《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

少女漫画 感想リスト(ライト版) 著者名順

著者名順
※ 感想は、リンク先のページから お読みいただけます。
※書名の前に がある漫画は 特にお薦めです。
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あ行    か行    さ行   た行
な行    は行    ま行   や・ら・わ行

あ行
相川 ヒロあいかわ      
・三神先生の愛し方 基本データ
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相原 実貴あいはら みき
・SO BAD! 基本データ
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青木 琴美あおき ことみ
・僕は妹に恋をする 基本データ
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・僕の初恋をキミに捧ぐ 基本データ
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赤瓦 もどむあかがわら       
・兄友 基本データ
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ラブ・ミー・ぽんぽこ! 基本データ
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アサダ ニッキ
青春しょんぼりクラブ 基本データ
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星上くんはどうかしている 基本データwww.wwwbestlilium.com
・きみと青い春のはじまり 基本データ
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アルコ・河原 和音かわはら かずね(共著)
俺物語!! 基本データ
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餡蜜あんみつ
・カンナとでっち 基本データ
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いくえみ 綾       りょう
プリンシパル 基本データ
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池 ジュン子いけ      こ
・水玉ハニーボーイ 基本データ
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池山田 剛いけやまだ ごう
・GET LOVE!! 基本データ
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・萌えカレ!! 基本データ
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・うわさの翠くん!! 基本データ
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伊沢 玲・津山 冬いざわ れい・つやま ふゆ
執事様のお気に入り 基本データ
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和泉 かねよしいずみ       
・ダウト!! 基本データ
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・そんなんじゃねえよ 基本データ
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岩下 慶子いわした けいこ
リビングの松永さん 基本データ
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岩本 ナオいわもと     
町でうわさの天狗の子 基本データ
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上田 美和うえだ みわ
・Oh!myダーリン 基本データ
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宇佐美 真紀うさみ まき
・恋*音 基本データ
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・ココロ・ボタン 基本データ
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・夕暮れライト 基本データ
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大詩 りえおおうた    
・猫田のことが気になって仕方ない。 基本データ
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オザキ アキラ
・ハル×キヨ 基本データ
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小畑 友紀おばた ゆうき
僕等がいた 基本データ
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か行
加賀 やっこかが    
一礼して、キス 基本データ
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川上 ちひろかわかみ     
・後にも先にもキミだけ 基本データ
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北川 夕夏きたがわ ゆか
・影野だって青春したい 基本データ
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桐島 りらきりしま     
・世界の端っことあんずジャム 基本データ
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金田一 蓮十郎きんだいち れんじゅうろう
ライアー×ライアー 基本データ
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くまがい 杏子        きょうこ
・放課後オレンジ 基本データ
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・あやかし緋扇 基本データ
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呉 由姫 くれ ゆき(原案:ルビー・バーティー
金色のコルダ 基本データ
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幸田 もも子 こうだ ももこ
ヒロイン失格 基本データ
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小玉 ユキこだま ゆき
坂道のアポロン 基本データ
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月影ベイベ 基本データwww.wwwbestlilium.com

