《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

少女漫画の主人公 彼氏が女性と話すの許さないのに 自分は男子と話す ダブルスタンダード。

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八田 鮎子(はった あゆこ)
オオカミ少女と黒王子(おおかみしょうじょとくろおうじ)
第11巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★(6点)
 

修学旅行に向けて準備を始めるエリカ達。エリカは修学旅行のお小遣いを貯めるため、バイトを始めることに。するとバイト先には中学生時代、エリカに告った寺崎が働いていた! 一方、佐田くんは優等生の女の子・河西さんと修学旅行の準備委員をするハメになった。修学旅行準備が進んでいくうちに、河西さんは佐田くんに対して興味を持ち始めた。更に寺崎もエリカのことがまだ気になるようで…。徐々に一緒にいることも少なくなった佐田くんとエリカ…。果たして、2人はこのピンチをどう乗り越えるのか!?
【収録作品】君を好きになった理由

簡潔完結感想文

  • 待ち合わせに遅れて現れたエリカは高熱でヘロヘロ。恭也が看病することになった一日のお話。
  • 修学旅行の準備のために恭也は実行委員、エリカは資金を確保するためにバイトを始めるが…。
  • 恭也は委員が同じ河西と、エリカはバイト先で元同級生のテラぽん と交流を深める。W嫉妬。

学旅行の準備に 1と1/2巻分消費する 11巻。

高校生活で最大のイベント修学旅行の前にエリカと恭也(恭也)の恋愛に一波乱 起こそうという作者の意図なのか、出発まで随分かかります。

作者の傾向として新キャラを投入すると丁寧に そして贅沢にページを使いますよね。

バレンタインの前後にエリカと急接近した1年生の時のクラスメイト・日下部(くさかべ)回(『3巻』
かつてウザキャラの極致だったクラスメイトの神谷(かみや)の初登場回(『4巻』)、
エリカの いとこ にして恋のライバルになったレナとの恭也を巡る女の戦い(『7巻』)。

そして この『11巻』でも前例に漏れず巻をまたいで、じーっくりと じれったいほどに「嫉妬」という心を炙り出す。

こうして並べると横恋慕回は、3 ・7・11巻と4巻ごとにやってくるんですかね…。

ということは次回は15巻か?(多分なかったはず)


回は、W(ダブル)。W不倫・浮気ならぬ、W嫉妬。

エリカは、恭也と同じく修学旅行実行委員になったことで急速に距離を縮めるクラスメイト・河西(かさい)に、
恭也は、エリカが修学旅行の資金を貯めるために始めたバイト先で再会した中学の同級生・寺崎(てらさき)に、
それぞれ嫉妬するのだった。

W嫉妬になったからといって、内容の面白さが倍増するかといえば、そうではないのが辛いところ。
新キャラを使って すれ違いを描いても、結末まで察しがついてしまう。
そうなると、ただただ長い話でしかない。
しかも、エリカの嫉妬は逆恨みに近いというか、独占欲でしかないから一層 辛い。
この巻で終わらせてくれれば まだ傷は浅かったが新キャラに優しい謎の思いやりが巻をまたがせてしまいます…。

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(左)恭也と同じく修学旅行実行委員の河西さん。 (右)エリカと同じバイト先の仲間となった元 同級生・寺崎。

通常の何気ない日常の『サザエさん』的内容か、
どちらか、または両方が横恋慕される内容か、2つのパターンでお送りしてますね。

作者なりの マンネリからの脱却・テコ入れなんでしょうけど、こうも定期的にやられると辟易しますね。
しかも後半になればなるほど、2人の関係は強固になっている(はずな)ので、
今更、嫉妬の問題を取り上げるのも、そして それに2人が揺さぶられるのも不自然になっていく。


しかして、こういう嫉妬や横恋慕のエピソードを挿む余地を残すための、
2人が性行為をしないまま なのか、と勘ぐってしまう。

少女漫画にとって性行為は最高到達点で、
確固たる関係を結んだ後で、浮気や新たな横恋慕は読者への裏切りにも繋がり、
余程の覚悟、そして必要性がなければ許されないことだろう。

だからなのか、エリカと恭也は前巻『10巻』で互いに 次のステップに進むことを了承しながらも まだ進んでいない。
前回は友人たちに邪魔されたが、それからも機会は作ろうと思えば いくらでもあったはずだ。
エリカは四六時中一緒にいたい人だし、この後も デートは重ねている。
ましてや恭也は一緒に暮らす父親は留守がちの一人暮らしも同然の環境で、金欠だって場所だけはある。
あれだけ自分に魅力がないのかと悩んでいたエリカも、恭也側の緊張を理解したら心理的に満たされてしまったのか文句すら言わない。

