《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

乙女ゲームではないので ブラザーズが コンフリクトしたりしませんのでご安心を。

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時計野 はり(とけいの はり)
お兄ちゃんと一緒(おにいちゃんといっしょ)
第1巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★☆(7点)
 

育ててくれた祖母を亡くし、14歳で独りぼっちになってしまった桜。そこに母親違いの兄4人が現れて、なんと一緒に暮らすことに!! 突然できた“お兄ちゃん”の存在に戸惑う桜は——!? 表題作他、読み切り「パラレル TO THE ワールド」も収録!

簡潔完結感想文

  • 10年ぶりの”お兄ちゃん”たちとの同居生活。少しばかり妹への愛が過剰な家族です。
  • ”お兄ちゃん”たちと暮らすために過剰に頑張る桜だったが、過労で倒れてしまい…。
  • いじける場所はいつもの公園、そしていつも迎えに来てくれる”お兄ちゃん”たち。


4人の個性的なお兄ちゃんたちとの同居生活が、いよいよ幕を開ける1巻。

一緒に暮らしていた祖母の逝去に伴い、がらんどうになってしまった桜(さくら)の家と心を埋めてくれたのは4人のお兄ちゃんたち。
桜が物心つく前まではお兄ちゃんたちと一緒に住んでいたこともあるらしい。
あの頃と同じように兄弟の紅一点、末っ子として桜を扱ってくれることは、ありがた迷惑なような、嬉し恥ずかしいような気持ち。
桜に何かあったら、どこでも飛んできてくれる毎日はとても温かく、とても確かなものなのです…。

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イケメン揃いのお兄ちゃんたち
そんな日常系同居コメディかと思っていたら、1話のラストで桜と4人のお兄ちゃんたちに血の繋がりがないことが判明。
それを承知で血縁関係のない「他人」の桜のために、あの頃みんなで暮らしていた家に集まってくれたお兄ちゃんたち。
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実は血のつながらない間柄
…ん、ということは桜のことを妹としてではなく、一人の女性として好きになる”お兄ちゃん”がいてもおかしくないってこと⁉
まさか、4人全員が血の繋がりのない桜ちゃんを巡って、血で血を洗う抗争を繰り広げちゃう⁉
と、日常系同居コメディがハーレム恋愛モノになるのかと危惧しましたが、現段階ではあまりそんな様子はございません。

もう少しするとそんな場面も出てきますが、それも味付け程度。
4人兄弟の仲で争いがおきたりして家庭内に不穏な空気が流れることなどありません。
あくまでも平和な中での、ままならぬ恋愛模様といった感じになります。
もっといえば恋愛要素なくても楽しめたと思われます。
作者にあまり恋愛を深く描くつもりがなにのならば、桜の恋愛で引っ張らなくても十分 面白い作品になったのではないかと思います。
少女漫画ですし、設定として血の繋がりがないと明記しちゃったので、必然の流れではあるのでしょうが。


学園ベビーシッターズ』を数巻 読んでから 本書にさかのぼった私には、『学園~』に続く要素を多く発見できて そこも嬉しかったです。
そうか、重度のブラコン兄弟の前は、重度のシスコン兄妹のお話だったのか、と。
しかもご両親を早くに失わせてるのも同じ。
いつかそんな設定のない、完全な恋愛漫画を描いて欲しいですね。

まずは長編でありながら、基本的に1話完結の読み切りスタイル。
どこから読んでも面白い安心設計で、お話も高クオリティのものが続きます。
登場人物がどんどん増えても、お話が迷子にならないのがいいですね。
登場人物たちは割と簡素化された顔ですが見分けがつかないということもない。
絵も1巻の時点でかなり完成されていることにも驚きました。

一人一人に焦点を当てれば無限にお話が続くのではないでしょうか。
ただ、結構 重要なキャラでも出したっきり、めっきり登場しない人たちもいるのが気になりました。
全体的な構想があるわけではないので、一つの長編として読むと、登場の順序が惜しいなという人たちもいますね。

『学園~』を読んでいると四男・武(たけし)は虎太郎(こたろう)の高校生バージョンみたいに思えます。
年齢こそ逆ですが、虎太郎の原型をここに見た気がします。
しかも本書の武は言葉を覚えたての虎太郎よりも喋らないという(笑)
基本的に無口な武は作者のお気に入りみたいですから、やっぱり虎太郎へ続く系譜があるのでしょう。


『学園~』でもそうですが、恋愛描写は深追いしませんね。
淡い初恋のような恋か、もしくは既に妊娠してるかの二択という感じです(笑)
お兄ちゃんたちの実父と、桜の実母の恋物語は、前日譚として描かれそうな お話の筆頭ですが、明確な一編としてはありませんでしたね。
多くのカップルが恋人の一歩手前で止まったまま。

読み返すと1巻からずっと一途に桜に片想いをしている鈴木くんの報われなさは涙が出ますね。


「パラレル TO THE ワールド」…
性別が逆だったら簡単に恋に落ちたかもと夢想する主人公の前に現れたのはサンタ。
クリスマスプレゼントとして「もしも」の世界を見せてくれるのだが…。
初期の短編はファンタジーかつクリスマス・サンタもの が多いような気がします。
時計野作品の素直になれない登場人物はみんな可愛いですね。
本編の剛お兄ちゃん然り。かわいーっていうな!と怒られそうですが。