《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

本物の警察官だけじゃなく コスプレ警官でも女性は皆 一瞬で恋に落ちる。そういうシステム。

PとJK(13) (別冊フレンドコミックス)
三次 マキ(みよし まき)
PとJK(ピーとジェイケー)
第13巻評価:★★★☆(7点)
 総合評価:★★★(6点)
 

唯の事件が無事に解決し、2人で過ごせる時間が増えたカコと功太。功太に勉強を教えてもらって、ご褒美のチューもしてもらって、ラブラブが急上昇!…と思っていた矢先、功太が連勤のためしばらく会えないことに。その間にカコにある大事件が起こっていて…!? そして、それを知った功太がまさかの“カコ溺愛モード”になり!? 全編ラブコメ☆ シリーズ史上“再も甘い”最新刊!!

簡潔完結感想文

  • 長編と長編の間の日常回。各キャラに恋のフラグ&主役たちの将来像を固めていく。
  • 自分の油断を再認識する年明け。功太に愛を囁いて欲しければ酔わせればいいのか?
  • 女性たちは男性警察官と出会った瞬間から恋に落ちる。警察官至上主義が徹底してる。

察官&警察官志望の男性は全員ロリコン(語弊あり)、の 13巻。

長く暗いトンネルとなった唯(ゆい)編が終わり、一気に日常回が戻って来た『13巻』。主役を唯と大神(おおかみ)に奪われた、カコと功太(こうた)だったが今回は2人がメインの話ばかりを揃えていて読者の満足度も高いだろう(それが逆に あざといけど)。
そして この巻のラストが次の長編の入口へと繋がっていく。再読してみると、長かった唯編自体が、ここに話を繋げるための布石とも言える。唯編の長さはともかく話の繋ぎ方は上手いと素直に上手いと感じる。

さて いよいよ最後の長編を前に各キャラのカップリングを整理するのが この『13巻』の役目となる。登場人物に優しい少女漫画では失恋したキャラにも相手を見つけて、(ほぼ)全員に「つがい」を見つけがち。本書でも唯以外のキャラに相手が あてがわれる。

そこで問題なのが警察官、そして警察官志望の男性が全員、年齢が7歳以上離れた女性が交際相手になるという点である。本書においては教師以上にロリコン率が高い。
ネタバレになるが、功太はカコ(7歳差)、そして『12巻』で初登場の功太の同僚・龍(りゅう)はカコの友人・三門(みかど)とのフラグが立つ(7歳差)。そして大神の相手と思しき女性はジロウの妹・一花(いちか)である。現在 高校2年生で18歳の大神(1回留年)と小学校2年生(8歳)の年齢差は10歳である。
『12巻』で大神は警察官になることを決めたが、『3巻』の大神と一花の初対面シーンでは大神は警察官志望ではなく、文化祭のコスプレで警察官の格好をしていただけである。それでも一花は本気で大神を好きになるのだから本書における警察官の制服の魔性の力は凄まじい。逆に、三門は龍の警察官の制服を一度も見ない(仕事中らしきスーツ姿は見たが)。こちらは警察官という肩書が女性をノックアウトさせたのか。

唯一、男性キャラではジロウだけが警察官関連を匂わせなることなく女性と恋に落ちているが、それは本書の連載前の読切短編があったから、P(ポリス)の呪縛から逃れていると言える(『2巻』)。なので やはり本書は『PとJK』の名にふさわしく、警察官こそ絶対の存在なのだ。
大神の出会いを題名にするなら「コスプレPとJS」だろう。うん、ヤバい匂いしかしない。これでは出版できないか。
ちなみに現在18歳と8歳の2人だが、一花が結婚可能になるのは、カコとは違い、2022年04月の民法改正もあって10年後になってしまうのかな。そうすると大神は28歳までは独身か…。まぁ、大神は現時点で、一花の兄・ジロウや家族とも仲良くやっているので、結婚後は順風満帆だろうけど(妄想)。

