヒーローのように片想いの苦しみを別の女性で埋めたりせず、ただ純粋に一途だった。

なのに美月は負ける。この非情な世界観に納得が出来ない。特に千花の行動に対する罪と罰のバランスが合っておらず、何も悪いことをしていない美月が(恋愛面においては)不幸になる結末を納得するのは難しい。千花の性欲発散に対してフォローするならば、それこそが千花の小豆への深い愛だという見方も無理矢理になら出来るだろう。邪な気持ちを持ちたくないほど大切な人だから彼は別の女性に すがった。そして その女性こそ千花が唯一 頼れる存在で、彼女がいなければ千花は、小豆に性欲を抱いてしまう自分への自己嫌悪の沼にハマったに違いない。千花の12年という長い片想いに対して、美月は半年、小豆も千花への気持ちに気づいてから 僅かな期間でしかない。その長さを考慮すれば、千花の行動も理解できなくはない。それに残りの1巻で千花が罰を受ける可能性の残されている。軽率に救いを求めたことを死ぬほど後悔する日が来るのなら、読者の溜飲も下がろうというものである。


局、美月は「触媒」でしかなかったのが不憫なところである。美月という新参者が現れ、幼なじみの男女の関係は変化した。小豆は彼に触れることで恋愛感情を知り、そして比較対象が現れたことで千花への気持ちに名前を付けることが出来た。ありていに言えば美月は いい踏み台でしかない。どれだけ作中で綺麗な言葉を並べても美月を利用したのは作品も同じなのである。
そして千花にとって美月が現れて初めて彼の中に焦りが生まれ、成長を決意する契機となった。スーパーヒーローの千花にとって初めて危機感を覚えるような存在が美月だった。それは美月への最大級の評価であるのは間違いない。でもライバルだという言葉で誤魔化されているが、結局 美月は手も足も出なかったという厳しい現実は変わっていないのである。

美月に悪いところは何もない。なのに彼は恋愛的敗者になる。その不条理が読者が結末を受け入れられない部分なのではないか。例えば焦って美月が小豆にキスをしてしまう(未遂でも可)とか、そういう分かりやすい欠点でもあれば まだ納得できるのだけれど、作者は全員を「いい人」にしたいがためなのか、そういう失態を付与させなかった。だからこそ結末に納得がいかない。その意味では小豆や千花のように心変わりをしていないので作者に一番 愛されているのは美月のように思う。失恋を前にした準備も(不必要なほど)入念だったし。

唯一、美月が悪いとすれば さっさと告白をしなかった点だろうか。小豆の頭が千花でいっぱいになるまでに、千花のように黙って告白していれば、彼の想いが届いただろう。さすがに その後 小豆が心変わりすることも あるまい。小豆が千花への愛に気づくまでに恋で満たしてしまえば良かったのか。ただ その辺の美月の足踏みも作中に説明がない。恋愛初心者の美月だから告白に至る気持ちの持っていき方が分からなかったのかもしれないが、美月が告白できない理由を作っても良かったかもしれない。その告白の機運を逃したまま、作品は恋愛における美月を排除していってしまった。作者は失恋のフォローは長々とするけど、彼に勇気を持たせてはくれなかった。

そして私は ずっと美月は森下suuさん『ショートケーキケーキ』の千秋(ちあき)との共通点を感じていた。その特徴は、ヒロインを好きだが、自分のライバルとなる男性のことも同じぐらいに好きだということ。三角関係の中でも二等辺ではなく正三角形を描くのが この2作品だと思う。掲載誌は「マーガレット」と「別冊マーガレット(本書)」と違うのだが、掲載時期と出版社が同じなので より連想が強くなった。他2人との友情が残るのなら、恋愛的に報われなくてもOKという描かれ方も似ている。美月の方が千秋よりも失恋に対してダメージを受けている印象はあるが。


