《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。弟の嫉妬 欲すれば先ず兄と寝よ。

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渡辺 あゆ(わたなべ あゆ)
L♥DK(えるでぃーけー)
第03巻評価:★★☆(5点)
  総合評価:★★☆(5点)
 

超ヒット! ラブ・同居ストーリー修学旅行で葵と柊聖が大接近!2人に迫るキケンなオトナも登場同居・延長!! 柊聖への想いに気づいた葵の恋は長期戦に――。そんな2人の毎日は、周囲に振り回されて混線模様……!? とまどい揺れる、ひとつ屋根の下。青春ラブストーリー!!

簡潔完結感想文

  • ラブストーリーからワンルームで繰り広げられるラブコメに特化。やっぱり猫が お好き?
  • 長期連載に向けて主人公たちの性格を改変。まともな思考を奪えば胸キュンも作りやすい。
  • 柊聖兄は柊聖の元カノを妻にしただけでなく、葵の唇も奪う。にどと くんな!! …でも来る。

期戦に向けて体制を一新する 3巻。

まずはジャンル。
これまでは「ひとつ屋根の下、青春ラブストーリー」でしたが、
今巻からはラブコメ要素が強くなっています。

いや、ラブコメどころかシチュエーションコメディ(シットコム)でしょうか。

高校生の男女が同居するアパートのワンルームを舞台に繰り広げられるドタバタシットコム、それがL♥DK。

限定された舞台でどんな展開を見せられるか それが作者の腕の見せ所。
ラブなんて二の次 三の次でいいんデスよ。

『2巻』で柊聖(しゅうせい)の姉が泊まると言い出した頃から変だと感じていましたが、
それは舞台を移せない分、この部屋に居続けるしかないからなのだ。

今回は姉に続いて、柊聖の兄が登場。
この兄も、姉に続いて お泊りを要求。
かましい兄姉だと思ったけれど、これもシットコムのため。


シットコムとしての特徴が最も出ているのが『3巻』の1話目。
葵(あおい)がいるにも関わらず、柊聖が学校の友人を部屋に上げてしまうことから始まる騒動。

この部屋が千客万来なのもシットコムのためだろう。

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王子様は好きな子が困ることがしたくてたまらないお年頃。

この話は葵の振り回される日々、受難を描いていますね。
もしくは人を呪わば穴二つ。
ことの発端は葵の柊聖への意地悪から始まっている気もする。

そして押し入れなどにひたすら隠れる葵は、
彼氏が浮気現場に突入してきて逃げ惑う人みたいである…。

部屋に入ってきた男子生徒たちがゲーム画面に集中している隙に、
葵はGがカサカサ音を立てる押し入れからの脱出を試みるのですが、
それがなぜか、玄関ではなくベランダという不自然な選択をする。

もしやこれもベランダは部屋の一部だが、玄関から外はシットコムの圏外という認識なのだろうか。

まぁ単純に、この後の場面が描きたかったのだろうけど。
ただベランダから飛び降りる意味は全く無い、胸キュン至上主義ならではの展開ですけどね。

そして心拍数を上げる吊り橋効果と、恋愛を混同している気もする。
もしかして柊聖はここまで計算して、葵の心を翻弄しているのかもしれない…。

いやいや、そんなことありませんって。
なぜなら、急にこの巻から柊聖は鈍感超マイペースという設定なんですから。


期戦に向けた体制の変更その2は、キャラ設定です。

前述の通り、柊聖はいつの間にか 鈍感で超マイペースという性格が採用されました。

予想するにこれは、当初の終了予定の8回から連載が継続されることになり、
まだまだ2人の距離を適度に保たなければいけなくなった作者が考案したものだろう。

柊聖への恋心に気づいた葵と、
そんな葵の様子などお構いなしの天然ジゴロの柊聖。
そこにラブコメの笑いを加えれば「これであと10年は戦える」と作者は思ったはず。

んーー、過去に色々辛い恋愛を重ねたけど鈍感?
葵に対してスキンシップを重ねることが超マイペースってこと?