小村 あゆみこむら    
・ミックスベジタブル 基本データ
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・神様のえこひいき 基本データ
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紺野 りさこんの    
・胸が鳴るのは君のせい 基本データ
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さ行
酒井 まゆさかい    
・永田町ストロベリィ 基本データ
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・ロッキン★ヘブン 基本データ
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咲坂 伊緒さきさか いお
ストロボ・エッジ 基本データwww.wwwbestlilium.com
アオハライド 基本データ
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思い、思われ、ふり、ふられ 基本データ
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栄羽 弥さこう  わたり
・コスプレ★アニマル 基本データ
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佐藤 ざくりさとう      
・おバカちゃん、恋語りき 基本データ
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・マイルノビッチ 基本データ
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里中 実華さとなか みか
・雛鳥のワルツ 基本データ
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椎名 軽穂しいな かるほ
君に届け 基本データ
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縞 あさとしま      
・君は春に目を醒ます 基本データ
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師走 ゆきしわす   
高嶺と花 基本データ
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末次 由紀すえつぐ ゆき
・Only You ー翔べない翼ー 基本データ
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・エデンの花 基本データ
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杉山 美和子すぎやま みわこ
・花にけだもの 基本データ
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・True Love 基本データ
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清野 静流せいの しずる
・純愛特攻隊長!+ 本気 基本データ
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た行
タアモ
たいようのいえ 基本データwww.wwwbestlilium.com
・地球のおわりは恋のはじまり 基本データ
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・あつもりくんのお嫁さん(←未定) 基本データ
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高須賀 由枝たかすか ゆえ
グッドモーニング・コール 基本データ
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田中 メカたなか    
キスよりも早く 基本データ
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ぢゅん子ぢゅんこ
私がモテてどうすんだ 基本データ
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築島 治つきしま はる
・私たちには壁がある。 基本データ
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筑波 さくらつくば       
・目隠しの国 基本データ
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椿 いづみつばき      
親指からロマンス 基本データ
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桃森 ミヨシとうもり みよし
ハツカレ 基本データ
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悪魔とラブソング 基本データ
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時計野 はりとけいの   
・お兄ちゃんと一緒 基本データ
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鳥海 ペドロとりうみ       
・甘い悪魔が笑う 基本データ
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な行
なかじ 有紀    ゆき
・ハッスルで行こう 基本データ
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仲野 えみこなかの      
・帝の至宝 基本データ
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中原 アヤなかはら     
・おとななじみ 基本データ
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仲村 佳樹なかむら よしき
・MVPは譲れない! 基本データ
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ななじ 眺      ながむ
・パフェちっく! 基本データ
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・コイバナ!ー恋せよ花火ー 基本データ
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那波 マオななみ   
3D彼女 基本データ
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南波 あつこなんば      
スプラウト 基本データ
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・隣のあたし 基本データ
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青Ao-Natsu夏 基本データ
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西形 まいにしかた      
・ヴィーナス綺想曲 基本データ
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野切 耀子のぎり ようこ
・甘くない彼らの日常は。 基本データ
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は行
葉月 かなえはづき     
好きっていいなよ。 基本データ
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八田 鮎子はった あゆこ
オオカミ少女と黒王子 基本データ
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葉鳥 ビスコはとり      
桜蘭高校ホスト部 基本データ
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林 みかせはやし      
・うそカノ 基本データ
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春田 ななはるた    
・スターダスト★ウインク 基本データ
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晴海 ひつじはるみ      
・斎王寺兄弟に困らされるのも悪くない 基本データ
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日高 万里ひだか ばんり
世界でいちばん大嫌い 基本データ
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ヒナチ なお
・恋するハリネズミ 基本データ
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樋野 まつりひの     
とらわれの身の上 基本データ
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めるぷり 基本データ
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平間 要ひらま かなめ
ぽちゃまに 基本データ
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福山 リョウコふくやま       
悩殺ジャンキー 基本データ
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モノクロ少年少女 基本データ
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覆面系ノイズ 基本データ
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藤沢 志月ふじさわ しづき
・キミのとなりで青春中。 基本データ
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・僕と君とで 虹になる 基本データ
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ふじもと ゆうき
キラメキ☆銀河町商店街 基本データ
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星森 ゆきもほしもり      
ういらぶ。 基本データ
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ま行
マキノ
黒崎くんの言いなりになんてならない 基本データ
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松月 滉まつづき こう
・幸福喫茶3丁目 基本データ
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みきもと 凜     りん
近キョリ恋愛 基本データ
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きょうのキラ君 基本データ
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・午前0時、キスしに来てよ 基本データ
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水野 十子みずの とおこ(原案:ルビー・バーティー
遙かなる時空の中で 基本データ
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水野 美波みずの みなみ
虹色デイズ 基本データ
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蜜野 まことみつの     
・お迎え渋谷くん 基本データ
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水瀬 藍みなせ あい
・なみだうさぎ 基本データ
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・ハチミツにはつこい 基本データ
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・恋降るカラフル 基本データ
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水波 風南みなみ かなん
・レンアイ至上主義 基本データ
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蜜×蜜ドロップス 基本データ
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南 塔子みなみ とうこ
・360°マテリアル 基本データ
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・ReReハロ 基本データ
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・テリトリーMの住人 基本データ
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南 マキみなみ     
・S・A(スペシャル・エー) 基本データ
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声優かっ! 基本データ
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宮城 理子みやぎ りこ
・花になれっ! 基本データ
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宮坂 香帆みやさか かほ
・微熱少女 基本データ
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三次 マキみよし   
PとJK 基本データ
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村田 真優むらた まゆ
・流れ星レンズ 基本データ
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目黒 あむめぐろ   
・ハニー 基本データ
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森下 suuもりした すう
・日々蝶々 基本データ
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・ショートケーキケーキ 基本データ
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森野 萌もりの めぐみ
おはよう、いばら姫 基本データ
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や・ら・わ行
夜神 里奈やがみ りな
・制服でヴァニラ・キス 基本データ
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山田 デイジーやまだ     
・初恋はじめました。 基本データ
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山田 南平やまだ なんぺい
紅茶王子 基本データ
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・空色海岸 基本データ
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やまもり 三香     みか
ひるなかの流星 基本データ
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椿町ロンリープラネット 基本データ
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湯木 のじんゆき    
・これは愛じゃないので、よろしく 基本データ
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雪丸 もえゆきまる     
ひよ恋 基本データ
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柚月 純ゆづき じゅん
・学園王子 基本データ
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吉岡 李々子よしおか りりこ
・彼はトモダチ 基本データ
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吉住 渉よしずみ わたる
ミントな僕ら 基本データ
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ちとせetc. 基本データ
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ろびこ
となりの怪物くん 基本データ
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僕と君の大切な話 基本データ
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渡瀬 悠宇わたせ ゆう
・思春期未満お断り 基本データ
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渡辺 あゆわたなべ あゆ
・L♥DK L・DK(エルディーケー) 基本データ
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何度も不合格を出した辛口審査員を認めさせることで、最後の学校生活は自立の1年となる。

