《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

最初と最後の4ページが全く同じ展開。これは この巻は読み飛ばしていいって いう公式見解?

スターダスト★ウインク 7 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)
春田 なな(はるた なな)
スターダスト★ウインク
第07巻評価:★★☆(5点)
  総合評価:★★(4点)
 

新越高校写真部顧問の中澤です。古城さんたちは、写真甲子園に応募することになったの。同じクラスの高校生漫画家の風見くんをモデルに撮影するみたい。大会の本戦に行ければ、古城さんは幼なじみの都倉くんと再会できるかもだから、結構本気みたいだよ。

簡潔完結感想文

  • 東京。マリちゃん先生が出現したので撤退。日向が言いたいことも言えない世の中です。
  • 新潟。日向とマリちゃん先生に会うために目指す写真甲子園。動機が意味不明ですが…。
  • 北海道。開始4ページ目と最後の4ページ目が同じ展開。凄い 計算し尽くされている(嫌味)。

1巻丸々使って 前の巻の最終ページと同じ状況になった 7巻。

ずっと見えない敵と戦っている主人公・杏菜(あんな)の、
シャドーボクシングに つき合わせられている感じが否めない本書。

幼なじみで 好きな男性・日向(ひなた)の本心を聞くんだ、と彼のもとに駆け寄るも、
その心を萎えさせる出来事に遭遇してしまい、回れ右をして地団駄を踏む、の繰り返し。

『6巻』でも日向の本心を聞くために、
片道3時間かけて地元の新潟から日向の住む東京に行ったにも関わらず、
元・中学の美術部顧問・マリちゃん先生が現れたら意気消沈。

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本編、開始4ページ目の展開。マリちゃん先生が現れて「でたーーー」。まさか同じ巻で再放送とは…。↓ 参照。

朝から2往復12時間も費やした元・近所のお兄ちゃん真白(ましろ)の苦労は水の泡。

数か月に1度しか会えない好きな人との時間と、
人の労力を無駄にして、問題はまたもや先送り。

好きという感情が降り積もる訳でもなし、純化されるわけでもなし、
何も起こってないことを、何か起きているように描いてるだけの漫画。


そして日向と、もう一人の幼なじみ颯(そう)を平等に扱うことを
念頭に置いているはずの漫画だが、このところずっと日向のターン。

何巻も杏菜の気持ちも揺れないんじゃ、もう決着ついてるんでは…?


容が大きく動いているように見せかけるために用意されたのは、写真甲子園

マリちゃん先生の出現で不完全燃焼に終わってしまった東京デート。

その後、マリちゃん先生と昵懇(じっこん)の同級生の望月(もちづき)くるみ から、
日向が入学先の東京の学校で写真部に入ったこと、そして顧問がマリちゃん先生だと知る。

「日向の学校は芸術高校なだけあって 写真甲子園の本戦の常連校」だと知った杏菜は、
入部して間もない(2か月ぐらい?)写真部員である自分も本戦への出場に命を燃やす。

うーーーん、先日、人の車に揺られて日向にもマリちゃん先生にも会ったのに?
再度2人に会うためだけに写真甲子園を目指す?

動機が意味不明。そして不純である。

私が本気で写真甲子園を目指す人ならば、
「そんな軽率な動機で目指して欲しくない!」と本気で思うだろう。

取り上げる題材としては面白い写真甲子園だが、
本書が扱うと、まるで初心者でも簡単に通過できてしまう大会と取られかねない。
動機もご都合主義も、何かを真剣に打ち込んでいる人に対して失礼な感じが否めない。

動機は不純でも、写真甲子園を目指す経験が杏菜の成長に
必要な要素として描かれるのならば良かったのだが、特に感じられない。

颯と再び話す契機となる出来事が起きるぐらいか。

日向からも「本戦で今度こそ全部 話すよ」という言葉を貰う。

この言葉に期待する気持ちは私にはもう起きなかった。
本当だろうね? その手の言葉、何度目? と冷ややかなツッコミが入ってしまうから。

ってか、写真部入部から2か月で、本戦で会おうね!というのは、やはり甘い。
同じ文化系部活の末次由紀さん『ちはやふる』の全身全霊を賭けた戦いの何千分の一の重さしか感じない。


一つ前の巻で、東京に遊びに行ったら起こった状況の再現をするためだけの写真甲子園

物語の舞台は『7巻』の中だけでも東京 → 新潟 → 北海道と
次々に変わっていくが、出てくる登場人物とその心境は変わらない。

動いているようで、全く動いてないこの物語。
たった一言、日向が自分の気持ちを言えば終わるのに、それをさせないだけの物語。

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本編、最後から4ページの展開。あれっ、↑で貼ったページと全く同じことが起きてますけど⁉ デジャブ感!

マリちゃん先生はお邪魔虫なのは確かだが、
本書の嫌なところを凝縮したような象徴的存在でもある。

物語と、杏菜と日向を ただかき回すだけの空っぽな存在。

大人の立場と視野を利用して、女子中高生(または読者)は こんな展開が楽しいんでしょ、
と、自分の大人げなさを理解しながらも、茶化すことを止められない。

読者としては、作者や編集者に、読み手としてこの程度のレベルだろうとバカにされてる、と思ってしまう。

杏菜がマリちゃん先生に感じる
「このなんとも言えない もどかしさ と イラっと感…」は、
そのまま読者が作品に感じることに通じる。

まぁ それ以上に、マリちゃん先生を敵視するあまりに、
過剰反応する杏菜の視野の狭さにイラっとするんだけどね (^_-)-☆