《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

刺激的なスパイスを入れたらこんなにも美味しくなった一品。スパイス万歳。

360°マテリアル 2 (マーガレットコミックスDIGITAL)
南 塔子(みなみ とうこ)
360°マテリアル(さんびゃくろくじゅうどまてりある)
第2巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★☆(7点)

相変わらずゆるふわだけど事態はけっこう急展開!? 滝くんとお付き合いすることになった美桜。だけど、滝くんのお隣に住む茜や元カノの出現に、美桜のキモチは不安でいっぱい。さらに2巻では新たな恋が発生!?

簡潔完結感想文

  • 2巻は茜ちゃん巻。疾風に勁草を知る。美桜は茜に対してスーパー良い子。
  • ライバル、元カノ、バレンタイン、そして放課後デート。これぞ少女漫画。
  • 丸井、動きます。完結した後でも間に合う。美桜、考え直せ(笑)!


カップル成立の後に待ち受ける王道展開の2巻。
恋の行く手を阻もうとする、滝くんのお隣に住む茜ちゃん、そして元カノの存在が主人公・美桜を悩ませる…。


主人公カップルに関しては「ゆるふわ」恋愛で、何でもない事で悩んだり、勘違いしたり、2巻目にして既視感のある2周目の堂々巡りが始まる。
このカップル、決定的にコミュニケーションが足りない。
美桜も(そして滝も)自分が傷つくかもしれない、と思ったら相手に直接問いただすことをせず逃げようとする。
そんな避けるような行動をとったら相手がどう思うか、相手が傷つくのではないか、なんてことを考えない。
それが「ゆるふわ」であり「天然」なのかな…。

聞きたくない話を避けるために別の男を利用。そして恋の相談相手がヒロインを好きになる様式美。

そんな主人公・美桜にとって、リアルな痛みとなるのが上記の女性2人の存在。
滝くんの隣人・茜ちゃんは、滝くんへの兄妹的な独占欲はあるけれど、滝くんの恋人に収まろうとしないのが面白い設定。
茜は美桜自身というよりも滝くんの新恋人が気にくわないから、高圧的な態度をとったり余計な入れ知恵をしたり、精神的ダメージを与えたいのだろう。
この辺りが茜のかわいい面で、読者に嫌われそうで、多分あまり嫌われない(巻が進めば不器用さや真面目さも描かれるし)。
物語に動きと緊張感をもたらす意味で作者からも愛されたであろう。
そして読み返してみると茜と丸井は2巻から2人で会話してるんですね。
茜視点で見ると、ゆっくりと育んだ恋なんだなぁ…。
ここも好感ポイント。

そして数学が出来ない、そこそこ可愛いぐらいしかキャラクターのない美桜の精神的強さを発揮するのも茜の役割だ。
本人はそんな事を望んでないだろうけれど、受験日の茜に対する態度や優しさなどで、美桜の良さが初めて(?)理解できた。
ある意味で2巻は茜ちゃん回である。


そして元カノとの対面。
この人は分かりやすい年上彼女で、滝くんは「若いツバメ」である。
この元カノ、絶対、滝くんの内面よりも外見の良さに惹かれてるだろうし(想像)、意志疎通が難しいタイプの滝くんを上手コントロールするにはうってつけの性格では?
元カノの名前が「美和」なので、てっきり美桜と言い間違える展開があるのかと思ったけど、なかったなぁ。

双方に近づく異性を用意して距離感を出して、晴れ渡っていたはずの恋愛に暗雲を用意する。

気になるのは美桜に対する滝くんの知識って、数学というより豆知識だよねってことと、美桜を含めたお友達3人の描写は友情を感じないので説得力がないこと。
のちのち女性陣の友情を作者なりに掘り下げようとした形跡はあるが、どうも型通りの友情ごっこ感が否めない。

あとがきで手紙やメールの内容も踏まえた上でのお返事を書く作者に好感。これはファンレター出した人は嬉しいだろうなぁ。
もっと連載や漫画の人気が出るように応援しちゃうもん。