遠山 えま(とおやま えま)
わたしに××しなさい!(わたしに しなさい! または わたしにバツバツしなさい!)
第8巻評価:★★☆(5点)
総合評価:★★★(6点)
あれは…わたしの…初恋だったんだ。「逆ミッション」中の雪菜の前にあらわれたのは、弱点のきっかけになった保育園の先生・霧島だった。動揺する雪菜は、胸の奥のある気持ちに気づいて…。四角関係に新キャラ参戦⁉ 「初恋」が嵐をよぶ第8巻!!
簡潔完結感想文
- 公園で保育園時代の先生に再会する雪菜。その人は雪菜のトラウマの原因で…。
- 先生を忌避するはずが近づいていく雪菜。その気持ちの正体は何と、初恋⁉
- 先生 VS 時雨。笑顔の裏で牽制する時雨だったが、先生にも笑顔を見破られ…。
現状打破のための次の一手は10年前の恋⁉ 思わぬ所から記憶を掘り出す8巻。
雪菜と時雨がデートのような放課後を過ごした後に立ち寄った公園で、時雨が離れている間に雪菜の存在に気づいた人物は、雪菜の保育園時代の先生・霧島だった。
霧島は保育園時代に雪菜にやさしくしてくれた反面、雪菜のいない先生同士の会話の中で「(雪菜の)あの目つき なおしたほうがいいよ」と暴言を吐いた人物でもある。
それが原因でメガネ越しでないと人の視線に恐怖を感じてしまい身がすくむようになった雪菜。
霧島との出会いは雪菜に何をもたらすのか…。雪菜のメガネや目つきに関するトラウマ克服と、それによる時雨のリミッター解除の話かと思いきや、今巻のテーマは雪菜の初恋⁉
その気持ちはトラウマとセットになっていたので気持ちを封印していた⁉
なんというか、またとんでもない、今更の設定を持ち出してきましたね。
ここで過去編を引っ張り出してくるあたり連載好評を受けての延長かと思っちゃいますが、雪菜のトラウマは最初っから語られており、その際に先生の姿も登場していたので、これは当初からの構想なのだろう。
雪菜の先生への想いは初恋だけど、現在の雪菜は「むかし好きだったことはおぼえているが… 好きという気持ちは… わすれてしまった」らしい。
これはもうツッコむ気にもなれない便利な設定ですね。
時雨に関して高まる胸の鼓動のその名前はまだ知らないのに、10年前の幼心で先生に抱いた好意は初恋であり、好きだと断定できる。
色んな次元の「ラブ」らしきもの同じように扱おうとするからもう訳が分かりません。
そしてその後の「オレの初恋は おまえだよ」という時雨の決定的なセリフも聞き逃すし、雪菜に関しては焦らされ過ぎて怒りすら覚えるぐらいだ。
自作の小説のためという大義名分も薄れてきているし、「ラブ」を引っ張り過ぎて、どんな結末であろうと読者を納得できないのではないかという長編漫画の陥りがちな罠にはまっているように思う。
封印していた先生との思い出を雪菜は、初恋「だった」と過去形にしていますが、霧島との「ラブ」展開だってまだまだ可能性としては残されている。
だから時雨は一人の男として霧島に危機意識をもって牽制しに行ったのだろう。
さすがに倍は生きている人なので返り討ちにあっていましたけれど…。ただ、本書全体に言えることだが一つも問題が解決しない所に次の問題を被せてくるので、果たして最初に解決しなければならない問題は何だったのかが分からなくなってきますね。
この辺、少年漫画の展開のようですよね。
「フハハハハ、お前が今倒したのはラブ四天王でも最弱の者だ」「フッ、今君が倒したのはラブの影に過ぎないのだよ」「ラブって何なの⁉」
長期連載過ぎると読者が実生活の中で「ラブ」を見つけて、漫画になんか興味を持たなくなりそうだ…。
私はマミによる雪菜=ユピナの調査と追及がされると思っていたので、この展開はかなり幻滅しました。
ちゃんとその描写も少しだけあって、完全に忘れ去られてはいないので、ここは今後に期待です。
今回は物語に大きな展開があったからか、これまで以上のエロい場面はありません。
もしかしたらエロい場面は、制作側の物語停滞の目くらましかもしれませんね。
しかし霧島先生を最初に見た時は時雨が髪色変えて現れたのかと思いましたよ…。
顔が一緒ですね。年齢は倍ぐらい違うでしょうに。
好意的な解釈をすれば、笑顔の仮面を付けているからとか、雪菜の好みは一貫しているという証明でしょうか…。
作者は本当に男性キャラがあまり得意ではないのかもしれませんね。
少しフェミニンで目の大きい晶は気になりませんが、時雨や霧島先生はこちらの想像よりもイケメン度が低い。
もう一段階、格好良くてもいいのではないか、と時雨を不憫に思う。
基本的に絵が崩れることのない作者。
でもずっと言いたいのは、斜めの顔の時の口の位置、変ですよね。
顔の中心線から完全にずれている。
現実にいたら確実にひょっとこみたいな顔になってるでしょうね。
原因は顎がとがり過ぎて余白がないからですかね。
作者なりの工夫なのかもしれません。
パッと見は綺麗な絵なんでそれほど気にならないけれど、一度気になるとその描写ばかり探してしまうような点です。