カラクリオデット 6 (花とゆめコミックス)
鈴木 ジュリエッタ(すずき ジュリエッタ
カラクリオデット
第06巻評価:★★★(6点)
 総合評価:★★★(6点)
 

オデットを奪うため、オーウェン博士がついに実力行使に出て!? 一方オデットは朝生が卒業してしまうと知ってショックを受け…。最後まで目が離せない、オデット完結巻!!

簡潔完結感想文

  • もしや ウチキリオデット!? 私たちの次のステージは ここからだッ!! 日常は続いていく。
  • チャペルでの2人の男による決闘で花婿が決定か。博士とは住人が増える宿命を背負う?
  • 辛辣な朝生から見てもオデットは もう人間社会に溶け込める常識と感情を持っている。

デットを脅かす者も、オデットが頼る者も、そして誰もいなくなった、の 最終6巻。

怒る、ということは甘えるということに似ている。本書でロボット(またはアンドロイド)のオデットが怒ったのは、おそらく生みの親である吉沢(よしざわ)博士と、第2の同居人となるロボット・クリス、そして学校の先輩男性・朝生(あさお)の3人ではないか。オデットは この3人だけには身内のワガママみたいな感情を爆発させる。それはオデットが娘であり、姉であり、そして乙女であるからだろう。家族というもの、恋愛というものを通じてオデットは その人にしか出せない感情を放出していた。

朝生に対して怒るのはオデットが朝生にいて欲しい願望があるから。その願望が彼女の心である。

中でも異質なのは朝生だろう。完全な一般人でありながらオデットは彼に対しては遠慮がない。そして困った時は何かと朝生の名前を出し、彼に おんぶにだっこだった部分もある。

だが最終話で卒業により学校を去る朝生からオデットの学校生活に お墨付きをを貰えたことが一つの到達点となっている。朝生は本書の中で唯一 オデットがロボットであることを承知していて、そして そのことをオデットに隠さない。『1巻』でロボットが人間様と同じようなことをするな、みたいな発言をして以降、度々 オデットを凹ませてきた朝生だが、それと同じぐらいオデットを励まし続けてきた存在。それは他の人間と同じように「心ある」存在としてオデットを扱っていると言える。双方に遠慮のない=嘘のない関係において、朝生は最後にオデットが人間社会の中にいられることを保証する。手厳しい彼から合格を貰い、オデットは朝生のいない=困っても頼る人のいない環境の中、また新たな一歩を踏み出す。博士から生まれ、学校に行きたいと自我を持ったオデットが、朝生には頼りながら生きてきたが、最終回では真の自立を果たす、というのが本書のラストであろう。


