《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

大学の同級生も元カノも、自分の××だって一つの学校に集める櫻井先生の召喚術。

近キョリ恋愛(4) (別冊フレンドコミックス)
みきもと 凜(みきもと りん)
近キョリ恋愛(きんきょりれんあい)
第4巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★(6点)
 

なんと櫻井(さくらい)の元カノ・滝沢美麗(たきざわみれい)が、ゆにの通う学校に赴任してきた! 動揺を隠しつつも、不安を募らせていくゆに。そして波立つ心を抑えられなくなったとき、思いがけない行動をとってしまうのです――。枢木(くるるぎ)ゆに・氷点下(クール)ガール、じつは笑顔がキュート。櫻井ハルカ・生徒にモテモテ、でもゆににゾッコン!? 美形教師と天才少女の禁断(?)ツンデレラブコメディー!!

簡潔完結感想文

  • 美麗先生と階段落ちしたゆに。倒れる二人を前にして櫻井先生が助けたのは…。
  • 櫻井と美麗先生の間には、ゆにの知らないことが多すぎて、ゆには悪事に走る。
  • 人を欺いたこと呪ったことにたえられなくなり、ゆには櫻井先生とお別れする。


綺麗事じゃない恋愛をまざまざと見せてくれる4巻。最終回チャンスの4巻。

櫻井先生の元カノ・美麗先生と一緒に階段から落ちた現カノ・ゆに。
だが、櫻井先生が真っ先に助けたのは美麗先生で、ゆにの心にどす黒い感情が湧き上がる。

ゆにの中の理性は意識のあった自分と、気を失っていた美麗先生の危険度の差だと理解しながらも、どうしても彼女でありながら選ばれなかった嫉妬や敗北感が湧き上がる。

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先生への愛は憎しみも教えてくれるんですね。
いつも感情に素直なゆにの表情に翳りを見た櫻井先生は、美麗先生の前で、ゆにこそが今つきあってる子だと宣言する。
そんな櫻井先生の態度一つで心の中を渦巻いていたどす黒い感情は浄化され、幸福感に包まれるゆに。


元カノ襲来という大きなインパクトはあるものの、振り返ってみれば、下げてから上げるのいつものパターンで、今巻では櫻井先生・美麗先生・ゆにの三角関係の間でそれが3度ほど繰り返されるというだけである。
いつもならば櫻井先生の非情な一言でゆにが下げられるところが、櫻井先生と美麗先生のただならぬ関係をゆにが何度も目撃してしまい落ち込むという形式に変わっただけである。
かと言って櫻井先生の株が下がらないかというと、嘘をついたり、フォロー不足だったり、相変わらずどこが素敵何だか私には分かりかねるのであった。


いつもならゆにの勘違いで終わるすれ違いだが、美麗先生は本当に櫻井先生に復縁を仕掛けてきている点も違う。
美麗先生も思わせぶりな発言も多いくせ者である。
元カノという設定をはじめ色々なキャラクタを盛り込んでいる美麗先生だが、自分に正直というか、腹黒の一面も持っている。

今後は新たな登場人物は全員、ゆにの弟・るーちゃん(特殊能力の持ち主)に面通しして欲しいものだ。
るーちゃんが判断してくれれば、ゆにの方も対策が練れるというものだ。
櫻井先生の関係者は学校に集う傾向があるので、その都度、るーちゃんを学校に連れていけばいい。
るーちゃんによる除霊で恋愛沙汰が何も起こらないお話の完成だ…。


予想外だったのは、ゆにが美麗先生がらみで生まれた負の感情の蓄積に耐えられなくなったこと。
自分の汚さを自覚したゆには先生に別れを告げる。
そしてそれが、きっと美麗先生を好きな櫻井先生の為にもなると思って…。

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相手のことを想って身を引く、それも愛?
毎回、仲直りするものの大きく感情がすれ違っていた二人が、まさか本当に別れを選ぶというのが今までとは大きく違うところ。
まぁ一度別れたってことが違うだけで、あとはいつも通りなんですけどね。
少し違うのはゆにの感情が一歩動いたというところでしょうか。

毎回、騒動を巻き起こさないと前に進めないとは迷惑なカップルです。
そして、相手のために自分と別れた方がいいとすぐに思ってしまう軟弱地盤のカップルです。
二言目には結婚だ婚約だいう割に、中身が何にも伴ってないのです。
先生が本当に精神的に17歳で止まっているから、ゆにが傷つくことを早く未熟な先生が気づいて欲しいものだ。
もしくは、ゆにが精神的に成長して、実質的な姉さん女房になるか、ですね。
人をもてあそんで楽しむようなガキを論破できる精神力を持ってほしいものだ。


そうしていつも綺麗事で済まそうとしてるのは櫻井先生。
相変わらず自分の中で鉄壁のテリトリーがあって、ゆにすらそこに立ち入らせない。
今回は櫻井先生の過去を知る美麗先生が彼の近くにいる事で訳知り顔で話す二人の関係をゆにに見せてしまう。
そしてゆには一層の疎外感を得るのだが、それに対して櫻井先生は甘い言葉を呟いて、麻薬のような陶酔感にゆにを浸らせてしまう。

もう完全にただのホストですよね。
一時的な享楽のために全力を尽くす。
心を操ることがその喜びとしか思えない。


そして先生と何か因縁のありそうな桜田レオ、先生にも負けず気持ち悪いっす。
皺だけ描き足しただけで年齢不詳。
ブロマイド、若作りしすぎじゃないですかね。

この辺りを櫻井先生がゆにに立ち入らせた時、また少し関係性が変わるのでしょうね。
今はまだ、どうやっても櫻井先生の手玉に取られているゆにである。


もうこれは最後の1ページを無かったことにして4巻で最終回で良かったんじゃないでしょうか。
このままじゃ枠組みは少し違っても最終回まで同じ展開を見せられること必至だ…。