《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

全8巻にわたる本書よりも、デビュー5作目の30ページの短編にラブを感じる皮肉。

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水波 風南(みなみ かなん)
レンアイ至上主義(れんあいしじょうしゅぎ)
第7巻評価:★★(4点)
  総合評価:★☆(3点)
 

3学期、世莉たちのクラスに臨時教師・伊緒が赴任します。碧樹の道場の先輩だった伊緒は、碧樹と鷹来に深い恨みを持っていました。2人への復讐のために伊緒は世莉にねらいを…!!施錠された理科室で、伊緒と2人きりになった世莉は…!?

簡潔完結感想文

  • 碧樹に続いて鷹来にも復讐の予告をする伊緒。誰かを突き落とすのがお好き?
  • 伊緒の計略では自分の意思とは関係なく世莉を襲う鷹来。朦朧とした二人は…。
  • 汚れた心身では碧樹と一緒にいられないと世莉は別離を決意する。2度のお別れ。


復讐者の魔の手から逃げるサスペンスとしては面白い7巻。

ただ、そこにポルノ要素が入ると一気にB級感が漂ってしまうんですよね。
本当、1回1エロのノルマさえなければ、もっと評価できるのに。
ちょっと癖が強くなってきているが画力も上がって、話の運びが達者なのだからエロさえなければと惜しむことの多い後半です。

世莉(せり)と碧樹(たまき)の濡れ場が全て「朝チュン」だったら、評価は変わったかもしれない。
世莉が巻き込まれるのは展開上仕方ないが、意味を持たない学校での碧樹との行為などは省略すればいいのに。
碧樹の色情狂のような描写がなければ、二人の間の愛や絆も伝わりやすかったのに…。


新任教師・伊緒(いお)は過去の因縁がある碧樹と鷹来(たからい)へ復讐を開始する。
伊緒の主目的は鷹来とその父への復讐のようですので、碧樹はあくまでおまけ。
碧樹に対しては年下ながら空手の実力が高く、道場での人気を一身に集めていたという陰キャ的な逆恨みです。
鷹来に生まれた世莉への好意がこんなところで利用され、世莉はまた巻き込まれ役です。
男性の新キャラに主人公が惚れられる展開は少女漫画の王道ですが、世莉はそこに必ず暴行が加わります…。

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優しいお兄さんを演じながら復讐を進める伊緒。
ただ今回、伊緒は自ら世莉に暴行を加えたりしない。
碧樹と鷹来には死なない程度に過激な手段で警告はしていますが、世莉には間接的な方法のみ。
伊緒は裏設定で伊緒は性的不能とかありそうですね。

伊緒の歪んだ嗜好は、監視カメラの映像が好きってことでしょうか。
過去の理事長室の監視カメラの録画もどこかに保管されているらしい。
誰か被害者の女性の同意を取って監視カメラの映像を公開すれば鷹来親子なんて社会的に抹殺できそうだ。
伊緒の手段は回りくどい上に、最終的にとんでもなく大雑把だったのが残念。
社長秘書になったので「社長に必要な金の管理はすでに僕がしている」という伏線を張っているが…。
ってか、お金の管理と秘書の業務と関係ないよね…?

ちなみに監視カメラの映像から読み取れるのは、理事長があの年で「今日もとっかえひっかえ…」していること。
理事長室という名のラブホテルを使う社長。
仕事しな、おじさん…。


碧樹は車ごと海へダイブした際の伊緒の言動から彼に不信感を持っている。
なので海から上がった後に高熱を出した自分と世莉が交わることで、世莉にも風邪をうつし休ませることで彼女を学校から遠ざけられると考えていたらしい…。
でも世莉には風邪がうつらず彼女は元気に登校。原因がウィルスじゃないもんね。
風邪を引かない世莉も、そんなの甘い計画を立てる碧樹もバカでしょ…?


世莉と鷹来に昏倒する薬物と毒針を使い、彼らを理事長室に移送する伊緒。
そして続いて碧樹までもが正面切った対決に敗れてしまう。
空手の実力者だけど碧樹は誰かに暴力をふるったことないもんね、血気盛んだけど空手と暴力に明確な線引きをしてるんだなと思っていましたが、『2巻』で世莉を襲った宙(そら)や学校生徒に対して大暴れしてましたね。
実戦とは違うが碧樹が空手で負けるって描写は止めて欲しかったですね。
碧樹がまたヒーローから遠ざかる。ホント、口だけの男です。


伊緒は本能が覚醒する薬を鷹来に盛ったらしく、世莉を襲い始める。
以前、九条(くじょう)先生が使っていた液体に混入するタイプだとすると、昏倒していた鷹来にどうやって飲ませたんでしょうかね?
まっ、まさか、口移し⁉ 鷹来、1stも2ndもキスのお相手は男性疑惑(笑)


世莉の身体が凌辱される映像を見ていた碧樹は、そのタイミングで初めて世莉の両親に挨拶に出向く。
これは碧樹なりのアフターケアですね。

ただ、碧樹の態度が口先だけなのでとっても胡散臭い。
「僕の方こそ色々な面で支えてもらっています」だってさ。
読者は彼の性欲優先の所業を見ているので、裏表のある悪役に見えてしまうのが残念なところ。
高校を卒業した時点でまた挨拶にくるという碧樹。
「その時はお嬢さんを手放す覚悟をしていて下さい」
何だ上から目線。外泊に夜遊び、決して健全なお付き合いじゃないというのに。

世莉の両親は外見が鷹来父と伊緒母から流用したとしか思えない感じです。
ってか、中年の男女の引き出しが一つしかないんでしょうね。

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操を奪われた世莉は碧樹に別れを告げる。
だが、世莉は碧樹に自分から別れを告げる。
同じ鷹来の襲撃に対し、1回目は碧樹から、2回目は世莉から別れを宣言する対比が効いています。
薬を使われたとはいえ快楽に溺れたこと、相手を求めたことで世莉に生まれる罪悪感。
今回ばかりは世莉の悲しみはいかほどかと胸が痛む。
後半に来てやっと世莉に人間らしい感情と思考が出てきた感じがしますね。遅い!


「リボン」…
高校入学で数年ぶりに再会した男の子は特待生で空手の腕も確か、その上ルックスも抜群。
制服のリボンが上手く結べない主人公を毎日チェックしてあげると言われて…。
数年ぶりの再会、空手、イケメン化、何だか某 碧樹くんと設定が似ていますね。
この短編の彼の方が数段 好感が持てますが。
何で『レンアイ…』の方はこの短編で描けていた恋心や切なさが一切消失してしまったんですかね。
過激さに全精力をつぎ込んでしまったということでしょうか。

レンアイ至上主義 (7) (フラワーコミックス)

レンアイ至上主義 (7) (フラワーコミックス)

  • 作者:水波 風南
  • 発売日: 2004/06/25
  • メディア: コミック