《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

イケメン幼なじみという外見と設定だけ頂戴した、ほぼ他人のような彼との交際編開始。

ちっちゃいときから好きだけど(2) (別冊フレンドコミックス)
春木 さき(はるき さき)
ちっちゃいときから好きだけど(ちっちゃいときからすきだけど)
第02巻評価:★★(4点)
 総合評価:★★(4点)
 

「うれしすぎてつき合ってるなんて夢みたいっ」ずっと好きだった幼なじみの翔(しょう)とつき合うことになったつばさ。でも、翔はつき合う前と態度が変わらなくて!? 『ただの幼なじみ』から、ちゃんと『恋人』になるにはどうしたらいいのかな?? ずっといっしょにいてもわからないことばっかり。キュンっともどかしい、大人気幼なじみラブ!!

簡潔完結感想文

  • ぼんやりと交際編スタート。幼なじみの好みや性格に無理解なヒロインが痛い。
  • 恋愛成就したら もう描くことがないのでキスや それ以上の関係で空虚を満たす。
  • 性行為を焦らないという結末から性行為をして欲しいの支離滅裂なコンボに驚愕。

かの言葉にヒロインが振り回されるだけの 2巻。

ずっとヒロイン・つばさ がアホすぎて涙が出てくる。『2巻』収録の3話は全部 つばさ が誰かに言われた(もしくは立ち聞きした)情報に振り回されて自爆して、それを最終的に幼なじみの翔(しょう)がフォローしていく、という内容で構成されている。または自分のことで頭がいっぱいのヒロインが自分の思い通りにならない展開に直面して、その問題から逃亡していく話の3連発でもある。

交際編2話目で もう性行為の話題に踏み込む。10年以上の恋が実った余韻や情緒はありません。

色々言いたいことがある作品だが、まず翔が いつの間にかに彼氏になっているのが理解できない。『1巻』の終わりの翔の曖昧な返事でフラれたと思っていた つばさ だが、翔はつき合っているという認識だった。夢みたい、と喜ぶ つばさ だったが、読者としては夢みたいな支離滅裂な展開に唖然とするばかり。恋愛成就という少女漫画で一番大切な場面を こんな玉虫色の内容で終わらせる所に作者のセンスに疑問を感じた。
フォローするとすれば連載の最終回がいつになるか分からない新人作家の立場だから、早めに交際編にして、2人の関係を先に進めようとしたのだろうか、と考えられる。両想いを いつまでも先延ばしにするよりも、連載を貰えたことで初めて可能になる交際編を描いてみたい、というのは読切ばかり描いてきた作家さんの自然な発想なのではないか。
それにしても もう少しちゃんとした告白や両想いの成立場面を見てみたかった。ただし なんとなく始まった交際だからこそ つばさ が翔の気持ちに自信が持てずに右往左往するという展開が不自然には見えない。交際直後から揺れる心という点では上手い流れのようにも思える。


う1つ文句を言いたいのは、5話目と6話目の話に繋がりが一切ないこと。この2つの話は早くも性行為の話題が共通点にあるのだが、5話では つばさ が翔に襲われるのかもと暴走し、結末で翔は つばさ が嫌がるようなことをしない紳士であると つばさ が安心する。…が、6話目は つばさ が性行為に前のめりになり、翔の前で服を脱ぐが、彼が「据え膳」を拒絶する形になって つばさ はショックを受けるという話である。

5話目で つばさ が翔を理解した話だったのに、6話目は やっぱり翔を理解していないという話で つばさ の成長の無さ・理解の無さに悲しくなる。そもそも性行為のエピソードが続くことに対して、1回前にやったばかりだよね? 前の話の結末は無視なの?と本気で つばさ と作者の頭の中が心配になった。しかも2話とも第三者の意見に つばさ が振り回されているから頭が痛い。つばさ が翔と どういう交際を望むのかを全く考えないままキスや性行為を目的化している。

