《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

黒王子 正体見たり マザコンか 何度も確認 無償の その愛。

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八田 鮎子(はった あゆこ)
オオカミ少女と黒王子(おおかみしょうじょとくろおうじ)
第3巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★(6点)
 

クリスマスに佐田くんからステキな首輪をもらい、気持ちが上がるエリカ。でも年末年始は音信不通で、お預け状態…。待ちに待った新学期。久しぶりに佐田くんと会えたのは嬉しかったけど、休み明けの学力テストでエリカは赤点ゲット! 留年の危機に立たされ焦るエリカ。ところが! 見かねた佐田くんが勉強を見てくれることに。しかも場所は佐田くんのお部屋!!! 思わぬご褒美にエリカのテンションは急上昇するが…!?
【収録作品】ピエロじゃねえよ

簡潔完結感想文

  • 新年 新学期 進級テスト。お勉強回ですね。恭也には眼鏡をかけて欲しかったところですね。
  • バレンタイン回。ネガティブ男子の日下部に調教する様子は、まるでエリカが飼い主のよう⁉
  • 恭也だけに渡すチョコを日下部にも渡して さぁ大変。最終回間際の最後の大ゲンカ(っぽい)。

っぱりママが好き。恭也 マザコン説で 彼の精神構造の説明がつく 3巻。

恭也(きょうや)の性格をマザコン(母を盲目的に好きという訳じゃなく いつも母の背中を求めている)
と考えると、彼の態度のあれこれも何だか理解できてしまう気がするから怖い。

彼の攻撃的な人格も、特定の人間を傷つけてしまう嗜虐性も、
満たされない寂しさの裏返しかもしれない。
彼の望むのは無償の愛、そして打たれ強い女性。
愛を突き通すことが出来たらエリカが彼の特性を変える鍵となるのかもしれない。

自説に乗っかりたい私の偏見がそう思わせるだけで、
純粋な恭也ファンの皆さんには不評を買うとは思いますが…。
『3巻』の感想はマザコン説に全乗っかりで書かせてもらいます。


也は思春期男子に一番近いかなと思いますね。

・わざと母に辛く当たって、無償の愛を確かめる。
・話しかけられるとウザいふりをする。
・普通に会話するのが照れ臭いので、揚げ足や毒舌で自分を守りながら戦う。
・母が同級生や他の男と仲良くしていると不機嫌になる。
・心配性なので少しでも母の帰宅が遅いと悪い想像ばかりして不安だ。

5つの項目全て思い当たる節がある方は、マザコン王子 予備軍、というか恭也です。

主に『3巻』で起こることを書き出してみましたが、
こうやって並べてみると本当に思春期男子のようですね。

ずっと母とは別れて暮らしている恭也は、もしかしたらエリカとの出会いで、
周囲の男子がとってきたような母親への甘えと冷徹な態度を、追体験しているのかもしれませんね。

エリカの無償の愛によって恭也は通過儀礼(イニシエーション)を遂行できているのかも。
恭也が心ゆくまで思春期を追体験を堪能した後、もしかしたら愛に昇華するのでは。
心理学を学んだ人ならば色々と説明が出来そうですよね、恭也の精神構造は。

今は報われないと思うことが多くても、大人になった恭也は愛を与えてくれるはず。
頑張れ エリカ。

そんな恭也が贅沢三昧とはいえ父親と2人だけで旅行に行っていたのは意外でしたね。
ザコン体質の割には父とは良好な関係なんでしょうか。
結局、父は本書で一度も姿を現わせませんでしたね。


でたく飼い犬認定と、その証である首輪(ネックレス)をもらって
恭也との関係が特別で、一段と強くなったと信じられるようになったエリカ。

だが浮かれていたからか、元々の地頭の問題か、進級に影響するテストで散々な点を取ってしまうエリカ。
青ざめているエリカに、恭也が自分の女が頭が悪く留年など恥だということで勉強を教えてくれるのだが…。

いわゆる勉強回ですね。何から何までテンプレートで構成されています。

まず彼女の方が成績が悪いというテンプレ。
これは彼氏が何から何まで自分より上の格として扱うことで、
読者を含めた女性からデキる男として憧憬される方策なんでしょうか。
彼氏が彼女より成績の悪い少女漫画って かなり少ないですよね。御法度なのでしょうか。

そして勉強会と称した部屋という密室での勉強というテンプレ。
エリカの場合は恭也の部屋2回目ですが、2巻の集中講座で お泊りというオプション付き。
これによってエリカの胸の高鳴りは最高潮となります。
(まさか この後 何もないまま 10巻以上経過するとは夢にも思わないだろう)

