《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

2020年に読んだ少女漫画 個人的ベスト10。

私が2020年に読んだ 37作品 416の少女漫画の中から、今年のベスト10を発表します。

※リンク先に総評や分析、各巻への感想リンクがあります。


1位 町でうわさの天狗の子岩本ナオ・全12巻)
   この作品を好きだという人とは無条件に仲良くなれそう。世界を全肯定できる。
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2位 『月影ベイベ』(再読)(小玉ユキ・全9巻)
   初読より再読の方が滋味を感じる。親と子、現在と過去、彼岸と此岸、男と女。
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3位 『ストロボ・エッジ咲坂伊緒・全10巻)
   遅ればせながら初・咲坂作品。構成が大変 素晴らしく、非常に聡明な方だと敬服。
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4位 『星上くんはどうかしている』アサダニッキ・全5巻)
   全5巻と読み易く、その中でも過不足のない描写が秀逸。三角関係モノとして◎。
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5位 『たいようのいえタアモ・全13巻)
   恋愛漫画であり家族漫画でもある本書。4位に続き、私の掲載誌『デザート』好きが発覚。
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6位 『プリンシパル(再読)(いくえみ綾・全7巻)
   円熟の極み。軽やかに、でも慈しみ深い物語を紡ぎ続ける才能に脱帽。
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7位 『君に届け(再読)(椎名軽穂・全30巻)
   どこまでも真っ直ぐな作品。少女漫画あるある の展開を一切 使わず大長編が成立する奇跡。
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8位 『俺物語』(再読)(アルコ・河原和音・全13巻)
   他に類を見ない恋愛漫画。幼なじみの男性同士の友情物語でもある。
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9位 『ひるなかの流星やまもり三香・全12巻+番外編)
   2人の男性を同等の条件で並べ、比較検討する手法が斬新。私は結末に納得。
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10位 『金色のコルダ(呉由姫・ルビー・パーティー・全17巻)
   迷いのない線とロジカルな部分が好き。感想文が一番うまく書けた作品(思い込み)。
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その他の作品で印象に残ったのは、南塔子さんの『360°マテリアル』 です。
   記念すべき 本ブログ最初の紹介漫画。構成の不安定さ・未熟さ も味方につけた作品。
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単体作品では、岩本ナオさん金の国 水の国が忘れがたい。
   1位の『天狗~』の作者・岩本さんを好きになった きっかけ。私にとって2020年はこの方の年。

少女漫画で高校3年生の2学期を詳細に描写するのは珍しい。…だって楽しくないから。

好きっていいなよ。(14) (デザートコミックス)
葉月かなえ(はづき かなえ)
好きっていいなよ。(すきっていいなよ。)
第14巻評価:★★☆(5点)
  総合評価:★★★(6点)
 

あたしの知らない大和 大和が知らないあたし――交際3年目に入った橘(たちばな)めいと黒沢大和(くろさわ・やまと)は、つきあいはじめた頃に行った海へ再び旅行することに。そこへ、まさかの蓮(れん)からの連絡が…!! 一方の凛(りん)も、海(かい)とつきあいはじめたけど…。双子が波乱を巻き起こす!?

簡潔完結感想文

  • 海回&お泊り回。1周回って まるで2年前のような純潔なカップル。心拍数が上がらない展開。
  • 凛の恋、蓮の恋。好意を押し付けるように相手に与える凛と、秘するように隠し持つ蓮。地味。
  • めぐみ の帰国と文化祭。昨年の出来事の一切を無に返すような投げやりな高校最後の文化祭。