星(りゅうせい)の失踪騒動もあった3人での お出掛け。そこで改めて小豆の存在の大きさに気づいた美月は、気持ちを封印できないことを思い知り、彼女に告白することを決意する。千花にも断りの連絡を入れ、彼は小豆を団地の階段に呼び出す。

行方不明だった流星を発見した後、美月は母親から両親が別れた時の経緯を詳細に聞く。その話は幼い流星はもちろん、美月も消化できない過去のことで、それを知ったことで美月は前に進むことが出来るようになるのだろう。
そして その一歩目のように美月は小豆への想いを正直に言葉にする。そして彼女の手を取り恋愛感情があることを明確に伝える。それは小豆にとって それは嬉しい言葉。だけど今はもう その気持ちには応えられない自分がいる。彼女が笑って欲しいのは別の男性だから。その気持ちを美月に正直に話すと、彼は その言葉を知っていたかのような態度を取る。その恋が叶わないと分かっていても どうしても伝えたかった気持ちだから伝えた。その結果が どんなものであれ、予想通りのものであれ美月は受け入れる覚悟が出来ていた。これは千花の告白と似たような心境だろう。

こうして三角関係は終わり、美月は小豆を千花のもとに送り出す。その背中を見送った後、美月は小豆から借りたマフラーに包まれながら涙を流す。


月が告白すると知って千花は小豆を引き止めたかった。だが それでは小豆自身が出した答えが分からなくなり、自分も納得できない。だから彼女が自分以外を選ぶ恐怖を抱えながらも、送り出した。勉強で気を紛らわそうとしても出来ないことを悟った千花は、外に出て気を紛らわそうとする。

美月に背中を押された小豆は千花に会いに行くが入れ違いになり、彼らは出会えない。それでも小豆は千花を追いかける。彼女が心を決めてから1巻分が経過してしまったけど、今こそ駆け出したい時なのだ(ちょっと遅い)。

千花が出掛けた秘密の行き先は、相談相手の茉帆(まほ)のところではなく、団地の階段横のスペース。そこは幼い頃からの2人の秘密基地。彼を発見した小豆は、幼い頃のように彼の正面に座り、千花の告白の返答を始める。彼の手を握り、美月からの告白の顛末を語り、そして自分の中で考えられないほど大きかった千花の存在を、自分の彼への気持ちを正直に伝える。

千花はずっと聞きたかった夢みたいな小豆の言葉を聞いて涙を流す。まるで幼い頃に戻ったような彼を優しく包み込むのは小豆の役目。幼い頃とは違うのは彼らには恋愛感情があって、それが重なって、その気持ちが2人にキスをさせる。彼らの関係性は この日から新しいものとなる。


朝、泣き腫らした顔をした美月は誰にも会いたくない。小豆は日直で流星たちを連れて学校に行ったが、玄関を出た彼を千花が待っていた。しばし沈黙の中を歩いた後、千花は美月に小豆との交際を報告する。小豆は自分で美月に話すつもりだったのだが、千花が美月に言いたいと割り込んだ。それは美月に黙って告白した事実があったからだろう。頭を下げ謝罪した後、千花は美月の存在があったからこそ自分は変われて、小豆に向き合う勇気を得たことを伝える。それは美月が最強のライバルだったから出来たこと。

勝者の余裕や自分勝手とも言える千花の行為に対して美月は落ち着いて受け止める。それは作品が2巻ほどかけて美月の失恋準備をしていた成果でもある。千花との友情を完成させ、美月に失恋への心構えを持たせた結果、彼は千花からの報告も素直に聞き入れられる。美月は小豆も千花も同じぐらい好きなのだ。この出会いがあったから変われたのは彼も同じなのである。
昨夜は泣き腫らしても、千花の前でも笑っていられる美月の強さに千花は感謝する。

