相川 ヒロ(あいかわ ヒロ)
三神先生の愛し方(みかみせんせいのあいしかた)
第03巻評価:★★(4点)
総合評価:★★(4点)
学校ではただの過保護で通してるけど、三神先生となつめはヒミツの恋人同士! 最近2人きりになると、三神先生の溺愛がどんどん激しくなってきちゃって…? 臨海学校の夜、今まで以上のカンケイになる出来事が…!!? 別冊フレンドで大人気!! ドッキドキのお泊まり溺愛編☆
簡潔完結感想文
- 『1巻』の温泉回で裸を見た後の お泊り回は不要。そして学校行事だと周囲が迷惑。
- 4話中2話が人の噂を信じて失敗するヒロインの話。読者は溺愛ならば何でもいいの!?
- アバタもエクボなのだろうが、ヒロインを溺愛しない私には幼稚な女にしか見えない。
養護教諭が2人体制になって三角関係かと思いきや実務担当、の 3巻。
『2巻』で登場した惣介(そうすけ)の弟・響(きょう)。今回、アメリカ帰りの会社社長であったはずの響がもまた兄と同じく養護教諭になる。作者は養護教諭をバカにしてるのか、というほど その職業には自由になれて、学校内を自由に活動している。少なくとも響が日本の教員免許を持っている確率はゼロに近いと思うが…。もうツッコんだら負けの世界なのだが、雑な設定にツッコみたくなる。
さて響もまた養護教諭になったことで学校内と家庭内で24時間 三角関係が継続するのかと思いきや、今回 響の出番は少なめ。むしろ響は惣介の行動の自由度を高めるために存在させられているのではないか、と思うほど不憫な役割である。
冒頭で臨海学校に行く際も、響は惣介のサポート役ばかり。なつめ の恋愛相談に乗ったり、惣介が行方不明となった なつめ を探しに行く際には おそらく惣介の代わりに保健責任者になったのだろう。ラストの なつめ の風邪回でも惣介が学校を簡単に休めるのは響の存在があるからだと思われる。というか そう考えないと惣介のフリーダムっぷりに説明がつかないし、響が日本に残留する意味もないように思われる。
ただ、『1巻』の感想文でも指摘したが、本書は惣介が教師である必要性が薄い。惣介の執念が なつめ の学校への就職を決めただけで、彼らは それ以前から幼なじみなのだ。惣介は なつめ を狙う男子生徒を発見するために校内をパトロールしたかっただけだろう。
2人は四六時中一緒にいられる関係であるから、わざわざ学校行事である臨海学校を お泊り回のように利用しなくても良い。響と3人の家族旅行のように海に行けば いい話なのである。今回、なつめ は臨海学校で不味い料理を作り同じ班員に まともな食事を提供できず、自分が犯人となった とある騒動で生徒の自由時間を奪っている。そして一人で勝手に行動することで行方不明者となり、学校側に多大な迷惑を掛けている。学校行事でなければ惣介たちだけの問題だったのに、学校行事にしたことで なつめ の疫病神っぷりが悪目立ちしてしまっている。
早くも同じ内容の繰り返しに辟易する本書だが、その原因は なつめ である。彼女の幼稚なワンパターンな行動が すれ違いと仲直りを生むから作者としては便利な存在なのだろうが、読者からの好感度は下がる一方だろう。惣介と名所を巡りたい、惣介は巨乳が好き、惣介に甘えてはいけない、惣介の部屋が見られないからキレる、と子供のような思考で騒動を巻き起こす。
溺愛うんぬんよりも なつめ の行動によるストレスの方が上回り、全く物語が楽しめない。彼女の良さは何なのだろう。惣介たち一家からして見れば、頭の悪い、年齢の若いなどのステイタスの低さに惹かれているとしか思えない。結局、ロリコンという言葉以外で惣介たちからの好意が説明できないのが本書最大の欠点である。巻を重ねても同じ状況なのが本当に良くない。
9話。なつめ の学校が2泊3日の臨海学校に行くため疑似的な お泊り回になる。ただ これが初お泊り回なら楽しいが、彼らは既に『1巻』で温泉旅行と裸を見ているので重複となる。違いはイケメンが2人に増えたことぐらいか。