1話でオデットが行きたいと言い出した学校生活。それが親の手も離れ、先輩の手も離れて、心配なく友人たちと楽しい日々を過ごせるようになった。もう自分らしさに迷い、電力消費が激しくなり、大きなバッテリーを背負う必要もないだろう。その前にトラヴィスとの決別で個としての生き方を選択したオデットだから尚更だ。

…そんな一定の結末は分かるが、恋愛面では色々と「宇宙へポーイ!」と伏線回収を放棄しているのが やっぱり気になる。最終回でオデットが告白するかと思ったけどしなかったのが残念。ただ朝生がロボットとの交際にすぐに返事が出来る訳もなく、真面目に お断りされても最終回としては相応しくないので告白するという選択肢は消滅してしまったのだろう。

途中から出てきた柚木村(ゆきむら)は最終回で久々に顔を出したけど、いかにも取ってつけた感じなのが残念。まぁ ちゃんと告白しただけ彼は幸運と言えるけど。というか柚木村自体が私には作者が何を意図して登場させたのかが分からなかった。正ヒーローの座すら狙っていたみたいだが、どこで人気が出ると思ったのか…。また柚木村のクラスメイト・ミカも途中から行方不明で(最終回に1コマ出たけど)、朝生に対する好意は無かったことになった。朝生も洋子に対して想いを告げないままだし、何だか色々と片想いさせた割に成就率が低い。内輪カップル続出も嫌だけど、中途半端は もっと精神衛生上 良くない。


キャラ数を増やして多方面からロボット・アンドロイドを照射するという手法なのだろうが、どれも中途半端に終わってしまっている。学園モノに舵を切ったのなら、もっと学校行事を多用しても良かったかもしれない。

作品内における普及率や科学技術といったロボットの位置づけも いまいち分かりづらい。読切短編から出発したから仕方ないが、もう少し人間社会とロボットの関係性など大局的な視点が欲しかった。扱うテーマに関しても数十年前の手塚治虫さん や その後の萩尾望都さんなどSFの名手たちの方が絶対に深い考察をしていると思われる。
序盤の方がロボットの描写の切れ味が鋭かったように感じられた。連載が続けば思考も深まるかと思いきや、作者の中でも結論が出ない、または手に余る問題に直面してしまったように思う。

作中の ある期間に恋の嵐を吹き荒らしたのに、結局 誰の恋も真剣に考えてくれなかったのかと残念だ。朝生ならキッパリ断っても後味が悪くならなそうだから失恋エンドを試してみて欲しかった。

何となく打ち切りの匂いすら醸し出している本書だが、方向性が不明確だったのも揺るがない事実である。連載継続以上に作者の目標が見えなかったのが良くなかったのではないか。序盤の期待が萎んでいく音が聞こえた。


30話。科学技術は発展するため、いつかの最新式のロボットも やがて旧型と呼ばれる。人間は加齢するが、それで明らかな世代交代が起こる訳ではなく、何とか幅広い世代が社会に参加している仕組みを構築しているのとは そこが違う。そして人間とは違いロボットは人に価値を見出されなければ廃棄が待っている。

そして世界最高の性能を求めるのも科学者の本能的な欲求である。オーウェン博士は自分の最高傑作であるトラヴィスと、吉沢博士の最高傑作・オデットの融合を計画する。
オデット捕獲の刺客として送り込まれたのが一世代前のロボット・グレース。だが捕獲に失敗したグレースは逆にオデットに面倒を見られる。その交流でグレースはオデットの捕獲を諦めるが、生みの親である博士に失望されてしまう。


31話。この回で朝生の卒業決定がすることは、=本書の連載終了決定だったりするのだろうか。ここでオデットは朝生が学校からいなくなること、そしてロボットは結婚できないことを初めて理解する。このオデットの失望感は、作者の連載が永遠ではないという落胆と繋がるか。

そんなオデットの心の隙間を埋めるのは今回もトラヴィスだった。学校では人との差異ばかりが気になるが、トラヴィスは何もかもが同じ。ロボット的A.T.フィールドを無くす「ロボット補完計画」がオーウェン博士の目標だろうか。