何だか各人の性格に安定感が失われただけのような…。

でも、これによって柊聖側の恋愛感情をしばらく描く必要がなくなりました。
葵の孤軍奮闘の様子をコメディを交えて描くことに専念できる。

恋愛描写が一方通行で、関係性が近づく微妙な空気が逃げてしまった気もするが。


して葵に恋愛を任せるとどうなるか、
答えは簡単、おバカになるんです。

続いてこの家を訪問するのは、家を出た弟の様子を見に来た柊聖の兄・草樹(そうじゅ)。
柊聖の元カノである桜月(さつき)と結婚した あの男である。

草樹と知り合った葵は彼をホイホイと家に上げ、その恋心を見透かされる。
キスをすれば恋が始まると、草樹の口から出まかせのような作戦を真に受け実行に移そうと努力する葵。

が、「鈍感」で「超マイペース」な柊聖には効果なく、逆にキスをしたい欲求不満の女性に見られてしまう。
草樹に作戦の失敗を報告すると、車内で突然キスされてしまい…。

何なんでしょう、この兄、そしてその妻は。
本書における最大の邪魔者、そして不必要な人物たちですね。
(この後の巻でもろくなことをしない)

キスという少女漫画の一大イベントも乱暴に消化してしまうし、彼の発する胡散臭さが半端ない。


そして最大の問題は、強引にキスをされても尚、
草樹の言いなりになり続ける葵なのである。

彼女もまた今巻から性格が少し変わったように思う。
端的に言えば、頭が悪くなった。

義理堅いとか勇気があるとか、そういう僅かな性格設定を捨ててしまい、
作品のためのロボットに成り果ててしまった。

ファーストキスを好きでもない人から突然奪われた、
その8ページ後には柊聖に焼きもちを焼かせようという草樹の提案を唯々諾々と呑み込む。
催眠術にでもかけられたのかと思った。

ここは私の心が作品から一層 離れることになった場面です。
全てが柊聖の胸キュン行動のために犠牲になったのを目の当たりにした気がします。
柊聖はもとより、葵の思考まで理解できなくなったら、
何を物語を楽しむ拠りどころにすればいいのか分からないというのに。


そうして実行される焼きもち作戦は、草樹の手の怪我もあり段々とエスカレート。

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柊聖には内緒で、お義兄さんと密約を交わす葵。入浴から添い寝までサービスサービス。

上述の通り、家から出る訳にはいかないお兄さんは お泊りを要求。
距離のある弟より、葵と同衾することを選ぶ兄。
そして、相変わらず操り人形の葵。

もう、柊聖が止めに来るとか葵に言葉を掛けるとか以前に、
シチュエーションが雑過ぎて、残念過ぎる。
これは人間としての常識を無視してまで作らなきゃいけない状況なのだろうか。

柊聖からも読者からも嫌われかねない葵の行動。
連載継続と引き換えに作品が失ったものは大きすぎる。


校生活最大のイベントともいえる修学旅行編も1話で終了。

冷めた読み方をすれば、『2巻』の柊聖のTシャツが欲しい回に続いて、
葵が望めば願いは何でも実現する というお話でしたね。

言いたいことも言えずにモジモジしていれば、イケメン同居人が叶えてくれる。
葵の気風の良さはどこに消えたのでしょうか…。

修学旅行中、1回きりの登場である お色気女教師があの手この手で柊聖に迫るという内容なのだが、
最終的に柊聖はこの女教師の行動を封じて、葵の手を取るというのが話の流れ。

結末はそれでいいが、そこまでの流れがおかしい。

柊聖が女教師をわざわざ縛ったのはなぜか。

葵に部屋に入っていく柊聖を目撃させ落ち込ませるという必要性もあるが、
のちに犯行理由は柊聖本人が「邪魔だから」と供述している。

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作者は横顔 描くの苦手過ぎない⁉ 話がブレる。

って、「鈍感」設定はどこに行ったんだよ!
完全に彼女の意図と自分の気持ちを理解してますよね…。

やっぱり無理があるんだよ。
柊聖を今更 天然キャラに仕立て上げるのは。

まともに喋ってる映像が2巻分 残ってるんだよ。
キャラを作る前の動画が何百万回も再生されてるんだよ。

もう胸キュン至上主義のせいで作品の矛盾と崩壊が止まらないよー。

L DK(3) (別冊フレンドKC)

L DK(3) (別冊フレンドKC)

  • 作者:渡辺 あゆ
  • 発売日: 2010/03/12
  • メディア: コミック