《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

隣の席の橋下さんは正直 天使だと思う。けど魔法使いでもあるから、姫のドレスは俺が着る。

消えた初恋 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)
原作:ひねくれ 渡・作画:アルコ(ひねくれ わたる・アルコ)
消えた初恋(きえたはつこい)
第01巻評価:★★★★(8点)
 総合評価:★★★★☆(9点)
 

「青木…そんなに俺のことを──…」 青木は隣の席の橋下さんに片想い中。しかし橋下さんの消しゴムを借りたら、同じクラスの男子・井田の名前が…(涙)。しかも、その消しゴムを持っている所を井田に見られてしまい…まさかの勘違いを!? ちょっとおバカで、最高に一生懸命な初恋ものがたり、始まります。

簡潔完結感想文

  • この作品は正直 傑作だと思う。大いに笑えて 不意に泣ける愛すべき作品。
  • 天使(キューピッド)は青木と王子の出会いを演出した魔法使いでもある。
  • 『1巻』は単体でも、全巻読んでからも再読必至。描写は少しアンフェア?

子は その誠実な言葉でヒーローをトラウマから解放していく、の 1巻。

この作品のことは大好きな私だが、当初は『1巻』『2巻』は それほど好きじゃなかった。率直に言えばゴチャゴチャしている。なんやかんや理由をつけて男性たちの関係を破綻させないようにしてBL展開を維持することに必死だなと思った。そして主人公の青木(あおき)が優柔不断で右往左往するばかりなのも気になった。実際、表面上で起こっていることだけ考えると青木は『1巻』の間で好きな人が2人いて、彼の「好き」なんて信用ならない。

でも その印象は、あまりに好きすぎて読了後ずっと作品のことを考えていたら大きく変わった。今では むしろ序盤が素晴らしすぎて、ストーリーを反芻(はんすう)するだけで涙が出るようになってきた(情緒不安定)。これは作品のこと「ちゃんと知ってから」答えを出そうとした結果である。すぐに否定したり拒絶したりしないからこそ、相手(作品)の良さが見えてくるのだ。

さぁ ここから長い感想文が始まる。今回は平気でネタバレしていくスタイルなので ご注意ください。


やっぱり「隣の席の橋下さんは正直 天使だと思う」

クラスメイトだが これまで接点のなかった青木(あおき)と井田(いだ)を結んでくれた恋のキューピッドは間違いなく橋下(はしもと)さんである。そして『1巻』で何より重要なのはラストで橋本さんが、同性を好きかもしれないという青木を きちんと受け止めてくれたことだ。彼女の存在がなければ この恋は消えてしまっただろう。

後半まで読んで分かることだが、クラスメイトから「アホ」もしくは「おバカキャラ」として認識されている青木は、その反面 想像以上に繊細で、そしてトラウマまたは黒歴史を抱えている。その始まりは『6巻』で語られる小学3年生の時の「将来のゆめ」事件である。小学生の青木は自分の「好き」を正直に発表したのだが、その「好き」や夢をバカにされ嫌な思いをした上に、外見や能力まで揶揄されて、その経験が彼から自己肯定感を奪ってしまった。そんな過去があるから彼は自分の「好き」を誰かに伝えられない。親友である あっくん と恋バナをしないのは彼がイジってきて傷つくという青木の予想からだろう。そして何度もチャンスはあったのに橋本さんに告白できないのは、彼に勇気が無いからだけではなくて、その時点では青木にトラウマという呪いがかかっているからなのである。

これは少女漫画のお約束であるヒーローのトラウマと同種であり、トラウマを解消しない限り、その人の恋愛は解禁されない。だから まずは青木が素直に自分の「好き」を認めることが大事になる。自分を認められない人に他人に告白する勇気は出てこないのである。

そんな 一種の呪い状態の青木だから、『1巻』のラストで橋下さんに彼女と同じ人を好きになったこと、すなわち青木にとって同性を好きになったことを伝えるのは本当に勇気のいることになる。ここで2つの壁を突破する橋下さんへの正直な告白は青木の「第一の告白」と言え、それは青木がトラウマを克服しつつあることを意味している。『1巻』は ここが到達点となる。

