《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

周回プレイでは攻略対象がお兄ちゃん以外も可能に。片桐くんから海の家のおじさんまで。

お兄ちゃんと一緒 2 (花とゆめコミックス)
時計野 はり(とけいの はり)
お兄ちゃんと一緒(おにいちゃんといっしょ)
第2巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★☆(7点)
 

血のつながらない兄4人と暮らす宮下桜は、兄たちの過保護っぷりに困りつつも楽しい日々を送る中学2年生。誕生日やバレンタインなど、宮下家は事あるごとに大騒ぎ!? 読み切り「ガクチュー」も併録!!

簡潔完結感想文

  • お兄ちゃんたちの誕生日に手袋を編む桜だったが…。手編み VS 既製品。
  • 何気にモテる桜ちゃんに正面切って告白する子が登場。結果は島流し…⁉
  • 寂れた海の家を復活させるべく兄妹5人が一致団結。イケメンパラダイス。


そういえば登場人物は総勢で何人なんだろう、と思う作品の2巻。

この『2巻』でも続々と新たな人物が登場してきます。
お兄ちゃんたち4兄弟は11年間それぞれ親戚宅に引き取られて生活していたので親戚方だけでもかなりの人数だ。
それに加えて桜の学校関係者もかなりの人数います。
ただお兄ちゃんたちの恋愛描写は全くもってないので恋人は出てきませんし、友人関係も少なめですかね。
しかし更に1話完結のスタイルで知り合っていく人たちがいるので増え続ける一方。
1巻につき5,6話収録していて、1巻で新キャラが4人ずつ増えるとしたら、全11巻では総勢50人以上になるだろうか。
どなたかのファンサイトとかで一挙公開してませんかねー(他力本願)。


さて2巻の幕開けは、お兄ちゃんたち(長男・正(まさし)と三男・剛(つよし))のお誕生日回から。
血の繋がりがないにもかかわらず11年ぶりに同居してくれる お兄ちゃんたちへ感謝の気持ちも込めて手袋を手編みする末っ子・桜(さくら)。
だが誕生日のお祝いをしたかった日は各人予定があり、しかも既製品の良さげな手袋を貰っている場面に遭遇してしまい落ち込む。
ただし、そこは作品もお兄ちゃんたちも桜に大甘ですから、幸せな結末になりますが…。

そういえば手編みを贈ろうと思って、他の人から既製品を先に貰っちゃう展開、ついこの前も読みましたね(藤沢志月さん『キミのとなりで青春中。3巻』)。
苦労の割に、経済力に打ちのめされてしまう象徴ですかね。
もちろん、どちらの作品にも少女漫画的救済があるのですが。


そしてこの頃から、いわゆる四兄弟の「個人回」が挿まれますね。
『1巻』での剛の骨折のお話がその始まりですかね。

次男・隆(たかし)のお話は、長男・正と年が近いこともあって兄への敬意と劣等感というコンプレックスを感じさせるお話。
この作品には珍しく正面から兄弟が、ぶつかる場面が出てきますね。
穏やかな性格として描かれますが、多分、隆が一番性格は こじらせているでしょうね。
作中にはそんな描写はないですが、桜に恋心を抱いていたら表にも出せないし、負けは確定してるしでストレス溜まったでしょうね。
あまりストレス耐性なさそうなので、胃など痛めそうですね。
当初から、桜を巡って四兄弟が抗争する構想はなかったと思うので、隆は一足先に結婚させる回があっても面白かったかなぁ、と思います。
上述の手袋を根を詰めて作るあまり、中学教師の隆の授業中に寝てしまう桜を発見した時に、
「皆さん今日は静かに授業をしましょうね」と言ってのける隆もまた重度のシスコンだ。全員、桜に甘い。甘すぎる。


四男・武(たけし)のお話は、武が11年間お世話になった同じ年のいとこ・洋介(ようすけ)の複雑な心情が描かれる一編。
確かに洋介からしてみれば、人生の大半を過ごした自分よりも血の繋がりを重視したと曲解するのも無理はない。
彼とは逆に11年間も兄弟と離れていた桜に泣かれて反省した洋介は、家を出ていった武を迎えに行く。

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兄妹そろって隠れ家は同じ
武回はこの後、あったっけ?と思うほど希少です。
まぁ、武単体じゃお話回せませんもんね…。
大丈夫、作者は贔屓にしてるみたいだし。愛されてるよ。


そして新キャラと言えば桜の同級生・片桐(かたぎり)くん。
彼は桜に正面切って はっきりと好意を伝えた最初の男でしょうか。

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桜に告白しに来た片桐くん
何といっても桜の彼氏候補に出会ったお兄ちゃんたちの反応が見もの。
皆さん暇ですから、矯めつ眇めつ片桐くんを吟味していく。
だが片桐くんが片親だということを知って、敵視しながらも家にあげちゃう四兄弟。
この辺りから攻略するなら「情のもろさ」というのがうかがえますね(後の小塚先輩)。


しかし そんな片桐くんのお話の結末は、引っ越しという名の島流しに処されます(後に恩赦が出る)。
桜を好きな男が一緒の学校に通ってるなんて、お兄さんたちが毎日学校来ちゃいますもんね(笑)

同じく桜に好意を持つ鈴木(すずき)くんが告白した日には、本当に切腹を強要されかねませんね。
鈴木くんには遠慮がなさそうですもの、あの兄弟。
鈴木くんは奥手がゆえに最終回まで生き延びることが出来たのかもしれません(笑)

そして去り際に桜の恋心を予言していく片桐くん。
いよいよここから何年にも亘る、淡い恋の始発列車が出発します。


「ガクチュー」…
男子のことを意識しすぎて男子生徒が望むようなリアクションを取れないのが悩みの中学生女子・小松都(こまつみやこ)。
体育祭でクラス一の不愛想男・麦倉(むぎくら)と二人三脚に参加することになったのだが、意識しすぎる余り…。
作者も薄々感じているようですが、この辺が時計野作品のラブ描写の限界ですかね。
私は、こういう淡い感じのお話好きです。小さい恋みつけた、という感じで。
二人三脚のペアの男の子なら誰でもラブ展開になったのではないかという疑惑はあるけど…。