これが2人らしい速度なのかというフォローも出来るが、
2人の関係に波乱を巻き起こしたい作者の作為によって、足踏み状態を余儀なくされているのかな、
と エリカたちを憐れんでしまいますね。

そして心理的距離は限りなくゼロに近づいてきた これまでの2人の関係が、勝手にリセットされたようで不快です。


ういえば『7巻』で恭也が文化祭実行委員になったから、エリカも委員に決まっていた女子生徒と交渉して自分が委員になってましたが、今回は失敗しましたね。
再び同じ委員になって恭也と片時も離れないと考えたエリカでしたが、委員となった河西に交渉を申し込むが無下に断られました。

『7巻』の感想でも、とにかくエリカがウザい、と書き連ねましたが、
構造が同じの『11巻』でも、とにかくエリカがウザいです。

恭也もそうですが、エリカも 性格も顔も安定しない人ですよね。
ウザい時は ひたすらウザい方向に振り切ってしまいます。

交際も2年目に突入しているのに四六時中一緒にいたいなんて相変わらずラブラブだなぁと微笑ましく見るよりは、今巻に関してはウザい女だなぁとしか思えない。

『4巻』で神谷の時は孤立しがちな恭也に友達が出来ることを歓迎し、
恭也が神谷を嫌がっても2人の仲を進展させようと画策していたエリカだが、異性の場合は別のようです。
恭也と河西が同じ空間にいるだけで不機嫌になるエリカ。

しかし、自分の場合は異性と同じ空間にいてもOKというダブルスタンダード

そもそも自分の計画性の無さで修学旅行の資金がまるでなく、当てにしていた親のお財布もきつく締められたからバイトを始めることにしたことが発端。
母親の言い分だと過去も ことあるごとに親の財布を頼りにしていた模様。
エリカらしい場当たり的な生き方だと納得する一方、やっぱり好きになれないと再確認。
高校3年生になったから塾に通い始めるのではなく、バイトを始めるというのがエリカらしいですね…。

そうして始めたバイト先で再会したのが中学校の同級生・寺崎(男)。
中学3年生の時に寺崎から告白されているにもかかわらず、3年も前のことと都合よく解釈して、彼とラーメン屋もハンバーガー屋も行ってしまう。

エリカを問いただしても、寺崎は友達、恋愛に繋がることはまるでないと言うだろう。
河西との仲に嫉妬するエリカに恭也が「下心があって初めて 男と女なんだよ」と言っても少しも信じなかったくせに だ。

「恭也くん ちょと河西さんに気ィ許しすぎてんじゃない⁉」
と壁ドンをして詰問するエリカだが、その言葉、そっくりそのままお返しするわ、と言いたい。

一度エリカは痛い目を見た方がいい、なんなら修学旅行前にお別れして、ぼっちになればいい、とさえ思う陰険な私です。
お話は続いて欲しくないのに、次巻に続きます…。


初の一編はエリカが高熱を出し、恭也が介抱する、『1巻』の逆バージョンですね。

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理由は高熱だけど、恭也との自室デートを楽しめた回。エリカのワガママは続く…。

エリカを看病しながら、恭也も寝入ってしまい、午後7時(もしくは8時)過ぎになってしまう。
急いでエリカの家から退散しようとする恭也だが、帰宅したエリカの父親と遭遇してしまう。
父親との対面が、後々の伏線になるみたいです。


「君を好きになった理由」…
ある日突然、同級生の清水(しみず)から告白された柳 千佳(やなぎ ちか)。
自分に自信の持てないネガティブ思考の千佳は素直に信じられないが、少しずつ彼を信じたい気持ちも生まれてきて…。

少々ネガティブだが、スタンダードな恋のお話。
もう少し起承転結の「転」があったら良かったかもしれない。
ネガティブ キャラも分かるような分からないような あるあるの累積だけ。
ここは前例はあるものの、女性の方が背が高い設定でも良かった気がする。

しかし、どうして この短編を この場所に併録したんでしょうね。
ショートカットの長身美女ということで本編の河西さん かと思いましたよ。
似たような造詣の人が続いたため、話が本来の意図とは別の場所で ボヤけてしまった。