にかく辛気臭い、その一言に尽きる 14巻。

偶数巻だからか一応 主人公は めい である。
モデルの めぐみ に奪われたりしない。

しかし作者は少女漫画を描くことを放棄したんですかね。
『14巻』はずっと個人のブログを読まされている気分になった。

今日は みんなで海に行ってきました。
今日でバイトを辞めることになりました。
夢である保育士になるためにボランティア活動に力を入れてます。

そんな少し生真面目だけど、やや淡白な毎日の様子が描かれる。

作中の季節が暦の上ではすっかり秋だからでしょうか。
まだプールに入ってもおかしくない気温なのに、
湿度が低く、風に爽やかさを発見する あの感じがある。


り返しになりますが、作者は本書を少女漫画であり続けようとする努力を止めたのでしょうか。

仕事を見据えて行動し始めた めい たちには、早くも青春の終わりを感じる。

カップルが3組、男女6人で宿泊した海辺の旅館。
カップルごとに部屋割りされた その夜も、めい と大和(やまと)は、
大きく言えば仕事に関する悩みを交わしている。

大和の悩みも大きく包み込む聖母・めい。
そして その夜は仲良く手を繋いで眠るのであった…。

って、もう高校生の道徳や進路教材に使えそうな内容だ。

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とても17歳の少女の台詞ではない。こんな物分かりのいい人を主人公にしちゃ、少女漫画として終わり。

序盤の過激な性描写はどこへ行った??
数か月前の初めての性行為の胸の高鳴りはもうないのか??

めいカップルの姿や会話は もはや老齢夫婦。
何度も言うけど、めい を包容力抜群の聖母にするのが早過ぎた。

これも繰り返しになるが、この手のスタートダッシュ少女漫画は、
地味なヒロインは物分かりの良いヒロインに、派手なヒーローは個性を失い 一般人となるのは なぜなのか。

少女漫画家たちの貧困な発想力が、登場人物たちの性格を丸くさせるのか⁉
そもそも序盤の男性キャラが過剰な演出のヤラセだったのか。

ベテラン作家ならいざ知らず、新人作家の初長編作品は
10巻以内で強制終了した方が作品と作家のためかもしれない。

「初長編が15巻以上続いた作家、一発屋になりがち説」を唱えたい気分だ。誰とは言わないけど。


唯一、正確には二つ、
めい たちのように高止まりではなく恋愛値に変化があるのが凛(りん)と蓮(れん)の双子。

ただし、凛の方は初めから終局に向かうような恋愛だし、
蓮の方も敗北が確定している恋愛だ。

話も読者として作品を面白いと思うレベルに達していない。
残酷かもしれないが報われない恋の様子を読んでも胸は ときめかない。


ちなみに凛が猛烈にアタックする海(かい)が、
肌の露出や彼女との肉体的接触や好意を素直に受け入れられない様子は、
何だか同性愛者が無理に女性と交際しているみたいにも読める。

実際は中学時代のイジメでタバコを押し付けられた痕(いわゆる根性焼き)があるために、
心身ともに凛との距離を保とうとする意識がそうさせたのだが。


そんな海の根性焼きの痕の存在を凛が初めて知って、
しばし音信不通になるのは分かるような分からないような展開である。

天真爛漫、ありのままの自分でモデルとして成功して、
華やかな世界、友人に囲まれている凛が、
思わぬ形で この世界の陰湿さに直面して絶句してしまう、というのは納得できる。

それは凛が めぐみ に対して憧れる点ばかりを挙げるが、
同時に めぐみ が凛に対するコンプレックスには考えが及ばない無配慮にも表れている。
自分が優れている点があることに、良くも悪くも無関心なのだ。
自然体の人は そこが残酷でもある。

ただ一方で、凛はそんなに弱い人ではないのでは、とも思う。
「私だけが知っている秘密ですね」とか言って、
ことあるごとに彼の服を脱がせかかっても、らしいとも言える。

結局、海の方のコンプレックスが常時 刺激されていたことを露わにした
象徴的な出来事なのだろう。

さぁ、恋愛の手数も 一層 少なくなってまいりました。
もう本書は少女漫画ではないのかもしれない。

ちなみに、蓮の同性愛疑惑の際の凛の行動は嫌いです。
もしかしたら完全に偏見が無いからこそ出来る「自然体」の行動なのかもしれないが、
もし本当だとした場合、蓮の性格から自傷行為などに及ぶ可能性がある。
こういう暴露を好き勝手にする凛は やはり自分本位の人なのかもしれない。