そのオーウェン博士は直接オデットの捕獲を試みるも失敗。だからウェイターのバイト中の朝生をスカウトし、今度は朝生を刺客にしようと試みる。だが朝生は それを拒否。これは『5巻』の吉沢博士への買収工作と同じ構造だろう。朝生にとってオデットは迷惑ばかり持ってくるヤツであっても、それを他人が壊すのは許せない。


32話オーウェン博士とオデットの接触を避けるために朝生は走る。

オデットがオーウェン博士の滞在するホテルに来たのはトラヴィスに呼び出されたからだった。トラヴィスはオデットが花嫁になりたいことを知り、それを叶えさせるためにホテルのチャペルを用意した。
そして2人が融合することは更なる高みへと進むことで、ロボットの頂点に君臨すること。だがオデットはそれを望まない。オデットは個として自分の存続を望む。なぜならオデットは1人じゃないから。そして周囲との関係、社会がオデットを作ることを学んだから。時に傷つくことも社会の中では当たり前。だから閉鎖された安寧より、解放された社会を望む。

ただしオデットは人間社会にいながら疎外感を覚え続ける運命にある。そのことを指摘するトラヴィスは まるで「心理攻撃」をしているみたいだ。それこそがオデットに宿る心の証明のように思える。

朝生は吉沢博士に連絡を取り、オーウェン博士が「オデットを魔改造しようと狙う悪の科学者」だということを知る。それを信じた彼はオデット救出に向かう。
グレースの銃撃による威嚇に遭いながらも朝生はオデットを救いに行く。この際、朝生はオーウェン博士から渡されたロボット用ショックガンを使った。朝生が これを持っているのは物語の進行のためだろうが、オーウェン博士は朝生がオデット捕獲依頼を承諾する前に これを渡し、そして回収しなかったのは初歩的なミスである。

この場面だけ見るとロボット漫画ではなく吸血鬼と人間の対決に見える。作者は人外がお好き?

33話。朝生はオデットを助けにチャペルに入る。映画「卒業」ばりの花嫁強奪の場面である。この2人の決闘が男性キャラの最後の戦いということなのだろうか。ここに参加できない柚木村は もう敗戦が決まっている。

だがトラヴィスと朝生による決闘をオデットは阻止する。目の前で人が傷つくことを避けるのが心優しきロボットの従うべきオーダーである。

そこへ侵入者を排除することだけに使命を燃やす暴走したグレースが現れ、オデットは彼女に銃撃されてしまう。だが追撃はトラヴィスが身を挺してオデットを守った。守りたかったというのはトラヴィスに生まれた意思であろう。
その光景に衝撃を受けたグレースは、動かなくなったトラヴィスのボディを持ち、その場を去る。

この回でオーウェンは その昔にコンテストに出品したロボットと、優勝した吉沢博士のロボットの出来に次元の違いを感じた。そしてオーウェンは その敗北感と劣等感から自分の創作物を愛せなくなったことが明かされる。
オーウェンと吉沢博士の関係は、そのままグレースとオデットの関係とも言える。グレースの気持ちを誰よりも理解できるのはオーウェンなのかもしれない。


34話。こうして2人の博士の それぞれの最高傑作は破損する。
だがオデットを叱りながら心配する吉沢博士とは違い、オーウェンは新しい最高傑作「アイリス」とトラヴィスの融合を試みる。なので もうトラヴィスのボディも直さないと宣言する。それを知ったグレースは博士はロボットに本当に愛情を注がないことを知り、彼の元から去る。

そして吉沢博士の自宅にトラヴィスを持ち込み修理を依頼する。それは吉沢博士ならオデットへの愛の1%でもトラヴィスに愛を注いでくれると推理したから。

そうしてオーウェンの薄情さを知った吉沢博士は2人きりでの対話をしにオーウェンを訪問する。博士はトラヴィスは設計図がないと直せないという診断を下し、その設計図を言い値で買い取りに来た。それは親権の譲渡にも似ている。