失恋しても立派な態度を取る良い子なのに恋愛的には敗者になるという この世界の厳しさよ。

3人の関係性に決着がついたので、美月は2人から少し離れようとする。弟たちの お迎えも小豆と2人きりでは千花に悪いし、3人での登校に自分は邪魔だと彼は身を引く。こうして3人の関係性は変わっていく。流星は美月が元気がないのが気になるようだ。そんな不器用に優しい弟に対し、美月は少しだけ本音を漏らす。自分で決めたのに やっぱり皆と一緒にいる空気を失ったのは 寂しい。

そんな美月の本音に反応したのは後ろを歩いていた小豆。慌てる美月に対して小豆は これからも一緒に帰ることを提案する。美月からの別行動の連絡は決して納得は出来ないが、自分が美月に手を差し伸べるのは わがまま だと思い気持ちに蓋をしていたが、やはり小豆は悲しかった。だから美月が寂しいのなら、小豆はわがままだと思われても良いから、彼と関係性を元に戻すことを提案する。それは美月にとっても元気の出る提案だった。皆で一緒にいたいのは千花も同じ。もう一緒に行動するのが当たり前になっていた。


2人の交際編のように実施されるのが学校最大の行事・修学旅行回。
行き先は地元・北海道 → 東京。小豆は飛行機が苦手なため離陸前から震え、そんな小豆を心配して千花が席を変わって彼女の隣に座る。
小豆の不安は千花が手を繋ぐことで解消していく。

交際から2週間、千花は小豆が「恋人」という立場に囚われないように これまで以上に気を配る。本当はイチャイチャしたいし がっつきたい気分なのだが、それが小豆の負担になるのではと考え彼は自重する。交際しても自分を解放できないのが千花という初恋を こじらせた人なのかもしれない。そんな相談をするのは茉帆。彼女には結果報告を兼ねて相談できる。千花からすれば やっぱり頼れるお姉さんなのだろう。
一方で小豆は千花との交際報告を友達にする。その際に小豆の変わらなさを指摘され、自分の愛情が足りないのではと不安になる。それは千花の心配りの成果でもあるのだが、小豆は そんなことを知らない。そんな彼女の揺れをいち早く察知するのは千花で、2人は話し合いの場を設ける。小豆の心配は杞憂だった。千花は ちゃんと小豆の交際前後の変化を感じ取ってくれているし、彼女が自分のことで頭を占めるだけで千花は嬉しい。

失恋を前に友情を確保した後は、家族関係を強固にして居場所を与える作者の過保護。

てをつなごうよ 6 (マーガレットコミックスDIGITAL)
目黒 あむ(めぐろ あむ)
てをつなごうよ
第06巻評価:★★☆(5点)
 総合評価:★★★☆(7点)
 

千花からの告白を聞いた小豆。しかし自分の気持ちの整理がつかず、返事を保留してしまいます。なぜ即答できなかったのか考える日々が続きますが、ある人物から「それは千花と美月を両天秤にかけてるだけじゃない?」と言われ…。理屈じゃない率直な自分の想いと向き合った小豆。答えは…!? 【同時収録】てをつなごうよ~あべこべびより~/うそつきにさよなら

簡潔完結感想文

  • ここから大逆転があるならともかく、答えを1巻分 引っ張るだけの虚無。
  • 失恋の準備は もう読んだ。『6巻』は これまでで一番 感情の動きが少ない。
  • 小豆や千花がヒーローであるように、美月もトラウマから救うヒーローになる。

持ちを自覚した後は全力疾走して欲しい 6巻。

ただでさえ本編のスピンオフや全く関係のない読切短編の収録が全体の1/3を占め、いつもよりも話数が少ないのに内容まで薄くなってしまうとは何事だ! これまでは団地の中の3人(+弟たち2人)の狭い世界であっても、それぞれの気持ちの揺れや動きが見られたから、物語は常に動き続けていた。
しかし今回は2人の、それぞれに惹かれる部分のある魅力的な男性2人を前にした小豆(あずき)が、彼女の一定の答えが出たというのに、それを保留しているという印象しかなかった。その彼女の決意の直後に とある事件が起きたからというのは分かるのだが、折角 物語が大きく動きそうになる場面で その流れに釘を刺すような展開には首をひねった。