3年生の めい たちに とって最後の文化祭は自由参加らしい。

今回も高校のミスコン的位置付け「アイドル☆グランプリコンテスト」が開催され、
大和・めぐみ・海・凛が出場。

今回は めい は選ばれなかったんですね。
これは嫌がらせの数が少なくなったという証拠なのか、
ただ前回だけ お話の都合上、作為的に票数が伸びただけなのか…。

めい の友人・愛子も選ばれているという描写はない。
この作品、誰が綺麗・モテるのか いまいち分かりづらいですよね。

今回、同じ誌面で活躍する めぐみ と凛の直接対決なのだが、
それについては何も触れられていない。
今回のコンテストのメインは結果のみ。

こんなに物語に何にも起きないのだから、
めぐみ と凛の仁義なき戦いを お送りすれば良かったのに。

めぐみ に得票数が多かったのは学年の差ですかね。
世間ではモデルとして勢いがあるのは凛だが、憧れの対象は めぐみ、なのかもしれない。

しかし こんなに淡々と面白くなさそうに描く文化祭は初めてである。

そして昨年あれだけ不可避の出来事のように描かれていた1位カップルの特典デート。
なんと今年は、めぐみ が彼氏の存在を公表することによって回避した。

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先生に掛け合えばデートを中止に出来るとか言ってた『9巻』は何だったんだよ…。色々と雑!

めい の謎の出場とか、特典デートとか何だったんだと、
1年前の お話を足蹴にするような展開が続きます。

作者としては、2位に選ばれた海と凛のカップルの破局宣言を話の核に据えたかったんだろうけど、
それよりも全体的に学校イベントにも力を入れない作者にガッカリ。

無気力な消化試合が続くような気配が漂う後半戦。
3年生の後半戦をこんなペースで描いても楽しくないのは自明だろう。
だから他の漫画はその前に終了するか、割愛するか しているのに…。

少女漫画としてのアイデアが無いのなら早めの終幕も一つの手段だったと思うが…。

一年が 一日が 一瞬が 何秒かなんて 考えたことないでしょう?『風は予告なく吹く』

風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている

風が強く吹いている

箱根駅伝を走りたい――そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。「駅伝」って何? 走るってどういうことなんだ? 十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく……風を感じて、走れ! 「速く」ではなく「強く」――純度100パーセントの疾走青春小説。

一説によるとイメージトレーニングをするだけでも筋肉は動くらしい。
本書を読書中の私の筋肉も きっと動いていたに違いない。
例え こたつの中で寝っ転がりながらでも読書中ずっと走っている感覚があった。

人は走るために存在しているのかもしれない。
そんなことまで考えてしまう「純度100パーセントの疾走青春小説」。


本書の題材である箱根駅伝を最後に見たのはいつだろう。
2021年も見なかった。考えてみれば ずっと見ていない。

本書を1月に読んだのも箱根駅伝の中継を見た影響ではない。
そろそろ読まないと、読まずに死ぬこともあり得ると思ったからだ(体調が安定して悪い)。

そうして本書を読了したことで2000年代におけるスポーツ小説 四天王を完全読破することが出来ました。
森絵都さんの『DIVE!!』あさのあつこ さん『バッテリー』佐藤多佳子さん『一瞬の風になれ(感想文なし)』。

どれも忘れがたい読書体験となりました。
これらの作品を繰り返し読んでいけば身体が どれだけ絞れるだろう…。

余談ですが、『一瞬の風~』以外の映画化された3作品で主演を同じ方が務めている共通点に驚く。
こんなにジャンルの違うスポーツを みっちりと練習する人も あまりいないだろう。


