《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

少女漫画 感想リスト(ライト版) 著者名順

著者名順
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あ行    か行    さ行   た行
な行    は行    ま行   や・ら・わ行

あ行
相原 実貴あいはら みき
・SO BAD! 基本データ
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青木 琴美あおき ことみ
・僕は妹に恋をする 基本データ
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・僕の初恋をキミに捧ぐ 基本データ
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赤瓦 もどむあかがわら       
・兄友 基本データ
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ラブ・ミー・ぽんぽこ! 基本データ
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アサダ ニッキ
青春しょんぼりクラブ 基本データ
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星上くんはどうかしている 基本データwww.wwwbestlilium.com
・きみと青い春のはじまり 基本データ
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アルコ・河原 和音かわはら かずね(共著)
俺物語!! 基本データ
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餡蜜あんみつ
・カンナとでっち 基本データ
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いくえみ 綾       りょう
プリンシパル 基本データ
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池 ジュン子いけ      こ
・水玉ハニーボーイ 基本データ
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池山田 剛いけやまだ ごう
・GET LOVE!! 基本データ
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・うわさの翠くん!! 基本データ
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伊沢 玲・津山 冬いざわ れい・つやま ふゆ
執事様のお気に入り 基本データ
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和泉 かねよしいずみ       
・ダウト!! 基本データ
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・そんなんじゃねえよ 基本データ
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岩下 慶子いわした けいこ
リビングの松永さん 基本データ
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岩本 ナオいわもと     
町でうわさの天狗の子 基本データ
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上田 美和うえだ みわ
・Oh!myダーリン 基本データ
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宇佐美 真紀うさみ まき
・恋*音 基本データ
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・ココロ・ボタン 基本データ
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大詩 りえおおうた    
・猫田のことが気になって仕方ない。 基本データ
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小畑 友紀おばた ゆうき
僕等がいた 基本データ
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か行
北川 夕夏きたがわ ゆか
・影野だって青春したい 基本データ
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桐島 りらきりしま     
・世界の端っことあんずジャム 基本データ
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金田一 蓮十郎きんだいち れんじゅうろう
ライアー×ライアー 基本データ
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くまがい 杏子        きょうこ
・放課後オレンジ 基本データ
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呉 由姫 くれ ゆき(原案:ルビー・バーティー
金色のコルダ 基本データ
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幸田 もも子 こうだ ももこ
ヒロイン失格 基本データ
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小玉 ユキこだま ゆき
坂道のアポロン 基本データ
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月影ベイベ 基本データwww.wwwbestlilium.com

