《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

主人公・杏菜を接待する「姫プレイ」漫画。姫の自業自得を慰め、許すのが王子の役割。

スターダスト★ウインク 5 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)
春田 なな(はるた なな)
スターダスト★ウインク
第05巻評価:★★☆(5点)
  総合評価:★★(4点)
 

絢音です。今度の日曜日、私・颯・杏菜ちゃん・ヒナタでダブルデートすることになっちゃいました。でもそこで杏菜ちゃんと颯は仲直りできるよね。颯が一番好きなのは誰なのか、私は昔からよく分かってるから。 【同時収録】スターダスト・ウインク番外編

簡潔完結感想文

  • デート回。嘘情報に振り回された挙句、なぜだかWデートをする強引な流れ。
  • 誕生回。嘘情報に振り回された挙句、なぜだか誕生日をお祝いされる幸福な流れ。
  • そして誰もいなくなったん回。2人の幼なじみは精神的に物理的に離れていった…。

「私は全然 変わってない 1年前と同じ」、この言葉が全ての5巻。

この『5巻』開始時点で連載開始から1年半以上、
作中でも1年以上が経過しているが、
何か状況に変化はあっただろうか。何もない。

本気で本書は主人公・杏菜を接待する「姫プレイ」漫画なのではないかと疑い始めている。

「姫プレイ」とはオンラインゲームで、女性(または女性キャラ)が
仲間たちから色々と施されてお膳立てをしてもらうこと。

本書の杏菜は 幼なじみの男性2人に何をしても許される姫ポジションにいる。

彼女の言動のせいでピンチに陥ったとしても、フォローするのが男の役割。
彼女の言動のせいで背後から誤射されたとしても、許すのが男の役割。
彼女の言動のせいで3人の関係にヒビが入っても、もう一度 温かく迎え入れるのが男の役割。

どう考えてもトラブルメイカーは杏菜で、
そして何回ゲームをやり直しても一向に技術が上達しないのも杏菜。

だって、ゲームが上手になったら姫プレイにならないもんね。
無邪気な振りして誤射した方が可愛げがあるじゃん?

そういう選択を無意識的にしている姫の存在が、ハッキリ言ってウザい。

そして本書におけるヒーローの格好良さの演出方法は、
間違った彼女を責めることなく、許容することにある。

泣けば許される、抱きしめられる、そうして女性はダメになっていく。

1年間で何も変わらない話。
だって、本人が変わらないことを望んでいるんだもの…。


なじみの1人・颯(そう)が中学の時に一時交際していた絢音(あやね)が
実は禁じられた兄妹愛だった、という出まかせを信じたバカ杏菜。

絢音と颯がよりを戻すことを願う絢音の幼なじみ・菜花(なのか)の口車に乗り、
彼らのデートのセッティングをした杏菜。

企みは颯にバレたが、計画は遂行され、
なぜか杏菜も参加するWデート企画へと変更。

やっぱり杏菜は人としてダメな方向にばかり進むなぁ…。

小さないざこざを回避するために、大きな問題を新たに抱える。
きっと借金苦にハマっていく人と同じ自滅パターンですね。

颯を怒らせるために存在しいているとしか思えない。

作者としては、どうにかしてWデート&デート回に持ち込みたかったんだろうけど。
そこで新ヒナタこと陽多に登場してもらうために(特に役割も活躍もなかったが…)。

f:id:best_lilium222:20201227202324p:plainf:id:best_lilium222:20201227202320p:plain
いつまで経っても成長しない、成長が許されない主人公への作者の心の叫びとも取れる。

今回も、颯と仲がこじれた杏菜が
「もうやだ どうすれば いいか わかんない
 高校生になっても 私は全然 変わってない
 1年前と同じ すぐ まわりが見えなくなって やっちゃってから後悔する」
と涙を流して反省している(口だけ)。

そしてこれ、本書自体にも言えますよね。
同じことの繰り返し。
成長しない。

続いて杏菜は
「今度こそ あきれられたんだ…」
と颯に そっぽを向けられたと泣き続ける。

これ、もしや作者の心情なのでは?と考えてしまう。

編集者に言われ、先の見えない構成を余儀なくされて五里霧中。
結末を先送りにするためだけに、同じことを繰り返す
行き当たりばったりの展開に、読者に飽きられるかもしれない不安が募る。

作者のメンタルが心配になってきます…。

でも、どうせ、すぐに杏菜は同じ間違えをするんでしょ、と意地悪な私が囁く。


『5巻』で良かったのは1年ぶりの颯の誕生回。

1年前の誕生日は連載が開始されたばかりの『1巻』のことだったので、
もう随分と前の出来事だなぁ、と思いますね。

今回の誕生日は、騙し騙され、泣き笑い、と言った感じですね。

おバカな杏菜を騙すことなど、
人として賢い男性たちには造作もないことなのかもしれません。

杏菜と日向の昨年、中学3年生の誕生日は、夏休み以降2人の仲が冷戦状態に入ったために行われず。
なので、本当に3人で行う誕生日会は1年ぶりとなった。

私はこの展開、本書の中でも かなり好きなエピソードなんですが、
意地悪な見方をすれば、これは究極の姫プレイという気もしてきますね…。

猪突猛進の姫の行動の裏で、入念に準備する家臣たち。
一連の軽率な姫の行動が悪目立ちしている気もしますが。


かし、今回は この誕生日が新たな冷戦へ突入する嚆矢(こうし)となる。

杏菜に気持ちを踏みにじられ続けた颯が「しばらく距離をおく」ことを提案する。
人の好意を勘案しないで心に立ち入ってくる杏菜と「仲直りしても不毛な問題」と思ったらしい。

颯の冷静な分析が、本書の欠点を如実に炙り出している気がしてならない…。

作品の端々に作者の奮闘や葛藤が現れているようで、
なんだか痛々しく思えてくる。

杏菜に主役は無理だったんだよ…。

f:id:best_lilium222:20201227201933p:plainf:id:best_lilium222:20201227201929p:plain
一方に距離ができても、もう一方が埋めてくれる。これだから両手に花は やめられへんわー。

相変わらず杏菜がダメ人間だってことしか描かれておらず、
どうして颯(や日向)は彼女のことが好きなのか、が全く分からないのが、
読者としては歯痒いところ。

魅力のない人物が、わーわー喚きたてても不快なだけ。

やっぱり颯や日向って杏菜を助けることが見せ場なんでしょうか。
助けられる杏菜に自己投影して、イケメンの優しさに触れて読者は満足感を得るのかな?

幼なじみが呪いのように思えてきた。
目を覚ませ。世界は広いぞ、颯と日向!


「スターダスト・ウインク番外編 紅編」…
ずっと颯を想い続ける3歳年下の紅(べに)。
もう紅がヒロインで良いよ。こういう恋心が読みたいんだよ…。

「スターダスト・ウインク番外編 2代目ココ編」…
事故でお空の上に旅立った初代ココの代わりに2代目を買う小学生の颯と日向。
この頃から姫プレイは始まっていたんですね。

「スターダスト・ウインク番外編 真白編」…
女の子を賭けに使うなんてNGだけど、退屈しのぎに賭けをする真白(ましろ)の話。
幼なじみの呪い、人の心を もてあそぶ・踏みにじる、本当の恋も分からない、
お兄さん世代も同じことを繰り返しているんですね…。
成長というものが まるでない!