《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

仏前で彼女を押し倒して紙面が尽きる。次回の御来店 お待ちしております。ニコニコ。

桜蘭高校ホスト部(クラブ) 3 (花とゆめコミックス)
葉鳥 ビスコ(はとり びすこ)
桜蘭高校ホスト部(おうらんこうこうほすとくらぶ)
第03巻評価:★★★★(8点)
  総合評価:★★★☆(7点)
 

とあるプライベートビーチに来たホスト部一行。そこに紛れ込みゲストの女子に絡んできた男たちに、一人で立ち向かったハルヒ。環の助けで無事だったものの、無謀なハルヒに環は激怒し、初の喧嘩を…!? 番外編&描き下ろしも収録!!

簡潔完結感想文

  • 海回。初めての喧嘩。全ては出生に秘密がある。今度は先輩のを教えて下さいね。
  • ハロウィン回。学校の怪談の正体は⁉ ミステリばりに伏線が散りばめられた1編です。
  • ホスト部 来る! 貧しき者に失礼な態度を取らないように身を縮こまらせる お金持ち。

西洋騎士のコスプレをしたホスト部の男子生徒が本物の騎士となる 3巻。

『3巻』は主人公・ハルヒに対する、ホスト部の過保護が一層、過熱しているように見える。

時にはハルヒを心配するあまり、彼女自身と意見が食い違って彼女と距離を置く者が出たりもするが、
そんな時は周囲がフォローし、自分たちがどれほどハルヒを大切に思っているかを説く。

彼女を怖がらせるのも、怒らせるのも、守るのも、
全部が全部、自分たちの役目だと思っている、
ちょっと高慢な騎士たちの活躍が描かれる『3巻』です。


録1、2話目は海回。

虫にも呪いにも動じないハルヒ
そんなハルヒに本当に怖い物はないのか、暇なホスト部男子3人が検証する回です。

ホスト部部長・2年生の環(たまき)と常陸院(ひたちいん)のツインズが、
様々な恐怖症を体験させるが、何物にも動じないハルヒ

f:id:best_lilium222:20210407080207p:plainf:id:best_lilium222:20210407080203p:plain
暇を持て余した人たちが考案するハルヒゲームその1。幼いこと、それが君たちの弱点だ。

だが、海でナンパしてきた輩(やから)から女子生徒を守るためにハルヒが怪我をしてしまう。
そんな彼女の女性として無謀な行動を環はたしなめるが、
ハルヒは自分の信念に基づいた行動であるから謝罪を拒否し、冷戦に突入する…。

珍しくハルヒと環が本格的なケンカをしています。

これは環が持ち出す家族設定で言えば「親の心 子知らず」という言葉が適切ですね。

どうして環があんなに怒ったのか、
それを察せられないハルヒに人の心を教える道徳の授業のようです。

この教えを諭すハニー先輩は最年長だけあって、部の潤滑油ですね。
でも、どんどん あざといキャラにされている(笑)

そして どうしてハルヒがあんな行動を取るようになったのかを環が理解する、
子の心を親は知らない、という話でもありました。

育ってきた環境が違う2人が少しずつ心を重ねていきます。

鏡夜先輩は一番 難を逃れているキャラではありますが、
一番 幸せを逃しているキャラかもしれません。

読み返すと意外に裸の場面が多くてビックリ。
ハルヒばりにガードが固いと思いこんでいた。


ハルヒの怖い物 当ての正解発表と、物語の結末(とオチ)が
上手く連動しているところに作者の成長が垣間見られます。

我が子の恐怖を取り除いてあげよう奮闘する父・環の姿。
合理的な対処のはずなのに、客観的に見ればアブない人になっている。
ここは、なんだかハルヒが取った行動ともリンクしている気がする。

しかし環の妄想って、完全に恋人としてハルヒを扱ってますね。
それでいて娘設定なのは、常陸院ツインズが言う通り、やっぱり予防線なのかな。
再読すると、結構前から伏線は張られていたんですね。


をバラエティに富ませるようにと 他の学校の生徒が登場するのが3話目。

そこで巻き起こるハルヒ退部 & 退学騒動。
ここでもハルヒを守るべく部が総力を挙げて彼女を引き留めます。

これもオチで大笑いしました。

でも、ヅカ部でレズという発想が失礼極まりない。
(巻末で弁明していましたが、明らかに そう読めてしまう)

更には環が「レズ(同性愛)には生産性がない」って言ってますが、これも問題発言ですね。
どっかの政治家じゃないんだから。
こういう排他的な思想に、唯我独尊の環の傲慢さが出ている気がします。

これは環が、ハルヒを思って冷静じゃなかったという擁護も出来ますが、
環に この発言をさせたのは作者のミスだと思います。
おもてなしの精神の塊である環が客を選んでは、性格の根本が揺らいでしまいます。


環先輩はフランス人の血が入っていることを初めて知ったハルヒ
隠しごとをしていたようで気が咎める環が、出生の秘密を明かす、と言い出す。

…ここで環の出生の秘密をハルヒが聞いたらどうなっていたんでしょう。
環の力になろうとしたのか、それとも この時点では冷淡に他人の家庭の事情だと思ったのか。

何にせよ聞いてたら作品が10巻ぐらいで終わったかもしれません。


4話目はハロウィン回。

常連客やこれまでの登場人物が総登場。

発表時の2003年に仮装メインのハロウィンを取り上げるのはなかなか早いのではないか。
もしかしたら日本における火付け役かもしれない(まさか)。

この回はミステリばりに伏線が仕込まれています。
本当に、作者の話の作り方が格段にレベルアップしていることが分かる。
設定だけじゃなく、物語として楽しいから人気が継続しているのでしょう。

しかし環と常陸院ツインズの おバカ3人組ばかり悪目立ちしていますね。
モリ先輩の登場コマ数や会話量って、
下手したらサブキャラ(れんげちゃん や 猫澤(ねこさわ)先輩)より少ないのでは…。


5話目はハルヒ宅への訪問回。

これはハルヒを怖がらせた人が勝ち の1話目とは逆で、
ハルヒに恥を描かせた人が負け となる神経戦になっております。

f:id:best_lilium222:20210407080752p:plainf:id:best_lilium222:20210407080750p:plain
ハルヒゲームその2。今回は この家庭の弱点を指摘したら負け。勝ちのない消耗戦です。

ナチュラルに失礼な面々に珍しくイラっときているハルヒが新鮮です。

そして次巻へ続く。
出来の良い話が多く収録されている『3巻』を読んで、
続きが気になる終わり方をした『4巻』に手を出さない者はいないだろう。