《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

新装開店。季節イベントを採り入れれば ホスト部は あと1年は戦える。

桜蘭高校ホスト部(クラブ) 2 (花とゆめコミックス)
葉鳥 ビスコ(はとり びすこ)
桜蘭高校ホスト部(おうらんこうこうほすとくらぶ)
第02巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★☆(7点)
 

新学期を迎え、身体検査の日が近づいて来た。しかしハルヒが女の子であるとバレて、ホスト部にいられなくなってしまうのはマズイ!! そこでホスト部の総力(?)をあげた「ハルちゃんは断じて男の子」作戦が発動され…!? 短編『ロマンティック・エゴイスト』も併録。

簡潔完結感想文

  • ホスト部 新装開店。本格的に連載開始で設定そのままに4月から やり直し。エンドレス!
  • 姫ポジションのハルヒ。モテに無自覚だけどモテるハルヒ。読者の代表じゃないのね。
  • 個人回。というよりもコンビ回? 2年生以外は個人回をするには弱い個性なのかな…。

時店舗が好評で、常設店舗になって再出発の 2巻。

『2巻』から雑誌の定期連載突入になり、ホスト部も通常営業開始されます。

勢いだけで好き勝手やれていた臨時店舗と違い、常設店舗となったからには
常連さんへのサービスと新規顧客の獲得のバランスを取らなければなりません。

そして飽きられないように定期的にイベントを開催する必要もあるでしょう。
またホスト部員の裸体なども時折 挿んで、お客様を満足させましょう。

一段と難しくなった経営ですが、常設店舗の良いところは、
何と言っても季節感が出せることだろう。

雑誌の発売月に合わせてイベントを開催すれば少なくとも最初の1年間はネタに困らない。
『2巻』でもお花見、新入学の身体検査、夏の水着回など、
雑誌の発行月(4~7月号)に合わせた内容が展開されている。

f:id:best_lilium222:20210406171450p:plainf:id:best_lilium222:20210406171447p:plain
本格連載を前に仕切り直し。初見の方にも お楽しみいただけますよう配慮しております。

そう、4月号から本格連載の開始ということもあり、
主人公・ハルヒホスト部入部の経緯などは持ち越したまま、
季節だけがリセットされてのリニューアルオープンとなっている。

ハルヒは入学、即、ホスト部入部している世界みたいです。
彼女が部室の壺を割らない世界線はどこにも存在しないのでしょう。

ホスト部 部長の環(たまき)曰く、
「世間離れした時間軸で生きるのも良い男の宿命…」だそうです。

なので3年生コンビの2人も進学することなく、全員が同じ時を繰り返す設定です。
ただ 後半ではこの閉鎖時間のロックが解除されます。その鍵となるのは…。

『1巻』の感想文でも指摘したが、
校内ホスト部は新規顧客が見込めないのでリピーター頼みの不健全経営。

連載が長期化したら その内、作品内の登場人物が明らかに在校生の数より多くなったりして…。


書は そんなエンドレスな時間軸に生きていることもあり、前半は恋愛要素はほぼゼロです。
なので恋愛要素を読み込む少女漫画分析家の私としては作品を純粋に楽しむだけですね。


通常営業のテンプレとしてはホスト部の面々を個別にピックアップする、
いわゆる「個人回」を、ゲストキャラを交えて話を展開させています。

読切作品だった『1巻』に比べると『2巻』は学院内に悪者がいなくなった気がします。

個人の欲望を増幅させた結果、誰かに(主にはハルヒ)悪意や怪我をお見舞いしてしまい、
ヒーローである環らホスト部が彼らを粛正するという内容は『2巻』では見られない。

学院内の悪を退治する勧善懲悪ではなくなったのは、私にとって嬉しい変化。

より学院内が平和になったし、それによって人情噺が多くなった。
何より作品がホスト部に格好をつけさせるだけの装置ではなくなった。

頭の中に春が来て、毎日お祭り騒ぎをしてくれていれば それでいい。


ただ、相変わらず気になるのは、少女漫画に ありがちなことですが、
ホモとかオカマとかをネタとして消費しているところ。

その裏には これらは笑いに変えていいという傲慢さと 差別意識があるように思える。
現在(2021年)だったら問題になりかねない表現が見られます。


格連載開始の4月ということで お花見と身体検査の回から始まる。

ここでは改めて読者にホスト部の説明と主人公・ハルヒが女性だということがフィーチャーされる。

ホスト部員でありながら女性であるハルヒが、
身体検査で女性だということをバレないようにホスト部で作戦を練る。

まず最初から特別待遇の個室を、などとしたら話が展開しないから、
しっちゃかめっちゃか な一騒動が繰り広げられます。

ちなみに女装(?)のハルヒは「中学ん時に男にモテモテだった」、「月に一度は告白されてい」たらしい…。

『1巻』1話で、メガネやら短髪やら理由を付けて男の子に見えるようにしていたが、
結局、ハルヒは学年主席でモテモテの殿上人なわけです。

なんだ、学校一のイケメンと学校一の才女の恋愛の話かよ。ケッ。


本格連載2回目から本格的な個人回が始まります。

最初は常陸院(ひたちいん)ツインズ。

馨(かおる)より光(ひかる)の方が、
ハルヒのことをより好きだという設定は最初からなんですね。


3話目は初等部5年のホスト部見習いが環に弟子入りする話。

小さな恋のメロディですね。
ただ、遠距離恋愛とか相手の気を引くためにホスト部を利用するとか、
『1巻』2話目のクリスマス回と内容が似通っている気がするぞ…。

早くもネタ切れの予感…?


4話目は、一応 モリ先輩メイン回。

モリ先輩は同じく白泉社の漫画 時計野はり さん『お兄ちゃんと一緒』の四男・武(たけし)を彷彿とさせます。
鏡夜(きょうや)先輩は次男・隆(たかし)っぽい雰囲気があります(メガネ インテリキャラ)
(作品の発表は『ホスト部』の方が先)

一部の人には人気あるけど、作品の内容としては いなくても話は進むという…。
ハニー先輩とのセット売りは私も好きですけどね。

この頃から、設定のリミッターが振り切れて、やりたい放題です。

鏡夜 先輩の家が経営するプールは、
東京都内の地下にあり、東京ドーム3個分の広さを持つという。

広大な空間に支えが全く見当たらないけど、どういう力学が働いている(働いてない)のか…。

f:id:best_lilium222:20210406171401p:plainf:id:best_lilium222:20210406171357p:plain
地下施設にする意味が全く分からない。湿気とか…。あっ ツッコんだら負け ですね。

「ロマンティック・エゴイスト」…
図書館で見かける先輩に半年以上声を掛けられない泉ゆりねは、
学校一風変わりな双子・黒沼薔薇子・撫子に声を掛けられ、媚薬を貰うが、
薬を混入した飲み物を違う男子生徒に飲まれてしまって…。

媚薬の有効期限の2週間、一緒にいることになった2人が心の距離を近づける。

恋愛モノとしては好きだけど、少し鼻につく お話でもある。

人の恋路に介入しようという双子の傲慢さが嫌だなぁ。
狂言回しなのは分かるが、本人は傷つくことなく高みの見物で、
ホスト部と一緒で上流階級の余興や暇つぶしに見えてしまう。
まぁ、その辺も含めて「エゴイスト」なのだろう。

この後も『ホスト部』の巻末に度々 顔を出すオムニバスシリーズ。
これは別に1冊でまとめて欲しかったなぁ…。

桜蘭高校ホスト部(クラブ) (2) (花とゆめCOMICS)

桜蘭高校ホスト部(クラブ) (2) (花とゆめCOMICS)