この青木の一世一代の告白を笑ったり差別したりせず、例え同じ人が好きであっても、青木の気持ちを尊重してくれた橋下さんは やっぱり真正の天使であることが証明された。ありがとう、橋下さん。青木の高校生活の充実と恋愛の成就は間違いなく、あなたのお陰である。この一点で私は橋下さんが大好きになり、彼女の恋も心から応援できる。『1巻』の影のMVPは橋下さんである。


しかしたら「隣の席の橋下さんの正体は 魔法使いなのかもしれない」

橋下さんには もう一つ役割がある。それが青木を、井田という王子のもとに送り届けるという役目だ。
私は『1巻』の文化祭回でのクラスの出し物が演劇・シンデレラであることにも意味があると思っている。文化祭当日、青木は人助けのために急遽シンデレラ役を演じ、井田も代役で王子を演じることになる。しかし作品の見せ場として用意される この代役の出演がなくても、彼らは最初からシンデレラと王子の関係にあるはずだ。

そして この「もう一つのシンデレラ」において橋下さんの配役は魔法使いなのである。なぜなら彼女が青木にガラスの靴を渡したから。

クラスメイトではあるが友達ではなかった青木と井田を結びつけたのは、ガラスの靴 ならぬ 橋下さんの消しゴムである。「イダくん♥」と書かれた消しゴムを井田王子が拾ったことで2人に接点が生まれる。落とした消しゴムを拾った王子が、その持ち主を青木だと断定したことで もう2人のハッピーエンドは確定していたと言える。この時、青木は「さよなら 俺の初恋 そして人生」と頭を抱えているが、実はそれが全ての始まりである。

物語開始10ページの時点で、「もう一つのシンデレラ」的にはクライマックスの場面が起こる。

シンデレラにおいてガラスの靴が2人の身分の違いを乗り越えるためのアイテムであるとすれば、本書における消しゴムは2人の性別の壁を越える魔法のアイテムだろう。

また文化祭でのシンデレラの劇では もう一つ大事なことが描かれていると思う。それが青木の女装姿である。この時の青木は男性がする女装の域を出ていない。漫画表現で完璧に女性に見えるとか、可愛いとかではないことがポイントだ。また井田も青木の姿を見て「お前 意外とゴツイな」と言っている。つまり青木は井田にとって女性の代替になり得る存在ではなく、飽くまで男性として固定されている。作品は そこを再確認している。


使であり魔法使いである橋下さんだが、彼女は青木のヒロインではない

青木にとって橋下さんは初恋の相手。青木は、井田が高校2年生の2学期時点で まだ恋を知らないことを知って驚いていたが、彼もまた高校入学後に ようやく恋を知った奥手の男の子である。井田が自分の恋愛感情に長い間 答えが出ないのと違い、青木は橋下さんへの恋心があるから井田への自分の気持ちが 恋と呼べるものであることを即座に理解する。青木の橋下さんへの気持ちは本物だが、物語的には先に用意された比較対象というのが橋下さんへの恋心の存在理由でもある。
青木が橋下さんに恋に落ちたのは1年生の時のバレンタイン。それは橋下さんが本命の人にカップケーキを渡せなかった日。もしかしたら青木は橋下さんが発する恋の熱量の大きさで自分の心に火が点いたのではないだろうか。その辺、序盤の井田と状況が よく似ている。

一般的な少女漫画ならば青木の「好き」を縛るトラウマの解消は橋下さんの役割だろう。自分の恋を一生懸命応援してくれる相談相手の青木の優しさに触れた橋下さんが恋をして、彼のために全精力を傾けてトラウマの解消に動く、というのが橋下さんがヒロインであった場合の展開になると思われる。
それに考えてみれば橋下さんは青木に消しゴムを貸してくれたり、彼の性格や人物像を他の人よりも随分と高く評価しているように見える。今回の消しゴムや文化祭準備の件でも確かに橋下さんの青木への好感度は増している。だから橋下さんが青木を好きになるルートも存在しているような気がした。