出会いは人違いから始まった。子供だった私は どちらが本物の警察官か見抜けなかったのだ(『3巻』)。

録の全4話が全部日常回となっている『13巻』の冒頭は2回目の勉強回。違いは、今回は開催場所が功太の家で、講師役として警察学校の同期・龍も参加しているところ。

この回はカコと功太とのイチャラブ回と見せかけて、新キャラの龍の理解を深めるための回であったり、カコと功太が どういう自分になりたいか、という将来像を誰かに語る真面目な内容も含まれている。
私は龍の発言が際どすぎて笑えない。慎みというものがないと下ネタも下品である。
亡き父親と同じ刑事になりたい功太だが、刑事課の誘いは断ったらしい。これは刑事課という目的のために、目の前の人=大神を助けることを躊躇してしまった自分に嫌気が差したから。じゃあ、どういう風に刑事になるルートがあるのかは分からないが、功太は目的のために自分の正義が縛られることなく刑事に なろうとしている。

また、功太が将来の道を模索しているように、カコも自分の将来像を明確にし始める。子供を守りたい、という動機から彼女は その資格を取るために大学に進もうとする。これは唯が登場する前後から功太に将来を考えなさいと言われていたこと(『8巻』)の答えであって、唯の事件を通して、自分が人を守れる力を得たいという気持ちが明確になったのだろう。その意味では、唯編にしか思えなかった前巻までの内容も、カコのターニングポイントになっていて、作者の言う通りカコ編でもあると思える。カコは正しい行いをする理念だけではなく、社会的な立場や資格を得て、人を守り切れる力を得ようと努力と行動を始める。少女漫画ではヒロイン=母性・聖母の象徴になることが多いので、カコの進む道は その体現とも言える。夫婦揃って社会的な仕事に就くみたいだ。そして実際カコは この後から現在 唯がいる擁護施設へのボランティアも始めている。

親友の恋人は自分の恋人の親友、または身内。現在・未来においても『PとJK』は永久に不滅です!

末の勉強回で久々に甘いムードに浸った2人だが、年明けから、功太に しばらく会えないというカコからの連絡が入る。年末年始の勤務シフトの関係もあって、2~3週間 カコを放置していた功太は、後ろめたい感情もあり、カコの身辺調査を開始する。その結果、限りなくグレーな話ばかり出てくるのだが…。

功太がカコを放置したのは それだけ安心しているから。カコなら許してくれるという甘えがあるからなのだが、それは家族だからこその甘えではないか。
この回でのカコの衝撃的な姿は、彼女の20年後の姿か。カコのことだから何となく、いつの間にかに こんな姿になっていそうだ。功太は結婚から1年ちょっとで もう見た目にとらわれず、カコの魂というべきものを愛しているらしいことが分かり、今後も安泰である。少しばかりの見た目の変化など、カコが無事で 浮気しないでいてくれれば 功太にとっては問題ないという お話である。


いては本書初のバレンタイン回。同級生3人とジロウの妹・一花を含め女性4人でチョコを作り、それを渡す相手を公式カップリングにしていく。

この回で、唯以外の仲間内のカップリングが完了したと言った感じでしょうか。作品内でフラれた大神や三門にも それぞれに相手が見つかる親切設計。そして少女漫画的には男性のトラウマ払拭は恋愛解禁フラグなので、唯の件を消化できた大神は ここから本当に恋愛する態勢が整ったと言えよう。その絶妙なタイミングで目の前にいたのが8歳の少女だった訳であるが…。大神は警察官になったら功太2世になることは目に見えているので、あと10年は何もしないと思う。…思いたい。警察官が逮捕されないでね…。


ストはカコの欲求不満回。何とか功太と良いムードになって、ハァハァするようなキスをしたいカコだったが…。

これは長編少女漫画によく見られる、大人の階段を上ろうとする女性側の真剣な悩みと根本が同じ。本書では功太が絶対に手を出さないことは分かっているけれど。大抵の10巻以上続く少女漫画では初回は何も起きない「するする詐欺」が蔓延(はびこ)るが、本書の場合はキスでハァハァしたいだけなので、それは実現される。

こうして幸福のピークを迎えた2人だが(功太は我慢の連続だが)、ピークの後は下るだけになりそうで…。