《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

この漫画もまた、恋に恋する乙女が見ている幻覚の一つかもしれない…。

私がモテてどうすんだ(7) (別冊フレンドコミックス)
ぢゅん子(ぢゅんこ)
私がモテてどうすんだ(わたしがもててどうすんだ)
第7巻評価:★★★(6点)
   総合評価:★★★☆(7点)

花依の好きな戦国アニメ「かちゅ☆らぶ」朱(あかね)ちゃんのモデルとなった殿の命日が近づき、花依達は聖地巡礼の旅へ♪ 五十嵐達は花依と同じ宿にお泊まりすることになるけど!!?浴衣姿や入浴シーンなどサービスショット満載!! 別フレ50周年記念ショートも収録!

簡潔完結感想文

  • 旅行回。どう考えても仲良しゴッコの続きにしか見えませんが、何か。
  • 無人島回。突然の嵐で船が沈没。辿り着いた無人島で身を寄せ合って。
  • 七島回その2。七島は妹想いという、すっげー弱いスキルを獲得した。


『前巻』の騒動なんてなかったかのように仲良しゴッコが続く7巻。

といっても全員が花依に告白していて、他のナンバーズ(花依を好きな面々)よりも一歩リードしようとする意識が芽生えている事が違う。
となると誰が先ず動き出すかというと、5・五十嵐エロ輔くんである。

花依の新たな聖典、架空の戦国アニメ「かちゅ☆らぶ」のモデルとなった武将の命日が近いことを知った花依は鎮魂祭に参加する事を決める。
同じ趣味を持つ二科と歴史好きの六見先輩ぐらいしか心は動かなかったが、前乗りの宿泊と聞いて男子たちは牽制の意味を込めて一緒に参加することに。
女性同士という気安い関係を利用する二科を丸め込みつつ、花依との旅行に虎視眈々と接触の機会を窺うエロ輔であったが…。

もうオチといい、これは乙女ゲーというよりもドタバタラブコメですよね。
作者も暫くは決着つける気がないと見えるので、分かりやすいファンサービスに徹している所も見え隠れする。
↑のあらすじにも堂々と「サービスショット」と書いてありますし。
趣味を隠さず、もう同好の士に狙いを定めたんでしょうね。

f:id:best_lilium222:20200604015110p:plainf:id:best_lilium222:20200604015106p:plain
お泊り回 ならではのこんな場面も!
今回も聖地巡礼の旅ですし、元々、花依は重度のオタク設定ではありますが「かちゅ☆らぶ」といい、後半の「プリプリムーン」といい架空のアニメの力を借りて話を横に薄く延ばしている気がする。
私も感想に描く内容がこれといって見つからない。
作中作の冗長な設定紹介と、講談社漫画特有のページの少なさ(168ページ)も相まって、本書がまさに「薄い本」となり果てているのが残念。
絵としても男性陣や彼らの裸は個々人の体形の違いなど考慮した描写が見受けられるが、花依の顔は時々とんでもなく可愛くない時がある。


それでも面白いのは、27話のサブタイトルが「セカンド・キス」というセンス。
26話の最終ページが花依に顔を近づける男性のシーンだったのでてっきりそれかと思いきや、違うカップリングの話でした。
確かに2回目ですよね、彼らも。

このミスリーディングの効果はなんと次の話にも続いている。
27話のオチもトンデモないが、これも突っ込んだら負けなんでしょうね。
嵐に巻き込まれた後、花依と六見先輩グループと、その他の皆さんに別れたのは天の配剤か。
その他の皆さんが十把一絡げに同じ幻覚を見ていたのも、彼らの扱いとして象徴的。
もうネタに困ったらキノコ食べさせて、巨人が襲ってくるとか、野球部のエースになってるとか、殺人事件を解決してるとか、講談社の漫画のパロディでもやればいいんじゃないでしょうか。


後半は誰が見ても最下位争いをしている七島回。
自分でもアニメキャラ・シオン似のアドバンテージしかないという独白が悲し過ぎる。
更には「かちゅ☆らぶ」の放送開始によってシオンすら花依の心から退場している現状。

f:id:best_lilium222:20200604015157p:plain
四ノ宮にすら半歩 後れをとる七島
そんな折に飛び込んできた遊園地でのバイト話。
ここにきてアニメグッズや聖地巡礼とお金のかかる趣味の現実的な面を出してきましたね。
遊園地では妹と見ている美少女アニメのショーに花依と一緒に出演する事になった七島は起死回生の機会と考え奮起する。
だが悲しいかな他人を出し抜くほどの知恵も勇気もない七島は思うように仲を深めることが出来ないでいた。

そんな七島を救うのは2話連続の高熱ハプニング。
彼の高熱の原因となったのが際どいシャワーシーンであって、あれは決して読者サービスではない。
熱にうなされながら七島は花依に襲い掛かる。
そして本書は前話と同じくサブタイトル間違ってる!と2倍驚く急展開で幕を閉じるのだった。
同じく最下位争いの四ノ宮がラッキースケベのスキルで、自分のピンクの身体的特徴によって花依を喜ばせてるという点なのが不憫である。