翔への理解度という点では、つばさ は まるで彼の幼なじみである感じがしないのが残念。翔がインドア派で芸術肌、つばさ のようなミーハーな交際をするような人じゃないのに、つばさ は自分が「彼氏」としたいことを翔に要求してばかり。つばさ がしたいのは翔でなくてもいい「彼氏」との甘い夢なんだ、ということが判明し、彼女に幻滅するばかりである。デートもキスも性行為も つばさ がクリアしたい恋愛イベントで、翔と一緒にいること自体を少しも大切にしていなくて本当に彼女が嫌いになる。

つばさ の翔への理解が全くないから2人の交際は、巻末に収録された読切短編のように、性格が真逆な他人の交際にしか見えてこない。合わない2人が惹かれ合うのなら その交際は新しい一面に知ることが多くて面白そうだが、本編の場合、よく知っているはずなのに よく知らない人にしか見えないという欠点ばかりが浮かび上がってくる。

幼なじみなのに近くて遠い距離、というのが本書の売りだったと思うが、早くも その距離感も消滅してしまった。もはや翔側が幼なじみなのにオレのことを何も理解しない彼女、という苦悩しか本書には残っていないのではないか。既に何も描くことが浮かんでいない状況なのに、本書は11巻まで続く…。


ばさ の告白に対して翔の曖昧な返答で始まる交際。だが つばさ の理想の交際像と、現実の翔の夢の無さは噛み合わず、つばさ は落ち込む。要するに自分の願望が叶わないから彼女は不満なのだけど。本書における好きとか交際するという意味は果てしなく軽い。

つばさ は自分が翔から異性として見られていない危機感を覚え、恋人っぽい雰囲気になれないのは自分のせいだと思い込む。そこでスカートを短くし髪型をアレンジして女子力をアップしえ翔の前に立つ。だが翔は外見の要素に無反応。うん、好きって そういうことだけじゃないからね。せっかく幼なじみ設定なのだから もっと深い部分で惹かれ合う2人を描いて欲しい。

翔が他の男を牽制するのを見ても何も考えず、彼が照れ隠しで言った嫌なことだけに反応する。「文脈を読む」ことが出来ない知性の欠如が情けない。こうして「好きじゃないなら つき合わなくていい」とか「大嫌い」とか自分が酷いことを言って逃亡する。

放課後、美術部が屋外で活動することになっても、つばさ は翔を避ける。ただ翔が集合時間に戻らないと知ると今度は彼を捜しに走る(情緒が安定しない人である)。泥だらけになって彼を捜すが、彼と一緒に斜面を滑り落ちてしまう。怪我をしたことで お互い素直になって向き合うと翔は ようやく つばさを異性として見ていると自白する。本当に気持ちが重なっていることを確認した2人はキスをするのだった。


なじみだが翔の性格を全く理解していない つばさ は、今度も自分がしたい理想のデートを実現するのに必死。翔が渋るので譲歩し、一緒に出掛けられるなら彼の行きたいところでいいと妥協する。

先日、キスを終えた つばさ は もう次の段階(性行為)を視野に入れ始める。キスや性行為の話題を作中に出すのは、手っ取り早く読者を取り込むためだろう。前回とは逆の話で つばさ は翔を異性として意識し過ぎて空回りするという内容になる。

翔のデートの行き先は画材屋さん。しかし その後、雨に降られたため翔の家に避難する。着替えを見られるハプニングや自宅に誰もいないという状況が つばさ に性行為を意識させ、またも翔を遠ざけてしまう。そんな態度が翔には つばさ が無理をして交際していると思われてしまった。

学校で会っても翔の反応は素っ気ない。こうして交際前より上手くいかない関係性になることを落ち込む。だが つばさ は翔が風邪っぽくて保健室に行ったという話を聞き保健室に向かう。前回の行方不明といい翔がピンチと分かると ようやく動き出す面倒臭い女である。それに その人が隠している体調不良を好きな人だけは鋭く見抜くという熱い視線は つばさ には無いようだ。つばさ は結局、自分のことしか考えていないから翔のことを見ていないことが証明された。