小村 あゆみこむら    
・ミックスベジタブル 基本データ
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・神様のえこひいき 基本データ
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紺野 りさこんの    
・胸が鳴るのは君のせい 基本データ
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さ行
酒井 まゆさかい    
・永田町ストロベリィ 基本データ
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・ロッキン★ヘブン 基本データ
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咲坂 伊緒さきさか いお
ストロボ・エッジ 基本データwww.wwwbestlilium.com
アオハライド 基本データ
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思い、思われ、ふり、ふられ 基本データ
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栄羽 弥さこう  わたり
・コスプレ★アニマル 基本データ
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佐藤 ざくりさとう      
・おバカちゃん、恋語りき 基本データ
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・マイルノビッチ 基本データ
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里中 実華さとなか みか
・雛鳥のワルツ 基本データ
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椎名 軽穂しいな かるほ
君に届け 基本データ
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師走 ゆきしわす   
高嶺と花 基本データ
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末次 由紀すえつぐ ゆき
・Only You ー翔べない翼ー 基本データ
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・エデンの花 基本データ
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杉山 美和子すぎやま みわこ
・花にけだもの 基本データ
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・True Love 基本データ
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清野 静流せいの しずる
・純愛特攻隊長!+ 本気 基本データ
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た行
タアモ
たいようのいえ 基本データwww.wwwbestlilium.com
・地球のおわりは恋のはじまり 基本データ
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高須賀 由枝たかすか ゆえ
グッドモーニング・コール 基本データ
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田中 メカたなか    
キスよりも早く 基本データ
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ぢゅん子ぢゅんこ
私がモテてどうすんだ 基本データ
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築島 治つきしま はる
・私たちには壁がある。 基本データ
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筑波 さくらつくば       
・目隠しの国 基本データ
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椿 いづみつばき      
親指からロマンス 基本データ
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桃森 ミヨシとうもり みよし
ハツカレ 基本データ
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悪魔とラブソング 基本データ
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時計野 はりとけいの   
・お兄ちゃんと一緒 基本データ
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な行
なかじ 有紀    ゆき
・ハッスルで行こう 基本データ
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仲野 えみこなかの      
・帝の至宝 基本データ
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中原 アヤなかはら     
・おとななじみ 基本データ
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仲村 佳樹なかむら よしき
・MVPは譲れない! 基本データ
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ななじ 眺      ながむ
・パフェちっく! 基本データ
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・コイバナ!ー恋せよ花火ー 基本データ
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那波 マオななみ   
3D彼女 基本データ
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南波 あつこなんば      
スプラウト 基本データ
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・隣のあたし 基本データ
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青Ao-Natsu夏 基本データ
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は行
葉月 かなえはづき     
好きっていいなよ。 基本データ
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八田 鮎子はった あゆこ
オオカミ少女と黒王子 基本データ
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葉鳥 ビスコはとり      
桜蘭高校ホスト部 基本データ
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林 みかせはやし      
・うそカノ 基本データ
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春田 ななはるた    
・スターダスト★ウインク 基本データ
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晴海 ひつじはるみ      
・斎王寺兄弟に困らされるのも悪くない 基本データ
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日高 万里ひだか ばんり
世界でいちばん大嫌い 基本データ
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ヒナチ なお
・恋するハリネズミ 基本データ
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樋野 まつりひの     
とらわれの身の上 基本データ
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めるぷり 基本データ
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平間 要ひらま かなめ
ぽちゃまに 基本データ
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福山 リョウコふくやま       
悩殺ジャンキー 基本データ
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モノクロ少年少女 基本データ
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覆面系ノイズ 基本データ
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藤沢 志月ふじさわ しづき
・キミのとなりで青春中。 基本データ
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・僕と君とで 虹になる 基本データ
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ふじもと ゆうき
キラメキ☆銀河町商店街 基本データ
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星森 ゆきもほしもり      
ういらぶ。 基本データ
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ま行
マキノ
黒崎くんの言いなりになんてならない 基本データ
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みきもと 凜     りん
近キョリ恋愛 基本データ
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きょうのキラ君 基本データ
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・午前0時、キスしに来てよ 基本データ
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水野 十子みずの とおこ(原案:ルビー・バーティー
遙かなる時空の中で 基本データ
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蜜野 まことみつの     
・お迎え渋谷くん 基本データ
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水瀬 藍みなせ あい
・なみだうさぎ 基本データ
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・ハチミツにはつこい 基本データ
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・恋降るカラフル 基本データ
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水波 風南みなみ かなん
・レンアイ至上主義 基本データ
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蜜×蜜ドロップス 基本データ
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南 塔子みなみ とうこ
・360°マテリアル 基本データ
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・ReReハロ 基本データ
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・テリトリーMの住人 基本データ
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南 マキみなみ     
・S・A(スペシャル・エー) 基本データ
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宮城 理子みやぎ りこ
・花になれっ! 基本データ
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宮坂 香帆みやさか かほ
・微熱少女 基本データ
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三次 マキみよし   
PとJK 基本データ
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目黒 あむめぐろ   
・ハニー 基本データ
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森下 suuもりした すう
・日々蝶々 基本データ
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・ショートケーキケーキ 基本データ
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や・ら・わ行
夜神 里奈やがみ りな
・制服でヴァニラ・キス 基本データ
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山田 デイジーやまだ     
・初恋はじめました。 基本データ
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山田 南平やまだ なんぺい
・空色海岸 基本データ
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やまもり 三香     みか
ひるなかの流星 基本データ
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椿町ロンリープラネット 基本データ
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雪丸 もえゆきまる     
ひよ恋 基本データ
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柚月 純ゆづき じゅん
・学園王子 基本データ
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吉岡 李々子よしおか りりこ
・彼はトモダチ 基本データ
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吉住 渉よしずみ わたる
ミントな僕ら 基本データ
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ちとせetc. 基本データ
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ろびこ
となりの怪物くん 基本データ
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僕と君の大切な話 基本データ
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渡瀬 悠宇わたせ ゆう
・思春期未満お断り 基本データ
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渡辺 あゆわたなべ あゆ
・L♥DK L・DK(エルディーケー) 基本データ
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君から贈られる 枯れることのない一輪のビオラは、昔も今も 私を前に進ませてくれる。

