山田 南平(やまだ なんぺい)
紅茶王子(こうちゃおうじ)
第04巻評価:★★★☆(7点)
総合評価:★★★★(8点)
みんなに内緒で5人目の紅茶王子を呼び出してしまった奈子、そめこ、セイロン。待望のそめこの許にやって来た黄山紅牡丹の紅茶王子・紅ちゃんにそめこは一目惚れ。しかし紅ちゃんとアッサムは犬猿の仲でお茶会同好会は何だか気まずい雰囲気に。一触即発の2人を仲直りさせようと奈子はお茶会を計画するが、2人の間には哀しい過去が隠されていて…。一方、アッサムを気にかける奈子に対して美佳は!? それぞれの想いが動き出す注目の第4巻!!
簡潔完結感想文
- 学校イベントを使わなくても本書には紅茶王子という新キャラで新展開が用意できる。
- 鈍感ヒロインよりも敏感な男性が自分の平穏が脅かされる危機で余裕をなくして別居。
- 合同体育祭と同様に仲直りセッティングに時間をかける。本番や解決は連載1回分。
ノーブレス オブリージュの王子様なのにホームレス オレ 不自由!の 文庫版4巻(TSP.40~52)。
『3巻』の合同体育祭を通じて、同じ生徒としての立場で青春の1ページを作った奈子(たいこ)たちと紅茶王子たち。あんなにキラめいた日々だったのに、この『4巻』は ずっと暗く秋風が寒々しく感じる内容となっている。
その原因が新キャラ。読者が待望した新・紅茶王子の登場が思わぬ波紋を呼ぶ。そして その紅茶王子・ホンムータンが いくつもの意味と登場の波紋を作ることに作者の周到さを感じた。
1つは お茶会同好会で唯一 自分の紅茶王子を持たなかった そめこ の欠落を埋めること。これで そめこ の仲間外れ感がなくなって読者も安心した。これまで描かれてはいなかったが そめこ が紅茶王子を ずっと待望していたのは容易に想像できるので全く無理のない展開だ。
そして恋に恋する そめこ が恋愛一直線になることで人間と紅茶王子の恋の辛さを描ける。作品の構成上 仕方ないが奈子が白泉社特有の鈍感ヒロインになっているので(本書は それでも恋愛要素を上手く散りばめていると思うが)、そめこ が先行して運命的な出会いと、そして おそらく宿命的な別れを描く役割を担うのだろう。これは一般漫画における「友人の恋」枠であろう。なかなか成就しないことが多い少女漫画ヒロインの恋だが、友人が先に恋愛成就することで その喜びを読者に伝えられる上、下手すればヒロインでは描かない男女交際の様子を その友人に託す意味も生まれる。作品内で自由に動ける(あっという間にくっついたり、別れの危機があったり、本当に別れたり)のが「友人の恋」の特徴である。
そして何よりホンムータンがもたらしたのは「過去」である。ホンムータンはアールグレイよりも年上で、元々はアッサムの最初の親友であった。だが何らかの原因で仲違いしてしまった2人がいて、その後にアールグレイ・オレンジペコー兄妹が生まれ、アッサムは彼らと兄弟のように育ったらしい。
いかにも白泉社的な後付け可能な過去のようにも思われるが、作者は かなり前からアッサムの母親については匂わせており、その生涯について知ることが出来る この話は読者も読みたい部分であるため、歓迎される。
この部分は一般作品ならヒーロー側の家庭事情やトラウマに相当するように思え、リアルタイム読者であったなら終わりも近いかと勘違いしてしまいそうである。だが この「過去」は実は一部しか開示されていない。これはホンムータンという子供世代の年長者の視点から語られる過去であって、彼らの親世代で語られる話ではない。この情報を小出しにする感じはミステリにおける最初の矛盾のない真実のようでワクワクした。そして おそらく この時点でおおよその全体像を用意していながら、それを一気に全部は出さない作者の手法と技術に感心した。
