ろびこ
となりの怪物くん(となりのかいぶつくん)
第5巻評価:★★★☆(7点)
総合評価:★★★★(8点)
友の恋を知り、友の声を聞き、人は前へ進む。ちゃんと人と向き合おうと変わり始めた水谷雫(みずたにしずく)は、ついに、となりの席の超問題児・吉田春(よしだハル)に再告白する。しかしハルは、雫に興味を示す友達・ヤマケンを意識しすぎて、それをまさかのスルー!! 全然かみ合わない二人だったけれど、夏目(なつめ)さんの恋が動き始めたことで……? 「どうしてこんなにかみ合わない」たぶん何かがズレている。でも戻し方がわからない。
簡潔完結感想文
- 夏目ちゃんの過去と現在。もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対。
- 礼服のハル。その服のように黒一色の目に光を与えたのは夏目の一撃。
- 雪山別荘で一泊。殺人事件はさすがに起きないけど事件は盛りだくさん。
相変わらず感想を書くのが難しい漫画の5巻目。
その原因は作品の良さを伝えきれる自信がないからなんですよね。
責任放棄かもしれませんが本書の賑やかな楽しさは読まないと伝わらない類のものだし、私には登場人物たちの心情を十全に把握できているとは思えないから筆が進まない。
本書は肌感覚で楽しい作品です。
前半は夏目ちゃん回です。
そうか夏目ちゃんもある意味で堅物だったんですね。
同じ高校の仲間たちで初恋じゃないのはササヤンぐらいか。
雫・ハル・夏目ちゃん・大島さんは初恋に自分を翻弄されている。
ヤマケンくんはどうでしょうね。
遊びじゃなくて、格好悪い恋愛が初めてって感じでしょうか。
彼らを見てるとハリネズミのジレンマという言葉を連想しますね。
近づきすぎると傷つけあってしまうし、それを恐れて距離を置くと疎遠になって仲良くなれない。
でも時には傷つけあいながら距離を定めるのが青春って感じもしますね。
夏目が中学時代に42回繰り返された勝手に異性から好かれてしまって同性から嫌われる現象。
その内本編で詳しく紹介された1回の女子生徒が『前巻』のファストフード店で遭遇した人かな。
高校時代の夏目ちゃんなんてアホの子であって魔性の女の要素が見当たらないから想像が難しい。
恋愛圏外にいそうな人を疑似彼氏に見立てて、彼を盾に異性や同性の好奇の目から自分の身を守る手法は取れなかったんですかね。
結局、疑似彼氏が夏目ちゃんに入れ込んじゃうのか。
最初は疑似彼氏だったのに段々夏目ちゃん側から好きになっちゃう漫画はありそうですね。
あとは学園の番長の彼女に徹しきるとか。
身の危険が高すぎるか。
高校の夏目ちゃんがアホの子だから、なんだか嘘の武勇伝に思えてしまうのが悲しい。
そして、みっちゃんの意外な弱点が発覚。
鈍感。
今までの言動も天然だったんですね。
こちらはこちらで苦労しそうですね。
気が付いた時には引き返せないほどの好意で迫られて、刃傷沙汰みたいな展開が待ち受けてそうだ。
ハルにとって大事な人、ハルの叔母(伯母じゃないのね?)である、みっちゃんの母が亡くなって1年。
今巻でハルが雫に興味を持った理由が明らかに。
本能的な、ビビビ恋だったんですね。
そして叔母と入れ替わるように雫に出会ったみたいだ。
学者である叔母さんは雫に似た感性なんでしょうかね。
聡明で基本的にドライ。
ハルが大事な人だと感じとった雫と叔母さんが対面する場面も見てみたかったが、彼女が亡くなってなければハルが高校に顔を出すこともなかったのだろうか。
法要の終了時からの描写がないので、みっちゃんはまたサングラスの顔のみ。せっかく素顔が見られるチャンスだったのに。
雫の方は塾通いを止めたようですね。
短期連載「となりのヤマケンくん」これにて打ち切り。
それでも街中で出会うヤマケンと雫。
基本的に話がかみ合って、良き相談相手になる2人ですよね。
たとえそれがヤマケンの望まぬ方向でも。今回もナイスアシストです、ヤマケンって感じ。
このスマートなはずのヤマケンが失敗し続ける描写が好きですね。
自分で地雷を踏みに行って、さも痛くないような振りをして血の涙ばかり流すヤマケン。
その攻撃的な言動の割に読者のヤマケンファンは多いのではないか。
私も徐々に好きになりつつあります。
そして私学のお金持ちと知り合えた事で別荘お泊り編に突入。
わざわざ遠出した個人別荘なのに1泊2日で帰ってくるなんて。
そして足として使われるみっちゃん。
良い人過ぎないか。
勉強道具を持ち込まない雫。
変化の証しですね。
私学のお金持ちグループは夏目ちゃんの魔性には反応しないんですかね。
やっぱりモテ伝説は嘘なのか(笑)
今のところ夏目ちゃんの魔性に反応してるのは、陰でこそこそ登場回数だけは多い下柳くんぐらいですかね。
あっ、その周辺にもう一人いるか…。雪山の山荘に三角関係が二組。
何も起きない分かりません。
ただ最も険悪になったのは意外にもササヤンとハルの関係。
ササヤンも苦労人ですね。
常識人ほど苦労するというのは納得がいかない世の不条理です。
運動がからっきしダメな雫なのでスノボに見切りをつけようとするところにササヤンがかける言葉が好きです。
こういう風に操作されたい。
大島さんの友達・ユウちゃんも輪に溶け込んで、どんどん仲間たちが増えていく
。友達がいなかった、価値を見出さなかったハルたちがこんなに人に囲まれているとは、ハル叔母も草葉の陰で嬉し泣きしてる事でしょう。
だからみっちゃんもハルに甘いのかな。