君は春に目を醒ます 5 (花とゆめコミックス)
縞 あさと(しま あさと)
君は春に目を醒ます(きみははるにめをさます)
第05巻評価:★★★☆(7点)
 総合評価:★★★(6点)
 

絃の“憧れのお兄ちゃん”・千遥が同級生になってから、絃の想いは加速するばかり。クリスマスに2人きりで出かけることを千遥と約束した絃。千遥から“妹”ではなく、“女の子”として意識してもらうため、絃はクリスマスに向けて準備を始めるが……?一方の千遥も、絃のことをどう思っているのか考え始めていて……?

簡潔完結感想文

  • 後悔ばかりの別れの前だったが、自分の贈り物が彼女に届いていたと知り安堵。
  • 10歳の君にではなく、17歳の貴方に贈る一輪の花。彼は今の私を見てくれている。
  • ジンクスにも神様にも頼らないヒロインは、自分の力で想いを届けようとするが…。

7年分 溜まったアップデートが ようやく終わろうとしている 5巻。

恋愛漫画に1人は必要な恋愛音痴や鈍感。本書の場合はヒーロー・千遥(ちはる)が その役目を果たしており、そして彼の鈍感は彼の情報更新が「今」に対応していない起こるものである。2人の波長が なかなか合わないのは恋愛漫画の連載を延長させるのに必須ですが、本書では設定とリンクしていて上手いこと機能している。この約8か月、恋愛が動かないのには理由があるのだ と納得できた。

本書の中の科学技術・人工冬眠(コールドスリープ)ではなく、通常の眠りには脳が現実の情報を整理する意味がある。普通の人なら その日1日の出来事を睡眠により整理するが、人工冬眠者である千遥は7年間の人工冬眠から覚めた後、7年間2000日以上の情報を処理したのではないか。

それは さながらOSのアップデートのようなもので、こまめに更新していなかった機器を久々に動かすと そのアップデートだけで大量の時間を費やす。千遥は通常の高校生活を送りながら、同時に自分の眠っていた7年間の情報を更新する。それは非常に脳に負担のかかる作業で、彼は24時間 常に情報を処理していたと言ってもいいだろう。序盤の彼が どこか浮世離れして見えたのは繊細な顔立ちの他に、脳の半分はアップデートに使用され、今を生きる者とは言えなかったから ではないか。

ビオラの花が形を変えたのは千遥の意識の変化の象徴。最新バージョンの千遥の活躍に期待大。

これは『2巻』『4巻』で千遥が眠る度に彼がアップデートされているように見えることからも明らかである。特に直近の『4巻』では高熱を出し、脳をフル活用することで妹的存在だった絃(いと)へのアップデートも果たし、彼は ようやく全てのアップデートが完了しつつあるように見える。

目覚めから約7~8か月。これで最新のアップデートが終わり本物の千遥が目を覚ましたと言える。その証拠に迷いや余計な情報処理がないため、彼が弓道部で引く矢は 眠る前同様に的に中(あた)る。

それは自称・恋愛に疎い千遥が、絃を恋愛対象として見ていくということでもある。10歳の彼女ではなく17歳の彼女を意識する。それには『4巻』の感想でも書いた通り、彼が自分にかけた絃の「兄」になるという呪いを解く必要がある。勇気がなくて絃に病気のことを言えず、人づてに聞かされた絃を傷つけてしまったという千遥の後悔の深さは、そのまま その呪いのプロテクトの強さに変換された。ここも千遥が自分の情報処理に時間が かかったところだろう。

約8か月という時間をかけて絃と「同級生」になれた千遥。だけど それが絃の好意を受け入れるとは限らない。一方で千遥が どんな種類の感情であれ、絃を一番 大切に思っているのは確か。どんな結果が待っていても告白すると決めた絃には もう一度 告白して欲しかったのだが、その前に第三の男も覚醒してしまう…。

