《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

さぁハートを盗む泥棒さん。衆人環視の中からお宝を奪って見せて頂戴。お宝はア・タ・シ。

近キョリ恋愛(2) (別冊フレンドコミックス)
みきもと 凜(みきもと りん)
近キョリ恋愛(きんきょりれんあい)
第2巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★(6点)
 

天才少女・枢木ゆにとイケメン教師・櫻井ハルカ。ふたりが巻き起こす、キケンで笑えるツンデレ☆ラブストーリー!!
天才少女・ゆにとイケメン教師・櫻井は、だれにも内緒の恋人同士。ゆには、自分の誕生日を櫻井に祝ってもらいたかったのに、仕事が忙しい櫻井とすれ違い、友達を家に招待してしまいます。ゆにの家族も登場して、誕生会は大盛り上がり! でも櫻井がいないのは、やっぱりさみしい……。そんなとき、なんと!?

簡潔完結感想文

  • ゆに17回目の誕生日。衆人環視の中でもお宝を奪い去る怪盗ハルカ先生。
  • ゆに父結婚反対宣言。一人の親としての真っ当な意見に賛成する私がいる。
  • ゆに誘拐事件。超能力と酔拳であっという間に解決。そういう漫画です。


1巻読んでついてこられた者だけついてこい。そんなサバイバルツンデレ漫画の2巻。

今巻から形ばかりの第二部(らしい)からか、気持ちも新たに2年生に進級したゆに。担任は変わらず櫻井先生です。
どうやら未婚の身でありながら男の人に生尻を見られた恥辱で自殺に走ろうとするゆにを止めるために放った櫻井先生の「プロポーズ」は有効みたいですね。
なので今巻からゆにと櫻井先生は生徒と教師でありながら婚約者同士にもなったそうです。未成年でありながら…。

より一層いろいろ盛り込み過ぎている2巻です。


冒頭は2年生になったゆにが購入した携帯電話にまつわるお話。
天才なのにゆにが携帯電話に不慣れだという状況が生み出すすれ違いが描かれる。
ゆにの誕生日に、ゆにはクラスメイトとのパーティーと櫻井先生との約束をダブルブッキングしてしまう。天才なのに。
パーティーをきりの良い所でお開きにしたいゆにだが、予想以上に盛り上がり、仕舞いには櫻井先生からはもう帰宅するという冷酷なメールが届く。
そんなすれ違いの解消のために今回もわざとらしく交わされるのが「メールのよくあるわざで(中略)キュンときちゃって ほらあの 空欄つづいてて ずっと下のほうに 言葉はいってるヤツ」という白々しいセリフ。


この名探偵コナンにおける「あれれー?」みたいなわざとらしいセリフの配置はどうにかなりませんかね。
物語の伏線の張り方をもう少しお勉強してほしいものだ。

そういえば「あたしの近恋体験」を読者から募集していたけど、あれは胸キュンエピソード拝借のためなのかと疑ってしまう。
今回の本音は最後までメールをスクロールした箇所に記載する、ってのもそんな感じだ。

でも24歳の櫻井先生がその手法を知っていて、使ってくるのが割とキモいですよね。
思わせぶりな女子かよ。緩急つけて未成年を揺さぶってんじゃないっつーの。

そして、ゆにの不思議な家族の協力のもと、停電に乗じてクラスメイトの前から、ゆにをさらう櫻井先生。
名探偵コナンの次はルパンか怪盗キッドといった趣向だ。

そして何故か学校でセッティングされている二人だけの誕生会でユニは指輪を贈られる。
事実上の婚約指輪ですかね。もう展開が早くて何が何だか…。

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暗闇に乗じて 怪盗はとんでもないものを盗む。
そしてある日、櫻井先生と「結婚してあげる」ことを両親に告げるゆに。
だが父親からは当然のように猛反対を受ける。

この漫画、ゆに側の櫻井先生への好意も共感しにくいし、もっと分からないのが櫻井先生からゆにへの気持ち。
もてあそんでる、と言葉がピッタリ過ぎて純愛などとは考えられない。
それに相変わらず、キメ顔の櫻井先生は顔のラインとかちょっと気持ち悪いです。

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ワカメヘアー増量中の櫻井先生。ツンデレじゃなくキモいです…。
親の反対で一気にロミオとジュリエット状態になってしまった2人のバルコニーでの逢瀬の場面。
ゆには初めて自分からキスをする。が、その直後、衝撃の一言が発せられる…。
櫻井先生はゆに父から言われた通り、自分の幸せはゆにの無限の可能性を狭めてしまうのではないかと思ったらしい。


ゆにが結婚できない未来に悩んでいる時に、櫻井先生の他の女子生徒と手を繋いだり教師ライフを楽しんでいる。
この見せつけもまた最後に種明かし的な理由があるのかと思いきや、何もなし。
何がしたいんですか櫻井先生。
ゆにもまた多くの生徒の一人であると思い知らせるのが目的で、スキンシップは誰とでもお手の物ってか?


そんな中で発生する、ゆに誘拐事件。
ちなみに、ゆにの弟・類(通称・るーちゃん)は不思議な能力の持ち主。
そのるーちゃんが櫻井先生には一度も拒否反応を示さないということが櫻井先生が善人だいう「唯一」の証拠です。
うーん、信用ならんヤツだが信用してやる。
るーちゃんの力と、ゆにの特技により事件はすぐに解決。そして二人の仲も解消。
事件によって、櫻井先生は自分の心の中のゆにの存在の大きさを痛感したらしい。
うーん、こいつは本当に信用していいのだろうか…。


ゆにの読む本の題名でゆにがどの分野に興味があるか推察できますね。
完読してると、こんな時から設定は決まっていたのかと驚く。
もっと場当たり的に連載を乗り切ってる感じがしたので…。


近キョリ恋愛 番外編」…
櫻井ハルカ17歳の時の本気の恋。女性教師と…。因果は回る?
「おばあさんになったって あなたがいいよ」と言っていた人と「別れはすぐにやってきた」。
「理由は僕らの”立場”から」、そして「僕は今 このコに夢中」らしい。
櫻井先生の中に本物なんて一つもありませんという番外編でしょうか。
もしくは今後の伏線です。乞うご期待。


「liner notes」で作者が指摘しているとおり、「2巻のラストのほうは、教師・学校ものというカテゴリーから離れてしまって」いる。
家族にも公になってるし、早くも秘密の恋とか禁断の恋とかそういう雰囲気は薄れてきている。
これ以降も作者はこの欄で作品の方向性について度々謝罪している。
作者の気持ちはずっとコメディとシリアスの間で揺れ続けます。
それは作品をコントロールできていないのか、ネタ切れからの方向転換なのか知らないけれど、良くも悪くも勢いで読ませているみたいだ。