…が、おそらく それは気のせいである。なぜなら残酷な現実として、橋下さんにとって青木は好きな人(あっくん)の友達として認識されているという越えられない壁があるからだ。きっと橋下さんは あっくん のことを目で追うたびに、その親友である青木が入ってきて、自然と青木の情報も橋下さんに集まっていったに違いない。そもそも好きな人の友達というフィルターのお陰で青木はかなり橋下さんから一目置かれているはずだ。

それに高校入試という この世界のメンバーが固定される以前から あっくん のことを好きな一途な橋下さんにとって青木は好きな人の友達でしかない。しかし それを知らない青木は、あっくん には話しかけられない橋下さんが優しく話しかけてくれることに舞い上がって うっかり彼女を好きになってしまった、というのが悲しい現実だろう。少しでも優しくされると「コロコロ ときめい」ちゃうのがのが青木という純粋な人なのだ。

橋下さんを悪く言うことは心苦しいが、そもそも冒頭で消しゴムを貸してあげたのも、橋下さんからすれば あっくん への間接アピールではないかという意地の悪い見方も出来る。まぁ その消しゴムが青木にとってのガラスの靴だった訳であるが。


は誰が青木のトラウマを解消するかと言えば井田である。

井田は恋愛方面以外は最初から人格が完成されており、その井田の嘘のない言葉が青木のトラウマを溶かしていく。例えば消しゴムの件で屋上に呼び出された時、井田は青木の好意を受け入れられないことを謝罪するが、青木の その気持ち自体は否定していない。もし井田が「デリカシー無し男」「偏見ヤバ男」と同類なら「キモッ」と差別的な一言で青木の心を踏みにじっただろう。だが井田は それをしなかった。どういう認識であれ井田は青木の「好き」を笑わない。また この一件を吹聴し、青木を嘲笑の対象にすることも出来るのだが、そんな発想は浮かびもしない。それと同様に青木も橋下さんを からかわない。この消しゴムの件の秘密の保持は2人が同じ種類の善良な人間であることを示している。奇しくも青木の言った「(橋下さんは そういうところに)惚れたんだな…」という言葉は、青木の井田への好意への第一歩と言えるだろう。

そこから続けて井田は青木の「好き」を尊重してくれる。上述の通り、青木は そのトラウマから自分の好きを周囲に言えない傾向がある。でも井田は その気持ちを忘れるのではなく、大切にしろと言ってくれた。青木にとって自分の「好き」を大事にすることは忘れていた自己肯定感である。それを刺激されたからこそ、この時 青木の目から涙が溢れてくる。それは初恋だった橋下さんへの失恋が確定的になったことの涙でもあるが、それ以上に井田が自分の気持ちを大切にしてくれた、トラウマが溶けていった涙にも見える。

それは翌日の屋上での自殺未遂事件騒動でも同じ。自分の恋心や恋に落ちる心境を語る青木を井田は素直に尊敬する。ここでも青木の「好き」は否定されなかった。ここで「乙女だな」なんて笑われていたら青木は井田に心を閉ざしていただろう。ただのクラスメイトでしかない2人の関係が ずっと途切れないのは、井田が誠実に青木と向き合ってくれて、青木の本質、彼の良いところを いっぱい発見するからだろう。
バカ真面目な井田だから、人生で初めて告白してきてくれた相手に全身全霊で対応としようとする。相手の性別は戸惑いはするけれど頭から否定する理由にはならない。井田は告白相手が どんな人であっても同じように誠実に対応しただろう。

