《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

少女漫画 感想リスト(ライト版) 著者名順

著者名順
※ 各巻の感想は、リンク先のページから お読みいただけます。

・書名の前に がある漫画は 特にお薦めです。

青木 琴美あおき ことみ
・僕は妹に恋をする 基本データwww.wwwbestlilium.com

赤瓦 もどむあかがわら        
・兄友 基本データwww.wwwbestlilium.com

アサダ ニッキ
青春しょんぼりクラブ 基本データ
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星上くんはどうかしている 基本データwww.wwwbestlilium.com

アルコ・河原 和音かわはら かずね(共著)
俺物語!! 基本データ
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いくえみ 綾いくえみ りょう
プリンシパル 基本データ
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池山田 剛いけやまだ ごう
・うわさの翠くん!! 基本データ
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和泉 かねよしいずみ       
・ダウト!! 基本データ
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岩本 ナオいわもと     
町でうわさの天狗の子 基本データwww.wwwbestlilium.com

宇佐美 真紀うさみ まき
・ココロ・ボタン 基本データ
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大詩 りえおおうた りえ
・猫田のことが気になって仕方ない。 基本データwww.wwwbestlilium.com

小畑 友紀おばた ゆうき
僕等がいた 基本データ
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北川 夕夏きたがわ ゆか
・影野だって青春したい 基本データwww.wwwbestlilium.com

桐島 りらきりしま     
・世界の端っことあんずジャム 基本データ
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金田一 蓮十郎きんだいち れんじゅうろう
ライアー×ライアー 基本データ
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くまがい 杏子        きょうこ
・放課後オレンジ 基本データ
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呉 由姫 くれ ゆき(原案:ルビー・バーティー
金色のコルダ 基本データwww.wwwbestlilium.com

幸田 もも子 こうだ ももこ
ヒロイン失格 基本データ
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小玉 ユキこだま ゆき
坂道のアポロン 基本データ
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月影ベイベ 基本データwww.wwwbestlilium.com

小村 あゆみこむら    
・ミックスベジタブル 基本データwww.wwwbestlilium.com

酒井 まゆさかい    
・ロッキン★ヘブン 基本データ
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咲坂 伊緒さきさか いお
ストロボ・エッジ 基本データwww.wwwbestlilium.com
アオハライド 基本データ
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栄羽 弥さこう  わたり
・コスプレ★アニマル 基本データ
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佐藤 ざくりさとう      
・おバカちゃん、恋語りき 基本データ
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椎名 軽穂しいな かるほ
君に届け 基本データ
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末次 由紀すえつぐ ゆき
・エデンの花 基本データ
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タアモ
たいようのいえ 基本データwww.wwwbestlilium.com

高須賀 由枝たかすか ゆえ
グッドモーニング・コール 基本データwww.wwwbestlilium.com

田中 メカたなか    
キスよりも早く 基本データ
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ぢゅん子ぢゅんこ
私がモテてどうすんだ 基本データwww.wwwbestlilium.com

椿 いづみつばき いづみ
親指からロマンス 基本データwww.wwwbestlilium.com

桃森 ミヨシとうもり みよし
ハツカレ 基本データwww.wwwbestlilium.com
悪魔とラブソング 基本データ
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時計野 はりとけいの はり
・お兄ちゃんと一緒 基本データwww.wwwbestlilium.com

南波 あつこなんば あつこ
スプラウト 基本データwww.wwwbestlilium.com
・隣のあたし 基本データ
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葉月 かなえはづき     
好きっていいなよ。 基本データwww.wwwbestlilium.com

八田 鮎子はった あゆこ
オオカミ少女と黒王子 基本データwww.wwwbestlilium.com

葉鳥 ビスコはとり      
桜蘭高校ホスト部 基本データ
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春田 ななはるた    
・スターダスト★ウインク 基本データ
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晴海 ひつじはるみ      
・斎王寺兄弟に困らされるのも悪くない 基本データ
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樋野 まつりひの     
とらわれの身の上 基本データ
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平間 要ひらま かなめ
ぽちゃまに 基本データ
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福山 リョウコふくやま       
悩殺ジャンキー 基本データwww.wwwbestlilium.com
モノクロ少年少女 基本データ
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藤沢 志月ふじさわ しづき
・キミのとなりで青春中。 基本データwww.wwwbestlilium.com

