
水波 風南(みなみ かなん)
未成年だけどコドモじゃない(みせいねんだけどコドモじゃない)
第00巻評価:★★☆(5点)
総合評価:★★☆(5点)
新作まんがも収録のファンブック!! みせコド5巻の最終回のその後を描く新作よみきり31Pのほか、これまで未収録の美麗カラーイラスト30枚以上や、秘密のキャラ設定資料や原稿制作過程も大公開!! 連載前から映画化に至るまで…裏話たっぷりの水波風南先生ロングインタビューも! みせコドファン必携の1冊!!
簡潔完結感想文
- 本日は折山 香琳・鶴木 尚 両名の結婚式に ご列席頂き誠にありがとうございます。
- 2人の出会いから2回目の結婚式に至るまでのスライドショーや本番の様子がメイン。
- 制作秘話は単行本の中でも語られているので重複が多い。映画化は作者への ご褒美か。
130ページと ただでさえ薄い本の40ページのために買う 完結ファンブック。
作品が結婚をテーマしているだけあって、ファンブックも結婚式の式次第に沿った構成になっているのが良い。第1章のカラーイラスト集は新郎新婦のこれまでの人生を写真で振り返るスライドショーみたいな内容か。第2章の小学館作家さんによる色紙は、式に列席できなかった方からの電報やメッセージ。第3章はファンブックの本体というべき新作の特別編は40ページ弱 掲載。2回目の、本人達も周囲も誰もが幸福感に包まれる結婚式を描く。
第4章は結婚式に至るまでの裏話となり、第5章は作品の別展開(映画化や声優さんによるコンテンツ)の話となっている。
本編完結から実写映画化企画の始動までにタイムラグがあり、このファンブックに向けて描かれた特別編は、次回作の連載と重なっているのに手間のかかる作業をしていて苦労されたことだろう。


『4巻』で完結させてしまうか、『5巻』の完結編まで描くか作者は大変 悩まれたと思う。実写映画化の話は きちんと話を完結させてあげた作者への ご褒美のように思えてしまう。実写映画化を見るつもりは全くないけれど、全5巻の作品なら2時間にまとめても過不足が無いのではないか。特に本書は設定や始まりに工夫があって映像化しても楽しい内容だと思う。『今日、恋』の二匹目のどじょうを狙った印象は否めないけど、売れている作品を実写化するのではなく、こうして制作側から映画化したら面白そうと思ってもらえたことが一番の評価なんじゃないだろうか。
ヒロインの香琳(かりん)が願うことが全部 叶ったこと、連載初回の1回目から最終回・特別編での2回の結婚式で物語がサンドされている構成も よく出来ている。連載中は作者にとって色々と心残りの多かった作品だと伝わってくるが、こうして無事に結婚式を きちんと(2回目の結婚式なんて2回も)描けたことで当て馬の五十鈴(いすず)の未練が成仏したように、少しでも作者の無念が減ればいいと思う。やっぱり私は既読の作品の中では一番 好きだと思えた。
「第1章 カラーイラスト総覧」…
これまで発表された『みせコド』のカラーイラストが大集合。イラスト集的な側面もあり これを目当てに買う人も少なくないだろう。イラストの下には作者のコメント欄もあり、どういう意図で どういう苦労をしたかが分かる。作者の絵には濃いめの色が合うような気がする。


「第2章 寄稿色紙」…
小学館で活躍する作家さんからの色紙メッセージ。水波さんのキャリアと売り上げの割に よく分からない人選と言ったら失礼か(アシスタント経験者なのか)。ファンブックの予算の問題だったりするのだろうか。↓の特別編のドレス問題といい世知辛い。
「第3章 結婚式本番」…
特別編。香琳が短大を卒業するタイミングで2人の結婚は公になる。尚(なお)は金銭的に無理をしても香琳の望むドレスをレンタルする。彼らにとっては2回目だけど、愛のある普通の結婚をするのは初めて。初回と違って2回目は親の援助なしで済まそうとしている。尚も大学を卒業したばかりだと思うのだけど資金はあるのだろうか、ローンを組めるのだろうか(既に仕事を始めている様子ではあるけど)。
5年後の20歳の五十鈴(いすず)も登場。この5年間で五十鈴は香琳よりも背が高くなっている。いくら何でも本編は子供っぽすぎた。五十鈴は未だに香琳を想っているという当て馬の宿命を背負わされている一方、父親の命令で婚約者がいる設定になっている。しかし父親の命に反抗できるだけの力を蓄えるために五十鈴は留学が決定している。香琳たちの結婚式の日の夜に出発する予定で、それを理由に招待状の返事を出していない。香琳は五十鈴の出欠に気を揉むが、尚は男同士の勘で彼は出席すると考えていた。
結婚式前日は思い出のアパートの引っ越しの前日でもあった。明日からは2人で決め2人で家賃を払う家に住む。夫婦として本当にスタートする日となる。アパートの部屋に一礼して2人は家を出る。
2回目の結婚式は香琳には愛があれば十分。でも愛があるからこそ尚は香琳に(多少 料金が高くなっても)最高の思い出を作って欲しい。それが1回目との違いだろう。
結婚式の序盤は『5巻』の番外編にあった内容を香琳の視点で描く。そこから五十鈴の独白に移り、彼が本当に初恋に けり をつけたことが分かる。そして2人は本当に幸不幸を乗り越えて2人で共に生きることを誓う。
「第4章 制作秘話」…
作者の写真が顔出しで掲載されている。以前も『蜜×蜜ドロップス』のファンブックで顔出ししていた(という過去の私による情報)。
ライターさんのインタビュー形式で制作の裏側が語られているけれど、元々 作者は自作を作品の空いたスペースで語るタイプの人なので重複が多い。いつも何かに苦労されているイメージですが、未読の『今日、恋』のファンブックでは充足感に満たされていたりするのだろうか。
「第5章 関係者コメント」…
映画化にあたってキャスト・監督・プロデューサーからのコメントが寄せられている。芸能人の方々の写真は権利の関係上使えないっぽくて役のイラストのみ。コメントを取ったのが映画撮影前なのでフワフワした当たり障りのないコメントに終始している。
漫画に声を当てたコンテンツの声優陣は宣材写真が登場。芸能人の皆さんとはギャラや契約が違うのだろうか。
