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フライ,ダディ,フライ (角川文庫)

フライ,ダディ,フライ (角川文庫)

鈴木一、47歳。いたって平凡なサラリーマン。ただし家族を守るためならスーパーマンになれるはずだった。そう信じていた。あの日が訪れるまでは──。一人娘を不良高校生に傷つけられ、刃物を手に復讐に向かった先で鈴木さんが出会ったのは──ザ・ゾンビーズの面々だった! 脆くも崩れてしまった世界の中ではたして鈴木さんは大切なものを取り戻せるのか。ひと夏の冒険譚がいま始まりを告げる!


ザ・ゾンビーズシリーズ第2弾。1作目で早くも高校を卒業してしまった彼らだけれど(笑)、今回は時間を遡って高校生活のちょうど真ん中の高校2年生の夏休みのお話。いや、メインはサラリーマン・鈴木一の大切なものを守るために成長した「大人の夏休み」だ。今回の語り手は、鈴木本人。そしてゾンビーズのメイン登場人物は南方ではなく舜臣(スンシン)です。舜臣は今回もあまり喋りはしませんが、不器用で実直な性格が見え隠れし、とても好きになりました。
予想がつくストーリー展開(妻の行動も含め)なのに、最後の場面ではもうずっとドキドキし、そして感動した。ただの暴力に対しての鈴木の力の使い方や、この後を想像して楽しめるスパッとした終わり方が良かった。序盤、鈴木がどうやって舜臣やゾンビーズに会うのかと疑問に思っていたのだが、あんな出会い方とは…。 所々に前作を読んでいるとニンマリできる部分があるので、単品よりも順番に読んだ方が楽しめると思います。モロー先生素敵だ。日記のような構成も鈴木が成長していくのが分かり易く描かれ、飽きずに読めて良い。マラソン・階段・縄登り、そしてバスとの競争、一つ一つ段々と成長していく過程が、一つ一つ爽快感に変わる。私は何もやってないのに、大きなコトをやり遂げた達成感と爽快感がある。全てをやり遂げ鈴木が生まれ変わったように、私も60兆個の細胞をフルに使って毎日生まれ変わるような生き方をしないと、と思わされた。
舜臣と鈴木の親子の関係とも同級生のような友情ともつかない関係が本当に良い。その時々によって力関係・主導権が変わるのが面白い。舜臣の苦手なモノも判明、カワイイ(笑)鈴木さんの「テヘッ」もいいな〜。

フライ、ダディ、フライ   読了日:2006年01月25日