星森 ゆきもほしもり      
ういらぶ。 基本データ
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みきもと 凜     りん
近キョリ恋愛 基本データwww.wwwbestlilium.com
きょうのキラ君 基本データ
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水野 十子みずの とおこ(原案:ルビー・バーティー
遙かなる時空の中で 基本データ
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水瀬 藍みなせ あい
・なみだうさぎ 基本データ
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・ハチミツにはつこい 基本データ
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水波 風南みなみ かなん
・レンアイ至上主義 基本データ
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南 塔子みなみ とうこ
・360°マテリアル 基本データwww.wwwbestlilium.com
・ReReハロ 基本データ
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森下 suuもりした すう
・日々蝶々 基本データ
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山田 デイジーやまだ     
・初恋はじめました。 基本データ
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山田 南平やまだ なんぺい
・空色海岸 基本データ
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やまもり 三香やまもり みか
ひるなかの流星 基本データ
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吉住 渉よしずみ わたる
ミントな僕ら 基本データ
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ちとせetc. 基本データ
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ろびこ
となりの怪物くん 基本データ
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僕と君の大切な話 基本データ
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渡辺 あゆわたなべ あゆ
・L♥DK(エルディーケー) 基本データ
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太陽みたいな大也は時折 北風のように冷たく、北風対応の壱は時折 太陽のように温かい。

パフェちっく! 2 (マーガレットコミックスDIGITAL)
ななじ 眺(ななじ ながむ)
パフェちっく!
第02巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★(6点)
 

近頃、大也のことが気になる風呼。けど大也は女の子が大好き! そんな大也に風呼はフクザツな心境。一方、壱は一見クールだけど、元気な風呼に少しずつ打ちとけてきた様子で…!?

簡潔完結感想文

  • 好きになるほど近くて遠い存在。本気の心を見せたら そこで終了ですよ。
  • 風呼を直接的に協力してくれる大也。間接的な縁の下の力持ちになる壱。
  • 最初に風呼と熱愛報道が出たのは壱⁉ 表情が緩むのは君が目の前にいる時。

三角関係の二辺の距離を同じにする努力が見られる 2巻。

『2巻』も まだまだ壱(いち)と大也(だいや)、それぞれの長短を見極める内容である。
風呼(ふうこ)の恋心は確定したのだが、告白したら失恋は確定的で、
どうしても 恋の相手・大也に踏み込むことは出来ない。

大也にとって女性との付き合いは常に遊びでなくてはならない
女性が本気であると判断した時点で、その女性を冷淡に突き放す。
そんな実例を見てしまった風呼は、早くも身動きが取れなくなる。

近づけば傷つき、でも側にいると どうしても惹かれる魅力を持つ大也。
なかなか魔性の男である。
攻略が難しい彼をどうやって攻略していくのかが見物である。

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壱はいつも風呼の恋心の輪郭を鮮明にしてくれる。壱には「スキ」が分かるのか⁉

一方で壱は、嫁をいびる姑であり、風呼の味方でもある。

風呼の変化に常にいち早く気付き、
時には嫌味も交えながらではあるが、彼女が この恋を完遂するように奮い立たせる言葉を送る。

聡明な壱には、大也に関わって泣く未来が見えているから意地悪も言うけれど、
誰よりも風呼のことを認めているから、彼女を応援もする。
そんな嫁と姑(というよりは小姑か)の複雑な心境が入り交じったバトルも見物である。

どうして自律と自己責任を重んじる壱が、風呼に手を伸ばすのかが分かるのは少し先の話。
ミイラ取りがミイラになってしまうのである。

一方(大也)で打つ手がなくても、
一方(壱)がフォローしてくれ、彼との距離は着実に縮まる。

そうやって人の関係性が常に流動的だから、読んでいて飽きないのだろう。

大也にしても やはり一緒にいると惹かれてしまうのは読者にも伝わる。
今回も大也と一緒に行動したり、また3人での共同作業があったりと、
彼らが相互理解を深めるイベントが満載である。

『1巻』の感想でも書いたが、読者の受けや好反応を狙うばかりの展開ではなく、
ゆっくりと作品を育てようという時代の大らかさを感じる。

エピソードを重ねて、二辺の長さが均等な三角関係を成立していったからこそ、本書は面白いのだ。
特に壱の分かりにくい風呼への態度・アプローチは、前半のゆっくりとした展開がなければ成立しなかった。
キャラ付けが山盛りのグイグイ系ヒーローには絶対出せない奥ゆかしさがある。
マーガレット系の漫画が私には相性がいいのだろう。


