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少女漫画と小説の感想ブログです

バカゆえに下剋上が出来ないから、エリートイケメンに転落人生を送らせるお☆

おバカちゃん、恋語りき 2 (マーガレットコミックスDIGITAL)
佐藤 ざくり(さとう ざくり)
おバカちゃん、恋語りき(おばかちゃん、こいかたりき)
第02巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★(6点)
 

ケンカは無敵だけど恋愛経験ゼロ。音色のおバカ恋愛模様・第2巻!! 特進科の王子・深くんと奇跡的につきあうことになったのもつかの間、元カノ情報におバカな脳ミソはパンク状態!! そして、大事件がXmas仮装パーティの最中に起こるっ!!

簡潔完結感想文

  • クリスマスキス! 順風満帆な高校生活&ラブは元カノ問題を発端として崩壊。
  • 音色の無念を晴らすためにトキオが深と対決。しかし暴力事件に扱われ…。
  • 2階級降格人事。特進科は普通科を越えバ科へ、バ科は停学を越えて退学へ。

校の裏山の崖から一緒に落ちると恋に落ちるジンクス、の 2巻。

『1巻』でイケメンエリートの深(しん)と崖から落ちた主人公・音色(ねいろ)は、落ち癖がついた。

恋に落ち、地獄に堕ち、神社の鈴は頭に落ち、再び同じ崖から違う男性と落ちる。
すると今度は、その男性・トキオと恋に落ちる…⁉
更にはエリートの深まで特進科から落ちて⁉
というのが『2巻』の全ての内容。
ネタバレもいいとこですね。

このタイプのラブコメは、語ることが少ないですね。
本書はテンポも笑いのセンスも良いので、あっという間に読めてしまうのですが、
深く考察する場面も あんまりありません。


だ『2巻』では作品の転換点となる大きな事件が起きる。

それが温厚な生徒会役員・深が、学校イベント・クリスマス大会で起こす衝撃的な事件。

深から この会を抜け出さないかと誘われるが、それをトキオが阻止して…。
音色を呼びに来た深の態度が豹変し、これまで築いてきた音色との関係が虚飾であることが伝えられる。

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トキオを傷付けた返す刀で深に傷つけられる音色。むしろ彼女の方が深く斬られる。

トントン拍子に進んでいた恋の種明かしがなされます。
そして深の行動は全てトキオへの復讐の為だったのだ。

中学時代の深には交際していた彼女がいたが、
交際中でも彼女の心はトキオにあった。
そのことが許せず、深はトキオが好きなタイプの音色を
トキオに近づけさせないために自分が先に手を付けただけであった。

音色の存在は復讐の道具で、コマの一つに過ぎない。
深にとっては何の思い入れもなかったのだ。

何でも出来るエリートだからなのか、一回の失敗や恥辱を随分と根に持つ深です。

でも計画としては随分、杜撰。
片想い状態ではなく、音色がトキオの正式な恋人になってから奪略すれば より効果的だったのではないか。

音色を青田買いしすぎて、
トキオよりも音色が一番の被害者になってしまっている。

音色がトキオと正式に交際した後ならば、音色が深に軸足を移せば、
この尻軽女と罵ることができ、彼女の自業自得になる。

まぁ、これだと音色の恋が不純になり、
読者からも嫌われ、作品としての核が汚されてしまうのでしょう。
あくまで主役は音色なのであるから。


こうして私怨に巻き込まれて徹底的に心を破壊されてしまった音色。
世界一幸せな少女は、世界一不幸な人間に堕ちた。

でも、この展開を用意しているなら、この失恋を通して、
柄にもなく音色が髪を切るという流れもありがちだが彼女の心の傷を視覚的に表現できたのではないか。


にも この計画には疑問がいっぱいある。

まずは深って最初から音色に対して優しかったし、特別な扱いがあったと思えてならないこと。
トキオが音色を意識する前から、深は音色の好意に色よく反応しているのだ。
この時間差にこそ、音色の本当の勝利が待っていると思うのだけど、どうだろうか。


そしてトキオが音色を好きになるとは深に予想がつかないのではないかと思う。
トキオの音色に対する反応を深が一早く気付く描写が欲しかった。

また、根本的な話だがトキオが音色のことを好きになった経緯がいまいち分からない。
一方的に拳で語り合って、鼻が折れたからかなぁ…?
まぁ本書の場合、本能、一言で片づけられるんだけど。
深くは考えません。


れ落ちて座る音色に駆け寄るバ科のみんな。

クラスメイトの虹花(にじか)は失恋の具体的なアドバイスをする。
不特定多数からモテモテの彼女にも、特定の誰かと そんな過去があったのか?

