《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

世間離れした時間軸に加えて パラレル話まで展開。世界は ホスト部で満ちている。

桜蘭高校ホスト部(クラブ) 4 (花とゆめコミックス)
葉鳥 ビスコ(はとり びすこ)
桜蘭高校ホスト部(おうらんこうこうほすとくらぶ)
第04巻評価:★★☆(5点)
  総合評価:★★★☆(7点)
 

好奇心満々でハルヒ宅に押しかけたホスト部一同。見当違いな気遣いを連発する環が、誤ってハルヒを押し倒した(ように見える)現場をハルヒ父に目撃され大ピンチ!! 第一印象最悪(!?)な環は果たしてイメージ挽回を図れるのか…? 描きおろしも大増量☆

簡潔完結感想文

  • 鍋回。お母さんのようなお父さんに御挨拶する環。だが敵性生物と見なされ撃退される。
  • バレンタイン回。スイーツで太らないけど虫歯は出来るハニー先輩。モリ先輩 回なのか?
  • パラレル話。こんなことが出来るのもキャラが独り立ちして、多大な人気があるからこそ。

ァンのための 4巻。不安が募る4巻。

巻末の人格が入れ替わる「もしも」劇場や、
ホスト部員が「不思議の国のアリス」の世界に入るパラレル話など、
多くの読者がいることを想定し、彼らのキャラで楽しんでもらおうとする心意気が見られる。

通常なら出来ないことを可能にするのが自由な漫画世界で、
いつものホスト部的な大騒ぎの箸休めとしてパラレル話が使われるのは悪いことではない。

怖いのは、これが読者サービスではなく作者が一番楽しんでいる可能性だ。
作者自身が自分の分身であるホスト部員を溺愛して、
コスプレを楽しんだり、パラレル話を妄想している場合、
早晩、読者は離れてしまう恐れが出てくる。
読者へのサービス精神が作者の溺愛と入れ替わっている漫画は珍しくない。

作品の人気で勘違いしたりせず、
作品と自分との距離を適切に保って欲しい。

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世界観は可愛いのだが、パラレル話は通常以上に展開は速いし テンションが高く疲れる。

そして、もう一つ怖いのが このパラレル話がネタ切れの苦悩が生みだした産物であった場合。

パラレル話がは元ネタがあるので話の創作も比較的 楽だろう。
なので禁断の手段でもある。
今後、もしシリーズ化してきたら危険信号である。

ちなみに私は この手のパラレル話は あんまり好きではない。
基本的に キャラ萌えをしない人だからだろうか。
ハルヒ的に冷めた視線で少女漫画を読んでいる。


そして、パラレル話と相まって『4巻』に物足りなさを もたらすのが、
『2巻』に続いてオムニバス短編が収録されていること。

これは勢いのある作品を1か月でも早く単行本化して読者に届けたい
出版社側のサービス精神と商売根性だろう(鏡夜先輩的な)。

ただ今回は、外伝的なパラレル話と別短編の組み合わせは満足感を下げてしまった。


者サービスでも良いサービスだったのが、『3巻』から続くハルヒの実家訪問編。

『3巻』ラストの、環(たまき)がハルヒを仏前で押し倒してしまい、
そこにハルヒの父親が帰宅する場面からの続きです。

環を文字通り足蹴にして、ハルヒを守る父親の精神とは裏腹に
女装しているため見た目が美しいギャップが絵面として楽しい。

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精神的にではなく 肉体的に環を痛めつける人は珍しい。自称 キングは害虫だったのか…。

学校が休みなのでハルヒも女装(?)バージョンだが、
男装の制服ハルヒハルヒ父の2人の姿は 頭の理解が追いつかないだろう。

そういえば私は「少女漫画のカップル、親と対面したら結婚説」を
提唱していますが、この2人はどうでしょうか。

まだ交際どころか、恋心すら怪しいもので、
更にはラストで明かされる環の実家の話など身分の差もある。

その結果が出るのは まだまだ先でしょう(あと13巻!)。


そういえば『3巻』で鏡夜がハルヒの中学時代の秘蔵写真を持っていた理由は、ハルヒ父と交流があったから らしい。

黙って入手して、海辺にまで持ち歩いている鏡夜くん。
他にも何か隠していそうな雰囲気がします。
その内、ハルヒの服とかまで、何かと理由を付けて横流ししてもらいそうだ。
おまわりさーん!!


ラストは皆で一つの鍋を囲む ほっこりENDなのですが、
ハルヒの手作りの料理にも文句を言うホスト部の面々の面の皮の厚いこと…。


節ネタとして出てくるのはバレンタイン回。
ハニー先輩の虫歯と、モリ先輩の告白を添えて。

やっぱりモリ先輩の完全な単体でのメイン回は難しいのでしょうかね。
まぁ、台詞量の割に人気を得ているズルいキャラだとは思いますが…。

そしてホスト部の客の中には本気で恋をしちゃう人が出てくるんですね。
ただでさえ限定されている客が ますます減るのではないか。

もし、告白に色よい返事をしたら それはそれで他の客が減ってしまうし。
ホスト部の経営や覚悟はアイドル並みに自制が要求されるのかもしれない。

特定の誰かとの交際が新聞部にでも すっぱ抜かれた日には一巻の終わりである。


んな新聞部が登場するのが『2巻』以来、2回目の4月が到来する4話目。

1話当たりのページが少ない割に、
冒頭のホスト部コスプレの説明と、毎度おなじみの自己紹介場面が長いのも本編満足度の低さに繋がっているかも。

自分が新聞部部長に怪我をさせた罪悪感から、
ホスト部への取材を受け入れることになった環。
だが廃部の危機にある新聞部は過激な手段を使おうとして…。

結構、久々のホスト部による学内粛清の回ですね。
まぁ世直しの面もあるし、勧善懲悪ではあるのですが、
ホスト部以外の男子生徒をどんどんと悪者に仕立てないで欲しいものです。

この回は環をバックアップするハルヒ以外の5人の部員の結束力を見せつける話でもあります。
ハルヒも愛されヒロインですが、環もまた愛されヒーローなのである。
口では辛辣なことを言っていても、陰で優しいツンデレな部員たちです。

そしてラストに明かされるのは環の家・須王(すおう)の正体。
これは2回目の4月は1回目の4月とは違うルートを辿るという伏線なのか⁉

…それはないね。


「ラブ・エゴイスト」…
「生徒思いで教育熱心の さわやか教師」鷺沼(さぎぬま)先生に恋をする中森(なかもり)すみれ。
だが、彼女は自分でも自覚するほど性格が悪かったのである…。

『2巻』収録のオムニバス短編のシリーズ。

すみれ と先生の会話は嫌味を嫌味で返す嫁と姑の会話、
もしくは京の都の人々のようである(偏見)。

似た者同士の2人という設定があるにしても、
先生に惹かれる理由が伝わってこなかったなぁ。

血縁関係のある鷺沼先生と双子の姉妹。
双子の姉妹の親は鷺沼先生の姉ですかね。

何となく鷺沼先生からは姉にしごかれて育った弟の臭いがします。
だからシニカルになってしまったし、女性に夢を見ないのではないか。