《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

自分の子供と認めない男 と 自分の子供じゃないけど認める男 お兄ちゃんはどっち側?

お兄ちゃんと一緒 10 (花とゆめコミックス)
時計野 はり(とけいの はり)
お兄ちゃんと一緒(おにいちゃんといっしょ)
第10巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★☆(7点)
 

宮下家を訪れた、幼い時の正そっくりな子供・マコト。「あなたがマコトのパパでしゅか?」と正に尋ねるその子の本当の親は一体誰なのか!? 一方、学校では鳴々が桜に衝撃の告白! 学校中が大騒ぎになる中、それを聞きつけた正は…!?

簡潔完結感想文

  • 宮下家ベビーシッターズ。生々しさを一足飛びすると認知されないことに…?
  • 隠し子騒動が契機になり剛が喫茶店をオープン。剛がライバル、そう思ってた。
  • なのに小塚先輩が桜が彼女だと宣言! 当然、黙っていないのがお兄ちゃん。


責任を取らない男たちに選択が迫られる10巻。

本書の裏テーマは責任を取らない男たち、なのでしょうか。
いつまで経っても、お兄ちゃん以上恋人未満の関係から脱しようとしない、血の繋がらない兄・正(まさし)。
自分の夢のために海外に渡航して交際相手だった桜の母の妊娠を知らずに生きてきた父・深沢(ふかさわ)氏。
そして今巻も血縁関係のある人に認知していない子供がいることが発覚。
隠し子の容貌から推測するに、その筆頭候補は正であるのだが…。

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狸塚拓馬くんではありません。隠し子です。
子供を認知しない男性が2人、他の男の子を妊娠中に結婚した女性が1人、未婚の母になった女性が1人。
なかなか奔放で無責任な大人が登場頻度の高い少女漫画である。

そう考えると、他の男の子である桜に分け隔てない愛情を与えた正たち4兄弟の父は器の大きい人でしたね。
正たちの父と桜(さくら)の実母の馴れ初めもいつか読みたかったけれど、叶わないまま。

何かが欠落した家族を描くというのがテーマにあることが大きいと思いますが、
作者自身が恋愛を真正面から切り取ることをしない方針も無責任男たちを生み出した要因と思われます。
まぁ生々しい男と女の過程は描かず結果だけ描くのは少女漫画のお約束かもしれません。
よく最終回だけ場面が飛んで結婚式や子供を持った家族としての関係を描いたりしてますもんね。


そんな要因があって、結果として片親の顔を知らない子供が生まれてしまうのだろう。
大人の男性側には身に覚えがあるでしょうけれど、そういう可能性すら考えないズルい男たちとも言える。

正も今のところ、桜をたぶらかすだけたぶらかして、責任を取らないところがある。
正も実は奔放で無責任な男だったというオチだったら嫌ですね。
数年後、桜に結婚しようと持ち掛けて、結婚資金だけ持って逃げ出す度胸がないが故の結婚詐欺師になるかもしれない(冗談ですけど)。

ちゃんと実父のように懐の深い人間になれるか、三十を手前にして勝負どころですね(笑)


一方、そんな隠し子騒動が契機となって三男・剛(つよし)は喫茶店を開業。
でも巨大カフェチェーンのオーナーである桜の実父・深沢氏と競合して、潰されなきゃいいですけどね…。

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執事&メイド喫茶ではありません。
この剛の独立は家族の解散の前触れですかね。
正が桜との関係性を明確にしたら、さすがに職に就いている次男・隆(たかし)や剛は家を出ていきそうですね。
物語の終結が、家族解散へのカウントダウンだとしたら悲しくなりますね。
もちろん、まだまだ、ずっと、これからも数十年独身のお兄ちゃんたち一緒に暮らしましたとさ、という未来だってあるはず…。


後半は本書初の巻をまたいで繰り広げられる勝負のお話。

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桜ちゃんと一緒、最終オーディション開催決定!
どうやら小塚先輩が最大で最後のライバルみたいですね。
初登場時は決して濃いキャラクタではなかったのに、成長しましたね。
正すらも自分のペースに引き込んでしまうその図太い性格は手強そうです。

私は小塚先輩のキャラが大好きですが、しつこいようですが、その位置は剛に代わって欲しかったなぁと思わずにいられない。
剛には何度か桜の恋人に立候補するチャンスがあったと思うし、彼の素っ気なくでも深く妹を想う気持ちは恋でも良かったのになぁとライバルになり切れなかったことを残念に思います。
この兄弟のことですから遺恨を残したりしないと思うので、一度ぐらい正と真剣勝負をして欲しかった。

そして、そのポジションにもなれなかった鈴木くん。
一応、最終オーディションには残ってますが…。


「お兄ちゃんと一緒 Kids」…
同居時代の桜たち5兄妹のお話。
ただでさえ顔の似ている四男・武(たけし)と『学園ベビーシッターズ』の虎太郎だが、お兄ちゃん思いという点でも似ているんですね。
無口キャラで本書ではそれほど活躍できなかったけど、君の魂は転生して無口でも人気のある虎太郎になるから成仏してください(笑)
5兄妹の幸福な時代のお話ですが、間もなくそれが手から零れ落ちてしまうと思うと遣る瀬無さが募りますね。


「おまけまんが」…
片桐くんと園村さんの縮まらない距離間のお話。
片桐くんが最終オーディションに参加すること園村さんは怒っていい。
でないと、いつか貴方も未婚の母候補になってしまうよ…。