に指摘されて自分の大也への恋心を鮮明にしていく風呼。
この時の壱は客観的視点を持つ、もう一人の風呼の人格のようである。
風呼が大也と傷つかない適切な距離を保てるのは、壱の助言によるものも大きい。

そして壱が風呼の気持ちの変化に気づくのは、
敏いからなのか、それとも風呼を観察しているからなのか。

また恋愛相談を通して小森と大林との距離も一層 近づく。
彼女たちがいるから、風呼が男に寄り掛かってばかりの人間に見えないようになっている。


いで起こるのは、勉強回ならぬ締切回。
漫画家である風呼の姉の締め切りが早まり、壱と大也にも応援を頼む。

ここで初めて壱と大也が風呼の家に上がる。
恋をしている風呼にとっては、自分の家に好きな人がいるのは喜ばしい光景。
ご近所ならではの役得である。

何とか徹夜をして、早朝には完成の目途がついた。
徹夜をしたことがない大也は即ダウンして、風呼の家で寝てしまう。
これまた彼の寝顔が見られるというキュンキュンの場面。


大也との共同作業は続き、アパートの敷地内に犬が捨てられて、飼い主を探すことになった。

壱は正論でシビアに現実を諭すが、風呼と大也は前向きに行動をする。
しかし大也に捨て犬の話を通したのは壱であり、
彼が飼い主を捜すポスター作りも協力してくれたことを後で風呼は知る。
壱の優しさはいつも見えにくいが、それが風呼にも分かってくる。
壱もまた彼なりに心配をして間接的な協力はしてくれているのだ。

飼い主探しを諦めそうになる風呼を鼓舞するのは大也。

やがて飼い主が見つかり、風呼は全身で喜びを表し、
その姿に大也も、そして壱も感情を動かされる。

風呼が2人の男性に惹かれるだけでなく、2人の男性も風呼に惹かれていく。
この引力の作用が作品の面白さに繋がる。


呼はクラスメイトにさえ無表情だと誤解されている壱をもっと広めたい。
ただし壱に表情が出るのは風呼の前だけなのだが。

放課後、窓際で風呼が壱と会話していると、カーテンが風に舞い、
2人がカーテンから出てくるところを目撃した生徒たちに それが「カーテンキス」だと誤解される。

その噂は大也にも伝わってしまうが、否定は一瞬で終わる。
それよりも風呼を傷つけるのは、大也にとってのキスの価値、
そして女性と「つきあう」ことを頑なに否定する大也の価値観だった。

大也と話していると、風呼はゴールが果てしなく遠いことを実感させられる。

ある時、大也に告白してきた人に、彼は冷淡な態度を取った。
その理由は その女性が本気だったから。
告白は、彼との関係の終焉を意味するのであった。

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風呼の気持ちを知らないとはいえ、また女性の恋心を切りつけている大也。確かに女性の敵だ。

大也の言葉を聞き落ち込む風呼に気づくのは壱。
相変わらず風呼には欠如した冷静さと理知的な意見を述べてくれる。
それによって助けられた風呼はまた前を向く勇気を貰う。

この辺りの壱は何をやっても おいしいポジションですね。
風呼の友人でも気づかない彼女の表層上の嘘の笑いに ただ一人 気づくなんて!!
壱の笑顔は風呼しか知らないし、壱もまた風呼の本当の笑顔を知っている。
なんて素敵な関係性なのだろうか。

彼が恋愛に参戦した時にどうなるか、今から楽しみ。
早く戦争にな~れ。

「ハッピーしてる?」…
高い壁を隔てて名門私立高校と隣接する自由な気風の高校生・あを。
自作の服を校内で売る彼女が、隣の高校の お坊っちゃん・雪之丞(ゆきのじょう)と出会う。

この壁はロミジュリか、ベルリンの壁か、愛の不時着か。
作者自身もツッコんでるが、この壁は耐震性がなさそうである。
そして このブロックの積み方だと、通り抜けている間に、上のブロックが落ちてきそうで怖い。

服を作れる あを が、隣の高校の制服に似せた服で学校に潜入する場面も、
所詮それがイミテーションだと痛感し落ち込む場面も本書ならではの展開。

雪之丞は学年主席で、名門校の授業についていけないという訳ではない。
それでも彼は自由を求めて自分の壁を乗り越えようとしているところが良い。

『パフェちっく!』本編もそうですが、
主人公の髪型や、ファッションへの気合の入れ方をみると、矢沢あい さん『ご近所物語』を連想する。

作者と読者と出版社が じっくり育てた三角関係。結末ではなく、その過程を楽しむべし。

パフェちっく! 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)
ななじ 眺(ななじ ながむ)
パフェちっく!
第01巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★(6点)
 

風呼は明るく元気な女の子。ある日、アパートの上の部屋に引越してきたクールな壱と、悪ガキ大也。第一印象サイアク! しかも同じ学校だなんて風呼の高校生活どうなっちゃうの!?

