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少女漫画と小説の感想ブログです

ラブリー変換を解除した俺は ただのイケメンなことを自覚してるんだぜ♥

悪魔とラブソング 2 (マーガレットコミックスDIGITAL)
桃森 ミヨシ(とうもり みよし)
悪魔とラブソング(あくまとらぶそんぐ)
第02巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★☆(5点)
 

キツイけど真っ直ぐな物言いのせいでクラスから孤立してしまったマリア。しかし、そんなマリアを目黒伸がかばってくれた。少しずつマリアへの視線が変わりだします。ある日、マリアは登校拒否になった友世を迎えにいくことに。一緒にきた優介が意外な素顔を…。

簡潔完結感想文

  • 友世。クラスのイジられ担当。マリアに反射した自分の姿を受け入れる。
  • 合唱コンクール。担任からリーダーに指名され奮闘するマリアだが…。
  • 優介。クラスのムードメイカー。八方美人は八方塞がり? 優しさとは…。

んな顔 らしく ないぞ、の 2巻。

『2巻』の表紙は神田 優介(かんだ ゆうすけ)なんだよね?
イケメン化している…。
表紙だからって画像を加工し過ぎた芸能人のようだ(笑)

いつもの柔和な雰囲気とは違い、別人のような表情を見せている。
優介は最後まで顔が不安定だった気がするなぁ。

転校早々にクラスで孤立した可愛(かわい)マリア。
そんな彼女が自分の痛みは隠しながら、
クラスメイトと交流を深めていくのがメインストーリー。

その核を担うであろう合唱コンクールの準備も いよいよ始まり、
孤高に茨の道を進むマリアの奮闘が続いていく。

そこに彼女を想う2人の男性が加わって、恋の鞘当ても気になるところ。

『2巻』ではマリアに初めて本音をぶつける友世(ともよ)が自己を獲得したり、
「ラブリー変換」の師匠でもある優介が常にマリアの味方でいるために、
クラス内で異質な存在になってしまう事件が起きる。

相手を傷つけずに守る方法をマリアは模索する…。


きなり弱音ですが感想文が書けません…。

作品も、作者の漫画の描き方も、登場人物たちも独特すぎて思考についていけない。
この人を理解した、とか、ここには こういう作者の意図があったんだ!、
という理解する喜びが浮かんでこない。

今回、自己を回復した友世はクラス内で最弱の立場の人間だったのかな、とか、
逆に優介はクラス内のオールマイティカードなのかなと思うだけ。

マリアが、友世を突き放しながら応援する様子は やはり教師のようだと感じた。

前例はたくさんあるだろうが、
風変わりな教師が自分の手法を貫き通すことで生徒が また一人と感化されていく。

「偏差値やや低め」の高校が舞台というのも再生に もってこいだ。
治安が悪いほど、更生するカタルシスが生まれやすい。

逆を返せば、マリアの精神年齢や鉄仮面は高校生らしくないということでもある。
しかもマリアは人の言葉の裏に隠された真意を読み取る特殊能力つき。

これではクラスメイトが一方的に感情的になるだけでケンカにもならない。

巻が進んでも、あまりマリアの世界が広がった実感が湧かないのは、
こういう構造の非対称性が問題なのではないかと思う。

そういう人種とマリアが仲良くなったからといって、読者は あんまり喜ばしくはない。
マリア側の不器用さや熱情を描くことで彼女の本気を伝えようとしているが。


世はクラスの中で自分たちの醜さを暴露する。
これはマリアにとって初の同性の味方だ。

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傷害事件に机の落書き・廊下の貼り紙、だけど教師は無視を決め込む。「偏差値やや低め」は地獄か。

