《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

クリスマスプレゼントが欲しいだ⁉ でも俺は 飼い犬のやりたいことは なるべく やらせてやりたいからよ。

オオカミ少女と黒王子 2 (マーガレットコミックスDIGITAL)
八田 鮎子(はった あゆこ)
オオカミ少女と黒王子(おおかみしょうじょとくろおうじ)
第2巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★(6点)
 

偽装カップルだったはずなのに……。佐田くんが初めて見せてくれた素直な一面にエリカの胸は一瞬で射抜かれてしまった! ドSとはいえ、恐るべし王子の魅力。でもでも。告白とかして、変に動いて今の関係が壊れちゃったら嫌だし…!? エリカの気持ちを知ってか知らずか佐田くんのドSっぷりは絶好調! 童貞男子とアゲアゲGALのピュアLOVE☆コメディー「純潔ララバイ」も同時収録!!

簡潔完結感想文

  • オオカミ少女が何度か叫べば嘘も現実になる はず。恭也への好きという気持ちをエリカは伝え続ける。
  • 告白の返事を保留してエリカの葛藤すら腹黒の栄養にする恭也。エリカは恭也の友達に協力要請するが…。
  • 近づく恋人たちのクリスマス。だが非モテ思考の恭也はクリスマスをディスり、エリカも傷つけて…。

好き男子が 同級生の女子を飼い犬認定する ある意味で最終回の2巻。
全16巻ながら2巻にして最終巻、そして早くもテンプレートが確立されている2巻です。


も蓋もない言い方をすれば、物語の恋愛度・幸福度を一度下げてから上げるのが少女漫画の基本構造だと私は思っている。
特に少女漫画の中盤の両想いになって以降は、その傾向が顕著だと思う。

元カノの存在が明らかになったり、新たな男キャラに女性側が言い寄られたり、
楽しみにしていた日を目前にしながら喧嘩をしてしまう、などなど2人の関係を悪化させるイベントで物語に暗雲を予感させる。

けれど最後には恋人のことを もっともっと好きになりましたという幸福なエンディングで一応の幕が閉じ、
続いての暗雲まで平穏な日々を過ごす、というのが下げて上げる手法の常套手段だろう(偏見あり)。

上述の元カノ・男キャラ・喧嘩というのは全て この『2巻』の内容の一部。
本書でもまた幸福度を下げる要素は ふんだんに盛り込まれている。


には本書の場合、特に大きな事件が起きなくても腹黒・毒舌・ご主人様の恭也(きょうや)の歯に衣着せぬ発言だけで、
飼い犬のエリカの幸福度は下がっていくから、基本設計は最初から組み込まれているといっても過言ではない。

このテンプレートに季節や学校のイベントなどを加えて、
様々なシチュエーションにこの二人ならどうリアクションするかという様子を楽しむ漫画になっています。

構造としては『サザエさん』のように無限にお話が作れるようになっています。

ということで、さぁて今週の『エリカさん』は、
・恭也、女の影がちらつく
・エリカ、好きって言わせる方法
・ご主人様のクリスマスプレゼント
の3本です。

ただ この『2巻』では後半の巻と違って、
まだまだエリカが恭也に好きになってもらうために奮闘してる分だけ恋愛要素は濃いめです。


から始まった、2人の偽装交際という名の主従関係。
だが、飼い犬のエリカは本気でご主人様・恭也のことが好きになり始めていた。

偽装から本物の恋愛にスライドする時の葛藤が描かれます。
たとえ主従関係であっても全てを失うぐらいなら、このままの方がいいんじゃないか(結構、耐えられるし。ってか好きだし)。

しかしエリカは、対外的にはオオカミ少女だが、自分の心には正直であろうとする。
(本当に自分の心に正直に生きる人はオオカミ少女にはならないという説もある)

恭也へ告白することを決意するエリカだが、その決意を胸に恭也の家を訪ねると中から女性が出てきた…。
女に不自由はしないけど、恋人はいたことのない恭也にとっても元カノに相当する人と遭遇するという事変が起きる。
恭也への好意も、エリカの決意も見事に下げる場面です。

恭也をやんわりと たしなめても柳に風。
飼い犬からの意見など受け付けない ご主人様は機嫌を悪くしてエリカの好意も錯覚だと否定する。
『1巻』の2話目であっという間に恭也以外に恋をしたエリカには耳の痛い言葉です。

恭也のシビアさを目の当たりにしたエリカが お茶を濁して立ち去った帰り道、
なぜか先程の逆ナン女性が道で声を掛けてくる(作為的!)。
なんでも「飼ってる犬のせいで」「女の子と遊ぶの やめた」らしい。

その真意を問いただすために飼い犬は ご主人様のもとに再度、駆け寄る。

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どんなことがあっても諦めずに恭也へのアタックを続けることを誓うエリカ。健気さは飼い犬の可愛さだ。

