《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

元始、女性は太陽であった。ただし、地動説に従い、僕は 君の周囲を回るだけ。

金色のコルダ 11 (花とゆめコミックス)
呉 由姫(くれ ゆき)(原案:ルビー・バーティー
金色のコルダ(きんいろのこるだ)
第11巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★☆(7点)
 

学内コンクール終了後、ヴァイオリンを続ける決意をした香穂子は、月森が選抜合宿に選ばれたことを知る。将来に向けて歩みだす月森に、なぜか複雑な感情を憶えて…。そんな中、転校生・加地葵が現れた! 「君に会いに来た」という加地。更に加地の提案で合宿に潜入することに…!?

簡潔完結感想文

  • 新学期、新キャラクタ、信じられない積極性。君は僕の太陽だから。
  • 選抜合宿に潜入。食器洗い 窓拭き 草むしり。シンデレラは格差を痛感。
  • 魔法を失い気後れするシンデレラに、王子様たちは音楽の魔法を掛ける。


物語も半分過ぎたよ 11巻。その中の半分ぐらいが番外編、の11巻。

作中では夏休みが明けて新学期が開始。
大まかに言えば香穂子が音楽科に召喚されてコンクールに臨むのが第一部の一学期、今巻から最後までが第二部の二学期という感じでしょうか。
コンクールという目前の目標がなくてもヴァイオリンに触れ続ける香穂子。
少しずつだが上達している自分に浮かれていたが、無理矢理に潜入した選抜合宿でその気持ちに水を差すような出来事が…。

…って、以前も人間関係良好で、演奏も形になって来た時に、柚木先輩に心理的にコテンパンにされてましたよね。
あれは『4巻』辺りでしょうか。
これは香穂子が増長しないように、満足しないように音楽の神様の采配かもしれません。

そういえば夏休み中は誰も抜け駆けしたりしなかったんですかね。
土浦や柚木あたりは何かと理由をつけて香穂子を家から連れ出しそうな気がするけど。


新学期になり新章突入なので新キャラが投入されます。
香穂子を神のように崇める加地くん。
これまでにない香穂子に積極的なアプローチをする男性です。
ただ、この漫画では加地くんが香穂子の攻略対象になっていない気がして、
他のメンバーの当て馬にしかならない予感が既に漂っております。
というか、加地くんの好意・行為によって香穂子本人にとっても自分の胸の内に本当は誰がいるのかということを気づかせる存在になってしまっている…。

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追加キャラの加地くん。波乱を巻き起こしそうで巻き起こさない。
吉羅理事といい、加地くんといい、どうやらゲームの続編『金色のコルダ2』のキャラは、漫画でも追加キャラ的な扱いでしかありませんね。
やっぱり初期メンバーに比べると作品内から浮いている。

加地くんも積極的なスキンシップこそ多いが、心理的にはそれほど深く関わっていない。
「地球」だけに香穂子という太陽の周りを一定距離を保って公転する惑星でしかないのかな。


夏休みが割愛されてしまって、お出掛けなどありませんでしたが、香穂子の願いを何でも叶えてくれる従順な執事 兼 騎士の加地くんの存在によって、香穂子はある場所へお泊りに行くことに。
そこは校内からは月森と志水が参加する優秀な生徒だけが参加する選抜合宿。
香穂子は加地と土浦を伴い、呼ばれてもいないのに合宿場所に潜入して、それが見つかって、下働きさせられる…。

選抜合宿で、香穂子の恋のお相手も選抜されている気がしますね。
初めから参加している月森か、香穂子を合宿に誘う加地に眉をしかめて同行した土浦か、はたまた大穴で志水か。

当初は弟キャラだった志水くんも夏休み中から背が随分と伸びているらしい。
成長とともに「少しは危機感を持って下さい。俺も男なんですよ、先輩」とキャラが変わったら面白い。


選抜合宿では女性のライバル的キャラも登場。
しかも、土浦の中学時代の元カノだった前回とは違い今回は同じヴァイオリニスト。
そして月森に比肩するぐらいの演奏を見て、香穂子はまた打ちのめされる。
彼我の圧倒的技術の差はいかんともしがたく、合宿地での練習さえ躊躇してしまう。

そんな香穂子の姿を見て声を掛けるのは土浦。
同じ召喚されしもの、普通科の生徒、選抜されなかったものとして、
香穂子の姿勢に感化された自分の気持ちを正直に伝える。
若干の好意もにじませながら。

そして一足遅く、声を掛けられなかったのは月森。
その姿を土浦は目撃する…。

合宿中の発表会で月森に伴奏を持ちかけられた土浦は、やけに挑戦的に応戦する。
それは土浦は月森を音楽と恋のライバルだと思っているため、
そしてこの演奏を通して、香穂子と同じ境遇の自分だって月森と同じステージに上がれるのだという場面を見せ、香穂子を奮起させるためだろう。

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月森と土浦 2回目のコラボ。互いの視線の先には…。

金色のコルダ 特別編」…
音楽の歴史を図書館で学ぶ香穂子がトリップした先は…。
これは番外編としか言いようのない作品ですね。
香穂子は自分を姫役に据えるとは図太い神経をしている(本編での雑用役の意趣返しか?)。
冬海ちゃんに至っては側仕えだし。
夢でも登場させてあげるだけ優しいか…。
『10巻』の本編の感想で、リリは保護者だと書いたけど、本当に親だったとは…(笑)

金色のコルダ2 Passionato ~Prolog~」…
加地くんと香穂子の出会いのお話。
遅れてきたハンデは全乗せスペックでカバー。
ストーカーとは言わないで。

金色のコルダ2 Passionato 」…
加地くんがストーカーをこじらせて、転校を決意するまでのお話。
お金と頭脳とコネがあれば、大体の障害は取り除ける。
そういえば加地くんが魅了された香穂子が奏でる音って、魔法の音なんでは…?
このお話は王崎先輩のセリフから第3セレクションの前らしいので、やっぱりまだ魔法のヴァイオリンの自動運転の頃。
まさか2学期から転入してきた加地くんが香穂子の演奏聴いて落胆するとかあり得るの…⁉
香穂子の稚拙な演奏を聴いて、僕が惹かれた音はこんなんじゃない!と激高して香穂子に手をあげてしまう加地くん、退学処分(笑)