《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

吹けば飛ぶような「ゆるふわ」恋心。ハートの燃料は彼女ではなくライバルの存在⁉

360°マテリアル 3 (マーガレットコミックスDIGITAL)
南 塔子(みなみ とうこ)
360°マテリアル(さんびゃくろくじゅうどまてりある)
第3巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★☆(7点)

ゆるかわな日常にひっそり揺れ動く片恋の行方は…。 バレンタインデーに芽生えた丸井の小さな恋心。隠そうとしても、それは日に日に大きくなっていきます。そして、ついに滝くんに気づかれてしまうのですが…!?

簡潔完結感想文

  • バレンタインデーに元カノへ一直線の彼。しかし変わりやすい天気の初キス回。
  • 相変わらず数学地獄。滝くん指導で点数アップ。教師イッチーの授業が悪い?
  • 丸井へライバル宣言。一生懸命張り合う滝くんは可愛い。天然設定、何それ?


バレンタインデー当日の騒動を描いた『2巻』の続きから始まる3巻。

元カノの電話に応じて彼女のもとへ走った滝くんに、美桜は珍しく不機嫌を隠していない。
けれど滝くんに他意がない事も確認できて、素直に謝られたら、怒りどころか温かい想いがこみ上げる美桜なのであった。
…って、それでいいの⁉ と突っ込まずにはいられない。

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怒りながらも 自分を可愛く見せてないか疑惑
電話一本で呼びだされ、彼女に説明もせずに、迷いなく元カノのもとへ走るって、もう浮気だよ。心の浮気。
世間じゃ「ゆるふわ」天然男と呼ばれるこの男、実はただただ女性の気持ちに鈍感な男でしかない。
もしかしたらそれもこれも彼の家庭環境のせいなのか…(後述)。


そんな滝くん、彼女・美桜の気持ちの揺れなどは察せないものの、美桜に好意を持つ者の空気にはじつに敏い。
いよいよ美桜への気持ち自覚した丸井との対決が決定的になる。
「俺の彼女(おんな)に色目使ってんじゃねーぞ」「いいぜ、拳で語り合おう」なんて言動を滝くんは採るはずもなく、その対抗策は、美桜に自分の格好いい姿を見てもらう事。
んー、可愛い。改めて滝くんには強引さが一切ないところが良いのだと気づく。

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今カレ・滝くんの丸井への牽制
この局面でも彼女を巻き込んで、束縛するとか不必要にスキンシップを求めるとかではなく、あくまで正々堂々とした男同士の対決を望んでいる。
また前半の初キス回でも、その裏事情がとても彼らしくて笑ってしまった。
女性の意のままに動く、それもまた彼の生き方かもしれない。


四つ葉の豆知識を披露する際に、言及された滝くん父。
ここで思わせぶりなモノローグがあったものの、結局、最後まで登場せず。

この作品、こういう事が多いですよね。
振りや伏線かなと思ったものが、思わせぶりで活用されない。

3巻で言えば、美桜の友人「しーちゃん」と「由仁」の喧嘩も、何が何だか。
多分、直後の滝くんが丸井への牽制を促す効果なんだろうけど、美桜関連の出来事でナゼ、と不自然さが否めない。
唐突に始まり、唐突に終わった騒動。

そして話が前後してしまったが、滝くん家族で言えば、滝くんが「末っ子長男」という設定は物凄く納得する。
きっと(作中では未登場の)母親から大事にされ、少なくとも2人いる姉たちには尻に敷かれ育ったのだろうと容易に予測される
。滝くんのような女性に囲まれ過ぎて、良くも悪くも緊張感のない人には、元カノみたいな人の方が自分の「失敗」は少なそうだ。
でも美桜との付き合いの中ではそんな慣れないポジションに孤軍奮闘する滝くんが母性本能をくすぐる、のかもしれない。
やっぱり弟属性の人なのだ。