《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

ただの男性には興味ありません アニメ・BL・声優・同人誌、私のところに来なさい。以上。 

f:id:best_lilium222:20200604002312j:plain
ぢゅん子(ぢゅんこ)
私がモテてどうすんだ(わたしがもててどうすんだ)
第1巻評価:★★★★☆(9点)
   総合評価:★★★☆(7点)
 

私は芹沼花依。男の子同士が仲よくしているのを見たり妄想するのが大好きないわゆる腐女子♪ある日、愛するアニメキャラが死んだショックで体重が激減。すると、校内の4人の美男子からデートの誘いを受けちゃった!私とじゃ萌えないのに!! まさかのモテ期でどうすんだーー!!?

簡潔完結感想文

  • 言い寄ってくる4人の男。私に興味ある現実の男とか興味ないんで。
  • 5人デートとカミングアウト。君らの価値グッズ一つ分もないんで。
  • 夏休みの補習回避のために勉強会。全てはオタクイベントのために。


遂に腐女子が少女漫画の主人公になる時代が到来した。

何の個性もないクラスで地味な存在の私が学校のイケメンと恋仲に…、という展開はもう古い。
強い個性はある。腐女子
「地味な存在」。1話で転生したかのような美貌になりますが。
「学校のイケメン」。4人もいるよ。
「恋仲」。三次元の男に興味ありません。

f:id:best_lilium222:20200609100849p:plainf:id:best_lilium222:20200609100852p:plain
激ヤセ ビフォーアフター 何ということでしょう まるで別人
話の筋としては王道シンデレラストーリーで、イジメや差別の描写こそないが、決して男子生徒から熱い視線を送られたりはしない女子高生・花依が主人公。
彼女が「とある事」に精神的ショックを受け1週間ロクに食事も取らなかったら別人と見間違うほど痩せて綺麗になるという話。
痩せてから初めて学校に登校するとクラスメイトら4人の男子からデートの誘いを受ける…。
f:id:best_lilium222:20200604003102p:plainf:id:best_lilium222:20200604003057p:plain
二次元で絶望したら 三次元でモテ期到来
だが本書が特殊なのは、花依自身がシンデレラになって王子様に見染めてもらおうなど微塵も思っていない点だ。
花依は腐女子なので、作中にある通り、王子様の隣には王子様がいればいいと思っている。

ここが本書の絶妙なバランスで、一般的な腐女子だった花依が痩せた途端に女性向け恋愛シミュレーションゲーム(乙女ゲー)の主人公のように複数のイケメンから好意を持たれるという夢のような展開を花依の嗜好が見事に打ち消している。
乙女ゲーとしてはありきたりな設定を利用しているようで、機能させていない。

花依は自分が恋愛をするような物語の主役になる事など望んでいない。
腐女子>リアルの恋愛、という絶対的な価値観が花依にはあるため、4人のイケメンが束になってかかっても2次元キャラ・BLに下手をすれば負けるような存在なのである。
だからまず4人のイケメンたちはライバルではあるものの彼女の中の現実の自分たちの比重を高めるために協力し合う。
これは抜け駆け禁止の相互監視の意味もある団体行動なのだ。


1巻で花依に好意をもって接するのは4人の男子。
彼らには苗字に数字が入っているという共通点がある。
4・四ノ宮。花依が保健委員会で一緒の1年生の後輩男子。
5・五十嵐。クラスメイトのサッカー部男子。
6・六見。花依と同じく史学部の先輩。
7・七島。クラスメイトで花依の推しキャラ似。

彼らそれぞれに長所もある。
4、抜群のルックス、ツンデレ
5、王道スポーツ系、頭の回転。
6、自然体、平常心。
7、花依好みのルックス、不器用な優しさ。


3話目では花依の長所も描かれている。
サッカー部の急な助っ人を頼まれた際、未経験ゆえ体力面・技術面に不安を抱えるが、それを克服せんと努力を続けられる人だという事が分かる。
痩せてしばらく経っても驕ることなくそれまでの性格を維持していることが窺える。
まぁ周囲の生徒からは急に4人の男子生徒を引き連れて行動する人だと羨望のまなざしがあったのでしょうが。

にしてもネタ一発勝負の設定のためとはいえ、痩せるとモテる、綺麗だとモテる、男子の好みは結局そこ、という真理に至る扉が開かれた気がしてならない。
この辺りは突き詰めると読者層を絶望に追い込む恐れあるので鍵を掛けときましょう。


1巻は花依が高校2年生の1学期の中間テスト前から期末テストまで。
結構な速度で時間が流れてますね。
3年生の六見先輩など、進路のために努力する時期である。
このペースだとすぐに卒業である。
が、ここは一種メタなパロディ世界。
体系の変化も時間の経過も自由自在ですわ。


この漫画の欠点としてはいつでも最終回を迎えられるという点だろう。
花依がリアルで4人(またはそれ以外)の中の一人にときめかせれば漫画は終われる。

なので作者の初期構想を達成しどのように最終回を迎えるか、というより初速の人気をどのように維持して最終回をどこまで遠くにもっていけるかが勝負になる。
つまり読者人気が頼りの漫画であり、読者の注目を集めさせるための、各キャラの掘り下げやイベント、そして新キャラ投入なのだろう。

しかし1巻の時点でも4人のうち2人は既に本命脱落の予感を漂わせている(7と4)。
その上で続々と新キャラが登場しても、まぁ期間限定の参戦なのだろうなと分かってしまう。
人気が出ちゃってどうすんだ⁉ アイデア枯渇をどうすんだ⁉ という作者の嬉しくも切実な悲鳴が聞こえない事を祈る。