《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

良い雰囲気になっても「告白する」という選択肢が現れない鈴木くんの攻略プレイ。

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時計野 はり(とけいの はり)
お兄ちゃんと一緒(おにいちゃんといっしょ)
第3巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★☆(7点)
 

夏休み、お兄ちゃんたちと夏まつりに出かけた桜。そこで意外な人物と出会うことに…!? さらに剛お兄ちゃんの秘密(!?)を知ったり、文化祭やクリスマスがあったりと、桜の日常は相変わらず大騒ぎ☆ 読み切り『まほーの使い方』も併録!!

簡潔完結感想文

  • 桜の文化祭。実行委員として奮闘する桜だが受験生なので消極的な生徒もいて…。
  • 武の文化祭。なのだけど、お話の主役は正お兄ちゃんに取られる不憫な武くん…。
  • 剛が11年間 預けられた叔父さんと剛の仲は険悪のようで…? 難しい男同士の関係。


夏祭り、文化祭(中学)、文化祭(高校)のお祭り3連発の3巻。

今更ながらですが、本書はリアルタイムで作品内の時間も進んでいるんですね。
なので今巻でいうと12月号にはクリスマス、秋には文化祭が2連発となる訳です。

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12月号だからクリスマス回
作中では2004年ですが、2020年現在では一番年少の桜(さくら)でも設定は1989年生まれなので30歳を超えてますね。
1978年生まれ設定の正(まさし)お兄ちゃんなんて40歳オーバー。
家族の形態は違えど今も一緒に住んでいるであろう彼らの姿も読んでみたいと思いますけどね。


本書で印象に残ったのは、桜が実行委員として奮闘する文化祭回でしょうか。
中学3年生の受験生なので、心に余裕のない人たちもいて、桜は決められた時間以外は自由参加にすることを決めるが…。

文化祭の参加意欲の違いでクラスの意見が二分して雰囲気が悪くなった時に一括するのは、日ごろ、正と剛(つよし)のケンカを止めている経験が活きているのでしょうかね。
だがどうしても、人手不足は慢性化し、その穴を自分で埋めようとするために桜は正に家事の負担をお願いする。
これは『1巻』で何でも独力で乗り切ろうとして倒れてしまった時との、お兄ちゃんたちとの関係性の変化が見受けられます。

一人で夜遅くまで残っているにもかかわらず、クラスをまとめきれない自分を責めかねない桜を、同級生で桜に片想いしている鈴木(すずき)くんが励ます。

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友達のラインを超えそうで超えない鈴木くん
彼にもう少し勇気があれば、「俺はそんな宮下(みやした・桜の苗字)だから好きなんだ」という場面ですが、もちろんヘタレはヘタレな訳で…。
ただ、そんな彼らの会話を聞いていた今まで消極的だった生徒も文化祭に協力してくれるようになる。いいお話です。
桜は男子に媚びることのないナチュラルな姿でファンが増加していそうですね。
本書の中ではなかなかモテモテだが、そう感じさせないのは良い意味で色気がないからだろうか。良い意味ですよ。


続いては武の高校の文化祭のお話。
武の通う高校を志望校に設定した桜は学校見学を兼ねて文化祭を視察することになったのだが…。

武はせっかく桜が自分の在学する高校を志望校にしてくれたのに3歳差で入れ違いに卒業とは不運ですね。
桜が中学生の時に教師として近くにいた隆みたいに、同じ学校内だから出番に恵まれたりするチャンスだったのに。
作者から愛されてはいるのに、つくづく不運な子です。
まぁ、学校が離れようが何しようが4兄弟は桜の周りに居続けるからいいのですが。
そういえば桜は元々この土地で祖母と暮らしていましたが、他の4兄弟は他の土地からこの家に来たんですよね。
とすると、その時点で学校に通っていたのは武だけですから、武は転校してきたんでしょうか。
兄弟が学校行事に参加することなく育って、幼い頃から一緒にいたイトコと別れて、学校も転校して桜と暮らすようになったなんて、武も苦労してるんですね。
高校生最後の文化祭に兄妹が来校してくれるのは彼にとって殊の外 嬉しいことなのかもしれませんね。


本書で一番謎で、謎過ぎてツッコむ気にもならないのが正のコスプレ(女装)ですね。
ツッコミは剛(つよし)がやってくれるので、ありのままを受け入れようと思いますが、桜との恋愛にはお邪魔な要素ですよね。
正の、ある意味で覚悟を持っての道化役とはマッチしているので、女装自体は受け入れてますが。
ただ、この頃から足を出したりして、衣装が派手に暴走しているのが気になります。
ミニゆかた や ミニスカサンタなど、こちらが要らぬ心配をしてしまいます。

今回初登場の剛の育った家の隣人・りんちゃんは本物志向だとは思いますが。
正の美貌が桜にコンプレックスを与える展開は本当に不要ですよね。

そして連載開始から15年以上たっている2020年現在から見ると「おかま」連発は差別的に思える。
少女漫画に女装ネタは必須ともいえますが、今後はネタとして扱うのが難しくなりそうですね。
剛の率直な反応が一般的だと思うものの、傷つく誰かがいると思うと笑えない場面になります。

「まほーの使い方」…
先生の退職祝いに花束を渡す係に選ばれた一組の男女。
男子生徒・三鷹(みたか)は協調性もなくクラスに馴染めないが、実は手品が得意。
女子生徒・一ノ瀬(いちのせ)は2人で手品をして退職をお祝いしようと提案するが、三鷹は手品に複雑な思いがあるらしく…。
少し根暗な男の子を、天然に見せかけた計算高い女の子が表舞台に、そして恋の舞台に上がらせる展開が良いですね。
時計野作品には初恋がよく似合います。