しかしクラスメイトは事実を認めようとせずに暴力で訴えてくる。
友世を守るために、マリアは自分の身を身代わりにする。

彼女の 手のひらの怪我は、そのまんま聖痕を表しているのだろうか。

人間の理解が不足し、迫害されることの象徴か。

でも、マリアのクロスの形状で怪我するように見えないなぁ…。
痣として痕が残りそうな気はするが、流血には至らなそう。

流血騒ぎを起こしたとしてマリアのクロスは担任に没収される。
それを取り返しに直談判をしたのは優介で…。


友世の優介好き設定は、この後には完全に無かったことになりましたね。
女子生徒の言いがかりに必要で、
その後は もっと優介を好きな人が身近にいたので出せなかったのでしょうが、扱いが雑。

こういう点も作者が全体の統制を取れていないと思うところである。
もっと大事にエピソードを重ねてほしい。


書で一番の悪魔であるこの担任。
彼に何の罰もないのが本書最大のウィークポイントだと思う。

マリアは人に罰を与えることを望んでいないだろうが、
読者は分かりやすい勧善懲悪を望んでしまうもの。

クラスメイトたちが担任教師の資質に疑問を持たないのも ご都合主義のように思う。

10代の人って、もっと大人をしっかりと見極めている気がする。
大人の僅かな嘘や欺瞞を見抜いて嫌悪するものではないか。

彼らがマリアを嫌う理由は十分 理解できるのだが、
担任の言動を黙認する流れは理解できない。

マリアという共通悪に対して結託するという感じでもないし、
ただ単に作者の都合だけで、彼らの思考を奪っているだけのように思える。


担任は本当に しょうもない小物ではあるが、
彼に何の因果も起きなかったのは作者の怠慢のようにも思える。

本書において作者は登場人物を使い捨てるきらいがあるからだ。
役割を終えた人はフォローもなく無視を決め込み、次の章へと急ぐ。
この世界がリンクしていない、
円環の中にマリアがいないことが作品の質を落としたような気がする。

作品世界の構築というよりも、
いくつかの描きたい章を描きつけただけという印象が残ってしまう。
マリア以外は興味が無さそうなのである。

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マリアに劣等感を刺激されるのは教師も同じかもしれない。器が小さければ小さいほど、ね。

介の激おこ事件では優しさが問われる。

これまでクラスのムードメイカーとして絶対安全領域にいた優介が、
マリアに協力的なあまり、今度は孤立の危機を迎える。

そんな中でも笑顔をキープし、マリアを支え続けようとする優介。
だが、マリアの直感は優介の臨界危機を察知してしまい、彼にムリをするなと告げてしまう。

これには優介の友人・目黒 伸(めぐろ しん)が激おこ。

「てめーには 人の本質を みぬくようなカンはあんのかも しんねーけどな
 こう言えば相手は こう思うだろうっていう 想像力が欠けてんだよ!」

自分の味方をも傷付けてしまう自分の存在に懊悩するマリアだったが、
どうにか優介とクラスメイトを元の状態に戻すことに成功する。

自分の身に起こることを想像し、肝心なところで身がすくんでしまった優介に対して、
自分の身を汚してでも優介をクラスの輪に戻したかったマリア。

イジメられている人を庇う勇気と覚悟、
それを継続的に行う難しさについて考えさせられる。

クラス内最弱だった友世は反抗しても状況の悪化はないが、
優介に関しては、八方美人が暴かれ白眼視されるだけでなく、
自分の手法が通用しないというアイデンティティにまで関わってくる問題となる。

今回は優介も自分の弱さを自覚せざるを得なかった。
これからは彼がバランスを取って、マリアとクラスメイトを繋ぐのだろうか。


しても目黒伸の影の薄さは如何なものか。

『2巻』は優介のターンということもあるが、
どう考えても彼の方が読者とマリアの心を掴むだろう展開だ。

粘着質で湿度の高い視線をマリアに送り続けることで、
要所要所でマリアの助けにはなっているのだが、
どうにも活躍の場面が少なすぎる。

ピアノが弾けるという特技が加わったところで逆転にはならない。

この天邪鬼がヒーローになる日は来るのだろうか…。
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