《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

学校が別々の男女6人だけど、修学旅行回・文化祭回・体育祭回の擬似イベントが続発中。

キラメキ☆銀河町商店街 5 (花とゆめコミックス)
ふじもとゆうき
キラメキ☆銀河町商店街(キラメキ☆ぎんがちょうしょうてんがい)
第05巻評価:★★☆(5点)
 総合評価:★★★(6点)
 

星の降る町、そこは銀河町商店街。手をつないで見上げた流星群を胸に、今日もマブダチ6人組は絶好調☆ 夏の風物詩「銀河町商店街まつり」にミケ達も太鼓で参戦!ところがクロに一大事件発生!? 義理に人情、恋に友情に満ち溢れた熱い夏はまだまだ終わらない──!!

簡潔完結感想文

  • 銀河町商店街の夏は いつでも お祭り騒ぎ。イベントが ちょっと似たり寄ったり。
  • 『4巻』の縦断クイズは体育祭、夏祭りは文化祭、民宿泊まり込みは修学旅行である。
  • 全イベントが成功・勝利という結末が目に見えていて飽きた。最強ヒロインの弊害。

校イベントに頼らなくても学校イベントは味わえる、の 5巻。

作中は夏を迎えて、恋に青春にフルスロットルの様相を呈している。これまでは気づかなかった幼なじみ男女6人の微妙な関係も見えてきて、ますます目が離せない。

…が、大きなイベント続きで内容が似通っているのが残念だった。特に後半、7月7日の「銀河町商店街まつり」と海の家のイベントが連続したのは、いくら夏の出来事とはいえ内容が重複している。白泉社作品は、作中で様々なイベントを用意するが、金に糸目を付けない上流階級漫画のハチャメチャとは違い、本書の場合 やや派手なぐらいで常識の範囲内のイベントなので似たり寄ったりになってしまっている。
雑誌連載で追っていた人なら月に1回、幼なじみたちの活躍を見られることが一番の喜びになったのだろうが、単行本派、そして完結後に まとめ読みする人にとっては、1巻や作品全体での話の組み立て方が気になるところ。各所でのバトルも楽しいが、バリエーションの少なさも目立ってくる。
白泉社作品が5年後、10年後も名作として名を残すことが少ないのは、必要以上に多いイベントと遅々として進まない恋愛模様が原因で、誰かに強く勧めたいと思えない部分があるからだろう。コメディ寄りの内容でも5年10年経ってしまうと笑いの同時代性が失われていくし…。

そして その頼りのイベントも、ミケがMVP的な活躍を見せるという結果が固定されている節があり、落ち着くところに落ち着くだけで段々と飽きてくる。余りにもミケが最強ヒロインだから、負けることすら許されない流れになってしまっている(『4巻』の商店街イベントでは負けていたが)。

ただ このイベントの連発で、学校が違う幼なじみ男女6人における学校イベントなんだということに気が付かされた。お祭りで披露する太鼓の練習は他作品における文化祭の練習風景だし、民宿に泊まる回は まるで修学旅行回のように教師のような存在の見回りから隠れるイベントが用意されていた。学校という枠組みがなくても こういうイベントが味わえるのは面白い。

教師の見回りから隠れる修旅、怪我した女性を抱える体育祭など、学校以外でも学校イベントは可能。

結果論ではあるが全10巻の作品も今回で折り返し地点を過ぎた。同じ頃、イベントを連発し過ぎて作品の瑕疵も見え始めた。ここから後半戦をイベントで乗り切るのか、それとも違う方向(恋愛方面)へシフトするのか。作者の大局的な構成力が試されているように思う。


頭は彼らが8歳の時に流星群を見に行く話。『1巻』1話の内容を 水増し 肉付けした内容。この流星群が将来への約束で、最終回にも出てくるのだろうか。ちゃんと使えば 良いエピソードになりそうだけど。これは過去のの夏の話から、現在の夏へと繋がるブリッジ的な お話か。

そして現在。7月7日の「銀河町商店街まつり」で急遽、特設ステージでの出し物を任された6人。お祭りまでは2週間、しかも学校では期末テストが待っているという苦しい状況の中、彼らは「サイコーの思い出と達成感」を得るために奮闘する。お祭りで太鼓を披露することになった彼らは大人たちに負けないステージを目指す。