吉沢博士はロボットに心があると思っているから修理を試みる。それを信じられないオーウェンだが、博士に もう一度向き合うよう促され、吉沢博士から提示された小切手を破ることを その答えとする。こうしてグレースたち姉弟の家出は終わる。吉沢博士が幾ら積まれてもオデットを売らなかったようにオーウェンもまた親権は売れない。ロボットに「心」が宿るように、無機物にも愛情や愛着を持つのが人間という生物なのだろう。


35話。この一件でオーウェンは融合を断念したらしい。そしてトラヴィスたちは去り、そして3年生も自由登校となり朝生のいない学校生活が始まろうとしていた。

この頃、白雪(しらゆき)は他者の心の声が聞こえなりつつあった。解説のA子さんによると自己形成と共に能力は減衰していくものだという。強引かつ駆け足の説明で、打ち切り説を考えずにはいられない。それに白雪の家に雇われた人間がそれを知っているのなら、早く白雪を社会生活を送らせろよ…、という野暮なツッコミをせざるを得ない。

こうして変化の時期を迎えようとしているが、オデットは何も変わらないことに焦る。3年生の登校日に久々に朝生の顔を見て、オデットは寂しさを爆発させる。一通り乱暴を働いてからオデットは もう知らないと彼を放置するが、好きならば洋子(ようこ)に気持ちよく送ってあげようと諭される。上述の通り朝生に我儘を言うのは甘えであり、そして洋子との友情がオデットを改心させるという流れが良い。

そうして2人の出会いの場所である保健室で2人は落ち着いて話す。感情豊かに どうにか自分を送り出そうとしてくれるオデットを見て朝生はオデットは もう人間社会の中にいても問題がないと言ってくれた。それは朝生からの第二ボタンかもしれない。第二ボタンは心臓に近いから贈られるもの。彼がオデットの中に人の心を認めたことで、白雪同様、、オデットの社会進出は成功したと言えよう。

作者は何年か後にでも続きが描きたくなったら描いていいと思う。いや描いて下さい。赤瓦もどむ さん『ラブ・ミー・ぽんぽこ!』同様に続編での恋愛の結末を いつまでも待ってます!

俺様アンドロイドの お眼鏡に適うのは 打てば響く会話の出来る知性と性能を持つヤツ。

カラクリオデット 5 (花とゆめコミックス)
鈴木 ジュリエッタ(すずき ジュリエッタ
カラクリオデット
第05巻評価:★★★(6点)
 総合評価:★★★(6点)
 

近頃、学校ではオデットの怪力ぶりが噂に!? 自分の”人と違う力”をからかわれ、もう強い力を使わないと心に決めたオデット。そんな”か弱くて可愛い女の子”になりたいオデットは、朝生と一緒に体育倉庫に閉じ込められても、扉が開けられないと言い張って――!?

簡潔完結感想文

  • か弱いは可愛い ではなく強いはカッコイイが本書の美学。ヒロインだけどハイスペック。
  • オデットの第3の彼氏候補登場!? アンドロイドは無表情に捨てられる恐怖に怯えている。
  • 終盤まで新キャラを続々と投入しているけど、使いきれてないキャラの多さが気になる…。

ヒーローではなく、ヒロインが この世界のトップ オブ トップ 5巻。

白泉社作品ではヒーローが御曹司だったり学年1位だったり皇帝だったりすることが多い。それは作品世界で地位や能力が1位の男性しかヒーローになれないという厳しい世界である。
ただし本書の場合、男性、もくしくは男性アンドロイドに世界1位の者は存在しない。強いて言えばオデットの生みの親・吉沢(よしざわ)博士が そうなのかもしれないが、彼は恋愛対象外であろう。

本書が特殊なのは一応のヒロインであるオデットの方が世界1位であることではないだろうか。この世に生まれて1年とちょっとなので、ヒトの道は教わっている/学んでいる最中だから まだ人の機微に対して未熟な部分もあるが、オデットはロボット(またはアンドロイド)から見ても すぐにロボットだとは分からないぐらいの性能を発揮している。アンドロイド部門ではあるが、男性側も女性側も その世界のトップというのは少女漫画には珍しい現象に思える。

作者も創造主ならキャラに性格や役割を しっかり持たせて欲しい。キャラ数だけ増やしても…。

人になりたいが なりきれない、反対に同じロボットでも人情を理解しない行動に苛立ちや怒りを覚えるという どちらでもなく、どちらでもあるのがオデットのような気がする。これは自分のルーツに悩む人たちと共通の悩みにも思える。例えば人種であったり、ファンタジー作品であれば妖怪と人間の子の半妖などが挙げられよう。