書は、抜かりない采配を振るう選手 兼 コーチの大学4年生・清瀬 灰二(きよせ はいじ)が物語の屋台骨だ。

彼がいなければ誰も大きな目標に向かって走り出さなかっただろう。

それと同じように本書を手に取り、完走を目指す者にとっての名コーチは作者自身だろう。
作者の名采配が無ければ約670ページにも及ぶ作品を途中で脱落する人が数多(あまた)いたはずだ。

多くの読者に完走をさせるための巧みな構成、
特にスタートしたら あとは もう前に進むしかない、と思わせる後半は秀逸である。

読者の心を鷲掴みにする冒頭から素晴らしく、
なんと主人公の1人・蔵原 走(くらはら かける)は、パンを万引きをして店から逃げるために走っている。

更に無一文の走が清瀬に連れてこられる学生寮・竹青荘(ちくせいそう)の個性的な面々。
彼らの人物紹介という最初の一山を越えてからの本題への突入。

このペース配分の巧みさよ。こうやって読者は先へ先へと導かれていく。


本書は竹青荘に住む清瀬の他 9人の学生と共に9か月余りで箱根駅伝出場を目指す物語だ。
運動経験のないメンバーもいる中で、清瀬箱根駅伝の挑戦を宣言する。

突然の宣言だが、清瀬には最大3年の入念な準備があった。
竹青荘に集まったメンバーは彼の審美眼によって集められた先鋭ともいえる。
そして清瀬に少なからぬ恩があったり、言葉巧みに操られたりと、彼の手のひらの上の住人ともいえる。

最初の一歩が踏み出されれば、あとは ひたすらゴールに向かうだけ。
多くの読者の分身ともいえる素人たちがどこまでやれるのかという期待も乗せて、彼らは走り始める。


間で言われている通り、本書の欠点はリアリティの欠如かもしれない。

4月~翌年1月2日までの1年未満の練習で10区間を走る箱根駅伝に最小限度の人数10人での出場を目指す物語。

私も この漫画的な、あまりにも漫画的な設定は気になったところ。
後に漫画化やアニメ化されるのも納得する原作小説である。

ただ私は読了して、作者のリアリティとファンタジーの間隙を縫うような絶妙な設定に感心してしまった。

作者は題材として箱根駅伝を採り上げることにしてから、
当然ながら箱根駅伝を軽んじるような描写や展開は書かないと心を戒めただろう。

その自戒と創作の間に生まれたのが本書の構想だと思われる。

小説としての面白さを備えつつ、「箱根」を走る孤独と喜びも十全に表していることが本書の勘所ではないか。

リアリティを追求したいのならノンフィクションを読めばいい。
でも、ノンフィクション作品では こんなに多くの読者をゴールには導けなかったはずだ。
スポーツ小説を読まない人も完走させる、それが作者の大いなる目的ではないか。

だから重複する練習風景や走る際の苦しさは極力 抑えている。

軽く触れる程度にしか描かれていない練習メニュー。
それらを こなすことが どれだけ大変かは何度も書かない。
読者が飽きてしまうから。
走ることに倦んでしまうから。

しかし彼らは着実に練習を こなした事実がある。
強豪校に比べれば積み重ねてきた絶対的練習量は少ないかもしれない。
だけど予選会を勝ち抜けるだけの必要最低限の練習は達成している。

敢えて軽やかに書いていることの裏にこそ、読み取るべきところがある。

でたらめにならないよう絶妙に調整された現実と嘘の配合量。
私は そこにこそ作者のコーチとしての手腕を見る。


品のペース配分も大胆である。

前半が清瀬の箱根出場宣言から始まって練習と、箱根駅伝出場が決まる予選会まで、
後半が箱根駅伝出場決定から2日間10区の激走となっている。

やはり、前半のハイペースが際立っている。
後半の当日の模様をしっかり書きたいという意図もあるだろうが、
前半をハイペースにしたのは、やはり走り慣れてない読者にも
ついてきてもらいたいという心遣いのように思う。