簡潔完結感想文

  • 高校入学の前日に2人の王子がアパートの上の階に降臨。ご近所物語 開幕。
  • 壱。人の心を持たない優等生ロボット。ヒロインとの出会いが彼を変える⁉
  • 大也。優しいが愛を知らない女たらし。ヒロインとの出会いが彼を変える⁉

なら1つの人格に統一されそうな2人の王子、の 1巻。

2000年連載開始なので、現在2021年からすると20年以上の前の作品となる。
確かに主人公は最後まで携帯電話を持たないなど時代を感じる(多分)。

同時に、少女漫画を取り囲む のんびりとした雰囲気を感じた。
本書は最終的に発行部数が500万部を超えたらしいが、
最初から売れていた訳ではなさそうで、徐々に知名度と人気を獲得していったと思われる。
ここに雑誌や読者が作品を育てているような印象を受けた。

そこから20年以上経過した21世紀の世の中は面白いメディアが溢れ過ぎていて
少女漫画も「1話切り」されない努力ばかりに注力しているような気がする。
だから強烈なキャラ(特にヒーロー)ばかりが生み出されるのだろう。

今の時代だったらインパクトを重視するために本書のヒーロー、
いとこ同士の新保 壱(しんぽ いち)と新保 大也(だいや)の2人は、
ドSクールと女たらし と極端に性格は誇張され、更に1人の人間に統合されていたかもしれない。

ヒロインにしても、こんなに元気キャラの主人公は21世紀では珍しいかもしれない。
21世紀になると女性側も性格がねじ曲がっていたり、
恋を簡単に始められないキャラ付けがされることが多い気がする。

本書では、それぞれのキャラクタを主人公の風呼(ふうこ)目線で
少しずつ理解していく時間が与えられており、
彼女が2人の男性に少しずつ好意を積み重ねていく様子が しっかりと味わえる。

特に『1巻』は文字通り、日一日と変化していく3人の心境が楽しめる。
人物像だったり好きという気持ちの土台が強固であれば長編化にも耐えられるのです。
本書は古い、と思う部分もあるが、古き良きという部分も それ以上にある。

彼らとの三角関係以外に派手な展開はないが、ここまで支持されたのは、
どちらのヒーローも魅力的に映って、読者が風呼の気持ちに共感できるからだろう。

500万部売れた漫画だが、幸運にも どちらの男性とのエンディングか知らないままだったので、
全22巻の長編作品だが、最後まで楽しく読むことが出来た。
ただ20巻以内でまとめても良かったのかな、とは思う。
三角関係継続のために、登場人物の気持ちを不明確にし過ぎで、
結果的に作品も登場人物も得をしない展開になってしまったように思う。

一番 時代を感じるのは本の そで の作者コメントの後の「…と語ってくれた ななじ眺先生」という定型句。
これは文字数を確保するためなのだろうか。
以前 読んだ「りぼん」作家さんが、これを書かれるのが嫌で、
文字数の上限ギリギリまでコメントを考えるって書いてましたね。

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イトコ同士だが似ていない壱(右)と大也(左)。彼らの対比で物語が味わい深くなる。

校入学を翌日に控えた日、亀山(かめやま)風呼が住むアパートの上の階に
新たな住居者が引っ越してきたところから物語は始まる。

それが同じ年、同じ高校に通うことになる、
父親同士が兄弟だという イトコの壱と大也であった(名前の順・登場順)。
両親が中国で事業を始めたため、イトコ同士でアパートで2人暮らしとなったようだ。
風呼の一家が4人で住んでいる場所に男子高校生が2人だけ。
この悲しい経済格差は実は2人が良いとこの坊っちゃんであるからである。
表立って語られはしないが、どちらを選んでも玉の輿コースなのだ。