だが世界最高峰でも、能力的にオデットより低くても彼らの悩みは共通であることが この『5巻』では読み取れた。それは創造主との関係である。上述の混血や半妖でも親子の関係は確かに見えるのが人間の血の繋がりである。ただしオデットたちロボットには その確かな繋がりを感じる ものはない。だから常に不安がつきまとう。
携帯電話の所有を巡る博士との、父と年頃の娘のような親子喧嘩をしたことは もしかしたらロボット史上初の喧嘩の内容だったかもしれないが、オデットは その時に博士に暴言を吐いたことを後に悔いる。主人の機嫌を損ねたこと、そして主人には自分の代替はすぐに用意できることなど、一度 不安になってしまうと それが尽きることはない。

ただし今回の博士の、どれだけ莫大な お金と天秤にかけても揺るがなかった気持ちはオデットを安心させるのではないか。それは博士がロボットと人の間に愛情の差を感じさせない、ある意味で変人だから成立することなのかもしれない。だが この愛情がオデットの心の部分を より一層 成長させることも間違いない。
実は時代の最高峰であり最先端であるオデット。彼女が獲得するものが、今後の世界の変化を占う大きな要素なのではないか。


ういう部分は面白く感じられるが、内容的には新キャラ投入の連続で何がしたいのかが見えてこなくて、長編としての面白さを感じられない。新キャラが出てくると、これまでのキャラクタに動きがなくなるのが残念だ。既存のキャラ同士の組み合わせでも面白い話が作れそうなのに、新キャラに集中した後は音沙汰が無くなってしまう。柚木村(ゆきむら)なんて1ページも出てこなかったのではないか。白雪(しらゆき)も朝生(あさお)やクリスと交流することがなくて残念に思う。オデットの可愛さ頼りの展開も そろそろ限界か。

内容的にも以前と重複する部分が感じられる。オデットの悩みや失敗も以前の焼き直しに感じられるし、久々に再登場したクリスも冴えない感じだった。もう少し成長を、不可逆に、そして細かく段階的に描けたら良かったと思うが、おそらく それは とっても難しいのだろうということは私にもわかる。


24話。学校内で怪力が噂されたオデットは「ゴリラ女」とあだ名されてしまったことに悩む。そして白雪から男は女に力で負けるのは あまり好まないもの、か弱いほど守ってあげたくなるものと教えられて、女性として弱くあろうとする。

そんな時、充電中のオデットは朝生と一緒に体育倉庫に閉じ込められてしまう。朝生はオデットの力で扉を壊してもらいたいが、オデットは拒否。それは可愛く思われたい乙女心であろう。夜遅くになるまで朝生の要請を拒否し続けたオデットだったが、彼にとって強いはカッコイイであることを知り、他者の価値観ではなく自分の考えや価値観のもとに動くことを決める。
マイノリティーであることや、既存の価値観の破壊など、自分らしくいるというテーマに合致した話だった。


25話はサイドストーリーで、クリスの兄弟の お話。自爆テロのためだけに作られたのがクリスシリーズたち。その中のクリス10号はイタリアに派遣される。だが目標である博士は不在で、その娘のニコレッタと家政婦しか在宅していなかった。そこで博士の帰宅を待つ10号。この辺りは『1巻』2話のクリスとオデットの話と同じである。

だが博士は家に帰ることなく旅先で死亡したという情報を知り、存在意義を失った10号。生きる気力を失っているのは娘・ニコレッタも同様。だから10号はニコレッタの元気を守るために生活する。
それは自分の生活を優先して守ろうとする人間の浅ましさとの戦いでもあった。それにしても概念上の「毒」でいいはずのものを わざわざ「ヒ素」と特定するのには何か意味があるのだろうか。私は現実の事件を連想して少し暗い気持ちになった。

そして10号は自分が誕生した意味と、この旅の目的を見つける。クリスや その兄弟たちが同時期に出発したのならば、最後の数ページは本書の10年後ぐらいの話になるのだろうか。


