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焼けぼっくいに火をつけるためだけにある終盤戦。ヒロインの炎上商法?

パフェちっく! 17 (マーガレットコミックスDIGITAL)
ななじ 眺(ななじ ながむ)
パフェちっく!
第17巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★(6点)
 

風呼と大林がケンカ!? 落ちこむ風呼を大也が優しく励まし、大也の存在の大きさを実感する風呼。一方、生徒会長としての仕事が始まった壱。放課後の生徒会室で、あるハプニングが!?

簡潔完結感想文

  • 2年生になれるかの瀬戸際。おバカたちは文殊の知恵を借りて勉強会。
  • 17巻にして親族外から初の新キャラ。膠着状態の三角関係を再燃させる。
  • 初めての壱からの告白。また大也との気まずい&喧嘩の日々になりそう…。

ロインから「男友達」を奪うと作品の質が低下する 17巻。

私の中では恋の決着がついた本書。
だけど まだまだ作品を盛り上げる気は満々らしい。
私の作品への気持ちが完全に切れているからだろうが、どうしても蛇足にしか思えない。

全体的な構成の狙いは分かる。
本書は、大雑把に言えば『1巻』『4巻』が大也(だいや)のターン、
『5巻』『12巻』が壱(いち)のターンだったので、
男性1人当たり8巻分の持ち分があると考えると、大也は残り4巻分 風呼(ふうこ)を独占できる。

その期限である『16巻』で大也は風呼を完全に独占してハッピーエンドかと思いきや、
この『17巻』からは両方から好意を抱かれる2人のターンとなった。

なんで ここから もう一波乱を用意しようというのか全く理解できないが、
作品を擁護するならば、『17巻』からこそが、本当の三角関係の始まりなのである。
これまでは前座。
ここからが真打。
俺たちの戦いはこれからだッ!

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17巻にして風呼が男性2人の恋の矢印の方向が自分だと初めて自覚し、三角関係が成立。長い!

性2人の気持ちは置いておいて、
ヒロインの風呼視点から考えると、これまでの16巻の間、
男性2人から「同時」に好意を持たれているという自覚は一度もなかった。

最初に大也に失恋した後に壱と恋仲一歩手前まで到達し、
壱との関係が機能不全に陥った後に、大也が告白してくれて交際の運びとなった。

そして この『17巻』まで風呼は壱の今の恋心が どこにあるか知らなかった。
自分を深く傷つけた壱と伊織(いおり)の関係が どうなったかは怖さもあり聞けなかったのだ。
そうして壱とは恋愛感情抜きの便利な「男友達」ポジションに戻ったことで、彼女の心は落ち着いていた。

なのに今回、壱が初めてストレートに風呼に告白したことで、
風呼は2人の男性に同時に好意を抱かれていることを悟った。

これが三角関係の始まりとなる。


常の三角関係モノならば、ここから ますます面白くなるところだが、
本書の場合は、既に大也と交際しており、更には破局の危機を ついこの間 回避したばかり。
そこにまた新たな火種を投じても、
またも上手くいかない恋愛を見せられるだけではないか、と心配が膨らむばかり。

そして私が最も心配するのは、風呼の立ち位置である。

私は彼女は「男友達」に依存して生きていると思っている。
大也がダメなら壱に、壱がダメなら大也を心の支えにして生きていた節がある。

それは彼女が、男性たちの自分への想いを知らなかったから、彼らを「男友達」に設定していた。
「男友達」とすることで、恋の相談に乗ってもらい、彼らの励ましによって前を向けていた。

だが、今の風呼には相談者となる「男友達」がいない。
これは風呼が、壱とも大也とも気軽に話しかけられなかった『15巻』の再来である。

この時の風呼は、本当に酷かった。
思わず女友達に風呼のことを応援できないと言わせるほどに。

三角関係の成立は、風呼の孤立を意味する。
そして風呼に問題を解決する力はない。
作中に嫌な雰囲気が充満することは必至である。
『17巻』では平穏だった交際が、今後また楽しくないものになるだろう。
次に進むのが気が重い。


もそも風呼は前回の失敗(『15巻』あたりの大也との喧嘩)から学んで、
大也に余計な嫉妬を起こさせないように壱との距離をもっと取らなくてはならない。
それなのに「男友達」の設定を使って、彼に近づき過ぎた。

そして壱の告白を聞いて、こんなにも動揺するのが謎である。
『16巻』で一目散に大也の元に走った その気持ちは もう消えかかっているのか?
いくら ここからが三角関係の始まりとはいえ、これ以上続けると風呼が読者から嫌われるだけだろう。

作品としても これまでのような上手くいかない カラクリは機能しておらず、
ただただ 嫉妬や独占欲といった重箱の隅をつつくような問題で、
三角関係状態を維持しているだけに過ぎない。
壱との問題を再燃させたことで、またもや交際編が楽しくないのが本当に残念すぎる。
ドキドキよりもイライラを感じてしまう。


た大也の行動も謎である。
彼は風呼よりも壱と長く時を過ごし、彼の生活を覗ける立場にいる。

だから既に壱が伊織との関係を清算しており、風呼を一途に想っていることも知っているだろう。

それなのに進級のかかった試験前で必要に迫られたとはいえ、
大也が風呼を伴って壱に勉強を教わるのは無防備だし無神経に思える。

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物語の都合上、3人を完全に1-2にすることは出来ないのだろうが、自作自演の展開が続く。

風呼が壱と一緒にいる所を見るだけで不安が積もっていた大也が、
なぜ自分から壱と風呼を同席させようとするのだろうか。

そして今は いわば恋の勝者である大也が、
その恋人と一緒にいる光景を壱に見せつけるようにするのは無神経である。
なぜ自分が不快になること、他者が不快になることをしようとするのか。

出会ってすぐ、彼らはまるで幼なじみのような関係で、3人でいることを強く望んでいるように思うが、
そこに恋愛問題が入り込んでしまったのなら、3人を基本単位にするのを止めるべきだ。

なんだか自分たちで自分たちを嫌な気持ちにして、
恋愛の新たな障害を作っている、自作自演の構造に思えてしまう。

キャラたちが距離を取ってしまうと作品の雰囲気は壊れるし、
物語が何も生まれないのは分かるが、
恋愛成就後に、上手くいかない恋愛を見せるのは少女漫画のマナーから逸脱してはいないだろうか。


舞っておいても良かった壱の一途な気持ちを再燃させるのは新キャラ。
『17巻』にして新保家の血縁以外のキャラが久々の登場。
(磯っち(いそっち)以来ではないだろうか)

その人は壱が生徒会長となった生徒会の書記を務める影近(かげちか)さん(女性)。
自分を卑下するあまり余計な一言を発するネガティブキャラの彼女によって、
壱の恋心が風呼に伝達されてしまう。

影近は壱が告白できるように、
間接的なカラクリの役目を担っているのでしょう。

完結したかと思うぐらいの両想いとなった『16巻』の後で、
他の女性を脇見して恋を終わらせた壱が出しゃばるのはルール違反ですからね。


肝心の壱の告白は、やはり彼の領域である夜に行われる。
そして この場所は伊織とやりなおすと 予想外の発言が繰り出されたのと同じ場所だろうか。

彼にとって終焉の地であり、始まりの地となるのか。
もしくは、作品にとって終わりの始まりとなるのか。

お泊り回などで、次の展開を期待させて、読者の気を引くのも 浅ましく思ってしまう…。