《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

少女漫画版:だめんず・うぉーかー。騙されて上京した先で再び丸め込まれる女。

ちとせetc. 2 (マーガレットコミックスDIGITAL)
吉住 渉(よしずみ わたる)
ちとせetc.(ちとせエトセトラ)
第2巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★☆(5点)

沖縄出身のちとせ、ユキを追いかけて東京に出てきちゃいました! でもユキには長年付き合った彼女が…。傷心のちとせに駿から突然の告白!? 好きじゃない相手とは付き合えないと思っているのに、駿は強引! ちとせ決断の時が近づいています!

簡潔完結感想文

  • 赤石の提案。男の提案に騙されるちとせは純粋? それとも大バカ?
  • ユキと清綾の間には入り込めない世界が。苦しみから逃避するちとせ。
  • 彼氏だから手を出す男と、彼氏でもないのに手を出す男。五十歩百歩。


またまた主人公が男に騙されて品格を損ねていく2巻。批判はこの巻までにしよう、の2巻。

クラスメイトで同じ部活の赤石に交際を申し込まれ混乱するちとせ。
そんな赤石に自分は彼氏が欲しいのではなく、運命の人だと思ったユキを追いかけ上京したのだ、と説明するちとせだったが、逆に赤石に丸め込まれてしまう。
赤石は、ユキには清綾(さあや)という恋人がいる事が分かってこれからちとせは苦しみ続けるのだから、他の男に目を向けろと助言をする。
そしてその他の男こそ自分だと言う。

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またも悪徳ブローカーに 自分の権利を売り渡す⁉
一週間以内に自分を観察して返事をしろという赤石の提案だったが、その期間中にユキと清綾の間には自分には決して入り込めない世界があると目の当たりにしたちとせは赤石と交際する事を決意するのだった…。


再び男に言いくるめられてしまうちとせ。
彼女の人に流される頭の悪さ、考えのなさは特筆ものです。
兄に騙されるように故郷・沖縄に帰る事も出来なくなり東京で生活する事になったのに、その東京でも自らの信念や立場を捻じ曲げてまで過ごそうとするちとせに共感できるところは何もない。

沖縄からユキを追う、という行動力がちとせの魅力だと思ったが、自分に厳しい現実が待ち受けていたらそこから全力で逃亡するような選択をことごとく取るのが腹立たしい。
なにが「ユキくんにも負担かけないためにも 早く彼氏を作った方がいいのかも…」だ。君には男しか追うものがないのか。恥をしのんで沖縄に帰って親御さんを安心させなさいよ。

前述の赤石の誘導尋問で言えば、ユキを想う苦しみだって恋は恋なのだ
。恋人がいる人を想い続けるのは無駄なのだろうか、苦しいだけなのだろうか。「仁菜子ちゃん」を見習えっつーの。

また他の男に目を向けるのなら、赤石である必要もない。
せっかく芸能科のある高校に編入したのだ、ユキにだけ焦点が当てていた視線をずらし、少なくとも学校全体を見渡せば良い。
後述するがユキにも大して良い所は見受けられないし。
なら好みのルックスから選べばいい。
少なくとも赤石は「気に入らない」のなら尚更だ。

作中の世界が「祭部」しかないような閉鎖性も私は、気に入らない。
そして一週間という期限もナンセンス。
秒でユキに一目ぼれしたちとせは言う資格がないかもしれないが、交際を申し込んできた赤石の事情に振り回される理由はない。


多分、赤石の方は頭が回るから己の論理の破綻も分かっている。
けれど、ちとせ如きは論破できると踏んでの交渉だと思われる。
ちとせは共感してしまったけれど赤石のいう「誰かを すごく大事に思って 相手からもそう思われ」る関係など、話半分で聞いとかないと。

少しの間交際して次のステップに進むための口実。
彼が欲しいのはセフレという名のセフレではなく、恋人という名のセフレだ。
やつは赤石じゃないエロ石だ。
ただ「エロ石」問題は珍しくちとせが、しばらくは関係性の構築が最優先と反論する事で封じられる。
赤石の行動はインパクトはあるし、ある意味リアルではあるのだが。

一方でちとせの提案を呑むぐらいには赤石も「彼女」という存在を真剣に考えている証拠にもなっている。
となると現実逃避先として利用するちとせの方が不誠実か。

ちなみに祭部にプライバシーなんて言葉はありません。
赤石がちとせに交際を申し込んだこと、交際がスタートしたこと、交際の進捗度など全部筒抜けです。
キスにエロ、修羅場に痴話喧嘩、欲望が渦巻く部室です。
明かりが点いてなくてもノックして入らないと中で何が行われている事やら…。

強い絆を感じさせたり、ある程度の浮気を許容したり上手くいっているのかいっていないのか判別の難しいユキと清綾カップルの過去の一部が明らかに。
どうやら共通の病気を経験した過去があるらしい。
この辺が明らかになるのは次巻以降か。

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後ろから前から ハグ 彼氏でもないのに ハグ
巻末のフリートークにもあるようにメインのユキよりも赤石の方が存在感のある本書。
赤石の方がエロ的接触に積極的だし、ちとせとの共通シーンも多いですからね。
どうしてもユキは顔だけというイメージから脱却できない。
今巻の最後にある雪の日に後ろから抱きしめるシーンなども思わせぶりな態度だけ取る二重人格のような人間だ。
主人公たちどちらも応援できないのは漫画として致命的。amazonでも紙の新刊、扱ってないもんねー。