恭也は腹黒王子であり、捻(ひね)くれ王子ですね。
まだまだ飼い犬のエリカには本心は話さないみたいですから、
エリカが恭也の本心を知りたい際は、彼の周辺の人物(今巻登場の健(たける)や今後登場の神谷(かみや))から間接的に聞き出すと良いかもしれませんね。
この後には結構、男子会してるシーンがありましたから。
袖の下を渡して情報提供してもらうとダメージ少ないかもしれません。
まぁ、少女漫画としては主人公の気持ちを下げる場面が無くなって、面白くなくなりますが…。


世一代のエリカの告白に、恭也は返答すらしない。
悶々とするエリカの態度を見て楽しむのだという。
マジで誠実さの欠片もないヒーローですね。

そんな悶々とした日々の中で出会ったのが恭也の中学生の同級生・健。
恭也が王子でもなく腹黒でもなく素でいられる数少ない人物。

そういえば、ここで早くもエリカは、恭也の気持ちを理解するために健に協力を仰いでますね。
恭也に好きだと思ってもらえるよう、健の協力のもと、様々な作戦を練るが、何と健が…。

このお話も展開に捻りがあっていいですね。
恭也のねじくれた性格は嫌ですが、お話の捻りは大歓迎。

ただ恭也に好きになってもらう目的のためとはいえ、
エリカはホイホイと初対面の男子に近づいて、事情を話し、協力してもらったことは、
恭也の逆鱗に触れる行為だと思いますけどね。

俺以外のよく知らないヤツについていくな、尻尾を振るな。
恭也の言動は何を言ってもエリカの気持ちを「上げる」からズルいですよね。


リスマス回は、2人史上最大の喧嘩が勃発。
後半は『サザエさん』モードに突入したとはいえ、こんなに大きい喧嘩は他にないのではないか。

喧嘩の原因は、エリカが好きだ、クリスマスはエリカのプラン通りに過ごそうという
エリカの望む王子演技を恭也が仕掛けていたことをエリカが見抜けず、舞い上がってしまったこと。
ここは一度上げてからの下げになります。

恭也の演技が上手いのか、エリカが幸せに目がくらんだのか…。
エリカなら何回でもこのドッキリに引っ掛かりそうですね。

確かにこの回の恭也は酷い。腹黒さは健在です。
そんなドSな態度が読者には喜ばれるんだから、楽な商売ですね。
まぁ、腹黒さも今回の演技と同じように結構なカロリー消費するので、
省エネ人間の恭也(と作者)は段々と鳴りを潜めさせてしまいますが。

そんな最悪の状態で迎えたクリスマスも、いつも通り恭也の一言で幸せな一日に変わります。

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専用の首輪も もらって飼い犬認定。恭也は 犬が 好きな動物なんだよ。お幸せに!

恋愛漫画としては全7回、2巻で幕を閉じる物語。
これで良かったのではないでしょうか。
以降は『サザエさん』です。次回も見て下さいね!


ういえば恋人たちのクリスマスを全力で否定する恭也は非モテの思考だとエリカが指摘してますが、
自称「女に不自由しなてない」恭也だが、彼の方もオオカミ少年だったというオチもあったかもしれませんね。

ただ今回、バッタリと過去に関係を結んだ逆ナンしてきた女性と、玄関先で出くわしたため、その可能性は低くなってしまった。
後々、恭也がエリカに手を出さない状態が続くのも、実はオオカミ少年だったら大どんでん返しで、
読者たちが半狂乱、賛否両論、炎上必至という感じのお祭りが見られたかもしれませんね。

今回、傍証が出てきてしまいましたので、恭也は非モテ童貞説は否定されてしまいました。
そして本物の非モテの童貞が出てくるのは、↓ の短編です。


「純潔ララバイ」…
コンビニで立ち読みしていた大路 直人(おおじ なおと)は、クラスメイトのギャル軍団の一員・小室 澪(こむろ みお)の別れ話に遭遇。
彼氏役に仕立てられたお礼に別れ際にキスをされたことで、童貞の大路の心中は穏やかじゃない…。

別名『アゲアゲ少女と童貞大路』ですね。

童貞とギャルの恋愛という青年誌にありそうな設定。
どんな人にも偏見なく仲良くなっていく澪に接することで、
ギャルに持っていた大路の偏見が解消されていく様子が上手く描かれている。

黒王子に慣れ始めた身としては、恋愛経験の乏しい大路のトキメキを、
ギャルの澪が全力で否定する展開があるかと身構えてましたが、
そんなことなくエンディングを迎えられて一安心。

こういう異色の作品が連載化した時に人気が出そうなものだが、それは叶わず残念。
連載したら『俺が童貞を捨てたら、連載が終わる件について』みたいなタイトルになりそうだ。