初読時は やや じれったく思えた展開だったが、再読して一つ一つを丹念に読み込むと登場人物たちの心理描写を繊細に表現している作品だということに気づかされる。全10巻なので この『5巻』のラストが ちょうど折り返し地点。やっぱり前半は面白い。ここから作品が段々と暗く陰鬱になるのが残念だ。

ちなみに この『5巻』からページ数が15%減。漫画は薄くなる一方だなぁ…。


遥はクリスマスを絃と過ごす約束をし、そして脱・兄宣言をして迷いが吹っ切れた。絃への どんな感情であっても自分は絃と離れたくない。それは千遥がずっと持っている気持ち。だから「同じ年」の異性として絃と向き合い、答えを出そうとしている。そして それは弥太郎とは正式なライバルになるということでもあった。

これまで そんな描写は一切なかったが、絃は7年前の人工冬眠前の千遥が別れの挨拶として置いていったビオラの髪ゴムを大切に持ち歩いているという設定らしい。今回 絃は それを学校内で落としたのを千遥に拾われ、彼に秘密を白状する。
この髪飾りは7年間の千遥の不在を千遥に代わって見守って励ましてくれた品。そして千遥が人工冬眠から覚めた時、今の絃を あの少女だった絃と同定してくれた品でもある。

人工冬眠に入る前に、絃と顔を合わせられなかったことは千遥の後悔となっている。だが、このビオラが千遥に勇気を与え、自分の身代わりを務めていたことを千遥は初めて知る。それは彼の後悔を軽くしたのではないか。

そんな安堵の表情を浮かべる千遥に、自分こそ千遥と最後の別れが出来なかったことが千遥を思い悩ませていたことを絃は気づく。だから7年以上経過してしまったが、この髪飾りのお礼を言う。遅すぎるお礼だけれど、千遥にとっては ついこの前である。これは絃の心を軽くしたのではないか。

この髪ゴムがあったからこそ絃は千遥を忘れずにいた。不在の間も支えがあったから強くなれた。

して間もなくクリスマス。
絃は学校の下級生・杏(あん)と当日の服装を選び、その途中で千遥を見かける。彼はどうやら絃へのプレゼントを選んでいる可能性が高く、絃は期待してしまう。

その直前の23日には予約したケーキを取りに行く際、弥太郎と絃が遭遇する。そこで弥太郎は絃の小さな変化に気づく。それは化粧。24日に千遥と会う前に予行練習をしたらしい。それに気づく弥太郎も目ざといが、今回は自然と化粧を褒めている。おぉぉぉぉ 成長したなぁと涙が出そうだ(笑)

そして当日。千遥も絃の化粧に気づいたようだが、彼の方は「異性」として絃を褒めるのに慣れていないから押し黙る。ここは弥太郎と いつもとは立場が違っているのが面白いところ。千遥が気軽に褒められないのは、いつもの弥太郎と同じで心から思っている言葉は重く伝わってしまいそうで躊躇したのかもしれない。

その代わり千遥は遠回しに化粧した絃の変化を指摘する。 しばらくして綺麗になった絃を過剰に心配し始めたのだ。集合場所に来るまで誰かに声をかけられなかったか、なぜ集合が別々なのか(一緒にいれば守れたのに)など、絃に対して年頃の女性への心配を見せる。絃の側は、近所の住宅街ではなく駅で集合することが幼なじみや兄妹ではなくカップルっぽくて、デート感の演出を狙ったのかもしれない。


遥と水族館に向かう。以前(『4巻』)、千遥が遊園地で体調を崩したこともあり その埋め合わせにと千遥がチケット代を おごる。遠慮する絃に、こういう大事な日に お金は使いたい、と千遥は言う。そんな言葉も この日の価値が同じようで絃は嬉しい。

外見はこれまでで一番大人びて見える絃だが、中身は少女の頃から変わらない無邪気さが見える。そのギャップも千遥は嬉しいのではないか。
2人で手を繋ぎながら過ごす一日。その中で千遥は、絃と恋愛関係になっていいのか悩んでいた。やはり自分が絃に手を出すのは犯罪的だという意識が少し働くらしい。

