《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

獅子は我が子を千尋の谷に落とす。這い上がった我が子は獅子にサムズダウンで挑発する。

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福山 リョウコ(ふくやま りょうこ)
悩殺ジャンキー(ノーサツジャンキー)
第09巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★(6点)
 

ついに迎えた写真集の発売日。そして、それはナカの誕生日! しかし、当日までそのことを忘れていたウミが贈ったプレゼントとは…!? 一方、堤・千洋・実羽の関係にも激動の予感が…。その3人の出会いを描いた番外編『青の夏』も収録。

簡潔完結感想文

  • ナカ誕生日。その日が来る前まで全力で行動したのに当日のことを忘れていた海。
  • 誕生日はナカ&堤の写真集の発売日。ナカの家に堤が襲来して大混戦と思いきや…。
  • 過去でも現在でも相手の行動を変えるのは本気を見せるだけ。テキトーを捨てろ!

昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵 の9巻。

海(うみ)が長らく(分量にして8巻分)ライバルだと思っていたカメラマン・堤(つつみ)は実は自分たちのサポーターで、
思っていたよりも臆病で繊細な人かもしれない。

そして好きな人であり戦友だと思っていたナカこそが自分の唯一最大の敵。
徐々に、そして確実に成長していく様子に、喜びと畏怖を感じる複雑な海の心。

ようやく様々な面における堤の立ち位置が明確になりました。


冒頭は『8巻』で千洋(ちひろ)が、焼いたお節介から。
別れた堤と美羽(みはね)を再会させる段取りしていた千洋。
今度は千洋が自分の気持ちに蓋をして、かけがえのない友人たちの幸福を祈る…。

再会したはいいけれど、目を逸らし帰ると言い出す堤。
美羽がどうにか一緒に映画を見てもらっても堤の姿勢は変わらず。
焦りを感じながらも打開策が見つからない美羽。
流れで一緒に事務所を訪れると、人気モデルかつ所属事務所の社長令嬢である美羽を快く思わない人たちに遭遇する。

数年前同様、美羽を心配して堤が動くと、
逆上したモデルが美羽に熱湯を掛けるという大トラブルが発生する。

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緊急時にしか言ってくれない本音。でも偽らざる本音が嬉しい。

性善説のお話のように、困っている美羽がいれば助けてしまうのが堤の本当の心。
気持ちに蓋をしても、遠ざけても、その缶の中には「好き」という気持ちがいつまでも存在する。


千洋たち5人で行った撮影の帰りの車中、海はそんな堤の過去を知る。
千洋に堤に似ていると言われると、同じ業界内に好きな人がいる、そして相手には無限の可能性があるという共通点が見えてくる。

そしてそれを踏まえて堤のこれまでの行動に思考を巡らすと「見守ってくれてる」のではないかと思い当たる海。
堤のポジション確立まで本当に長い時間をかけました。
あまりにも思わせぶりな言動が多すぎて、整合性が取れてないんじゃないかという暗躍っぷりでしたね。

ここまでの堤は本当に監督だったんですね。
ウミとナカをスタート地点に立たせてくれた男。

でも、教え子たちの成長に目を細めた堤は、どこか閉じていくように感じられ…。
そんな男のために、今度は海が動きます。


堤に対して格好いい海の前には、ナカに対してから回る海の姿があった。
いよいよその日を迎えたナカの誕生日。

その日までにナカを成長させるという目標を達成したからか、
当日のこと、ナカを祝福することを、すっかり忘れていた海。

おまけ漫画の堤・千洋との架空三兄弟のように、プレゼントの相談を実の兄にする末っ子・海の姿が見られます。
こういうところが可愛いんですよね。

口では「…15歳 おめでとう クソボケ」と言いながら、
心では「こいつがいて よかった 生まれてきて よかった」と思ってる人ですから。

2人の仲が進展したこともあり、今巻はスキンシップ多めです。
キスをしたり手を握ったり、言っていない言葉があるだけで確実に両想い、交際中の行動です。
以前も書いたが、こういう既成事実だけが出来上がって、想いを通わせないのは男の身勝手さでズルいようにも感じますが…。

そしてウミにとっての最大のライバルはナカであることも確定。
これで2人の後ろ向きな感情とは決別できますかね。
これ以上、同じことが繰り返されないことを祈るばかりです。


ナカの家で仲良く喧嘩していたところに堤が襲来。

しかし堤はダウナーモード。
弟に捨てといてと渡した思い出の写真が入った缶に続き、カメラバッグも海にあげてしまう。

ここからは「悩殺・八犬伝」として仲間を引き上げる友情物語ですね。
堤と真の仲間になるために、ライバルではなく今度は仲間として動き出します。

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今日からお前は監督じゃねぇ、同士で同志の ただの堤だ。

前述の通り『9巻』は海とナカはスキンシップ多め。
ツンデレ気味の海はもちろん、
本人は無自覚でしょうがナカの言葉も少し過激な内容になっています。

ウミが出演するショーのサポート役としてウミの着替えを手伝うことになったナカ。
カーテンで仕切られているとはいえ、
海様の命令で彼の服を脱がせることに。
布一枚向こうには多くの人がいるのに密室で男女が服を脱がせている状況。
海のプレイがどんどんマニアックな方向に行っているような…。

そんな時、ナカはウミの微妙な身体の変化に気づき、手で触れ、
「…男の子のカラダだ…」と呟く。

海は確実に成長している。
それは海としての願いがそうさせた部分も大きい。
ナカはそんな海を意識し始め、そして転がる意識は止まらない。
より一層のスキンシップを望む彼らだったが…。

この後の展開が急にエロエロだったらどうしましょうと心配してしまう。
作者は素知らぬふりして、かなり濃厚な濡れ場とかやりそうな感じが怖いです。

悩殺ジャンキー 番外編 ー青の夏ー」…
千洋がモデルを始めたばかりの中2の頃。
何もかもテキトーにこなして、テキトーな結果だった頃、堤と美羽に出会った…。

千洋の変化よりも、嫉妬深く臆病な堤に目がいってしまう。
読者人気という意味でも千洋にとって堤はズルい人なんだろうなぁ。
他作品のタイトルを拝借するなら「空の青さを知る人よ」ってな感じです。

あまり本編では絡みがないですが、千洋と花楓はきっと気が合うんだろうなぁ…。