彼らの性格は二者二様で、壱は近所の子供の質問を平然と無視し、
風呼が それを咎(とが)める際に、彼の持っていたマグカップを割ってしまい激昂されてしまう。
後に壱には年の離れた妹がいることが判明するが、その事実と、子供が好きかどうかは別問題らしい。

一方で大也は子供とも遊んでくれて、早くも人気者になるが、
彼の顔や身体には、引っ越す大也との別れを惜しむ女性からのキスマークが複数 残っていた。

そんな2人との初対面に印象を悪くした風呼は、彼らと一緒に登校することを拒否。
風呼らしくないし、何もそこまでという拒否の仕方だが(特に大也は風呼に害はない)、
これは この後の大也の大らかさと、風呼が反省するために必要だったのだろう。


日、入学した高校では より苦手な壱と同じクラスの隣同士。

ここで風呼は自分が原因で割れた壱のマグカップの謝罪をする。
この時に風呼が引っ越し業者の段ボールに入れてない そのマグカップが、
壱にとってどれだけ大切かを類推できているところが風呼の長所となる。
成績は悪いらしいが、風呼は こうやって人の心を思い遣れることが早くも判明する。
こういうエピソードの積み重ねかたが人物に立体感を与えるのだ。

だが下校時の大雨で壱に助けを求めても彼は知らぬ存ぜぬ。
自分は自分の制服で雨を除け、走って帰宅してしまう。

冷たいように思えるが、全巻読了しても、これが壱らしいと思ってしまう。
風呼が勝手に夢想していた、自己犠牲で風呼を守る壱なんて壱ではない。
自分で自分を強く律している彼だから、自己責任の意味をしっているのだろう。

一方で大也は入学早々、放課後に女子生徒と学校内でキスをしていた。
それを目撃した風呼と目が合った大也は、彼女を犬のように手で追い払う。
それぞれに一長一短のイトコたちであった。

しかし大也は誰とキスをしていたのだろうか。
大也は転校生みたいなもんだから誰も知り合いがいないのに、
出会ったその日にキスを我慢できない男女が2人いる学校って…。

ちなみに入学初日から風呼の友達となる小森(こもり)と大林(おおばやし)が登場している。
彼女たちは風呼の良き相談役である。
この2人が本格的に自我を持ち動き出すのは、物語が少し停滞してから。
脇役たちが動き出すことが、行き詰まりの証明みたいで少し悲しいものがある。


学初日に雨に打たれたため、高校生活2日目で学校を欠席する風呼。
早くも風邪回である。
もしかして2話目にして全22巻の中で唯一の風邪回かな?(違ったら訂正します)

風邪を引いたのは風呼だけじゃなく、大也も同じ。
意外にも壱だけが身体が丈夫らしい。
精神力や知力で己を律しているのだろうか。

同居する姉がいる自分とは違い、家で一人ぼっちの大也は風呼より軟弱なのか風呼に助けを求める。
そこで大也に薬とお粥を持っていくことで、風呼が新保家に初めて足を踏み入れることになる。

きっと同じ間取りだろうが、他人の家に入ることは距離が近づくということでもある。
まだ引っ越し作業中で荷物の片付かない部屋で、彼らのことを少しずつ知っていく風呼。

大也は女性とつきあったことがない。
それを風呼は「きっと 本気でヒトを好きになったことがない」と推察する。

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女遊びの激しさ と その後の更生はヒロインに本気になったことが分かりやすくて便利である。

そして壱の部屋には風呼が割ったマグカップが接着剤で修復されていた。
「すてるつもりだった」という壱の言葉は嘘で、風呼のための気遣いの言葉であったことが分かる。
このマグカップの来歴が分かるのは随分と先のことである。
そして読者にとって見たくもない代物だと思われる(苦笑)

第2話でもイトコたちの魅力が満載。
大也は にくめない人柄で、風呼も言うことを聞いてしまう。
壱は、帰宅した際に玄関に女物の靴を発見し(風呼の物なのだが)、
大也に気を遣って、女性が出て来るまで玄関で待機していた。

これは同居にあたっての2人で取り決めたルールなんだろうか。
その前は それぞれの家族と一緒で、2人は別の家庭にいたんですよね?
壱が、大也が女性を連れ込むことに反対しないのは意外ですね。
自分の部屋に入られなければ、我 関せずなのかな(風呼は勝手に部屋入ってたが…)。

