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白戸修の事件簿 (双葉文庫)

白戸修の事件簿 (双葉文庫)

どこにでもいる善良な大学生・白戸修にとって東京の中野は鬼門である。殺人の容疑者が飛び込んで来たり、ピンチヒッターで行ったバイトが違法だったり、銀行で強盗に銃を突きつけられたり…。だが次々に事件を解決する彼を人は「巻き込まれ探偵」「お人好し探偵」と呼ぶようになる。小説推理新人賞受賞作を含む、ちょっと心が優しくなれる癒し系ミステリー。


本の帯には「お人好し探偵」と書いてあるけれど実際、白戸君は探偵役を務めることがなくトラブルに巻き込まれ続けるだけの一冊。事件の始まりはいつも中野駅である。にしても、なぜ中野駅なんだろう?謎です。読み進めていくと「お人好し」の定義がよく分からなくなっていきます。白戸君は考え無しのアホなのか、人が好いのか、どちらなのだろうか?と。まぁ少なくとも「いい人」白戸君はいいキャラを出しています。単行本時は『ツール&ストール』でしたが、文庫化の際に改題。なぜに改題?

  • 「ツール&ストール」…試験の前の日に殺人容疑をかけられた友人を助けるために、白戸君は犯人を捜す破目に。事件の核は「スリ」です。スリの手口が色々分かる短編 。事件は全体が見えるようで、薄くぼやけている。後半のどんでん返しは面食らったが、いささか急な気もする。
  • 「サインペインター」…怪我した友人から頼まれて代わりに中野駅北口へ。そこで頼まれた仕事は看板付けのバイトで‥今回は看板の薀蓄アリ。短編ならではの犯人の意外さ、小道具の使い方などうまい部分が多数ありました。後半の人情味あふれる部分はかなり、いい。いいぞ白戸君!
  • 「セイフティゾーン」…引き出し手続きの手違いで銀行の応接間で事情を聞いていたはずが、いつの間にかに銀行は強盗に襲われていて‥偶然が多い作品だが、楽しめた。ハードボイルドというか息をつかせぬアクションというか。推理小説ではない気もしなくはない。
  • 「トラブルシューター」…間違い電話の訂正に向かった中野駅であったのはストーカー被害にあっている女性と彼女を守る男だった。今更ながら気が付きましたが、この本は現在社会の歪み、というか現在を代表する犯罪が書かれているんですね。前回に引き続き白戸君が状況を悪化させてる気もする‥
  • 「ショップリフター」…聞いたこともない英語だが意味は「万引き犯」。今回、白戸君は万引き犯に間違われて‥事件の真相はやり過ぎ、という感もなくはないが、全体の話としての結末はこの本を象徴するグッドエンディングでした。これで白戸君の中野駅の呪縛も解けたのだろうか‥?

白戸修の事件簿(『ツール&ストール』改題)しらとおさむのじけんぼ   読了日:2004年08月05日