《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

マーボー、揚げ出し、冷ややっこ。光永 頭上注意の食べ物です。

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北川 夕夏(きたがわ ゆか)
影野だって青春したい(かげのだってせいしゅんしたい)
第11巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★☆(5点)

結婚の約束をした次の朝、なんと影野の記憶だけをなくしてしまった光永さん。激しいショックを受けた影野は身も心もボロボロに…。それでもなんとか立ち直って、光永さんのそばにいたいと願うけど――!? 影野のこじらせパワーが奇跡を起こす!? 恋と友情の青春ラブ、超感動の最終巻!!!

簡潔完結感想文

  • まさかの(方法で)記憶喪失。今はお友達から始めましょう。
  • 二度目の初恋。この胸にある気持ちは友達なんかじゃないよ。
  • 卒業。あなたは私の青春そのもの。一生お守りしますので。


『影野』もついに最終巻。

いきなり私の個人的な感想ですが、初読時よりも感想文を書くために読み返した2回目の方が「青春」を強く感じられた。
本書は良くも悪くも背景が緻密に描き込まれている漫画ではないので、話を追うだけならあっという間だ。

けれどこれは長所でもあって、基本は恋愛漫画だけど元カノ・元カレ問題、家族問題やトラウマなど、重い話が続くということがない。
ドラマで例えるなら1話完結の形式で、更に放送時間も1時間ではなく30分といった感じで、いつでもどこからでも気軽に楽しめる青春コメディにもなっている。

私は初読時が全巻一気読みだったため、ネガティブ女子に学校一のイケメンが声を掛けるという設定勝負の出オチ漫画だという最初の感想がどうしても頭から離れなかった。
ただ今回、1巻ずつ読み込むと影野が色々な事を乗り越えてきた事を、彼らの高校の3年間を、初読時の何倍も実感できた。
本書を連載で読んだ人、新刊発売を追っていた人、彼らと同じ境遇の高校生なら一層、現実の時間の流れも相まって、影野が送った「青春」が貴いものに感じられるだろう。


『10巻』ラストで、とうふが頭に当たって影野だけの記憶を失くした光永…。

2学期の学校生活が始まっても影野には話しかけてこない光永
自分の隣にいない事で彼を客観的に見ることによって、改めて光永との格差を実感する影野。

そこで影野は何度目かになる光永から身を引く覚悟を決める。
だが、そんな彼女を救ったのは意外な人物との会話だった。
そのお陰で影野はもう一度、光永と友達から始めることを決意する。

最終巻で光永父、初登場です。
彼ら親子は二人ともトラックに轢かれそうなところを影野に助けられてますね。
もう影野は光永家の交通安全のお守り的存在ですね。
光永父は登場のタイミングも、名乗り出るタイミングも、影野にかけるアドバイスも全てがベストな人ですね。
その外見から光永の30年後の姿が想像できるのも楽しい。

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陽太さんが記憶喪失ならば、もう一人の光永さんに相談してみよう。
11巻は高校生活最後の日々。
最後の文化祭回も収録されている。
「悪意にまみれた2年生の文化祭」とは違い、今回は光永の問題を抱える影野に、友達が、高校生活で知り合えたのない人たちが、手を差し伸べる(しかし過去の麗奈の所業は忘れまじ(笑))。

彼らの助言で勇気を奮い立たせた影野は文化祭のファッションショーに出場し観客の前で光永に告白する。
これは卒業式での光永の答辞と対になっていますね。
この公開告白、ネガティブ的に言えば恥知らずのバカップルだと思うけど…。
本書を読んでも私の心は浄化されず、リア充爆発しろと思うものですね。

ただ、どんな形でも光永と影野は恋仲になるという、
もう一度、恋愛を始める様子は見ていて心が温かくなりますね。
影野にとってはつらい経験だったかもしれませんが。

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受験がストレスだったのか「若さ」が抜けた光永の顔。20代後半ぐらいに見えます。
卒業式の後、校舎を一周する二人の姿に、私まで名残惜しい気持ちが湧いてきます。
そして二人の始まりの場所にたどり着く。
始まりは終わりに、終りは始まりへと続く青春の円環ですね。
彼らの3年間はここに永遠を得たのだろうか。
まぁ、すぐに進路先の描写がありますが。

そういえば作中でずっと「一生」や「共に生きる」などと言っていたのでラストは絶対、二人の結婚式で終わると思っていましたが、違いましたね。
まさかの光永の「お誘い」で閉幕です。

ラスト付近の光永は、また大人っぽくなりましたね。
ちょっと老けて見えるぐらいに。
あとこの学校、男子生徒は学ランだったんだ、と珍しく前ボタンを留めている光永を見て気付いた。
読み返したら1巻からそうでしたね。

記憶喪失と、そこからの復活方法は発想が突き抜けていて拍手を送りたいほど。
やっぱり光永は頭に水やおにぎりやゴリラのアレを落とされないとね。
作中で何回出てきただろうか。

今後も影野や影野の遺伝子も持つ子供に光永は頭に食品を落とされるだろう。
でも気を付けなくてはいけない、とうふだけは禁忌の食べ物だから…。