水族館を出る前に、2人はプレゼント交換をする。絃は目覚めてから千遥がハマっているキャラクタのグッズ(もともと それは7年前の絃が気に入っていたキャラである)。
そして千遥は絃にビオラのネックレスを贈る。このネックレスは千遥の情報更新の意味もあるだろう。10歳の絃へ贈った髪ゴムのビオラではなく、今の絃を想定して選んだもの。少女漫画におけるアクセサリは愛の結晶である。ビオラの花は更新されたが、その花に込めた愛は どんな種類なのか早く知りたい。

充実した1日を過ごし、絃はつい千遥に「今日のデート」という言葉を使ってしまう。好意が滲み出た言葉にハッとする絃だったが、千遥も楽しいデートだったと満足する。その言葉の肯定や贈り物の中に千遥側の意識が変わっていくことを感じ取る絃であった…。


が明けて2人で初詣に行く。
絃は去年までは千遥の覚醒を願っていたが、今年は その千遥が横にいる。彼女の7年間の願いは成就した。白泉社特有の何もない1年という感じではあったが、本書の場合は1年前との違いや7年前 千遥が眠る前までの思い出とリンクが可能なので どのイベントもセンチメンタルな雰囲気を漂わす。

絃は神社で弥太郎と雨村(あまむら)コンビにも出会う。弥太郎は絃が買ったお守りの種類が気になっているが沈黙。それを察した雨村が絃に聞く。雨村は お節介だが弥太郎の空気を読む能力だけは一流で何だかんだで応援しているようだ。

絃が買ったのは健康御守だけ。縁むすびは神様に願うのではなく、自力で、というのが絃の強いところ。そして弥太郎は それを文化祭のジンクスに頼ろうとした絃との変化だと感じ取る。三者三様で少しずつ精神的に成長している様子が手に取れて、青春の感覚を味わえる。


がて その神社に杏と澪の2人がやってきて、杏は突然 人工冬眠経験者の澪(みお)に告白する。同じ年が3歳差になってしまったことへの違和感があった澪も覚悟を決めて交際を決める。澪もまた自分のアップデートが終わったということだろうか。
彼らは後発ながら本書初のカップルとなった。そして人工冬眠を経ても、想い続けていれば気持ちは通じるという先例になる。でも少女漫画的には、恋愛成就の役割を杏たちに任せたっていうことは、絃の成就は遠のいたってこと!?という嫌な予感がするが…。

絃は杏の気持ちが通じたことが我が事のように嬉しくて泣く。そんな彼女を見守る2人の男性(雨村は退避)。そして弥太郎は絃が泣くのは、杏の祝福の他に、自分の恋愛の不安があることを見抜く。弥太郎には お見通しだということが絃に今年の抱負を語らせる。それが千遥への再アタックだった。


は どんな結果になっても受け入れると前向きだが、後ろ向きに倒れそうになるのは弥太郎だった。いよいよ絃が誰かのものになってしまう時が近い。

学校が始まっても絃はまだ告白していない様子で、どうやらテスト明けを想定しているらしい。そして あっという間にテスト期間が終わるが、なかなか言うタイミングが掴めない。これぞ白泉社の先延ばしだ。

そんな絃の態度に千遥は気が付いて、何か言いたいことがあるのではと絃を心配する。千遥は絃の変化に気づいたその日に問題を解決してくれるのに、自分は何かと先延ばしにする理由を探っていたことに気づかされる。だから絃は明日じゃなくて今日、彼に気持ちを言うことを決意する。千遥の部活終わりまで待って、大事な話をする、と伝える。絃の気持ちを知っている千遥だから、いくら彼が鈍感であっても この話が何なのかは言わずもがな、であろう。

その会話を物陰で聞いていた弥太郎。彼は告白前に千遥を待つ絃に話し掛ける。忘れ物をして近づいたと言っているが本当だろうか。絃に会うために、彼女の記憶に残るための行動ではないか。

そして絃が千遥に告白する前に、自分が絃に秘めていた気持ちを伝える。文化祭のジンクスを頼ったのは絃ではなく弥太郎だったのかもしれない。

本当にコールドスリープされているのは、7年前の男性キャラたちのヒロインへの過失。

君は春に目を醒ます 4 (花とゆめコミックス)
縞 あさと(しま あさと)
君は春に目を醒ます(きみははるにめをさます)
第04巻評価:★★★☆(7点)
 総合評価:★★★(6点)
 

人工冬眠(コールドスリープ)で7歳上から同級生になった千遥を、兄ではなく同級生として好きになった絃。文化祭後から様子のおかしかった千遥が風邪で休んだため、お見舞いに行くことに。熱で朦朧とする千遥から本音がこぼれて……?一方、絃を好きな弥太郎は、過去の自分の行動を思い出し苦悩。だけど成長するべく勇気を出して……!?3人の想いが交錯し、目が離せない第4巻!