そしてホンムータンがもたらした「過去」が学校生活にも影響を及ぼしていく描写が素晴らしい。アッサムというヒーローの家庭事情に(無意識に)動こうとするヒロイン・奈子。そんな彼女の様子で自分たちの関係性が変わることを恐れる美佳(はるか)。そして美佳の苛立ちは同居するアッサムにも影響を与えていく。ホンムータン登場前から内在していた問題が彼の出現によって より鮮明になってしまったようだ。
この過程で、美佳の家で専業主婦業をしていたアッサムが夫の癇癪(と自分の暴言)によって家を追い出され、放浪していくのが面白い。居場所を転々として今日の食事にも困る様子は とても王子とは思えない。野宿をしたり、一口のパンのため(例えだが)に春を売ったり(?)するのも、立派な国王になるための修行なのかもしれない。これも人に介入し過ぎる彼の性格ゆえだろう。セイロンなら こんな非効率なことにならないだろう。
このバタフライエフェクトのような連鎖、そして それにより仲良しごっこが破綻寸前まで追い込まれる。
ヒロインを無自覚最強の姫ポジションに置くことで読者の ご機嫌を窺うことの多い白泉社作品で こんなにもヒリヒリした描写は目新しく映る。『4巻』では最初に奈子と そめこ の考え方の違いがクローズアップされたり、人と人の違う思考というのが一貫していたように感じた。その代表例がアッサムとホンムータンで言葉を交わさないことで自分を守ってきた2人が その違いを乗り越えて新たな関係を築こうとする長い長い道のりが描かれている。仲直りの機会を設けるだけで、あの合同体育祭と同じぐらいの分量を使っていることにビックリする。
私が読んだのは文庫版だったから ちょうど1冊にまとめられていたが、単行本読者にとっては この話題で巻を跨いでいたのか。勿論、本書は その時でも面白かったが、もしかしたら現在(2023年)に作者が このような解決までの長い過程を描きたいと望んでも、タイパ・コスパ重視の現代では編集部側から却下されてしまうのだろうか。こうして読み応えのない作品が量産され、ジャンル自体が衰退していくと思うと悲しい。
登場人物が多くなった作品では動かないキャラというのがいることが多いが、本書では そういうことが起きない。それは作者の脳の容量や想像力が発達していて、登場人物全員を同時に動かせるからではないかと思う。今回の そめこ の紅茶王子の希求、美佳のヒステリックな苛立ち(笑)なども その一例だろう。それぞれがハッキリと自立して動いていることが まるで彼らが読者の隣にいるような感覚に繋がっていく。
そして私が気になっていた、合同体育祭後のアッサムたちの魔法使用頻度だが、確かに下がっている気がする。といっても今回は紅茶王子同士の軋轢がメインで、日常風景が少なかったから使用するような場面も なかったか。もっと以前なら使っていたけど使わないんだ、という場面を見つけたい。
奈子にとって おじ の怜一(れいいち)は初恋の人。そして好きになってはいけない人を好きになった悲恋の思い出でもある。奈子の父親は地元の大きな一族の生まれで家の中が複雑。怜一は妾の子で、異母兄弟ということになるらしい。
そんな関係だから長らく会っていなくて、その割に再会したら親し気で、そして なぜか母親には その関係性を秘密にしている。本書における男性間の関係はちょっと特殊というか、美佳とアッサム、アッサムとセイロンにしても ちょっとBL的な匂いがする。アッサムとアールグレイには感じない(受け手の感性によるんだろうけど)。
合同体育祭で紅茶王子たちの人気は爆発する。一方その頃、セクハラ男・朝比奈(あさひな)は馬術でドイツに留学するという国外追放処分となる。にどとくんな!!
