《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

私にとって あなたは将来の夫の親族。あなたの点数?異性として興味ないから0点。

L・DK(21) (別冊フレンドコミックス)
渡辺 あゆ(わたなべ あゆ)
L♥DK(えるでぃーけー)
第21巻評価:★★☆(5点)
  総合評価:★★☆(5点)
 

柊聖(しゅうせい)をアメリカに連れ戻すために現れた玲苑(れおん)。2人の間のわだかまりはすこしとけたけれど、玲苑が葵(あおい)にキスをした問題は未解決! 3人同居の行く末は…? 葵と柊聖のラブ同居も、一歩進んだ関係に♪ 大人気のひとつ屋根の下ラブストーリーは新章突入!

簡潔完結感想文

  • 鈍感・超マイペース、それがLDKの片想いの お約束。もしかしたら彼らは似た者同士なのかも。
  • 日本から、この世界から玲苑の存在が消えても成立する物語。玲苑の使命、それは6巻分の空騒ぎ。
  • アナザーワールドから帰還して いよいよ時が進む。彼女を守ると決めた騎士の選択は、別居。LBK⁉

苑は まだ日本にいるけど、もはや作品には必要のない 21巻。

告(い)わなかったんだな。
散々あれだけ迷って、告わなかったんだな。

ガッカリだぜ!

まさかの告白しないエンドで、玲苑(れおん)編 実質 ジ・エンド。
ここまで引っ張って、最悪のバッドエンディングかよ。

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この謝罪が誤解であったと分かっても、玲苑の心にもう一度、告う勇気は戻ってきませんでした…。

覚悟は決めたんですよ。
自分の中の感情を認め、告う覚悟をしたんです。
それが玲苑の内面的成長です。
でも現実的には何もしなかったんです。

ここぞというところで大勝負に出ない玲苑は、
たとえ父の跡を継いでも堅実な経営しかしないでしょうね…。

柊聖の兄・草樹(そうじゅ)の傀儡のように動いていたのも玲苑の小物感を演出しています。
それに本人が気づいていないところが また格下のように見えてしまう。

取り急ぎ結末だけ知りたい方は『16巻』から『21巻』の2話目までワープ可能です。
ところどころ、短髪で眉の太い男がチラチラ見切れますが、
単なる同じ学校の後輩です。それ以上でもそれ以下でもありません。


れは、作品として葵(あおい)の思い出に玲苑への恋愛を、
ひとかけら も残さないという配慮でしょうか。排除でしょうか。

玲苑という人物が記憶から、作品から抜け落ちても、
葵の恋愛と生活と、そして作品は成立するという、作品のオプションパック。
それが玲苑。

そうでなくても葵にとって玲苑は、柊聖(しゅうせい)の大事な家族。
だから、自分が柊聖に向けるような親愛の情を精一杯 振りまいただけ。

同居も その一部。
玲苑と、その向こうにいる彼の父親、
柊聖と血の繋がりのある人たちに自分の存在を、自分たちの関係を認めてもらう、
いわば花嫁修業の一環。

葵にとって、自分に色々と文句を言ってくる玲苑は小姑だったのでしょうか。
男性として意識されていなかったからこそ、3人暮らしは成立したのかもしれません。

そこにあるのは家族愛、人類愛。
男と女の愛はなかったのです。

本当に葵の聖母度が上がってますね。

というか これ、『3巻』で葵の恋愛感情に柊聖が気づかない彼を表した言葉、
「鈍感」「超マイペース」そのものじゃないですか!

