《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

あまい あまい 花依になれ。おおきな おおきな 花依になれ。うんとこしょ どっこいしょ。

私がモテてどうすんだ(10) (別冊フレンドコミックス)
ぢゅん子(ぢゅんこ)
私がモテてどうすんだ(わたしがもててどうすんだ)
第10巻評価:★★★(6点)
   総合評価:★★★☆(7点)
 

アニメ『かちゅ☆らぶ』のイベントに行くことになった花依たち。プレゼント企画のコーナーで、なんと五十嵐が声優のサイン入りポスターに当選! 五十嵐からその当選券を譲ってもらった花依は舞台にあがり、大好きな朱(あかね)役の声優とご対面☆ イベント終了後、なぜかその声優に呼び出された花依。すると、その彼は花依の幼なじみ・三星(みつぼし)だった! しかも三星が花依たちの学校に転校してきて!!?

簡潔完結感想文

  • 再会。人気声優は花依の幼なじみ⁉ こいつは次元が違うぜ。
  • 宴会。声優たちのパーティーに参加した花依は三星を介抱。
  • 誘拐。コンサートツアーに花依を半ば強引に同行させる三星


声優さんをこんなに悪く描いて方々から怒られないか心配な10巻。

物語も10巻を過ぎたというのに恋愛模様は一歩も進んでいない。
ですがここで新キャラです。
もはや出がらしのナンバーズには物語は動かせない。
だからここで新キャラです。

今更の新キャラは3・三星建。職業・声優、花依が今最も好きなアニメ「かちゅ☆らぶ」の最も好きなキャラ「朱ちゃん(男)」の声を担当。
設定・花依の幼なじみ。幼稚園の頃、花依が少しだけ異性にときめいた時の相手。
設定・転校生。仕事や諸事情で18歳であるが高校2年生の花依のクラスに転入する。
設定・痩せた花依を一目で花依と分かる確かな目を持つ男。
設定・仕事のストレスや過去のトラウマから体調を崩しやすい。花依が側にいると安心して入眠できる。

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憧れのキャラの「中の人」は幼なじみ⁉
今更の新キャラなので色々盛り込んでいる、盛り込み過ぎたかもしれません。
漫画の便利なところは幼なじみの存在を後出し出来る点ですね。
ただ彼もまた過去には花依と同様の体形だったのには笑ってしまった。
なるほど幼なじみの他にも共通の過去があるのか。
そして三星は10年ぶりに再会した花依が劇的な変貌を遂げていても一目で花依を見抜いた。
…んん⁉ これは六見先輩と同等のスキルだぞ。

作中でも触れられているが三星の大きな特徴が2.5次元の存在だということ。
花依が現在の嫁とする「朱ちゃん(男)」の少なくとも声は持ち合わせる男なのだ。
3次元のナンバーズよりも、花依が入り浸る2次元に最も近い存在。
自分たちの強力なライバルと認識したナンバーズは牽制しつつも、人当たりの良い三星を受け入れていく。

本来の意味とは違いますが「2.5次元」という言葉を上手く取り込んだ設定で、だいぶ遅れた登場にもかかわらず、花依を巡る男たちのライバルに相応しい人物像が出来上がっている。
その後の急展開には唖然としてしまいますが。


今回、珍しく他人に警戒感を持つのは六見先輩。
ナンバーズに花依への悪意はないけれど、三星には悪意を認めたという事でしょうか。
そして花依にも再び好意を伝え、守ると誓うのだった。

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三星の二面性にいち早く気付く六見先輩
やっぱり漁夫の利を得るのは六見先輩かな、と思わせる描写。
怒らせても怖そうだし。
三星が暴走しかかった時に二科も五十嵐も恐れおののくほどの形相をしていた六見。
六見先輩が一番の便利なキャラだというのは分かるけど、急にヒーローにのし上がっていく感じがある。
悪意の有無もあるけれど、結局、六見にとって他のナンバーズは敵意すら抱かない存在と思っているのだろうか。


今までにない展開として考えられた今回の騒動。
だけどそれによって不自然さも露呈している。
三星と一緒に行動させるために花依からこれまで以上に思考能力を奪っている。

窮地に陥った男に手を差し伸べるのが花依の役割だったが、誤って酔いつぶれた自分と同じベッドに寝るような男を信用し続けるのかと疑問に思う。
スキンシップしてくる男に対して免疫がなかったはずではなかったのか。
その辺の葛藤は幼なじみで一緒に昼寝していたという過去が帳消しにするのかな?

もちろんそれは全部ベッドインという衝撃的な一コマ創出のための作為だけども。
また前半でキャラありきで声優に興味ないと言った割に声優の集まりに興味を示す二科の手のひら返しの行動も不自然に思った。
本当に男性陣がいなかったらスターに喰われるファンの行動そのものだ。


この漫画でしか許されないツッコミが無粋になる展開としては三星のスケジュールすら壊す花依の体質には笑ってしまった。
本来ならゆっくりと育て収穫するはずが、あっという間に熟れてしまったという展開は前例もあるので笑って許せてしまう。
三星の願う花依の姿がそっちなのも、固定された価値観からの脱却を提示している。
どの花依にも美は存在しているのだ。
2・3・6の存在は多様性を教えてくれている。
最後にイベントに現れた女性を一発で花依と見抜いた三星の能力にもネタバレの説明がある。
そうすると本命はやっぱりあの人かな。
あとは密かに進行する七島と四ノ宮の関係は続報を待とう。