そしてカップル成立が多いという合同体育祭で そめこ に男子校の彼氏ができる。全く知らない人だったが悪い人ではなさそうだったので、取り敢えず交際して その人との相性を確かめるトライ&エラー方式を そめこ 取る。だが奈子は そめこ が自分に交際を話してくれなかったことや、好きかどうか分からないまま付き合う彼女の姿勢に納得が出来ないようだ。
その一方、そめこ は満月の夜に紅茶を飲み続けているらしい。彼女は自分一人 紅茶王子がいないことに淋しさを抱えていた。そしてセクハラ男の存在があったとはいえ、アッサムや美佳がずっと奈子に つきっきりだったのも羨望の対象だった。だから誰か男性の お姫様になるために彼氏を利用した。それは見栄からの行動に違いない。だが確かに奈子は姫ポジションなので、そめこ の気持ちも読者は分かる。自然な流れに見えるし、奈子のポジションを客観視した良い話だと思う。
だからトライ&エラーの結果、呆気なく彼氏と別れる。心の隙間を彼氏なら埋めてくれると思ったが そうではなかった。そめこ にしてみれば経験から実感することもあるのだろうが、高潔な奈子には いよいよ その考えが分からなくなる。そこでずっと仲が良かった2人に亀裂が生じる。
だが自分が納得できないのに、他人が そめこ を悪く言うと それにキレる奈子。この気持ちも分からないでもないが、自分と違う価値観を全て否定している奈子もまたワガママな気がしてならない。こうして奈子は再び そめこ に優しくなる。このワンターンで そめこ を傷つけたとか思わないのだろうか。まぁ自分から早々に歩み寄るだけ、この後の誰かさんより奈子は偉い。
そして2人は改めて満月の夜に紅茶を淹れる(セイロンも招集)。奈子は珍しい紅茶=暇そうな紅茶王子で呼び出しに応じる可能性を高める。すると黄山紅牡丹(ファンシャンホンムータン。以下・ホンムータン)の紅茶王子が現れる。通算5人目の紅茶王子である。
だが このホンムータン、セイロン曰く アッサムとは犬猿の仲らしい。だから他の紅茶王子にホンムータンの召還は隠しておくことになる。1人が登場しても合流するまで時間がかかるのが様式美になりつつある。アッサムびいきで合理主義のセイロンは さっさと願いを叶えさせ、本国に帰還させることが波風が立たないと思っているらしいが、そめこ は自分だけの紅茶王子に大喜び。
この紅茶王子同士の関係に加え、恋に恋したがっている そめこ がホンムータンにガチ恋しないかも奈子の心配の一つ。余計なお世話だと思いつつも、別れが絶対にくる紅茶王子への恋は そめこ にダメージになる未来は明らか。体育祭で確実に奈子もアッサムのことを意識したのに、自分のことは棚に上げているというか、ここで奈子にはリセット機能が働いているのが白泉社っぽい。ホンムータン騒動で奈子の方は恋愛のペースを緩めようという魂胆が見える。
セイロンの効率主義とは少し違い、ホンムータンは生真面目さから願いごとを叶えさせようとする。そこで そめこ が考えた1つ目の願いが「そめこ のこと守ってくれる人が他にできるまで ホンムータンが そめこ を守る」というものにした。この早い展開は、召喚の遅かった そめこ組を他の組と横並びにするために必要だったのだろう。そして姫=そめこ を守るために、初めてホンムータンは人間態になり、その容姿に ますます そめこ は彼に夢中になる。
そこへアッサムが現れ、2人は対面してしまう。だが頑固者同士なのか2人は歩み寄らず反目してしまう。その状況は本国でも同じだったらしくアールグレイが珍しくキレる。ずっと この2人の間を取り持つのに疲弊していたのだろう。ホンムータンはアールグレイよりも年上で、彼が生まれる前までは年の近いホンムータンとアッサムが子供同士 遊んでいた。だがアールグレイの知らない過去が2人の仲を違えたらしい。
それはアッサムの亡き母親に関係する話らしい。アッサムの母は身分が低く、結婚する際は周囲の反対が大きかった。その血や身分がホンムータンの こだわりなのかとアッサムは想像する。