ただ、恭也先生にオプションで眼鏡が無かったのがテンプレから外れてて 不満ですね。
『2巻』の表紙ではかけてたし、設定としても眼鏡は持ってるはずなのに。

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母親とはぐれた子供のように必死にその姿を探す恭也。虚勢が剥がれています。

雪が積もった訳ではなく、雪が降っただけで停電と断水という謎設定により、
エリカが大雪の中、トイレに行くために外出することに。

なかなか帰ってこないエリカを気に掛ける恭也に廊下で喋る主婦たちの不審者情報が聞こえてくる(壁が薄い!)。
不審者情報で男性が不安を募らせるというのもテンプレですね。

その気遣いが女性にバレるというところまでがテンプレです。お幸せに。
ちょっとテンプレ言いすぎですね(笑)


人たちの行事が嫌いな恭也だが、しっかりこなすのがエリカ。
自分には恋人がいるという幸せをかみしめるために行事を行う、恭也が一番嫌いなタイプの人間だろう。

そんなバレンタインを前にして急接近したのが、クラスメイトの日下部(くさかべ)。
ネガティブで頼りなく、女の子みたいな顔をしてると自分で言い出す美少年。

そんな日下部の、誰かさんとは大きく違う優しい心根に、癒されるエリカ。
彼に自信を持ってもらうために前向きな指南をしていたら、なつかれてしまって…。
今度はエリカが ご主人様状態⁉

そこに登場するのがマザコン・恭也。
自分だけの母(的存在)に近づく男は威嚇して牽制する。

そんな時に、エリカが恭也のためだけに作ったバレンタインチョコを日下部にも渡してしまうから事態は一層ややこしくなる。

その場面を目撃した恭也は相当なショックを受け、エリカには不機嫌な態度を隠さない。
チョコはもらってくれないし、更に日下部にはエリカを慕う以上の感情が生まれて…。

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対外的に弱みを見せられない 王子としての立場を誰か分かってあげて…。

しかし、読み返すと日下部も純粋な良い人とは違うように思えてくる。
自分から女の子みたいな顔などといっているし、エリカからチョコを貰う時の態度もなかなか狡猾に思える。
チョコが貰えないと母や姉がヘコむ、心配をかけたくないとエリカの行動を誘導しているように思える。


分、本書で一番大きな喧嘩は『2巻』で恭也に水を掛けるシーンだったと思うが、
本書で一番 大きな別れの危機はこの場面だろう。

ここでもエリカの ふわふわ と流される感じが悪い方向に出てますね。

厳しい言い方をすれば、恭也の扱いに我慢が出来なくなったというより、
恭也しか相手候補がいない時は甘んじて受け入れる言動が、
日下部という新しい恋愛の目途がついたから、恭也の言動が気に障るようになったのではないか。

ちょっとの間、恋愛を並行させて上手くいきそうな方に乗り換えるという、
恋愛の終わりと始まりにはよく見られる手法です。

『1巻』2話目といいエリカがちょっと移り気なのが気になるところですね。
恭也がエリカに求めているのは無償の愛、母のような絶対的な存在なんだよーと声を上げたくなります。

本書の恋愛は飼い犬とご主人様の主従関係ではなく、
実は飼い犬の愛を確かめずにはいられない 心配性のご主人様の心模様にあるのかもしれない。

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エリカ「オオカミ少女」卒業宣言。飼い犬から人になることで 新しい幸せを手に入れます!

「ピエロじゃねえよ」…
15歳の児玉 ひかり(こだま ひかり)は自称・クラスのお笑い担当。
笑いのためなら恥も外聞も捨てるが、実はクラスメイトに思いを寄せる普通の女子で…。

空気を読むというのは本当に大切なスキルなのか本編と共に考えさせられる一編。
本編のエリカも仲良くなった友人たちとの会話の中でいつの間にか別人格ともいえる嘘の自分を演じていたが、
この読切の ひかり も、自分の容姿やクラスの雰囲気を第一に考えるあまり望まぬピエロになっていた。

ひかり ほど道化を演じていなくても、誰でも冷静なクラスメイト・鳥飼(とりかい)のような存在から、
素の自分を褒めてほしい変な時代ですね、思春期というのは。

ただこのお話の後も、予想としては、三つ子の魂百まで で、
ひかり は新学期が始まったら、結局 笑いに走る気もする。
笑いは麻薬で快感だと思われる。