どんなにタイムが遅い者でも一人の脱落者も出さないように気を配る清瀬(と作者)。
そしてそのタイムが練習を重ねることで確実に縮まっていくのが最初のカタルシスとなる。

最初は歩いていた長い距離も、吐くほどに苦しい山道も、
練習を重ねれば呼吸を乱さずに走ることが出来るようになっていく。

この「出来ない」から「出来る」は、
まるで読者自身が褒められたように次の一歩へのエネルギーに変わる。

ずっとタイムが遅く、練習でも最後尾の「王子(あだ名)」にも清瀬は何度も戻って声を掛け続けた。
自分がいることを忘れていない、認めてくれる、そんな心遣いが作品に通底している。

名コーチのお陰で、決して短くない本書を完走できた事実は、
小説に不慣れな人たちの大きな自信になるのではないか。

走ることは生きること、と同じように、読むことは生きること、に繋がる人もいるはずだ。
読者も完走しても また 走り続ける体力と自信が ちゃんと付いている。


して夢を驀進する彼らに現実が降りかかるのは、
箱根駅伝の予選会を通過した後という構成も心憎く、そして ほろ苦い。

予選会をギリギリで通過した自分たちに優勝という目標が設定できるのか。

精一杯の努力を重ね大きな山を越えたからこそ痛感する努力の壁。
そして自分の限界という壁。

箱根駅伝に出場することがゴールではなく、
彼らが素人集団だからこそスター選手にだけ付与された才能と、その先の果てしない世界の険しさが分かる。

これが最大で4年間、いや箱根駅伝に出場するために人生を賭けている人への作者への最大限の敬意だろう。

物語の目標を優勝ラインに置いたら それは本当に少年漫画の類になってしまうが、
詳細な個人の区間走行タイムの設定といい、これも作者の綿密なバランス感覚の賜物だろう。


また後半、各区間の走者が自分の来し方を回想し、行く末を見つめるという構成も素晴らしい。

それまでは表面上の、ややデフォルメされた性格しか表されなかったが、
本番当日に彼らが抱いてきた想いが初めて余すことなく語られる。

走ることで過去と現在と未来が結ばれていく。
そう思うだけで ただただ涙が溢れて止まらない。

これも作者の巧妙なペース配分か。
10人しかいない彼らを1人ずつ好きになっていく。
どうか、どうか走ることを止めないで、と読者は祈るような気持ちでページの上を走破していく。

そして何より、個性豊かな面々が独りで走っているのに、
ここにきて彼らにチームとしての一体感が生まれていることを知る。

繋がれる襷(たすき)の重さを、初登場・初挑戦の彼らも読者も 当日になって初めて感じることになる。


が一番気になったのは、物語の設定自体ではない。

もっとも気になるのは最終盤の清瀬と走の耽美な描写だ。
作者はスポーツ小説において これが書きたかったんじゃないか、と疑わずにはいられない。

どこかの媒体でご自身を「関係性フェチ」だと仰っていた作者。
走と清瀬の関係性はまさに作者好みだろう。
過分に友情を超えてキラキラしている。

そうなると走の葉菜子への恋情は、清瀬との関係は決してBLではありませんという言い訳にしか感じられなくなる。

双子を含めた恋の結論をボヤかしているところを美点と取るか、
それとも作者が自分の脳内世界を保護するための手法と取るか難しいところである。

2人が たどり着いた境地がそこなの?という疑問だけが微かに残る。


そういえば冒頭の走の万引きが、後々になってチームの足を引っ張る伏線だと思い込んでました。
その場面が いつ来るかと ずっと恐れていたんですが、そこは杞憂に終わりましたね。
(特に走が万引き犯を捕まえることが、発覚の契機になると思った)


三浦 しをんみうら       風が強く吹いているかぜ つよ  ふ         読了日:2021年01月10日