玲苑からスキンシップをされても、匂わせる発言をされても、
キョトン顔してスルーし続け、
なのに、自分の胸を撃ち抜くようなセリフを時折 言うから好きになっちゃう。

玲苑編は、同居人に恋をし始める男の子のドキドキを描いた「LDK アナザー」だった訳ですね。
そして、バッドエンドバージョンだった訳ですが。

敗残者は物語からの退場を義務付けられてますので、
玲苑もまた、アメリカに引き上げる算段を始めました。

そして本当に1話目以降、玲苑は本書にとって要らない子になりました。
まだ日本にいるものの、いなくても成立する話ばかりです。


苑がいなくなったことで、物語はまた少し動き始める。
自分の未来のこと、柊聖との性交渉のこと、葵は少しだけ大人になる準備をする。

作品内では11月に突入している模様。

少女漫画にとって、進路や将来は扱いづらい事柄ですよね。

恋愛面に関しては、彼からの言葉や、
両親に顔合わせをする場面によって結婚を暗示させることが出来るが、
将来のことは それよりも現実的に対処しなければならない。

適当に入れる大学に入る では夢がないし、10代の子たちの教科書にならない。
そして多くの作品では高校在学中に具体的な進路・職業まで決めないとならない。

実質、高校卒業後の進路が決まるよりも先に就職していくようなものだ。
進学をする多くの高校生がこの後2~4年かけて悩むことを今 悩まなくてはならない。

更には 本書のように良い意味で、良い意味で内容のない漫画でも、
ぞんざいには扱えない事柄になってしまうのである。

玲苑の置き土産その1は、大人の映像。

男性向けに過激に作られた映像を見てしまった葵は性に対して臆病になってしまう。
その衝撃も分かる気がしますが、ここでも葵は無垢に、そして かまとと ぶる。

謎なのは、性に対して慎重になる葵に、着衣のまま一緒に湯船に入ろうと誘う柊聖の行動。
この行為の意味は何?
胸キュンのためだけ?

より狭い空間で葵に密着して彼女の緊張を解きほぐそうということなのだろうか。
考えれば考えるほど分からない謎の解決法でした。


玲苑の置き土産その2。浮気の画像。

一時「闇堕ち」した玲苑はクラスメイトの ゆかり を操って、葵と柊聖のただならぬ仲の証拠を撮影させていた。
彼の思惑通り、ゆかり は仲睦まじく語らう葵たちを捉える。

潔癖な臆病者の玲苑は、その画像をスマホごと川に水没させて消去していた(『20巻』)。
だが、ゆかり はその画像をクラウドに保管しており、
その画像を勝手に学校の生徒たちの間に出回るようにリークしていた…。

玲苑がかつて望んだ柊聖への復讐の時限爆弾。
それはとんでもないタイミングで爆発してしまった。

証拠の画像や動画をクラウドに保存してるというのが現代的ですね。
もう、ケータイ本体を壊しても画像の流出は止められないんですね。
一昔前は、ガラケーを折ればそれで決着がついたのに…。

デジタルタトゥーは消えないということですね。
自分撮りやSNSでの書き込みも永遠に残ってしまう時代に突入したようです。


いよいよ葵と柊聖の交際が全校生徒が発覚。

これまで運良く、そして一応は玲苑という隠れ蓑が機能していたので
近しい人しか知り得なかった交際が一気に拡散。

それによって葵は周囲から好奇の目と、そして悪意に晒される。

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玲苑が仕掛けた時限爆弾が、今更ながら爆発。誘発される爆発に葵が巻き込まれる!

早い段階から葵を守ることを信条にしていた柊聖は、いよいよ彼女の騎士(ナイト)となる。
そして自分たちの関係を守り続けるために彼が導き出した答えは、別居。

いよいよ同居という大前提が崩れます。
しかしそれは現実味を帯びる退学という暗い未来から彼女を守るため。

…が、葵は猛反発。
意味不明な3人暮らしは一度も異を唱えなかったのに、
柊聖との別居には泣いて怒って、柊聖の言葉も届かない状態。

葵の聖母モードも、玲苑がいなくなったら終了してしまったようです。
もしくは大人の映像を見て煩悩まみれになった葵は堕落してしまったのでしょうか。

柊聖にとって葵を守ることが至上の命題のように、
葵にとっては柊聖と暮らすことが第一目的だったようですね。

だから玲苑という闖入者がいても構わない。
だって、柊聖との同居には変わりがないのだから。
という思考過程だったのでしょうか…(笑)

『16巻』以来、いよいよ物語が動き出しました。グッバイ 玲苑!