みきもと 凜(みきもと りん)
近キョリ恋愛(きんきょりれんあい)
第3巻評価:★★★(6点)
総合評価:★★★(6点)
先生の秘密に、天才少女がツンツンデレデレ大奮闘! 修学旅行、初めてのお部屋訪問、そして櫻井(さくらい)の過去が……! はじめてお泊まりで出かけた二人。(←といっても修学旅行)先生と“思い出の2ショット写真”が撮りたいゆにだけど、膨らむ想いは空回り……。そして、恋を揺るがす危機が迫っていることにも気づかずにいたのです――。いつだって波瀾万丈、禁断(?)ラブコメディー!!
簡潔完結感想文
- 京都修学旅行編。旅先で風邪をひくゆに。先生に「ミレイ」という女性の影が…。
- 先生のお宅訪問。今度は先生が風邪をひく。そんな先生に押し倒されてしまい…。
- 噂の元カノ襲来。タイミングも場所もピンポイントにこの学校にミレイが赴任する。
まともじゃない漫画に、まともな少女漫画的な王道の展開が持ち込まれる3巻。
生徒と教師でありながら婚約者同士にもなったというトンデモ設定だけが先行して、お互い好きだという前提以外の気持ちを深く描いてこなかった本書に、段々と変化がもたらされます。
というのも、今巻では先生が高校生の時に真剣に想っていた人の存在に焦点があてられるからだ。
それよって、これまで先生から好かれることを当然と思っていたゆにの心に様々な気持ちが去来することに。
自分にとって先生がどれだけ確かな存在か、そして先生に近づく人へのあからさまな嫉妬の心…。
今まで先生の庭の中を無邪気に駆け回っていた、ゆに猫ちゃんでしたが、いつまでも無垢な心のままではいられないらしい。
そのことが暗示されるのは冒頭の京都修学旅行編。
場所が変わっても、展開は変わらず。
ゆにの密かな企みが失敗し、一時は誤解が生じるけれど、キス一つで解消する水戸黄門方式。
今回は京都が舞台ということもあり、時代劇のコスプレがリアルと脳内に繰り広げられますが、その中に水戸黄門もありましたね。
キスという印籠で、全ての出来事がひれ伏すこの漫画の安直な展開、作者はどうお考えでしょうか。ただ京都という土地は櫻井先生の地元なので、折に触れて先生の家族や過去に触れられます。
どうやら家庭が原因で荒れていた先生の学生時代、女遊びも盛ん、そしてその中で本気になった高校の先生「ミレイ」の存在。
先生の地元・京都での出来事や、先生の部屋に入ったことで少しずつ「ミレイ」の輪郭に触れていくゆに。
そうやってミレイに焦点が絞られた今巻の後半から、本物のミレイがゆに、そして櫻井先生の前に登場する。
元カノ・ドジっ子・年上・豹変・女教師という、これまたキャラが盛り盛りな美麗先生。
わぁー偶然。大学の同級生の峰藤先生が同僚ってだけでも凄いのに、その上、仕組まれたかのような途中参加の人物に元カノが登場するなんて、すごい偶然だなぁ。
そんな美麗先生を含めた一大騒動の最中に今巻は終わる。
遂に巻をまたいだ話が出てきましたね。これぞ長期連載という感じです。
これでまたシリアス展開の最中にコメディ要素を入れるのが難しくなりましたね。
どんな時も1話につき3回は無茶なギャグを挿入しようとする作者は無理しすぎだ。
信念を曲げてもギャグを捨てることは出来なかったのだろうか…。徐々に先生を性の対象(異性として意識したり)、元カノの登場に嫉妬の心を覚えたり、ゆには一層かわいく思えますね。
その一方で、ゆにと違って櫻井先生と性格が合わない私が読んでも櫻井先生の欠点捜しになってしまう。
詳細な説明は『1巻』の感想文を読んで欲しいのですが、この漫画は毎回ゆにの「ツン・ツン・デレ」と櫻井先生の「デレ・ツン・デレ」のリズムでお送りすると書きました。
私はその中の櫻井先生の1回の「ツン」が嫌いです。
「(二人のツーショット写真なんて)そんなのどーだっていいだろ」「(元カノを追求するゆにに)もういいよ 頭いてー 帰って」、まぁ基本的に平和な物語なので、その言葉には櫻井先生なりの思慮があるんですけど、それにしても言葉を選ばない感じが嫌ですね。
たとえそれが緊張の後の緩和が大きな笑いを生みだすように、恋心をより引き立てるお決まりの手順であったとしても。
あと面と向かって「今の女」とか言い出すところも嫌いです。
櫻井先生の心理は本当に謎ですね。
ゆにとは結婚してもいいとは思っているけれど、どんな状況であろうと「まだガキを おそうつもりねーし」だそうです。
昔は女遊びが激しかったことがどんどん判明していく櫻井先生の、一周回ったプラトニックな恋愛を楽しむということなんでしょうか。
その割にところ構わず手を出しては引っ掻かれていますけどね。
先生を男性として意識したゆにが、また天才ならではの思考で、
そういう事(肉体関係を持つ)をするのは結婚する殿方とだけと決めていますが、先生とはいずれ結婚するのだから、いつ事を為すのかは問題じゃないので、先生、私、早速服を脱ぎますね。という展開だってあり得る話だ。
そうなった時の先生の反応が見てみたい。
据え膳食わぬは男の恥で、拒否すればゆにを否定する事になる。
ちゃんと合理的な説明が先生からなされるか、いつか見てみたいものです。
そして初登場の『2巻』で私が感想文を書くにあたってその存在を無視したナルシストの咲くんは、いつの間にか、ゆにの友達・ナミちゃんの彼氏になってます。
そして試験の成績はゆにに続いて学年2人という意外な一面も。
あと演劇部員というのも意外です。真面目に活動してるんですかね。