《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

18年間 両親にお世話になった爽子。12年間 作者からプレゼントが届いた読者。大事にして生きていきます!

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椎名 軽穂(しいな かるほ)
君に届け(きみにとどけ)
第30巻評価:★★★★(8点)
  総合評価:★★★★(8点)
 

感動の卒業式を終え、残るは爽子たちの合格発表──。爽子とくるみ、そして風早のそれぞれの結果は…!? 少女まんがの金字塔はクライマックス!

簡潔完結感想文

  • 無事にみんな大学合格。くるみinでピン・健人outの新生「君届」6人組誕生。
  • 一人また一人地元を去っていく高校生最後の日々。新しい季節は出会いの季節。
  • 風早との関係がまた一つ変わる。君と出会ったあの場所でまた待ってるから。


連載で毎月のように作者から届けられてきたプレゼントもここで終わり。堂々完結の30巻。

まずは何と言っても『1巻』と同じ構図の表紙が良いですね。
ぎこちなく見つめ合う2人から、安心して笑い合う2人への変化も読み取れる。


高校とクラスメイトにお別れをした『前巻』に続いて、親友や恋人と離れ離れになる話が続く。
入試の発表が残っていた風早、爽子・くるみも無事合格したので、晴れ晴れとした気持ちの旅立ちではあるのですが。

爽子の合格祝いにいつものメンバーで、いつもの龍の部屋で集まると風早が爽子を誘った際、爽子は一緒にいたくるみも誘う。
風早の後押しもあり、くるみも参加することに。
家に上がるまえにくるみは、同じ塾に通い苦楽を共にした矢野ちんにおめでとうと伝え、そして矢野ちんと千鶴に1年の時のことを謝罪する。
自分がこの家の敷居を、このメンバーの中に入るために必要な謝罪だったんでしょうね。本当に律儀な人です。
また、くるみは風早と新しい関係の中で話をする機会を得る。
本当にくるみにとって爽子は「ただの親友」なんですね。
ちなみに相変わらず龍は、くるみの名前を憶えていません。
そういえば龍と矢野ちんの会話ってなかったような。名前、言えます…?

また、この6人で集まっている様子がどこかで見られたら嬉しいなぁ。


そんな楽しい時間から間もなく、一人、また一人、新しい生活の地へ旅立っていく。
全ての旅立ちを見送るのは、ただ一人地元に残る千鶴。
離れる方も寂しいが、見送る方も辛いものがある。
ここの千鶴の心境を思うと、もうそこで胸が張り裂けそうになる。

千鶴にとって一番大切な人・龍は別れる際に卒業後の結婚を約束する。
風早も早く身を固めるだろうから、合同結婚式とかどうですか。

そして一番の親友・矢野ちんは一人で黙って出発しようとする。
千鶴が家族に連絡することで先回りできたが、このハードボイルドな感じは矢野ちんっぽいなと思った。
自分も相手も泣いてるところなんて見たくないんですよね。格好つけすぎですよ。


爽子より一足先に入居を決めた風早の引っ越しの手伝いをしに新居を訪問する爽子。
間違いなく誰にも邪魔されない場所で、一日中一緒にいられる喜びに浸る二人。
だが、楽しい時間ほどあっという間で、もう二人は同じ町には帰らない。

二人の仲を進展させるのが爽子の言葉というのが、作品世界を壊さない選択で良かったです。
ここで風早が「帰るなよ」とか部屋で「なぁ、いいだろ」というのは、やっぱり違うと思うのです。
まぁ、爽子の承諾や願望を確認した風早くんの行動も早かったですが(笑)

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乗らなければいけない電車に乗らないという選択をした爽子。
こんな時もメールで一方的ではなく、電話で話して帰らないことを伝える爽子。彼女らしい。
そして神の如き包容力と理解力を持ち合わせる爽子母で良かった。
爽子の買い物もある意味リアルだが、風早の買い物はもっとリアルかもしれません。

肝心の場面は省略されています。
見事な「朝チュン」転換でしたね。正確には夜に同じ布団で寝ている姿ですが。
ここも作品世界に合わせた感じですかね。

描写がカットされているので、何とも言えませんが、
好きな子を下の名前で呼ぶというのは最後までこの世界では肉体関係よりも、特別なこととして扱われます。
ラストの再会の場面ではそう呼び合ってるのかな。
それが自然だけど、リアルタイム読者さんは「風早くん」「黒沼」に身体が馴染むこと30巻ですからねぇ。

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同じクラスの黒沼ではなく、最愛の爽子へ。
結局、一番の肌の露出は『12巻』47話の扉絵の水着姿でしたね(本編未登場)。
こういう点もまた『君に届け』らしいのではないだろうか。
あっ、修学旅行で爽子たちのお風呂シーンはありましたね。
えーっと、何を考察してるんでしょうかね、私は…。


ただ感動という意味では、卒業式のあった『前巻』の方が大きかったかな。
爽子と風早は距離こそ離れてしまうけど、大丈夫だという安心感もありますし。
やはり個人としてより公の卒業式の方が戻れない時間を感じさせたように思えます。

あとは29、30巻と回想シーンが何度もあるので、そう何回も感動の波は押し寄せませんね。
爽子の頭で回想されるシーンを風早からの手紙の時に限定してくれた方が良かったかな。

物語に入りきらないという問題はあるけれど、風早が爽子に合鍵渡すのは、
次に爽子が風早の家に来た時とか、5月の風早の誕生日の際にお返しに渡すとかの方が、嬉しさが増した気がする。
何も手紙と一緒に渡さなくても、と相変わらずの風早の性急さにダメ出ししたい。

あと爽子が高橋さんの爽子観察同人誌を引っ越しの荷物に選んでいる所に感動しました。


気になるのは厳しく育てるも裏で溺愛していた長男が家を出て行った後、風早父はどう暮らしていくのかという点。
マルちゃんの散歩はしてましたけどね。
何かと理由をつけて「来てやったぞ」とかいって風早アパートを週1ぐらいで訪問しそうだ。
車で1時間なんて愛があればどうということのない距離だし。
あとは寂しさ故、次男・透太くんを甘やかして育てちゃう気もする。
そして10年後、次男の育て方を間違えたと自分の不器用さを再び呪うのかな…。
風早母の苦労は絶えませんね。まぁ風早家は実質かかあ天下な気もしますが。


ラストは少しだけ垣間見られる新生活の様子。
健人は相変わらず女性に囲まれている模様。
ちょっと顔の描写が雑で、『進撃の巨人』の巨人っぽくって怖い。

風早は大学でまた本格的に野球をプレイするみたい。
今度は心から野球を楽しめるのでしょう。
大学での爽子は、貞子とは呼ばれなさそうですね。
それが嬉しい気も悲しい気もします。

こうやって私の中で彼女たちの人生はまだまだ続いている。ありがとうございました!

君に届け 30 (マーガレットコミックス)

君に届け 30 (マーガレットコミックス)

  • 作者:椎名 軽穂
  • 発売日: 2018/03/23
  • メディア: コミック