惣介たち兄弟は なつめ のために覗きを決行しようとした男子生徒たちに天罰を下し、そして自分たちが その権利を得る。やがて いたずらな猿の存在もあって、惣介たちは女性の露店風呂に落ちる。それを発見するのは なつめ。こうして他の女子生徒に隠れながら3人で露天風呂で隠れるというドキドキ展開に強引に持ち込まれる。少女漫画の定番シーンではあるが、同時期に連載していた『黒崎くんの言いなりになんてならない』といい掲載誌「別冊フレンド」は同じような内容が多すぎる。そして今回は教師が、勘違いではなく自分の意思で女風呂に立ち入るという社会的にアウトな内容で笑えない。
学校のイベントなのに なつめ が惣介の宿泊部屋に行くのも意味不明である。本書ではバレる心配ゼロなのは分かるが、軽率な行動をする2人に腹が立ってくる。別に なつめ も1日イチャイチャを我慢できないほど、普段は惣介に対して積極的な愛を表明していないし。
そして自分の目的を果たせないから相手に腹を立てる なつめ の幼稚さにも辟易する。まずLINE、で終わる話である。ギャグ漫画だから殴れば女性でも抵抗できて、場面も転換するのだろうが、そもそも なつめ が殴る理由は理不尽で、女性の暴力も笑えない。
10話。臨海学校2日目の水着回なのだが、なつめ は惣介が巨乳フェチだという噂を聞いて青ざめる。ハイハイ、勝手に誤解するパターンね、と読まずとも内容が分かるのが本書の残念なところ。
なつめ は響の協力を得て、胸にパッドを入れて惣介を恋人たちの名所に誘おうとする。ってか『1巻』の温泉回で裸は見られてるんだし、乙女心とはいえ、両想いの人に見栄を張る意味が分からない。
惣介は なつめ が期待した時ほど欲しい言葉をくれないのも定番展開。こうして なつめ は落ち込んで惣介を誘わないまま1人で名所に向かう。
だが その後、新種のクラゲ騒動が起こり、海が入水禁止となり、なつめ は1人で帰れなくなる。孤独が絶頂に達し、惣介の名前を呼ぶと彼は現れる。2人の すれ違いは即座に解消し、落ちていた気持ちが元通りという いつもの1ターンである。
この回はクラゲ騒動の真相が面白かった。伏線と誤解と回収が上手い!と素直に思えた。
11話。なつめ は交際前まで惣介を避けていたので彼の情報に乏しい。そこで彼を観察することで彼を知ろうとする。
その一環として惣介に勉強を教えてもらう勉強回が始まる。メガネ姿や知性に なつめ はクラクラするが、彼が自室を見せてくれないことを不満に思う。それだけで「惣ちゃん なんて大っきらい」と言ってしまうのが この女の幼稚で身勝手な部分だろう。
だが惣介に拒否されても彼の部屋が見たくて、覗き見ようとする。人の嫌がることをするなと惣介には言いそうなのに、自分はしてしまう ダブスタクソ女であることを実証している。
彼を1日観察して自分を優先してくれること、その分 仕事を溜め込んでしまうことを知った なつめ は寝てしまった惣介にブランケットを掛けてあげる。そして起きた惣介に改めて部屋が見たいと言い、入れてもらう。結局、自分の欲望を優先するんですね…。
予想と反して惣介の部屋は整然としていた。彼は その部屋が つまらないから、自分が普通の男だから なつめ に幻滅されたくなかったと話す。
…が それは嘘で、彼が見せたのは響の部屋だった。本当の惣介の部屋はカオス。
でも これ、惣介は響が帰って来なかったら なつめ に嘘と演技で対応したってことでしょ? 異常性を見られたくないのは分かるが、惣介は そうやって なつめ の前で演技して彼女の気持ちを自分に向けようと誘導している。『1巻』の感想文で述べた、卑怯な大人の部分が見て取れて私は惣介に幻滅した。
12話。女性が甘え慣れしてワガママになって別れた というカップルの情報を聞いた なつめ は、破局を回避するために惣介との接触を断とうとする。臨海学校の巨乳好きと同じように噂に左右される なつめ の話である。しかも その理由も言わないで一方的に彼を遠ざけるのをワガママというのではないか…。
しかも惣介を拒絶するために彼の忠告まで聞かなかったために なつめ が風邪を引く。ここから風邪回である。最初は看病だからと甘やかされていた なつめ だったが、途中で彼を拒絶。ここも説明はなし。自分がされたら不安で泣いて惣介に助けを求めるのに、やっぱりダブスタだ。
おそらく作者は熱で朦朧とする なつめ g看病で汗をかいた身体を拭くために、惣介の前で裸になる、というエロティックなシチュエーションが描きたかったのだろう。でも なつめ が一人で空回りしている様子を見させられてもねぇ…。