手を繋いだ相手が満面の笑顔になると小豆は胸がキュンとする(※但し同じ団地のイケメン限定)

この展開が美月(みづき)のためにあるのは分かる。彼が真の意味で兄になり、弟の流星(りゅうせい)を救うことで、将来的に彼も救われるのだろう。彼の成長を描くことで彼が これからも大丈夫なことが分かるようになっている。でも美月を「大丈夫」にする作業は『5巻』を通じても されており、内容の重複を感じざるを得ない。
これは作者なりの美月への愛情で、このところ物語から お役目ゴメンを言い渡され、排除されがちな彼がいる意味を出してあげたかったのだろう。前述の通り、これが美月の兄としての最終到達点なのも分かるのだけど、物語に良いように使われた美月への救済策に感じられる。三角関係の割に美月は初登場から ずっとその存在意義が低下しているという構造的欠陥が本書の短所になっている。

とにかく恋愛作品として内容の無さが際立った巻だった。例えば この『6巻』がドラマや映画など映像化作品の放送・上映開始のためにタイミングを合わせて作られたのなら こういう内容と構成になってしまうのは仕方ないと思える。告白を先延ばしにしたり、1巻分の内容が薄まってしまう事態は たまに遭遇する。だが本書は別に そのようなメディアミックス的な展開をしていない。それなのに そう感じてしまうような内容になったのは なぜなのだろうか。

冒頭にも書いたが、ヒロインが恋心を固めた重要な巻なのに、その気持ちが溢れて仕方がないという躍動感がないのが気になった。


を決して千花(ちか)の手を取ったように見えた小豆だが、このハロウィーンパーティーでは何も起きないまま。冒頭から肩透かしなのも『6巻』の悪印象を強めている。

小豆は弟・大豆(だいず)の お願いにより お泊り回を開催する。両親が仕事で帰宅しないので女1男2弟2の逆ハーレム状態。『2巻』コテージへの お泊り回は一応 両親がいたが、今回は大豆の願いとはいえ恋愛感情を持っている男女が宿泊するのは ちょっとなぁ…。大豆と流星だけ一緒に居させて、高校生組は解散するのが妥当では? 『6巻』は内容全てに文句を言いたい。

美月と弟たちは疲れ果てて寝てしまう。こうやって色々と理由をつけて美月は物語から排除されているような気がして ならない。

弟たちをベッドに運びながら、そこから小豆と千花は昔の話をする。それは相手が自分の手を繋いでくれた時の話。そして その手の温もりが いつも心を満たしてくれたという話。こういう時にも やっぱり美月は流れた時間の長さには敵わない。
そして千花は この日の小豆から差し出された手は、過去とは違い悲しみや痛みから救うような手ではなかったことに気づいていた。そして それが自主的に小豆が手を伸ばしてくれた ということだから嬉しい。そう指摘され小豆は涙する。なぜなら色々と理屈をつけていたけれど、自分が ずっと一緒にいたいのは、幸せにしたいのは千花だけだと気づいてしまった。

はやくも恋愛的な決着がついたところで美月が起きてくるが、彼が蚊帳の外なのは変わらず。美月は小豆たちに流れる空気の違いを敏感に察知し、彼は2人が特別になったことを思い知る。


づく小豆たち2年生の修学旅行。その準備の買い物に3人は一緒に出掛ける。もしかしたら彼は3人が名前のない関係性でいられるのは最後だと思って、その思い出を作りたかったのかもしれない。近い内に こぼれで得るのは自分で2対1になる前に、最初で最後の3人だけの お出掛けをして、大好きな2人と一緒に過ごしたい、そんな切なる願いが綿密な計画に表れている。買い物中でも2対1の構図を繰り返し感じる美月。

