北川 夕夏(きたがわ ゆか)
影野だって青春したい(かげのだってせいしゅんしたい)
第5巻評価:★★☆(5点)
総合評価:★★☆(5点)
おひさしぶりの光永さんとのリア充デート。なんと光永さんが×××して、影野とついに本気キッスを…!? 影野の青春は順風満帆…なはずだけど、やっぱり今回もネガティブ思考が大爆発! いつもより多めにこじらせてます!? 悩んで迷った分だけリア充になれる☆…かもしれない学園青春ラブコメ、第5巻!!
簡潔完結感想文
高校が舞台の青春漫画で、本編の引き延ばしに役立つ非日常のイベントと言えば、修学旅行・体育祭・文化祭だろう。
旅先の特別な雰囲気がカップルを魔法にかける修学旅行。
スポーツで活躍する恋人の姿に惚れ直す体育祭。
勉学を脇に置いてクラスの連帯感が一気に高まる文化祭。
漫画によっては丸々1巻かけて語られるような青春イベントだ。
そしてこの『影野』5巻では文化祭の模様が描かれるのだが…。
少女漫画史上かつてこんなに険悪な雰囲気の文化祭があっただろうか。
クラスの文化祭の出し物はメイド&執事喫茶。
自分の身の丈に合った裏方という立場で文化祭に臨んだ影野だったが、文化祭当日、仲違いした女同士の争いから場内乱闘になり、教室の中は滅茶苦茶な状態に。
その中を右往左往する影野はいつの間にかに想像を絶するような姿に変身し、クラス中が一時休戦状態となる。
そこで冷静になった女生徒たちは本音をぶつけ、また仲直りして、クラスメイトたちは連帯感を深めるのだった…。
って、ならないわッ!
こんな悪意に満ち溢れた文化祭回、全く楽しい雰囲気が感じられない。
『影野』の中で私の嫌いなパターンです。
作者お得意のネガティブリミッターが解除されて、その後の展開でフォロー出来ていない状態に陥っている。
今回は影野の洗脳が酷い。
影野の自虐や空回りで彼女が窮地に陥るのはいいが、今回は、作者は影野から思考能力や尊厳まで奪っている。読者としても、こんな芯の無い影野は応援できないし、完全にクラスメイトの手下として動く彼女は見るに堪えない。
彼女が求めていた友達って、こんな扱いをされる関係なの?そこに疑問はないの?と作者の影野の扱いの酷さに辟易する。
もっと影野を大事にしろ!とパイの一つも投げつけてやりたい。
光永の話もまともに取り合わない影野って、作品の前提を崩してないか。
その分、どんな時でも光永は影野想いで、見捨てないという点は分かる展開だった。
恋人の為なら自分を捨てられる、超えられるというのが二人の共通点で、今回の光永は文化祭で自分の殻を破って執事になり切り、影野のフォローをしている。
光永は「なにかを失った」かもしれないが、影野と読者にはその想いは届いている。
巻が進むごとに影野の失態をどんどん大らかに見守っていっている。何気に光永も無敵なのだ。そんな光永もお酒には弱いらしく(未成年だし)、酔った様子は末っ子丸出しの甘えん坊。
そして隠している感情も素直に吐露する状態に。嫉妬も好意も願望も口にした光永は彼女にキスを提案する…。
オチは2回続けて同じ。
影野のドジも含めてもっとバリエーションがあればと思う。
あと光永は暑がりですね。無駄に脱ぎます。
そして巻をまたいでの、光永初恋編。
女性を避け続けてきたので、定番の元カノではないので、復縁などややこしい展開はなさそうだけれど、影野としては気になるところ。番外編は影野と光永5歳の話。
実は3巻で光永母が影野家の周辺に住んでいたことがある、という伏線がちゃんとある。
主人公カップル実は学校が初対面じゃなかった、というのは少女漫画あるあるですが、この確率も調べたいぐらいだ。