大詩 りえ(おおうた りえ)
猫田のことが気になって仕方ない。(ねこたのことがきになってしかたない。)
第2巻評価:★★★☆(7点)
総合評価:★★★☆(7点)
転校生の未希子ことみっきーには、気になるクラスメイトがいる。顔が猫にしか見えない男子・猫田である。猫田の謎にせまるため、仲良くしようと猫田に接近するみっきーだけど、女子人気の高い入江にそっけなくしていたら、逆に入江に気に入られて、しつこくつきまとわれるようになり…!? 【収録作品】リテイク!
簡潔完結感想文
- 自分になびかない初めての女子・みっきー に興味を持つ3組のアイドル・入江。
- 入江と困惑する みっきーの間に入る猫田に、入江は運動会での勝負を申し込む。
- 猫田と入江、彼らと関わるみっきーに対する女子たちの嫉妬は深まるばかりで…。
興味があるほど相手は遠のき、興味はないのに敵愾心ばかりが育つ 2巻。
『1巻』のラストで違うクラスのアイドル的存在・入江(いりえ)と知り合った未希子(みきこ。通称・みっきー)。
女の子は皆、自分に夢中になると信じて疑わない入江が、みっきーに友達になろうと声を掛けても、糠に釘。
なぜなら、みっきーの眼中には今、猫の頭をした猫田(ねこた・↑ の表紙参照)しか映っていない。
ちなみに猫田が猫の頭に映るのは みっきーの眼しかない。
他の人の眼には猫田は人間の顔をしているから、ややこしい。
自分に これっぽっちのの興味を示さなかった みっきーに対して入江は並々ならぬ興味をかき立てられる。
そして入江の興味はライバルと目される猫田にも移っていき…。
学年の男子1,2位を争う人気の猫田と入江、この二人と深く関わる みっきーに女子たちから反感が湧いてしまう。
この反みっきー派は人数も多く、クラスが違うこともあって、猫田のフォローも追いつかない。
みっきーをコントロールしつつ、入江を牽制しつつ、周囲の警戒を怠らないなんて猫田もお手上げだニャー。猫田にも変化があって、みっきーを友達と認めていたり、
みっきーと入江の二人っきりの会話に走って駆け寄ったり、
猫田の中に みっきーへの興味が生まれてきたことも示されている。
確かに『2巻』ではみっきーの悪い面がよく出ている。
「毒にも薬にもなる」みっきーという強烈な存在と個性。
本人にはその自覚がないまま、シャカリキに物事をかき回すから周囲からしたら、いい迷惑だろう。
ブレーキがない彼女の好奇心のままに、勝負に乗り、先陣を切る みっきーは暴走機関車だ。
本人に自覚はなくとも、クラスや学校、そして事件の中心にいる みっきーは悪目立ちしてしまう。
また裏表のない彼女の性格は、裏表を使い分け始めている思春期の女子にとって目障りなのもよく分かる。
私が同じクラスだったら、出る杭は打たれますように、と願ってしまうタイプだろう…。
この巻でも、入江のクラスの女子たちから、運動会で監禁されたり、
『1巻』で改心して、友達として仲良くなった春菜(はるな)からも再び恨みを買う。
しかも『2巻』のラストでは利害の一致した とある男女が共同戦線を張る様子が描かれる。
みっきーの前途多難な日々は続きそうだ…。
もちろん、みっきーは天然の良い子であることも忘れてはいけない。
自分が原因となった問題を自分で解決できな人ではない。
猫田にフォローしてもらうのは、あくまで みっきーの手の及ばないアフターフォローの部分なのだ。
運動会の騒動の最中、誤って怪我をさせてしまった入江にもしっかり謝罪をしている。
そして話し合う中で、入江の目的が分かり、それまで邪魔者という意味で「ぬりかべくん」と呼んでいた入江を名前で呼ぶことにした。
まぁ、そんな みっきーの天真爛漫な姿に入江は一層の興味を引き立てられてしまうのだけれど…。
そして運動会で自分を監禁した他クラスの女子生徒が自分の行為で入江に嫌われると危惧しているのなら、
逆に広い視野をもって入江を肯定的にとらえ、彼女を勇気づけている。
自分の興味のままにまずは動いて、
その中で間違いがあったり、誰かを傷つけてしまったら、しっかりと反省し謝罪ができる。
みっきーはそんな成長する要素をいっぱい持った子なのです。
気になる人がいて、毎日が好奇心に溢れている、
それって目いっぱい生きるってことかもしれない。
そして『1巻』の遠足以降、学校行事が題材になることが多くなっています。
今回のメインは運動会。応援に熱が入ったり、徒競走やリレーで全力で走ったり、果ては監禁され脱出したり、
体力のありそうな みっきーが運動会後に寝入ってしまうのも納得の消費カロリーだ。
また季節が移って始まった水泳の授業では、
みっきーは水着が恥ずかしいとか、男子の目が気になるとかいった様子はない一方、
猫田(たち男子)の方は水着姿のみっきーに対して冷静でいられない様子。
みっきーの無邪気さはいつまで持っていられるでしょうか。
もう来年の今頃には水着を気恥ずかしく思っていても不思議ではない。
10代の1年というのは本当に長いものですね。
そしてこの後には修学旅行的な林間学園が控えている。
まだまだ みっきーの小学6年生ライフは楽しいことが盛りだくさんだ。
「リテイク!」…
2年前の小6の時にもらったラブレターは男子たちのイタズラだった。
その一味に一番仲の良かった白石(しらいし)がいたことが綾乃(あやの)の心の傷。
ある日の放課後、過去に戻って人生をちょっとやり直しができる花を見つけて綾乃は2年前に飛ぶ…。
些細なことがキッカケで話さなくなってしまった思春期の子との「あの日」の再現。
この子たちの場合、リテイクしなくても通常の時間軸で両想いになる日も近かったのでは?
もしかしたら彼らは この体験で時間を戻ったのではなく、ちょっと先の未来に「スキップ」したのかもしれませんね。
裏話で作者が書いている通り、タイムトラベルは色んな つじつまが難しい作品ですね。
特に白石側の行動はどこかに穴がある気がしてならない。
そして見た目は子供になったのをいいことに好き放題セクハラをしているような気もする…(笑)