そんな中、御神楽を披露する こども組の中で上手く踊れない子を発見するミケ。多忙の中、その子の踊りも見て時間が足りない。そんなミケの頑張りを見たクロは、疲れ果てて寝てしまったミケにキスをしようとしてしまう。イベントが恋を進ませるのか。


番を間近に控え、彼らの太鼓も完成に近づく。だが、クロが子供を守ろうとして片に怪我をしてしまう。事故を目撃したサトだけは知っているが、他の仲間には黙ったままのクロ。ミケもクロも自分に負荷をかけることを美学としている節があるなぁ。

トラブルを乗り越え一致団結するのは文化祭で得られる効用。お祭りも文化祭もハレの日イベント。

だがミケはクロの異変を察知した。それだけ彼を視線で追っているのか、通常と異常の差を察知できるほどの情報量なのか。本番まで あと5日だが、ミケとクロは急場をしのぐため、2人で協力する。苦しみや悲しみの中にいる人をミケは前を向かせる力がある、というのは本書で通底したミケの特性だ。やがてサトを通して怪我は仲間たちに知られることになり、全員で問題に対処し、彼らは一層 一致団結する。

そして本番当日。出番までの時間は夏祭り回の要素となる。しかし露店を巡っている彼らに、本来 出演してくれたはずの演歌歌手の年配ファンを中心に、ミケたちの「流星太鼓」には厳しい言葉を浴びせる人もいた。そんな言葉を吹き飛ばすべく6人は最高の舞台を見せようとする。

太鼓が大成功に終わった後、あの流星群で見たのと同じように、彼らは同じ星空を眺める。同じ方向を見る、ということが、同じ感情を共有し、同じ未来を見据えていると同義になるのかな。
ただ流星太鼓は、以前の銀河町おんど(?)と被るし、それに比べると舞台映えが しないなぁ。6人の一体感は今回の方が感じられたが、高校生の出し物のレベルを超えているという出来栄えを画面や表現では感じられなかった。


が自営業のため夏休みに出掛ける予定もない高校生たち。そんな彼らが入り浸るバーのマスターから宿つき3泊4日の夏の海へ勧誘される。日中は海の家、日没後は民宿で働くことになるが、夏のイベントに飢えていた彼ら + ミケクロの姉兄の計8人が参加することになる。この姉兄は高校3年生の受験生のはずだが…。

ここからは海回の始まりである。しかし数時間だけ海を満喫した後は、民宿と海の家の手伝いで奴隷のように働かされる一同。しかも民宿の女主人から無理なノルマを叩きつけられる。だが そんなブラックな環境の中でもミケは商店街で鍛え上げた口上で遊泳客たちを引っ張ってきて、お店の手伝いで慣れた役割を分担し、むしろ海の家では記録的な売り上げを叩き出す。

この回では女子部屋に男子たちが訪問したり、民宿の主人の見回りに隠れるイベントがあったりと まるで修学旅行回でもある。修学旅行の夜で お決まりの布団に男女一緒に隠れるイベントでは、ミケクロ、サトはマモル、イバちゃんはクロ兄、そしてキューはミケ姉と各地で胸キュンしている者が多数。

そんな中、このビーチの海の家が集まって行われる異種目ビーチバトルがあることを知る。実はミケたちが お世話になっている民宿は常勝していたのだが、旦那が亡き後は出場していなかった。

ここからは通常のイベント(主に勝負事)と同じ展開。今回は6+2人(ミケクロの姉兄)の全員参加で、彼らは常勝だった民宿の名に恥じないような活躍をする。勝負を決める最終種目はミケ姉妹クロ兄弟の出番となるが、民宿の女主人の助言もあって、彼らは優勝を手にすることが出来た。

『5巻』ではイバちゃんの切ない恋心が散見される。ミケ・クロ以外は自分の好きな人が自分以外の誰かを好きなことを知っているのかな。明るく仲の良い様子を描いているが、夜に泣いたりしている人もいるということか。現状では全員が同時に幸せになれないのが辛いところ。