椎名 軽穂(しいな かるほ)
君に届け(きみにとどけ)
第14巻評価:★★★★(8点)
総合評価:★★★★(8点)
修学旅行in沖縄開始!! 楽しい時間の中で、それぞれの気持ちが動き出す…。龍が告白されたと知り、もやもやする千鶴。旅行直前に付きあい始めた茂木と微妙な空気のあやね。そして夜、お風呂上がりに会った風早と爽子がどきどきの急接近…!?
簡潔完結感想文
- 続・修学旅行編。取材旅行の成果が存分に出ているなぁ。そんな第一印象。
- 女性3人それぞれの修学旅行。一気に距離を詰めようとするのは失敗?成功?
- 何巻かかけて狭めてきた二人の距離にまた人一人分の距離空いてますけど!
『前巻』に続いて修学旅行2日目から始まる14巻。距離の詰め方にご注意!
爽子も修学旅行のテンションなのか移動のバスの中で怪談落語をいよいよ披露する。
1年生の頃からの修業の成果が今ここに!
これもクラスに学校に馴染んだ結果でしょうか。
落語中の爽子も応援する優しい風早。
能面の矢野ちんは何を思っているのでしょうか。
「頑張るのよ」とか「間違えないで」などの親目線でしょうか。
彼女もまた優しい人です。
ちなみに矢野ちんは化粧して寝てるんですか、ってぐらい寝起きもまつ毛が濃く長い。
修学旅行編の場所場所の風景描写などは作品が大人気で出版社持ちの取材旅行が出来たお陰ですかね(想像)。
確かに大人気漫画の中の高校生活一番のイベントなのでこんだけ大々的にやってくれるといいですね。
北幌高校修学旅行を追体験できるツアーなんて企画してほしいものだ。
聖地巡礼ですね。
水族館や海岸はもちろん、ホテルの階段下のあのベンチとか、街中の顔だしパネルとか、漫画片手に楽しみたい。と、お祭りムードのはずの修学旅行ですが修学旅行なのに爽子たち女友達3人は3人とも彼氏など男子生徒と気まずい状況。
まずは何と言っても爽子。
学校生活と違う四六時中同じ空間にいる喜びに浸っていたはずが、お風呂上りの爽子を待っていた風早とキス…、未遂。
彼氏彼女として二人の距離を少しずつ近づけていた二人が、自分たちのペースを乱して急接近してしまった。
距離の詰め方を間違えました。
しかも未遂に終わってしまった事でこみ上げるのは、喜びや幸せではなく恥ずかしさだった。キスを失敗というか未遂でこんなに男女に距離が出来る漫画も珍しいですね。
そこが爽子たち2人ならではでいいところなんですが。
キスをしようとするところを邪魔されるのは少女漫画あるあるですが、その後は結構コメディ寄りの展開になる事が多い。
今回も風早が「今いいところだったのに!」とか「何でお前が来んだよ!」とツッコんで気の抜けた爽子と二人笑い合えれば良かったのですが、いかんせん彼は物事を茶化す能力がない。
これもまた長所なんですけどね。
今後はこんな失敗も笑い合えればもっといい関係になれるかもしれない。
ただ別れる別れないの話じゃないので、今後の展開をこれまで通り温かく見守るだけですね。
そして『前巻』あたりから急激に関係性を変化させているのが吉田と龍。
龍が他クラスの女子生徒から告白された事で吉田の胸に何かしらの思いが渦巻く。
その正体を見極める間もなく龍に告白される吉田。
私が一番意外だったのは、吉田の返答。
龍の想い知ってたんじゃないの?という疑問と、まさかそんな切り捨てるような返答をするとは思わなかった。
すると以前の龍からの告白は友達としてという意味で捉えてたんでしょうか。
龍の10年以上(?)の一世一代の告白も距離の詰め方を間違えたのか。
いや、いいタイミングだと思ったのだけれど。
こちらもギクシャクした二人の関係がどう修復されるのか気になります。
一方でカメの歩みの爽子カップルを尻目に、ウサギのように駆け抜けるのは矢野ちんと茂木くんの新米カップル。
修学旅行中にキスをしたり、一緒に自由行動をしたり楽しそうにしていたが、矢野ちんが茂木の距離の詰め方に疑問を抱く事件が起こる。
その事であっさり茂木と別れ、自分の「すき」の欠落を自覚し落ち込む矢野。
そうか一歩も二歩も先を行ってるようで矢野ちんは初恋がまだ自覚できないんですね。
ちなみに矢野ちんが聞いてしまった彼氏・茂木くんとその仲間たちの会話はもしかしたら少女漫画用に改変されてるかもしれませんね。
本来なら「矢野って絶対ピーーだからすぐにピーーーと思ったのにな」「ピーーだから付き合ったのにピーーなんて意味ないじゃん」ぐらいのえげつない、そして矢野ちんの心を切り裂くような事を言ってそう。
ちなみに、彼女との出来事をいちいち報告する茂木くんグループは全員モテなそうである(風早のグループで言えばジョーくんっぽい)。
派手な見た目に騙されたと勝手に思ってるだろう茂木くん、読者は君の真面目で純情そうなルックスに騙されましたよ。
もう二度とその顔を見る事もないでしょう…。
小ネタとしては1年生後半の席替えで、爽子の後ろの席になって以降、存在感を表して何気に登場し続ける高橋千草さん@情報屋もいい味出してますね。
千草メモをいつか公開してほしいものだ。
あとピンは髪を下ろしてると大きい風早って感じですね。
何だかんだイケメンなのか。
そして爽子の最大の欠点は図画工作ですかね。
風早は優しくてベタ惚れだからあばたもエクボで、爽子のこと全肯定でしょうけど、私ならあのシーサーはいらないなぁ…。