保健室で眠る翔に話しかけ、まえよりも ずっと好きだよと彼にキスをする つばさ(この時の翔が のっぺらぼうに見える絵の描き方が気になる)。そのキスを受け入れてから翔は起きていることを知らせる。そして つばさ は自分が性行為で頭がいっぱいで空回りしていたと話して翔を脱力させる。ラストに思い出したように幼なじみ設定を入れているけど、つばさ の翔情報の欠落や性格への無理解が気になって仕方がない。

性行為を意識して失敗した次の回で その達成を目的にするヒロインと作者の おめでたい頭の中。

盤は雑誌の掲載号と作中の季節と合わせているからか時間経過が早くてクリスマスとなる。この間 高校に入学したばかりなのに…。

デートの失敗から何も学ばず、クリスマスも翔と どこで過ごすかで頭がいっぱいの つばさ。恋人らしく2人でという自分の願望を押しつけ、どうにか翔の家で過ごすことを約束させる。

自作のケーキとプレゼントを用意して気合いを入れて翔の家に乗り込む つばさ。この時、彼女には性行為の完遂という間違った目標が設定されていた。映画を見ていたら あっという間に翔の家族が帰ってくる時間になり、つばさ は翔を誘うため服を脱ぎだす。だが翔にを拒否されて つばさ のプライドは粉々になる。そして自分の思い通りにならなかったから今回も臍を曲げて、さっさと家を辞去しようとする。この時も拒絶した翔の気持ちを推量したり、2人で交際の形を考えるとか、そういう思考は皆無。常に自分が幸せかどうかだけ。
確かに翔は気持ちが分かりづらい人で不安になるのは分かるが、性行為をする/しない で好きかどうかを決めつけるのは どうかと思う。じゃあ、逆に翔から性行為を強要されて、拒絶したら 俺のこと好きじゃないんだな、ということになって、性暴力が正当化されるばかりではないか。

つばさ が落ち込んでから翔がフォローするのも最早 定番の流れ。翔が つばさ の部屋を訪ね、家族にバレないように先ほどの続きをしようとする。だが今度も つばさ の身体は硬くなっていて翔は途中で止める。それが翔の思い遣りであることに ようやく つばさ も気づく。ここで翔が「いくらでも待つから」と言っているのが いまいち意味が分からない。翔は現時点で つばさ と そういう関係になりたいとは思っていないのに、待つ という言葉を使うことに違和感がある。

最後に翔からネックレスのプレゼントを貰って つばさ は ご満悦。どうもヒロインに甘いだけの世界で胃もたれしそう。


「コイの時間」…
恋やお洒落に熱中するあまり留年の危機を迎えた松川(まつかわ)リナ。担任教師は先生役として仲本(なかもと)という男子生徒をリナに引き合わせる。こうして一緒に勉強回がスタートして、リナが生真面目な仲本の素顔に惹かれていく話かと思った所で、仲本がリナに いきなりキスをしてくる急展開を見せる。混乱するリナだったが、翌日 仲本がキスを なかったことにしてと言い出し、教師との契約があるから勉強は続けてというようなことを言い出しリナの怒りは爆発する。
こうして険悪なままテスト本番を迎えるが、リナは留年を回避。そして担任教師から仲本が教師との契約以上の期間、リナの勉強を見てくれたことを知る。5教科の試験が1日であって、それを当日中に採点したのか?という話の流れが気になる。テスト用紙は3科目しかないように見えるし…。

だが そんな優しさを見せた仲本だったが、リナを無視するような態度を取り続けるので今度はリナが仲本を追いかけるようになる。二転三転した結果、騒がしい女子とガリ勉男子の恋が始まる…。

仲本の方は最初からリナが好きで、彼が照れながらリナと交流していることを念頭にして読めば この急転直下の お話を理解できるだろうか。ちょっと私には誰の心の動きも理解しかねる。キスが無ければまだ仲本を応援できたが、キスは単なるクライマックスのために用意されたもので、仲本の性的暴行と それで心が動くヒロインという変な話になってしまっている。