温かな人たちに囲まれて涙を流すことが出来た音色は、1日で立ち直る。
だが、深と会った時に、割り切れない気持ちを痛感。

でも傷ついても自分の気持ちを無かったことにはしない音色。
これから深に食らいつくのでしょうか。
彼女にはガッツのある役が似合います。


音色を蹂躙されたことに怒りの炎を燃やすトキオは深に果たし状を送る。
公園で果たされる決闘。
深は筋トレバカのトキオにも負けない力を持つようだ。

だがトキオは精神力で深を凌駕しているみたい。
好きな女が他の男に夢中なのを深は傍観するしかなかったが、
トキオは現状を足掻き、止まらないことを宣言。

確かに深は計画通りに物事を進めるスマートさを見せたが、
同時に彼の過去に固執する器の小ささも露呈した気がする。

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音色が特進科に行くには死んで二階級特進しかないので、不祥事で彼に降格してもらう。

園での決闘が元で、深がバ科に転科し、トキオは退学処分となってしまう。

深がクラスメイトになるという大革命は読者全員の度肝を抜く展開。
音色の下剋上ではなく、高嶺の花なら落ちてこい、とばかりに転落人生を用意するとは!

階級を2つ落とすのが この学校の方針なんでしょうか。
特進科の深は、特進→普通科→バ科。
バ科のトキオは、バ科→停学→退学、という罰の決定なのかな。

そんな深とバ科で机を並べての学校生活の前に、
トキオの退学撤回のための直談判が行われる。
ってか、この学校でも退学させられるんですね。
音色も暴力事件起こすわけにはいかないじゃないか。

そこで出された条件が、学校所有の裏山すべて(ざっと見たところで3山以上)の草むしり。
連帯責任として深も一緒。

この草むしり、学校内の敷地ならともかく、
校内合宿も終わって、これから暫くは使う機会のないであろう裏山なのが謎。
山なんだから草はやしとけ、ってな感じですが、困難な共同作業のために必要なのでしょう。

草むしり中に、再び裏山のガケから落ちる音色。
前回は深とだったが、今回はトキオと落ちる。
そしてトキオとの恋が動き始めるんだから、
やっぱり この崖は恋愛のパワースポットなのかもしれない。

これから好きな人を裏山に呼び出して、一緒に落ちようとする生徒が続出しそうだ。
案外、恐怖による吊り橋効果などもあって成功率は高いかもしれない(笑)


の三位一体の共同作業の間に、バ科の教室で行われているのが虹花による恋愛講義。
虹花によると、深の音色に対する酷い仕打ちこそ、音色の勝機であるという。

上述のような、深の採った言動では音色こそが第一被害者だ、という考えは、的外れではないらしい。
あの時の深はトキオを拒絶しながら、自分の心に生まれそうな気持ちも断ち切っていたのではないか。

三角関係はベクトルを変えて継続しそうです。
まさかの おバカちゃんモテモテ時代到来。

その証拠に、崖下に落ちたトキオが音色にキスを仕掛けた時も、深は全速力でそれを阻止にかかったいる。

未だ深を愛し、トキオから愛される音色。
トキオは深を忘れられなくてもいいから、
今は嘘でもいいから交際を始めて、その中で本物に変えると音色に訴える。
こういう形式で始まった交際は、好きな人を忘れられないものなんですが…。

いずれにせよ、次が気になる展開は続く。


に乗っかる設定が気になる。
いまいち魅力を発揮できない理事長は、テディベア(?)好きという
新たなキャラが乗っかるが、雑にスルーされていた。
この設定は この後1回だけ触れられるぐらい。

トキオは大家族設定みたいですね。
弟ばかりが5人ぐらいいるが、弟の出番はここだけか。
『1巻』では音色にも弟たちがいそうな雰囲気だったが、こちらもスルー。
音色のは後半の展開に関わるから、無かったことにしたのかな…?


個人的にアガったのは、作者の近況報告の中のラジオの話。
2009年当時には存在したTBSラジオポッドキャストの話が出てきた。
安住アナや伊集院 光さんの名前があって、もうそれだけで作者のことが好きになる(笑)

作者が例に挙げた回の安住紳一郎の 日曜天国のポッドキャストは本当に面白いです。
今はラジオクラウドと形式を変えてますが多分、同じ内容が聴けますので、是非。

あとは読書するところも素敵です。
こういう違う世界に多く触れた経験が作風を広くすると思う。
少女漫画の世界でしか生きてこなかった作家さんは、
表現の幅や言葉の選び方が狭いな、と思うことが多い(推測ですが)。