そして青木が井田を本当に好きになるのが文化祭準備である。井田(と あっくん)は青木のミスに何も言わずに協力してくれた。青木の謝罪に対しても、まず青木の頑張りを褒めてくれているなど、青木の気持ちを軽くしようという優しさが見える。そして青木が好きな人の幸せを自分以上に考えられる青木の根底に流れる美質を井田は指摘する。それは青木がずっと抱えてきた「俺なんか」という自己否定からの最後の解放であった。だから青木は再び涙を流す。周囲も自分も否定してきた自分の良さを井田が見つけてくれたから。

そうやって ずっと井田が心に触れてくれたから、青木は彼を好きになる。青木が井田のことを格好良く思える=恋愛対象となったのは、文化祭準備でトラウマが解消してからである。また、この文化祭準備の帰り道で見逃せないのが、青木の恋心を井田が誤解しているのと同じように、井田が好感を持ったと語る人を青木が誤解している場面である。「一生懸命でいいなって 一緒にやって実感したっつーか」と言った時の井田の頭の中にいたのは青木なのである。それなのに青木が相変わらず橋下さんを薦めてくるから井田は少し複雑な顔をしている。彼なりの好意が少しも伝わっていないのが不満なのだろう。

最後に大事なのは、青木が本当に恋に落ちてしまったシンデレラ上演後の打ち上げでのクラスメイトからの冷やかしに対しての井田の実直さが表れる場面だろう。

これは同性を好きになりかけている青木の周囲からの嘲笑や差別に近く、「好き」を からかわれるという、まさにトラウマ再発の危機だった。ここで青木が自分の「好き」を穢されたら、彼は本当に恋を捨て山にこもって仙人になったかもしれない。

この井田の言動が青木の「好き」を確定させる決定打。お前のそういう所 すげー良い。

でも井田は青木の「好き」を周囲が からかうのを止めた。場の雰囲気を悪くしたけれど、それ以上に彼は青木の心を守る正義感を発揮した。本当は青木が嫌だと思っていたことを井田が代弁してくれて、それで青木は十分 救われる。
青木が小学校の頃も井田のような人間がクラスにいれば彼は ずっと伸び伸びと生きられただろう。それから高校入学までは青木にとって苦しい日々だったかもしれないが、その無理解で無遠慮な人たち と違う道に進むために青木は かなり背伸びをして猛勉強の末に この学校に進んだ(『8巻』青木母)。そして そこで橋下さんや井田という良き理解者たちに出会えた。青木の初恋が高校入学後と遅めなのは、彼が小学校3年生で「好き」を封印したからで、それまでの世界には青木が好きになるような天使や王子がいなかったからだろう。

読み返してみると『1巻』の井田は それ以降と比べると かなり表情が豊かだ。冷静沈着な彼が それだけ動揺していると思うと面白い。そして『1巻』では青木は普通に井田に接近したり接触したりして、この時点では本当に ただの男友達なんだぁと笑ってしまう。また青木が井田を殴るなんて『1巻』でしか見られない場面である。


後は青木である。トラウマもあって おバカ・お調子者として生きてきた影響なのか彼は恐ろしいほどにモテない(笑) それは最後まで徹底している。これは おそらく井田がモテないのと反対の理由だろう。青木は おバカキャラで誰からも恋愛対象として見られないし、井田はバカ真面目すぎて恋愛対象になりづらい。

でも これまで書いてきた通り、青木は ずっと頑張っている。「自分じゃ わかんないだろうけど」。そして青木が この高校に入学してきたことが彼の努力の成果で、そんな青木を祝福するかのように、この学校、少なくとも このクラスは人を見た目で判断するような人は存在しない。そういう一種の聖域として このクラスは描かれているように思う。

読者への記号として青木も井田も割と格好良く描かれているが、彼らにとって、本書において容姿は大した問題ではない。青木が井田を「かっけー」と思うのも、恋を自覚して以降である。恋愛フィルターがかかっている状態でしか人の容姿に言及しないのが本書の良いところである。青木も橋下さんも、その人の心に触れたから好きになったのであって、容姿や性別で恋愛相手を選んでいない。

