《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

私たち入れ替わってるー⁉ 寡黙に一人で悩む風早と、彼の力になりたい爽子。

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椎名 軽穂(しいな かるほ)
君に届け(きみにとどけ)
第16巻評価:★★★(6点)
   総合評価:★★★★(8点)
 

雪も深くなる12月。千鶴は悩みつつも、龍との“新しい関係”を歩み始め、あやねは自分にアプローチしてくるケントに戸惑う。風早と付き合い始めてから初めてのクリスマスが近づく中、風早が何か悩んでいるらしいと聞いた爽子は…

簡潔完結感想文

  • クリスマスが近づき緊張する爽子。今年は風早と過ごせることになったが…。
  • 何かに悩んでいる様子の風早。だが爽子が差し伸べた手は押し返される…。
  • 準備は万端。何かが起こりそうなパーティーはこれからだ! 本編は次巻。


12月に入っても好転しないそれぞれの関係。どうやら17巻までそれが続く16巻。

低気圧が停滞しているんでしょうか。
どうにも晴れない日が続く。
12月の北海道ですから雪ばかりみたいですが。

物語的には大きな出来事が起こる前の静けさという感じで、じれったいばかりの展開が続く。

この巻で一番奮闘してるのは爽子じゃないだろうか。
いい意味で爽子が爽子らしくない描写が目立った。
爽子一家の子離れ・親離れの通過儀礼が終わって、晴れてクリスマスに家族以外≒風早と過ごせることになった爽子。
2人でいるのに遠い距離を埋めようと、爽子は廊下を走り大声で風早を呼び止めクリスマスを一緒に過ごそうと声を掛ける。

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初クリスマスのために 爽子は奮闘するのだが…。
だが、風早の答えはクラスのみんなでパーティーをしようという2番目に嬉しい返答。
なんか風早が(以前の)爽子化してますよね。
届かないんですよ、気持ちが。
爽子は天然でしたけど、風早は計算ですけどね。

それは男に2人きりで誘い出されそうになった女性が分かっていながら「えー、じゃあ△子と一緒に待ち合せよう」と心の壁を作り出すようなものだ。
なぜ風早は2人きりになろうとしないのか…?


まるで風早と爽子が入れ替わってますよね。
これまでは爽子が「やろう今年はクリスマス! みんなで!」というと、風早は頭を抱え「俺が言ったのはそういう意味じゃないんだけどなー」と落ち込むが、気分を切り替えて爽子をクラスに馴染ませるため配慮し続けていたのが風早だった。

だけど今巻では違う。
風早を観察して何かがいつもと違うと思った爽子は風早を呼び出し、話を聞き出そうとする。
まるでかつて自分が風早にそうやって救ってもらったように。

だが、風早は自分に差し伸べられる手を拒否してしまう。
自分の行為に深く傷つき後悔する爽子。
風早は風早で爽子の話が別れ話かと思っていたらしい。
なぜそう思うのか。
それは自分が自覚的に彼女を遠ざけていたからだ。

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肉体的な距離を取ることが解決策だと思い込む風早。
修学旅行のキス未遂以来、気まずい関係に陥った爽子と風早。
私はてっきり二人がそれぞれに意識しすぎてギクシャクしてるのかと思いましたが、どちらかと言えば風早が爽子に距離を置いてる様子。
そこは読み取れなかったが、私でも読み取れるのが風早の悩み。

要するに彼は暴走する自分が怖いんですよね。
あれだけ互いの親に清く正しい交際をすると誓ったのに、その誓いを破りそうになった自分が。
この辺りに悩むのが風早100%印ですよね。

爽子が本格的に嫌がる行為、乱暴な行為に及んだのであれば悔いても悔やみきれなくて自己嫌悪にも陥るだろう。
だけど風早くんともなると自分の引いた線に少し抵触したら、この様である。

更にはこういう2人で解決しなければならない問題こそ、一人で抱え込んでしまうのが風早くん。
これまで爽子が言葉が足りなくて誤解されたり傷ついたりしてきたのをずっと見守ってきたにもかかわらず、同じ愚を踏んでしまう若き青年。
彼の余裕のなさが上手く表れています。
今のままでは広い意味で爽子を大事にできていない事も彼は気づいてないんでしょうね。


そんな状況の中、開催される健人と風早のお茶会。
私は初めて健人を師匠だと思いましたよ。
風早の悩みを聞き出して、そして解決策まで導いてくれるなんて良い奴だ。
「風早と貞子ちゃんはさ …似てるよ」。
そうなんですよ、似てるんです。
良いところも悪いところも、相手を好きなんだけど頼らないところも。
これから欲望や黒い感情も見せられる関係になって下さい。


さて、そんな健人と上手くいきそうなのが恋愛不感症のあやね。
あやねの自己分析を聞かされるごとに、あやねの恋愛に興味を失っていく私がいます。

恋愛してなきゃ死ぬの?という少女漫画には禁句に近い言葉が出てきてしまう。
あやね自身は好きなんだけど、トラウマの如く向き合わなければいけない問題とも思えない。
しかも相手は健人。
本気になる感じが見えないんですよね。


君に届け トリビュート」…
豪華執筆陣が描くここでしか読めない「君届」!
コラボ企画ですね。
こういう企画、他でもよく見ますが漫画家さんの参加は全員漫画形式にしてほしいですよね。
失礼ながら知名度の低い、私の知らない作家さんの一枚絵のイラストに「大好きですぅ」と感想を書かれても嬉しくない。
知っている作家さんで言えば私の大好きな いくえみ綾さんが入ってましたね。
健人漫画でした。
健人っていくえみさんの漫画に出てもおかしくないキャラですよね。
達観してるというかお節介というか。
顔はあまり似てないけど…。
他の作家さんのキャラを描こうとしても描く漫画家の個性が出ちゃうのが面白い。

君に届け 16 (マーガレットコミックス)

君に届け 16 (マーガレットコミックス)

  • 作者:椎名 軽穂
  • 発売日: 2012/05/11
  • メディア: コミック