簡潔完結感想文

  • ジンクス成立失敗。千遥は逃げ出してしまったが、絃から離れられないジレンマ。
  • 本書の男性キャラはナイーブで千遥は知恵熱を出し、弥太郎は隕石に当たりたい。
  • 君を悲しませないために いい兄になることを誓ったが それが君を悲しませるなら…。

2人のヒーロー候補それぞれが7年前にトラウマを持つ 4巻。

きっと千遥(ちはる)と弥太郎(やたろう)は どちらも真面目すぎるのだと思う。
そして2人の共通点は、7年前のヒロイン・絃(いと)への過失である。

千遥は自分が病気の治療法確立までの時間稼ぎを目的とした人工冬眠(コールドスリープ)をする際に、自分を慕ってくれていた妹のような絃に その話をする勇気が持てなかった。それが原因で眠りにつく前に絃と対面して別れを告げられなかったことが千遥にとっての一種のトラウマになる。
だから自分が小学生の絃を傷つけてしまったと痛感した千遥は、目覚めたら彼女にとっての いい兄になることを誓う。それが自分の絃への贖罪方法だと考えたからで、絃を誰よりも大切にすることが彼の目標となる。

自分に勇気がなくて絃を傷つけたことが千遥の心残り。だからこそ目覚めて以降「兄」に固執してしまう。

ただ千遥にとって誤算だったのは、2~3年で目覚められるという目算が大きく外れたこと。結局、7年後に絃と同学年になるタイミングで目覚めた千遥は 絃の「兄」では なくなっていた。6年後までに目覚めたら単純に兄で居続けられたし、もし10年後に目覚めていたら眠る前の近いは果たされることはなかっただろう。

絃の同級生という想定外の事態が、一晩で7年間の時間を超越した千遥の混乱を大きくしたのではないか。年齢的に兄ではないのに、精神的には兄でいようとするから絃への接し方に戸惑う結果になった。

千遥は人工冬眠を経て、絃とは新たな関係を模索すべきだったのだが、眠る前の強い誓いが呪いのように作用しているため、どんな状況になっても兄という立場を堅持したいのだろう。絃の気持ちに気づいても、弥太郎の怒りを買っても、兄として接するのは彼にとっては絃への過失を償いなのである。

そういう意味では千遥も弥太郎同様に十分 不器用なのだ。自分の生き方を簡単には変えられないし、それ故に現実に対応できずに思い悩んで寝込んでしまう。ただ『2巻』うたた寝した後に千遥が絃への認識を変えたように、千遥が眠ることは彼の意識を現在・現実に対応することのように思う。現に 絃のことで無意識に熱を発するほど寝込んだ後は、兄という立場をやめる決意をしている。千遥が どう成長していくのか楽しみである。


して弥太郎である。彼は7年前まで好きだからゆえ絃に嫌がらせをしていた。そんな自分の幼稚さが許せない。千遥が人工冬眠に入り3年経過するまで絃が弥太郎と口をきいてくれなかったことも彼の罪悪感を増幅した。

その意味では やはり弥太郎にとって千遥の人工冬眠は彼の人生に大きな影響を与えている。
もし千遥が眠りに入らなければ絃は強くならなかった。そのまま弥太郎の前で震え続け、やがて弥太郎が大人になるにつれ嫌がらせは減る。その頃には20歳前後になった千遥に恋人が出来たりで、絃も現実に打ちのめされ、千遥への憧れを苦い初恋として消化するのだろう。そこから絃は弥太郎を異性・恋愛対象と意識してモジモジと喋るようになっていったかもしれない。

だが千遥の存在/不在が彼らの関係を大きく変えた。そのことで絃の人生は常に千遥と在ることになる。そして弥太郎にとって7歳年上の千遥は大人のように大きく見え、そして7年前から自分の愚かな行為と密かな好意を見抜いていた人間である。千遥に身体的にも精神的にも圧倒されていたからこそ、同級生になった今も彼が近くにいることは弥太郎を委縮させる。