そしてホンムータンの母親は王の側室で、彼女だけが跡取りとなる王子を産んだことから正室に毒殺されたというのが王宮内の噂だった。2人は母親を亡くしたという背景は同じで、本来なら その共通点が寂しさを埋め合っても おかしくはない。
だが そのホンムータンの母親はアッサムの両親が殺したとホンムータンは思っている。そして母を ほとんど覚えていないアッサムはホンムータンに心から寄り添えない。
上の世代では、アッサムの父とホンムータンの母が本来は結婚をする予定だった。そこにアッサムの母が現れ、ホンムータンの母親は 弾き出される格好となり、家柄が素晴らしいにも関わらず側室として王に娶られたという。そしてホンムータンの父親はアッサムの父ほどの身分ではなかったため、ホンムータンの母親の傷心と乱心だと宮廷では噂される始末となった。
更には、上述の通り それぞれの母親が相次いで亡くなったため、アッサムの母親によってホンムータンの母は不幸な人生を歩むことになったという噂が補強されることになった。またアッサムの父は、妻の死後にホンムータンの母と手紙を遣り取りしていたため、そこに不義の噂も立ったようだ。
だからホンムータンは周囲の者にアッサムの父子に対する複雑な心情を晒されて育っていた。親同士が親友で純粋な友情を育んだアッサムとアールグレイとは少々事情が違うようだ。
ホンムータンが紅茶王子の中で孤立したことで、そめこ との2人きりの時間が増える。そうすると そめこ は彼のことを男性として見始める。奈子が危惧していたことが、彼女の視線の届かないところで始まろうとしていた。
だが今回は奈子は この感情を全部 奈子に伝える。特に好きじゃなかった元カレとは違い今回は堂々と相談できる相手でもあるのだろう。そして絶対に別れることになる好きになってはダメな人と知りながらも それを止められないことに そめこ は苦悩する。そして その感情と感覚は奈子にも身近なものだった。こういう気持ちになるからこそセイロンのように最短時間で願いを叶えてしまうようなドライな関係が主従どちらにも負担が少ないのだ。
この頃の美佳が どうして奈子に対してアッサムよりも先に告白をして動いてしまわないのかが分からなかったが、どうやら彼にとって お茶会同好会のような雰囲気こそ守りたいものだったらしい。この関係性を続けたい恋愛モラトリアムな部分をアッサムという「異物」が撹乱するから苛立つのだろう。
こうしてホンムータンと一緒に行動する そめこ は争いを避けるために部室に寄り付かなくなり、アッサムは美佳の家に帰らなくなる。それでも美佳は奈子の涙に弱いのでアッサム捜しに協力する。結局、奈子様の思い通りに男性たちは動く、という感覚は本書にずっとあるものだ。
そんなアッサムが身を寄せたのは生徒会室。ペコーと事情を知る生徒会長、そして そこそこの食べ物があるので居座っている。ちなみに作中は もう11月なので生徒会長も いよいよ その職を降りる時が近い。
アッサムは授業にも出ないので、アールグレイが部室に連れてくることも叶わない。そんな時に奈子は怜一が店で、ホンムータンの母親の名を冠する茶葉「錦上添花(ジンンシャンティアンファン)」を用意することを知る。そこにアッサムとホンムータンを連れてこようとするのが奈子の計画となる。
アッサムは母親を知らずに育ったようなもの。だから両親の揃ったアールグレイ兄妹が羨ましく思うこともあった。だが それを自覚するのも表現するのも自他に悪影響が出るから隠していた。でも その強さが自信や尊大さとなって人を傷つけたのかもしれない。アッサムは珍しく自省的になる。彼に「自信や尊大さ」という言葉を使ったのはオレンジペコー。だからアッサムは彼女とも顔を合わせづらくなり、また根無し草に戻る。王子だというのに住む家を無くした憐れな没落生活である。
そこでアッサムは自分の容姿を武器に女性たちを頼る。ホストみたいな真似をして調理実習をする女生徒たちから食料を恵んでもらう。これなら無職になってもヒモとして食べていけるか。ってか最初から王子とは名ばかりのヒモか(笑)