どこか寂しさが漂う美月の笑顔。恋愛の決着後に再び転校しそうな悲壮感があるなぁ…。

この日、小豆が大豆に買いたい物に溢れているように、美月も流星のための品を選ぶ。そんな彼の お兄さんっぷりを見て小豆は安心する。不器用な努力に惹かれていったが、もう彼は1人でも成長していける。

そんな自分の気持ちの踏ん切りに小豆は『5巻』で茉帆(まほ)から言われた言葉を思い出す。それは「恋と愛って違うんだよ」という言葉。小豆は前者が美月で、後者が千花への感情だと自分では思っている。そして自分の中で出た答えを すぐにでも伝えようとする。


の小豆の決意の前に、流星の行方不明騒動が起きる。高校生組が買い物に出るため、彼らは学校の友達の家で過ごしていた。だが予定より早く帰ることになった大豆と流星は、そこで流星の部屋の前に立つ女性に遭遇する。それは流星の母親だった。思いがけない人との、ずっと会いたかったが同時に自分を苦しめた人との思わぬ再会に流星が逃げ出してしまう。

その顛末を母親から連絡をもらった美月は弟に何か起きたらと心配で青ざめる。そんな時に彼を落ち着かせるのは小豆から繋がれた手。もう今の小豆は美月の手を取ることに躊躇も羞恥もない。そこにあるのは純粋で残酷な心配な気持ちだけだろう。

初雪が降り始める中、高校生組は各個に流星たちを捜索するが、思い当たる場所に彼らはいない。初雪は流星の苦い記憶の日。待っていてと伝えながらも母親は自分を迎えに来なかった。その裏切りがあるから彼は母と会いたくない。

その弟のトラウマの再発の苦しみから救うのは兄である美月しかいない。自分は家族として兄として いつだって流星を迎えに行かなければならない。それは『1巻』から成長し続けた美月の意識の変革でもあった。小豆に手を握られ心が落ち着いた美月は流星の居そうな場所に思い当たる。それは『1巻』で自転車に乗る練習をした河川敷。流星が この土地で自信を得た第一歩で、そして自分たちを「兄弟」にした思い出である。

美月は、トラウマの中で雪の降る中に膝を抱えている弟を迎えに来た。母がしなかったことを美月がして、彼らは一段と家族の絆を強くする。これもまた失恋を前にして美月を支える環境を用意したように思う。恋を失っても美月には千花との友情と流星との新しい関係が残る、ということなのだろう。

「てをつなごうよ~あべこべびより~」…
小豆と大豆の立花姉弟、美月と流星の柊兄弟のきょうだいの順番が変わってしまうSF短編。それだけでなく千花も小学校1年生(?)になってしまう。チビ組には弟たちの記憶がないため(この年齢の時は弟が誕生していなかったからか?)、弟組が奮闘するという話になっている。チビの時も感じていたが、身体が大きくなると大豆と流星のBLっぽい感情が より際立っているような気がする。


「うそつきにさよなら」…
完全な読切短編。片想いをしていた先輩に彼女が出来て、3か月前に失恋した水原 帆花(みずはら ほのか)。そんな帆花に声を掛けてくるのはチャラいことで名を馳せているクラスメイトの中田 瑠佳(なかた るか)だった。何かと自分に絡んでくる彼の真意が分からない帆花。そして先輩への失恋の痛みは3か月が経過しても消えそうで消えない。

この3か月という時間経過が作品のアクセントになっている。3か月経っても消えないぐらい帆花の先輩の気持ちは本物で、彼女の切実な恋を物語っているし、逆に3か月経っているからこそ、次の恋に進む準備が整えられていたという説明にもなる。瑠佳は千花ちゃんっぽい。一見、軽薄に見えるけれど実は誰かを一途に想うイケメンというのが作者の嗜好に刺さるのだろうか。好きな人の表情や気持ちの変化に逐一 気づくというのも本編と共通する部分である。