《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

最終章目前。なので最後の個人回で脇キャラの恋に どんどん一定の区切りを つけるよ。

S・A(スペシャル・エー) 15 (花とゆめコミックス)
南 マキ(みなみ まき)
S・A(スペシャル・エー)
第15巻評価:★★☆(5点)
 総合評価:★★(4点)
 

GWに突入! フィンの国に遊びに来たフィンとS・A一同。海にお祭りに楽しい旅行になるはずが、フィンの秘密がばれてしまい大パニック——!! 一方、占い師の予言を信じた光はイメチェンするものの…。芽の母が芽を振った男の顔を見にやって来て…!?

簡潔完結感想文

  • 架空の国に海外旅行。国の秘密を知ったヒロインが軟禁、後、飯テロ実行犯。
  • 男装の麗人生活も これにてフィン。王妃は既に逝去されているのかと…(苦笑)
  • SAの歌テロ担当の恋。2人の女性からの招待状、貴方はどちらを選ぶの⁉

験勉強をする前に、散らかった物を片付けるような 15巻。

今回は『14巻』であれだけ存在感を発揮した新キャラ・常盤(ときわ)は一切 出てこない。
そして孫と同じく光(ひかり)に執着する滝島(たきしま)の祖父も鳴りを潜めたまま。

それら2つの問題が、残り2巻の内に語られるので、
今回は、そのクライマックスの直前に解決していない諸問題を片付けようという巻になっている。
SAメンバーの恋の決着をつける最後の個人回が主な内容です。
光と滝島の話も1話分だけ収録しているが、
1巻丸々メインの話がないことを回避するためだけのファンサービスみたいな内容だった。

個人的には常盤の登場で、せっかく学校が舞台となる話が読めるかと思っていたのに、
またもや舞台は学校外、それも序盤の3回は海外に移ってしまう。

途中参戦キャラであるフィンが某国の王子(本当は女性)という設定だから仕方がない。
冒頭は、このフィンと竜(りゅう)の秘密の恋から始まる…。


フィンがSAとアリサを母国に招待する。
てっきりロンドンに帰ったのかと思っていたアリサが再登場。
結局、留学生として日本に滞在しているみたい。

竜を巡ってアリサとフィンの三角関係が勃発。
アリサはフィンの本当の性別を知らないがゆえに、無意識で牽制し フィンを苦しめる。
ただ新参者のアリサという当て馬によって触発されるのは、フィンの焼きもち。

これまで竜からフィンへの気持ちを描いたことはあったが、
ここにきて友達以上の感情を持つフィン側の描写がある。
ずっと秘めなければならない恋で、しかも その未来は閉ざされている恋である。
2人の恋愛は始まる前から終わっている。
この恋に出口は あるのか⁉

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派手な動きばかりのSAの中で竜の存在は異質。人を静かに深く愛する様子に胸キュン!

在中に、光は竜の次にフィンの性別の秘密を知ってしまう。
この国の最重要機密を知ることとなった光はフィンと共に王国側から軟禁されてしまう。
光は何かと閉じ込められる人ですね。

だが平和な国みたいだから、牢屋の造りも甘く、光たちは自力で脱出。
そしてフィンは勝手知ったる王宮の中の台所に光を連れて行き、そこで狼煙を上げる。
これは違う意味での「飯テロ」ですね(笑)
米と水、そして火さえあれば いつでも爆破テロを起こせる光。

もしかしたらSAは特殊部隊向きかもしれませんね。
火薬もないのに爆発させる光、音波攻撃の芽(めぐみ)、動物部隊の竜と戦力は揃っている。

フィンは自分の秘密が発端で巻き込んだ光だけは日本に返し、自分は母国に残る決意をしながらの行動となる。
性別こそ偽っているが年相応に学生生活を楽しみ、そして束の間の恋をしたフィンの「ローマの休日」も終わろうとしている。

ヒーローである竜や滝島の「何とかするから」は全く当てにならない青臭いだけの言葉である。
だが そこに現実的な解決案が持ち込まれ、事態は急変する。

こういう伏線の張り方が作者は上手いですよね。
ってか、フィンのマザコンっぷりからして王妃は逝去されたもんだと思ってましたが…(苦笑)


