《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

飛行機雲を一緒に見た空も 星座を教えてくれた空も 今は雨雲が覆い隠すんだ。

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南 塔子(みなみ とうこ)
360°マテリアル(さんびゃくろくじゅうどまてりある)
第7巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★☆(7点)

「諦める」の意味は分かる。でも「諦める」方法は…。 丸井からの突然の告白。動揺する美桜ですが、丸井の態度はいつも通り…。滝くん家での勉強合宿に丸井も参加してアクシデント発生!

簡潔完結感想文

  • 波乱の勉強合宿@滝邸。二人を繋ぐチェーンが切れた時…。
  • 物語の牽引力・丸井。集団の中から2人きりになるスマートさ。
  • ライバルを牽制するつもりが、カウンターで一撃もらう滝くん。


これまでの前半の安穏とした雰囲気から一気に剣呑な関係の主人公カップルたちの7巻。


合宿の長い一日の中で、滝くんは美桜と二人っきりで良い感じの雰囲気になりキス目前。
そして丸井とも暗くなる頃に一人買い物に出かけた美桜を追いかけるため、こっそり家を抜け出して、ハプニング的に顔を近づけキス目前。
いいですね、この一進一退の攻防。
まさかこの絵柄でこんな緊張感を孕んだ物語が繰り広げられるとは…。


この7巻は夏休み前の期末テストの時期だから、梅雨の時期でもある。
「仲秋の候」から始まって、季節が巡る度に美桜には色々な感情が沸き上がってきた。

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滝くんの心に暗雲が立ち込め始める…。
さて梅雨はというと、天気も心も雨が降り続く。
美桜たちが心理的に追い詰められてカラッと晴れて欲しい時に限って降る雨。
飛行機雲を見上げ続け、天気や空が描かれてきましたが、梅雨と心理のリンクは見事。
先品の隅々まで気持ちが行き届いていますね。
さて夏の熱い日差しが照りつける頃、美桜は誰の隣と歩くのだろうか…。


劇的な始まりがなかった二人、感情的な喧嘩もなかった二人、些細だけれど着実に幸せを重ねてきた二人。
けれど静かに近づいてくるカタストロフの足音。
思い合っていないはずがないのに、気持ちに確信が持てなくなる。
当初は「ゆるふわ」と形容された二人の気持ち。
作品の特徴を表す言葉が不確実性を意味し、こういう形で利用されるとは思わなかった。

しかし滝くん、自宅が「両親がほぼ留守」状態なのに美桜を誘い込むような事をしないのは紳士的な態度の証明か。
けれど押しの一手が足りないからこそ、M氏に押し切られそうになるんでしょうね。


『6巻』で滝くんから貰ったばかりのチャームをどこかに落としてしまった美桜。
いくら探しても見つからないまま梅雨入りしたのか、雨の日ばかり続く。
同じ雲、同じ星を見つめていたはずの二人に、それらはもう見えなくなってしまった…。

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失くしたのは チャーム? それとも愛?

7巻の終盤で滝の気持ちがついに黒く塗られる。
けれど読み返してみると滝くんを疑念を生じさせたのは、直接的には丸井の独り言なんですね。
ここが丸井を巡る美桜の言動ではないところが、滝くんの空回りであり、復縁への希望でもあるのですね。

揺らぐ気持ちや隙があるとはいえ、美桜を徹底的に悪者にしない配慮がある。
けれどここは、何度も言うけれど、かわいいふりしてあの子 わりとやるもんだねと♪、という展開も見てみたかった。
少女漫画史に残る伝説になっただろうな。
丸井にはそれが許されるぐらい、読者の気持ちは丸井に加算されている。
逆に言えば、滝くんとの絆の弱さもこれまでですっかり露呈しているわけで…。


滝くんとお隣同士という設定のため、上級生の勉強合宿にも絡んでくる茜ちゃん。
丸井への思いという私利私欲が混じっているとはいえ茜ちゃんはやっぱり良い子。
美桜たち二人に、ビシバシと厳しい言葉を浴びせられるから彼らの相談役に就いてもらいたい。
初登場時にはあんなに気の強かった子が、こんなにも気持ちのいいポジションに収まるとは思わなかった。


そして7巻では滝くんの姉の一人が初登場。うーん、イメージが違う。滝くんに強気なのは想像通りだけど、肉感的というか、けばけばしいというか。逆らえませんね、こりゃ。そして『8巻』では…。

360゜マテリアル 7 (マーガレットコミックス)

360゜マテリアル 7 (マーガレットコミックス)

  • 作者:南 塔子
  • 発売日: 2012/06/25
  • メディア: コミック