普通の人なら成長とともに幼かった頃の自分の愚行を忘れる。家族や友人も いちいち その事を口に出したりしない。変わっていく関係の中で生きているからだ。だが人工冬眠者の千遥だけは違う。千遥こそ弥太郎の過失を、本当に昨日のことのように覚えている者でいるから、弥太郎にとってトラウマの象徴になる。継続的な人間関係なら昔のことを蒸し返したりするのは不毛だが、断続的であれば ある瞬間だけが鮮明に思い出される。弥太郎にとって千遥は 昔のことを鮮明に覚えている親戚のオジサンみたいなものか。

ただでさえ弥太郎は絃を見るだけで自分が過去に彼女にした愚行を思い出すのに、千遥まで学校では自分の前の席に座っているから弥太郎は過去から解放されない。そのうち弥太郎は胃が悪くなって血を吐くんじゃなかろうか。こうして自分の罪を一瞬たりとも忘れられなくなり、真面目な弥太郎は頭を抱える。

2人の男性が自分の罪から精製したトラウマ。まずは それがなくならないと恋愛は進展しないだろうか。


遥が逃亡したため後夜祭のジンクスを弥太郎と果たしてしまった絃。

弥太郎は後夜祭のジンクスを知っていることを告げるが、自分の行為が故意ではないことを弁明する。本当は その場には千遥もいたのだが、後夜祭から千遥が居なくなったことに彼の意図を感じた弥太郎は黙っている。そしてジンクスは廃れており、成立しなかったからと言って気に病むな、と絃を励ます。だが この時の弥太郎が無理に笑っていることは絃にも感じられた。

弥太郎は千遥を探す。弓道場にいた千遥は自分が推理した絃の好きな人を弥太郎に伝える。そのことから弥太郎は千遥が意思をもって消えたことを知る。絃を気遣い、気持ちに応えるつもりがないなら真相に辿り着いたことも何もかも絃に気取られないようにと弥太郎は千遥に念を押す。

弥太郎が どんなに望んでも手に入らない立場ながら千遥は その立場を不快に思う。それが弥太郎の怒りの源泉。

だが再度 独りになった千遥は、自分のかつての言動が絃を泣かせ、そして今回の逃避が絃を傷つけたことに気がつく。自分の都合よりも絃の悲しみを優先する千遥は、必死に駆け、絃を探す。

合流した絃は断りもなく行方をくらました 千遥を叱るが、その中に自分の気持ちを極力滲ませないようにしていることを千遥は感じ取る。これまでは見えてなかった そんな彼女の努力が千遥にも見えるようになった。


一大イベントが終わり風邪回という名の日常回になる。

千遥は絃を意識して考えるあまり、体調にも影響したらしい。

絃は千遥の家に お見舞いに向かうが、千遥の母親が買い物に行くというので、千遥の部屋に入って彼の監視を任される。千遥は動き回る癖があるためで、そして絃は護身用に麺棒を持たされる。

絃は千遥の部屋は初めて。絃の来訪に千遥は動揺し、熱のため意識も まとまらない。
以前、千遥は母親から夜に自宅で女性と2人きりになるんじゃない(『2巻』のこと)と たしなめられており、そのことを謝罪する。

千遥は熱で本音が出てくる。彼は絃が自分の見えないところで泣いていたことに罪悪感を覚えている。それは7年前の自分の過失に端を発する千遥の切なる願い。絃も彼を安心させるために、千遥のいないところで泣かないことを約束する…。


うやら意図的に千遥視点の過去回想などは挟まれないみたいだが、弥太郎の回想は何回目か、というぐらいに繰り返される。もう この辺から作者のウエイトが弥太郎に偏っている気がしてならない。

この回想の中の絃が学校を休んだのは、7年前の千遥が人工冬眠をすると知った時で、絃と会えなかった千遥と弥太郎が遭遇しているという新情報が描かれる。

回想の中の千遥は大きく見え、そして少し不気味だ。たしかに小学生の弥太郎が こんな高校生の千遥を見ていたら、7年後に再登場しても委縮してしまう。千遥は、自分の人工冬眠で絃を泣かせてしまったから、今度 目覚めたら いい兄になると誓っていた。これが自分にかけた呪いとなる。