そして壱は風邪を引いた大也のリクエストの品をちゃんと買って帰ってくれていた。
大也看病の礼として風呼に渡したのが、大也の物なのか、
それとも風呼用に別で購入したのかは不明だが、意外と人に気を遣って生きていることが分かる。


校生活3日目は風呼は無事に登校し、席替えが行われ、
壱がクラス委員の級長になっていたことを知る。

どうやら1年の1学期はクラスの成績トップの人がなるらしく、壱の賢さの証明でもあった。
ちなみに風呼は合格ライン ギリギリ。

壱が級長として遠足の説明中、クラス内が少し荒れる。
それに助け舟を出したのは風呼。
ここは彼女の優しさと、そしてそれに気づく壱の場面である。

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風呼が壱の良さに気づくように、壱も風呼の良さを知っていく。北風と太陽のような笑顔である。

壱の風呼に対する態度は少し柔らかくなり、
そして逆に下校時に会った大也は女性問題を巡り真剣な顔をする。
いつもと違う2人の顔が風呼の印象に強く残る。
対比が上手いですね。

一瞬、大也は訳アリっぽい雰囲気を出しましたが 結果的には特に何もなかったような。
女性を深く愛せないのは家庭環境(特に母親の愛の不足)に問題がある、というのが私の持論だが、
大也は特に過程に問題がある訳でもなく、天然のたらしである。
だから後半の彼は、特に劇的な問題が起きないまま、性格が真面目になっていく。
トラウマ設定も面倒臭いが、なし崩しに性格が変わるのも分かりにくさが あるんですよねぇ…。

ここは多くの女性から風呼を見つける大也と、
たった一人の女性だけを見つめる壱、という対比だけの設定だったのかな。


足でも事件は起きる。
壱と大也の分も合わせて3人分のお弁当を持ったせいで、ドブに足を突っ込む風呼。
(何とも20世紀展開だが、将棋の藤井さんだってドブに落ちたっていうし…)

それを素通りするのが自己責任型の壱、
看過できなくて一緒に家まで戻ってくれるのが大也である。
ここもまた上手い対比となっている。
1話の雨もそうだったが、壱の読者人気などお構いなしに、彼らしい行動を取らせる作者の勇気が凄い。

だが家に戻ったために クラスメイトを乗せたバスは出発してしまい、彼らは電車で追いかけることになった。
この時、壱はギリギリまでバスの出発を遅らせてくれたらしい。
大也は直接的な胸キュン、壱は間接的と、ドキドキさせてくれるポイントも違う。

この遠足に合流するまでの一連の流れで、風呼は大也のことが気になり始める…。


足後に回覧板を渡すついでに新保家にお邪魔する風呼。

部屋が片付いていることで、彼らとの初対面からの時間の経過と
男所帯の内情を垣間見ることになる。

料理など家事は ほとんど大也の担当。
壱はふんぞり返ってるだけ。
これは得意不得意の問題であって、彼らは納得している。
そして壱も 大也の家事の間は、自分のことを何もせずに ふんぞり返るのが決まり事らしい。

風呼は芽生えつつある恋心を壱に見透かされ、
そして「あいつは お前には無理だ」と嫌味まで言われてしまう。

やな奴 やな奴 やな奴!
冷たさの中に温かさがある壱、温かさの中に冷たさを潜ます大也。
風呼が恋に落ちるのは、果たして…。


者は本書の連載時には既に1児の母だが、
風呼の髪型を毎回凝ったものにしたりと、作品に対する力の入れようは若手作家である。

夫が妻の仕事のために専業主夫になったりと、
一家を支えるという責任感が、作品の隅々まで神経を行き渡らせたのだろうか。
そして その努力によって人気作家になったのだから感心するばかり。
これからも作品を追い続けたいと思います。

「フリル」…
男嫌いを演じてガサツに振舞う新名(にいな)ゆう。
親友との関係を第一にしている彼女に、かまってくる男子・瀧(たき)がいて…。

登場人物たちが皆 繊細かつ粋な心を持っている点が素晴らしい。
ゆう は同じ孤独を味わう恐怖に打ち勝つほど親友の桂(かつら)ちゃんを大切に思っている。
瀧は、ゆうが自分の魅力を下げていても その魅力に気づいた。
(さっぱりした女性が好きという疑惑もなくはないが…)
桂ちゃんも ゆう のために道化になる優しさを持っている。

そういえば咲坂伊緒さん『アオハライド』の主人公も 同じような過去を持ってましたね。
同性から やっかまれるのは容姿が優れている証拠でもある。