26話。ある日、オデットは天才科学者オーウェン博士の最高傑作アンドロイド・トラヴィスと会う。プライドの高い「俺様ロボット」であるトラヴィスにオデットは自分からロボットであることを話す。だがトラヴィスは それを信じない。ロボットというにはオデットは あまりに表情が豊かだからだ。それにしても以前からそうだったが、ロボット⇔アンドロイドの用語の不統一が気になるなぁ。

オデットは心音の有無で人かそうじゃないかを判断しているが、トラヴィスはオデットが名乗るまでオデットがロボットである可能性を考えてもいない様子。これは能力の差なのか。

ラヴィスの目的は花嫁探し。朝生・柚木村に続くオデットの相手候補なのだろうか。そうなると一番 オデットに相応しい相手と言える。

なんとトラヴィスは いわゆる「ロボット三原則」を搭載していないので人を暴力的に傷つけることも厭わない。国際条約とかないのだろうか。だがトラヴィスはオデットが身を挺して人間を守る姿を見て、彼女がロボットであることを初めて理解する。そしてオデットも出会ったロボットの中でトラヴィスが一番 人に近いと感じていた。自分に匹敵するトラヴィスがオデットのお気に入りになるのだろうか。


27話から久しぶりにクリスの帰還する。そして この頃、オデットに再び携帯電話の所有欲が湧いてきていた。

吉沢博士は友人の博士の研究所で修理をしていたクリスを迎えに行く。自力で修理せず、友人の所へ持っていく理由は不明。その友人がクリスを作ったのなら別なのだが、なぜ博士が出来ないことを友人博士が出来るのだろうか。

その研究所で出会ったのがオーウェン博士。そして彼こそがクリスの製作者だった。ただしクリスを自爆テロの道具として使ったのは別の組織だという。オーウェン博士はオデットを自分に譲るよう吉沢博士に提案する。用意した金額は100億。

オデットは高性能で市場価値がある。人が お金のために動くのはクリス10号の話で描かれた。

その話をオデットは物陰から聞いており、博士に捨てられる予感に震える。なぜなら自分は携帯電話を巡って博士に暴言を吐き、そして博士からも我儘だと叱責されたから。上述の通り、ロボットたちは自分の存在の肯定感が薄弱。人に廃棄されるかもしれないという恐怖が常にある。

しかし博士は その話を蹴ってくれた。こうしてクリスも戻り、3人での生活が再開する。オデットは博士に作られたことや、そしてクリスは博士を標的としたことは幸運という他ないだろう。相手がロボットであるから人の場合と態度を変えたりしないという点では博士と朝生は似ているのかもしれない。


28話オーウェン博士はトラヴィスとオデットの融合を試みて、究極の人工生命体を生み出すのが夢だという。オーウェンは吉沢博士にも私淑しているみたいだし、ストーカーのようになるのだろうか。

一方、吉沢博士の家出は、クリスが人の心を理解できずオデットが腹を立てる。クリスは初期化したのか、というぐらい『1巻』のような言動である。そして この時のオデットは幼い弟の行動に業を煮やす姉のような感じである。だが仲直りのための買い物に行ったが、クリスは問題の本質を理解していない。その理解の及び方の違いが2人の問題になる。

そんな2人の心の距離が出来た時に現れるのがトラヴィスだった…。


29話。オデットと一緒に入った喫茶店で、トラヴィスはオデットの食事機能に驚く。対抗意識から しなくてもいい食事を試みるが、トラヴィスは不具合を起こす。オデットが看病する手も、自分と渡り合える性能も、そして独創的な会話もトラヴィスはこれまで感じたことがなかったもの。

オデットに先に帰れと言われたクリスは その命令を果たすために家路を急ぐ。途中で車に轢かれても家に帰ろうとするクリス。それを目撃した朝生にクリスはタクシーで帰され、そして朝生はオデットがクリスを見放したことを、そしてクリスを放置してトラヴィスと遊ぶオデットを非難する。

朝生のキツい言葉にオデットは涙目になる。オデットは再び相手の立場に立つことを忘れていた。これは『3巻』の遊園地回で学んだことではなかったか。なんか同じ話題が繰り返されている気がしてならない。面白くなりそうで それほど面白くなりきらないのが本書の大きな欠点か。