青木の素晴らしさは やっぱり他者を優先できる心だろう。消しゴムの誤解も普通なら井田に真実を話せば終わりである。だが彼は橋下さんへの恋心と義理によって彼女の秘密を最後まで守り抜く。それによって自分の名誉や人生が不遇なものになっても それを受け入れるのが青木の利他的な性格だ。もし青木が少女漫画の「俺様ヒーロー」だったら、消しゴムを脅迫材料にして、お前 あの男が好きなのかよ。気に入らねーな、俺にしときな「チュッ」と1話から同意なくキスするような展開になったのだろう(どこの世界の青木だよ…)

そして青木は橋下さんが自分ではない人を好きだと分かっても その恋を全力で応援する。橋下さんにとって井田が王子様ならば、彼女と王子が踊れるように何度も機会を作ろうとする。そんな実直な姿勢が井田にも伝わったから、彼は橋下さんではなく青木に興味と好感を抱き始めるのだ。おバカで騒がしいと思われている青木が、実は誰よりも周囲を見て行動している。それを井田は理解していく。青木が未来を切り拓けたのは結局、彼自身の持つ優しい性格があったからなのである。

紆余曲折を経て自分が井田を好きだという気持ちが確定すると それを誤魔化したりせず、恐怖心を乗り越えてライバル関係にあることを橋下さんに ちゃんと告白している。上述の通りトラウマも関係しているが、青木が誠実で嘘や欺瞞の上で橋下さんとの関係を成立させないという良心があっての行動だろう。青木は橋下さんの恋に対して意気地なしだったが、結果的に告白しないことで彼女の気持ちを乱したり濁したりしなくて済んで良かったように思う。2人が互いの恋を純粋に応援できるのは、『1巻』を通じて きちんと男女の友情が成立したからだ。


作者と作画担当者の奇跡的な組み合わせに心から ありがとうと言いたい。
おそらく連載が予想以上に長く続いたのに、青木の過去を矛盾なく用意したり、非常に高いクオリティを ずっと提供してくれた ひねくれ渡さんは高い集中力を持って作品を作ってくれて感謝しかない。こんなにも作品世界の人々を好きになれることは読者にとって最高の喜びである。

そしてアルコさんの作画には心を動かす力があることを再確認した。絵によってギャグは何倍にも冴えるし、何気ない描写でグッと泣きそうになる。これは『俺物語!!』でも体験した感動だ。あと単純に絵が上手いんだなぁと感心した。デッサンというのか人の身体が しっかり描かれていて青木や井田の立体感・現実感がグッと増している。

絵で特に私が好きなのは井田の手である。セクシー。その手で感情(恥ずかしさや戸惑い)を表現しているのが良かった。顔のそばにある手は一層セクシーに映る。そして何と言っても『5巻』の あのシーンは もしかしたら本書で一番 好きなシーンかもしれない。

あと井田で好きなのは挨拶。特に朝の挨拶がとてもよく似合う。おそらく早起きで朝から凛としている所も彼らしくて良い。一番好きなのは文化祭当日の「青木も おはよ」である。あっくん だけじゃなく律儀に青木にも挨拶してくれる場面で井田の持つ破壊力を思い知った。

朝の挨拶でもトゥンクさせてくる井田の爽やかさ。毎朝、好きな人に会えるのも青春だなぁ。

もちろん『1巻』全体で仕掛けられている叙述トリックも面白い。読み返すと色々と伏線を発見できて構成の見事さに感心する。特に橋下さんが文化祭で大道具係に立候補する経緯とか上手く出来ている。また打ち上げで同じものが食べたくて激辛ピザを食べようとするところも笑った。読み返すと彼との会話は井田との会話量より少ないのに 僅かな接触でも全身全霊で喜ぶ橋下さんの健気さが微笑ましい。
残念なのは、消しゴムの減り具合だろう。あれでは新品同様で描写として ややアンフェアだ。あと青木が橋下さんに恋したのが「去年」のバレンタインと書いてあるが、年としては同じではなかろうか。