奈子は情報を得て、苦しそうな寝顔をしているアッサムを発見する。これは『3巻』で梅雨時になると気持ちが落ち込む奈子の寝姿にアッサムが手を伸ばした時と対称的な構図である。その時、奈子は夢の中の過去のパパを呼び、今回、アッサムは こちらも過去の記憶からオレンジペコーの名を呼んだ。ペコーへの好意とも取れるが、そうではなくて、あちらの世界の記憶の中に生きているのだろう。それぞれ父・母を亡くした2人は過去に引きずられているし、過去の中に かつてあったはずの幸せを求めてしまうのかもしれない。
続いてアッサムのもとに登場するペコーは自分の言い過ぎた発言を謝罪する。こうして謝罪することが関係性修復の第一歩だとアッサムが思ってくれたのか、彼は そのタイミングを探していた。これは奈子にとって千載一遇の機会のはずなのだが、他の女性の名前を呼ばれた奈子は当然 面白くない。人間関係が乱れている。
こうして お茶会の日程だけは決まり、アッサムの父親も同席することになったが、肝心のアッサムを引っ張り出すことが出来るかどうかは不透明のままになる。
ホンムータンはアッサムの母親の死の直前に彼女の姿を見た。アッサムは父の厳命で母との面会は叶わなかったのだが、それは父親の配慮でもあった。死を前にしてアッサムの母親は変わり果てた姿をしていた。そしてホンムータンに息子を助けるよう願って彼女は間もなく息を引き取る。だからアッサムを守ると誓ったが、その後の自分の母の死で わだかまりが生まれ、アッサムとの距離を測りかねていた。自分だけが知ってしまったアッサムの母親の呪われた死の姿。母を失ったものの それを知らずに生きていられるアッサムを幸せ者のように感じるホンムータン。事実を言ってしまいたくなる衝動と戦いながら彼は生きている。
お茶会の前日、奈子はアッサムという女房に出ていかれた1人暮らしの美佳に食事を届けに行く(食料事情からセイロンも脱出中)。だが美佳は奈子の そういう無防備な所に怒りを覚える。だから衝動的に奈子を引き寄せようとするのだが、なんとか自制する。奈子は鈍感なので美佳の気持ちは察さないものの、彼の中に男性性を感じたようだ。それは『3巻』でセクハラ男・朝比奈に感じたのと同種の恐怖。どんどん美佳が奈子の恋人になる将来が閉ざされている気がする。
そんな恐怖を感じた帰りの夜道、奈子の前にアッサムが登場し、恐怖から救う。そしてアッサムに 直前の美佳と同じような壁ドン状態をされても心臓は高鳴るだけ。朝比奈と同列に語られた美佳ファンの悲鳴が聞こえる…(笑)
こうして ようやく前日にアッサムと会えたことで奈子は彼を お茶会に誘い、そういう機会を待っていたアッサムも承諾する。
怜一の喫茶店で座席につくまでアッサムの登場を知らされていなかったホンムータンは帰ろうとする。だが それを登場したアッサムが止め、2人は ようやく本音で語り合う。ホンムータンは同じく母を亡くすことによって、アッサムの強さを知り 自分の弱さを知った。確かにペコーの言う通り自信や尊大さは人に影響を与えるらしい。そして2人の場合、アッサムに全く非がないからこそ解決策が見つからない。
そんな内省的で自罰的なホンムータンの心を軽くするのは新しい主人となった そめこ。もっと自分を大事にするように彼に伝える。そしてアッサムも自分の弱さを正直に吐露し、そういう部分を補うことが人と人の繋がりの意味ではないかと彼は これからの2人の関係を提示する。
そして登場したアッサムの父親から、自分とホンムータンの母親は最愛の友人であり、世間から後ろ指を差されるような関係ではないと きっぱりと断言される。親世代も それぞれに進行を深め合い、そして誰かが傷ついた時には寄り添う合う そういう関係を構築していた。優れた者が優れた者をおぎなう、それが「錦上添花(錦上に花を添う)」という言葉の意味だという。
そしてホンムータンの母親は、心から夫を愛し、彼のために生きた。遺された者は彼女の不幸を数えるのではなく、彼女が幸せな人生を送ったことを信じることが大事であると国王は言う。普段は軽薄な人物だが、締めるべき時に締めるのは さすが国王である。