そこから3年間、絃に無視し続けられた弥太郎。それでも絃を好き、という弥太郎の一途さよ。

絃は、文字通り振り上げた拳の下ろし方が分からなかったのではないか。その証拠に冷戦状態であっても、弥太郎が転んだら手を差し伸べてくれる優しさは変わっていなかった。そんな絃の優しさに触れて、弥太郎は素直に これまでの愚行を謝罪する。また絃の方も弥太郎を引っ叩いたことを謝る。絃は千遥の不在中に強くなるとは言ったものの、暴力で弥太郎を制したことは間違いだったと思っていたのかもしれない。

そして中1のこの日から、2人の交流は再び始まる。
だが高校2年生になった今も、関係性は変わらない。弥太郎は良い人なのだろうけど、潔癖な気質なんか自分を厳しくしすぎて、割り切れないから、自分を褒められない。自己肯定感が低い。

その距離を少しでも縮めるため弥太郎は、彼女のことを初めて絃と呼ぶ。そんな歩み寄りは絃にも好意的に受け入れられる。中学時代に彼女が自分を呼び捨てで呼んだことも、今日 彼女を呼び捨てにすることも どちらも弥太郎には忘れられない思い出だろう。


の時、絃は少しだけ弥太郎が自分に好意を持っているのではと疑うのだが、直後の千遥の登場によって、そんな思考はすっかりと消え去る。こういう所が、弥太郎にとって千遥が邪魔だと思わざるを得ない点であろう。もし千遥によって思考が中断されてなかったら、絃は弥太郎を異性として意識し始め、彼に興味を持つようになったかもしれない。

千遥は、絃の家の前に現れ、電話を通して、お見舞いのお礼と朦朧としていた自分の言動を聞く。そして明日は一緒に登校しようと告げて、会話を切り上げる。何かと理由をつけて彼女の家に出かけ その姿を確かめるが、反面 直接は話さない。これは千遥の気遣いなのか、それとも ちょっとズルい所なのか。熱が引いた彼が どのような行動理念で動くのか見ものである。


いては もう1組の人工冬眠者カップルである、高1の杏(あん)と中1の澪(みお)という元同級生の男女が登場。彼らの仲を接近させるべくWデート回となる。杏をサポートする振りをして千遥を自分のパートナーにしようとする絃は恐ろしい子ッ…!

千遥にとっても同じ人工冬眠者の澪が、年齢差を飛び越えて、幼なじみが恋愛対象なった彼らのパターンは気になる。彼らの話をする中で、まだまだ恋愛に疎い千遥に、絃は「友達」の話として実例を交えて恋をレクチャーする。しかし今なら その言葉の一つ一つが、絃が秘めていた気持ちだということが千遥は分かる。

だがWデート当日、澪は杏の計略を見抜いて、千遥とばかり動く。そこで絃は千遥に自分といるように勧め、自分も一緒に乗り物に乗りたい、と甘えて千遥の行動をコントロールしようとする。私利私欲かよ。

だが澪は、少女漫画で一番大事な乗り物・観覧車も千遥と乗ってしまう。しかも一日の終わりではなく中盤で。

しかし密室という状況は同性であっても本音を引き出す。澪は千遥にはベラベラと周囲に話す杏が腹立たしい。だが千遥は、杏に そうさせてるのは彼女を不必要に遠ざけている子供っぽい澪の方だと論破する。

そして千遥は人の振り見て我が振り直す。絃の気持ちには応えないのに、彼女の好意は嬉しくて中途半端な態度を取ってしまう。それならば、と絃から離れようとするのだが、それを考えただけで千遥は体調を崩してしまう。これは彼の中のジレンマが影響しているのか。「兄」の呪いがあるから離れたいのだが、離れようとすると身体が拒絶する。絃は それだけ千遥にとって大事なのだろう。

この体調不良によって、杏・澪組と絃・千遥組という本来目指す形が達成される。そして千遥は今度はクリスマスに2人だけで出かけることを提案する。更には弥太郎に絃を「妹」と思うのをやめると宣言する。
本音が見えにくい男・千遥は今度こそ本当に その意識を改めたのか…!?