《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

作中の男たちの好感度が上がると、読者の好感度がジョジョに下がる腐思議な物語。

私がモテてどうすんだ(9) (別冊フレンドコミックス)
ぢゅん子(ぢゅんこ)
私がモテてどうすんだ(わたしがもててどうすんだ)
第9巻評価:★★★(6点)
   総合評価:★★★☆(7点)
 

ストーカーに狙われていた四ノ宮をみんなで体を張って守り、無事に撃退! そんな中、花依の誕生日が近づいてきた☆ 花依が望むものをそれぞれ必死に揃えようとするけれど、五十嵐だけ用意することができなかった…! すると五十嵐はその日の夜、みんなに内緒で花依を呼び出して…!?

簡潔完結感想文

  • 姫の危機。私を守るのは私ですわ。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。
  • 誕生日回。ホステスに貢ぐ男たちの悲哀。そう考えないと胸糞が悪い。
  • そろそろ選ぼう。勝者には私という褒美を与える。だから何様なのよ。


本質的に男女の恋愛に興味のない作者と花依の限界が見えてきたような気がする9巻。

もう止めて、作者のHPはゼロよっ!!ってな感じで、誰かが作者に引導を渡さないと一層ぐずぐずになりそうな予兆がある。
もうこうなったら、作者の得意分野にシフトしてもいいんじゃないか。
花依(リアル)なんてクソゲーだ!!と男性陣が発狂して、4・6、5・7あたりでカップルを成立させるBLオチの方がいいんじゃないか。
そして現実と向き合わなかった花依は2次元の世界に還っていく。
巣にお帰りと優しい言葉を掛けてあげましょう。
これは読者の願望とも一致して、ある意味で歴史に残るエンディングになるんじゃないか。


今巻は花依の努力描写がいつもより少ない。
唯一あるのが池に沈んだ五十嵐を助けに入る場面。
これまでも花依を囲むナンバーズは彼女を守っているようで彼女に守られてきた。
自分の窮地には身に危険を顧みずに身体が動く花依のその心根に触れることで彼らの花依への好感度は上がりっぱなしである。
が、もうそれも何巡もしている話。
しかもこの公園の池、『前巻』でも四ノ宮のペットが沈んだところだろう。
水に落ちて助けに入る、水に落ちて人工呼吸。これも2回は見た。
なんだろう、全体的な発想の枯渇を感じずにはいられない。

『前巻』で四ノ宮の窮地を救ったからか、今巻の四ノ宮のピンチに花依の活躍はない。
描かれているのはナンバーズのチームプレイと四ノ宮の成長。
四ノ宮のなりふり構わない自己犠牲の精神には頭が下がる。
悪漢に立ち向かうのではなく、服を引きちぎるなんてこの漫画でしか成立しない駆け引きです。
年上の同性にモテるんですね、四ノ宮くん。まさに、僕が(こいつらに)モテてどうすんだ!

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一人暮らしの四ノ宮は誰かから監視されていた!
今回は花依とナンバーズの関係性がより歪に描かれているように思う。
ナンバーズが花依の誕生日プレゼントを用意する回では、そうとは知らず花依は本心から欲しい物を書いたリストを作成する。
その全ては架空アニメ「かちゅ☆らぶ」関連の物ばかりで、彼らは大いに困惑する。
ここでは花依は少しも悪くない。
だがその花依が神様に願ったリストを彼らは全部叶えようとする。

ここで違和感。
花依ってそんな絶対的な存在なの?
アニメって彼らにとって価値のあるものなの?という疑問が湧く。
他のメンバー(主に二科)に出し抜かれる可能性はあっても、アニメグッズを用意する事が彼らの愛情表現にはならないはずだ。
多大な出費や労苦を払ってまで叶えなくてはならないほど花依の願望は貴いものなんかではない。
神と信者、主従関係、そういったものに変質した関係性は笑えもしない。

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五十嵐と書いて、抜け駆け男と読む。
花依とナンバーズの事情を知った第三者に、今の関係は「残酷」と忠告された花依はナンバーズの中から一人を選ぶことを選択する。
はい、出ました。
3巻に1回の割合で挟まれる、もうすぐ物語が収束しますよ詐欺。
もう9巻目ですので、少なくとも3回は騙されてるんですよ、読者は。
結論からの逃げ道も知ってる。
それでも散漫になっていく物語を引き締めるために持ち出される必要悪ですね、これは。

しかし今回は特に酷い。
花依の提案はアプリゲームでの勝者とおつきあいするというもの。
作者としては世を席巻しているアプリゲームを作中に取り入れ、コスプレや戦い方による個性を出したかったんだろうけど、前提条件が酷すぎる。
自分は物として差し出し、相手の気持ちなど考慮すらしない。
本格的に、ダメだこいつ、と花依の思考に匙を投げてしまう人続出なんじゃないでしょうか。
花依がいいって言ってるんだから、この結果を作品の結末にしてもいい。
オワコンと自ら証明するような展開なら最終回を早めに迎えて欲しいぐらいだ…。