フィンの問題が解決してからも引き続き海外編。

占いによって恋愛の破滅を回避するためにはロマンティックな女に転生するべしと聞かされた光と、
惚れ薬を食した滝島の、ラブラブデート回となる。

本書の女性たちは占いに頼ろうとする傾向がありますね。
ってか、相談相手を一刀両断する占いの元ネタは1/4コーナーの作者の実体験でしょ。


んなメインカップルのイチャラブを箸休めにして、続いても脇キャラの恋となる。
芽と純(じゅん)の双子の母が帰国し、芽はメールで報告していた恋の相手を母に対面させなければならなくなった。

強引な母のペースにのせられて、いもしない恋人を作る必要が出てきた芽は悩み…。

これって権力者(母)に逆らえない いつものパターンだし、
『3巻』の宙の光との偽装交際とほぼ内容が同じに思える。
むしろ今回の方が嘘をつく必要性が分からない。

即席の恋人作りに芽なりに努力を重ねるが、
結局 助けてくれたのは最後まで声を掛けないようにしていた八尋(やひろ)。
だが母との面談の当日に、八尋が長年 想ってきた明(あきら)が彼を お茶会に誘っていたことが判明。

こうして八尋がどちらの女性を選ぶのかという命題が成立してしまう。

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少々 分かりにくいが八尋は明にも芽にもジェントルな振る舞いをしている。芽は ずっと信じてあげて。

計画の失敗、そして八尋の未練を思い知らされるような事態を予想し落胆する芽。
だが男性はいつでもヒーローである。
八尋は しっかりと芽との約束を守ってくれた。


尋が明より芽を優先したといっても これで恋が動き出すわけではない。
彼はキッパリと恋愛感情はないことを芽に告げ、芽は自分の夢である歌で生きることを目指す。

だが なぜか その夢のためのレッスンに八尋が付き合う。
八尋の不可解な動きが芽を動揺させる。

それにしても芽の母は芽の歌の実態を知らないのだろうか。
芽の歌の発表の会場に友達も沢山 呼んで、芽に暗にプレッシャーをかける。
天真爛漫というより、育児放棄して自分が見たい現実しか見ていない人のように見える。

まだ作者自身が(きっと)若いということもあるだろうが、
親を続々と登場させるが、きちんと親として描けていない部分が多い。
滝島の両親なども もう少し地に足のついた人物像にならなかっただろうか。

八尋が芽のレッスンに付き合うのは、『11巻』における「幸せ石」に八尋が願をかけた願いを成就させるためであった。

この俺が願ってやったんだから、ちゃんと叶えなさいよね!というツンデレか。
しかし これは八尋の建前や照れ隠しだろう。
読者の多くが忘れているようなエピソードを、八尋はしっかり胸に刻んで覚えていた。

ああやって出来た縁を、繕う理由を盾にして、八尋は動いている。
それは変わりゆく自分の心を自分でも認められないゆえの彼の防衛本能かもしれない。
自分でも気づかないで嘘の理由を取り繕っているけど、それでも現実には身体が動いている。

そして八尋は願っている。
芽の本来の歌が、多くの人に伝わることを。
そうして芽は覚醒する。

最後まで恋の明確な答えは出ていない。
だけど芽は恋も夢も諦めないで、これからも動き続けるだろう。
未完成な恋物語だからこそ、まだまだ未来を感じさせる2人である。


後はアリサの個人回。
この時、ロンドンで社長をしている蒼(あおい)が一時帰国し、アリサの生活を任される。

ただ大食のアリサと少食の蒼の相性は悪い。
アリサは現在は竜に恋しているが、竜とフィンの仲睦まじい様子に違和感を持つ。
フィンから彼、改め彼女の秘密を知り
アリサは、滝島に続いて2度目のサイレント失恋したこととなる。
本書で一番 傷ついているのはアリサかもしれない。
誰にも気づかれずに、むしろ恋を祝福するようなアリサの行動に感服する。

そうしてアリサの恋の標的は次に移る、のか?

この失恋回に蒼がわざわざ登場するということは、次は蒼だろう。
滝島に失恋した時も、最後に竜が現れ、その竜に恋してたし。

内輪でくっつく本書では余っているのは蒼ぐらいしかいない。
あとは すっかり登場しなくなった常盤か。
でも ここまで常盤とは接点がないから、蒼かな。

アリサの恋も未成立のまま。
今後、何かしら動きはあるのだろうか。
だけど蒼の中の滝島を打倒するのは骨が折れると思うなぁ…。